特集 2016年1月4日

『迷惑メールの実写化』待望の本編公開!

『迷惑メールを実写化してみた』の本編がついに公開されました
『迷惑メールを実写化してみた』の本編がついに公開されました
昨年私たちプープーテレビがとりくんで話題になった『迷惑メールを実写化してみた』の本編がついに公開。

あらすじの紹介と舞台裏の振り返りを主演の藤原浩一と行います。
2006年より参加。興味対象がユーモアにあり動画を作ったり明日のアーという舞台を作ったり。

前の記事:行列日本一のとんかつを食べてきて死んだ

> 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー

こちらが本編。20分あります。見られないかたはこの先の対談であらすじをご参照ください

動画コーナープープーテレビの恒例企画でした

大北:迷惑メールの実写化を作ってた大北です。プープーテレビは毎日1分くらいのおもしろ動画を公開するコーナーで、年末年始特別企画として長いのを撮るんですね。
藤原:主演の藤原です。振り返りましょう。
大北:「主演の藤原」とか言ってますがただのライターで、一番スケジュールが空いてたから出たという状況ですね。
藤原:そうなんです。連日撮影するので暇な人じゃないと主演はできないという。

大北:はじまりは藤原くんの部屋に友人の安藤さんがやってくるという状況ですね。
左が藤原、右が安藤。危険ドラッグを一緒にやろうと安藤が来たが観賞用と書いてあったので鑑賞する安藤。
左が藤原、右が安藤。危険ドラッグを一緒にやろうと安藤が来たが観賞用と書いてあったので鑑賞する安藤。

主人公藤原が家にいる

藤原:ロケ地はライター榎並さんの家
大北:藤原くんが作ってるのはレインスティック
藤原:序盤からいくつも説明が必要な状況ですね。
大北:あとから「なんでレインスティック作ってんの?」と言われたんですが
藤原:なんでなんでしょう。
大北:雨の音が鳴るだけなんですよこの楽器。インドに旅行に行ったりする同級生が当時これを自慢気に見せてくれたんだ。どうこれ、いいでしょうって。「おう…」としか言いようがない。そういうむだなものを作ってるのいいなあと。

藤原:やってきたのは危険ドラッグに興味津々の男安藤
大北:安藤40歳。目の下に黒いクマ描いてるんですね、そのとき持ってたボールペンで。
藤原:危険な男ですね
大北:このあとプレパラート割るしね。危ないよ
藤原:観賞用って言われて鑑賞するし。
大北:危険ドラッグって「観賞用」って売られてるって話がその年あったんだ。それで「一緒に鑑賞しよう!」って安藤が藤原ん家にやってくる。そんなとき藤原の携帯に迷惑メールがとどく。どんどん増えてくるタイプの迷惑メールあるよね
藤原の携帯に迷惑メールがくる。3000万ありますが会ってもらえますか? そのあと増額して連続するタイプ
藤原の携帯に迷惑メールがくる。3000万ありますが会ってもらえますか? そのあと増額して連続するタイプ

藤原に迷惑メールがとどく

藤原:話が連続してるやつですよね
大北:安藤はそれウソだぜっていうんだよね、自分も出会い系のサクラをやってるって。でも藤原は信じるという。
藤原:話の中でだまされてる「つねちゃん」は宮城さん、これまた純朴そうな顔してますね。
大北:基本的に悪い人が出てこないねえ、これ。

大北:途中迷惑メール送ってる人の映像が挿入されてます。顔が見えないように傘があったらいいなと思って雨の設定なんですが、よく考えるとレインスティックの雨乞いで出てきたとも考えられる。カッパに近い存在ですね
藤原:そして本当かどうか確かめに行くわけですね、藤原が。
迷惑メールに返信をする藤原。そんな人を応援したいという企画でした
迷惑メールに返信をする藤原。そんな人を応援したいという企画でした

迷惑メールに返信をする

大北:そのあと迷惑メールに返信することでタイトル画面に移ります。
大北:迷惑メールに返信するっていう行為自体すばらしいですよね。
藤原:見ただけで返信しちゃいけないってわかりますからね。
大北:「送らないで!」にしても「お金ちょうだい!」にしても送った時点でいい人確定ですよ
タイトルはユー・ガット・メールみたいなというオーダー
タイトルはユー・ガット・メールみたいなというオーダー
大北:タイトルロゴはこのあと出てくるイラストレーターの大伴さんが作ってくれました。ユー・ガット・メールみたいなのにしてくれと
迷惑メールを出してた女が8000万渡しにくる
迷惑メールを出してた女が8000万渡しにくる

8000万持った女がやってくる

大北:そして迷惑メール出してた人が現れます。青木という役名で舞台俳優の松村翔子さん。松村さんに「毛皮とかもってないですよね?」ってきいたらお母さんの毛皮持ってきた
藤原:自前の毛皮だったんですね
大北:松村さんはチェルフィッチュという時代の先端いくような劇団で活躍してた人なんですよ。先鋭的な芝居をしてたはずなのに毛皮着て泣けと言われるという…

このあと「わたしもうこれから泣いていこうと思います」って言ってました。どんくさいとこに足を踏み入れていった…

藤原:彼女のツイッターを見たら撮影が楽しかったみたいで、これでいいのかと思いました

大北:8000万円作りましたね。ちょうどデイリーポータルZがグッズで札束メモ帳作ったんですよね。そこに一万円札を挟んでいったのでよく札束メモ帳が映ってる。
8000万受け渡しあるある=ウェイターがコーヒーの置き場所にこまる
8000万受け渡しあるある=ウェイターがコーヒーの置き場所にこまる

唐突ですが8000万あるあるをお楽しみください

大北:タイトルを作ってくれた大伴さんがウェイター。机に8000万あったらウェイターさん困るよね
藤原:公衆の面前で受け渡しやらないですよね
大北:8000万あるある=喫茶店でコーヒーの置き場所にこまる
女は8000万渡したあと「また会っていただけますか?」と。なんていい人なんだ。迷惑メールにウソはなかった
女は8000万渡したあと「また会っていただけますか?」と。なんていい人なんだ。迷惑メールにウソはなかった

8000万くれて「また会っていただけますか」

藤原:泣きの演技ですね
藤原:そしておまんじゅうに1万円札巻いてるの意味わからないですね
大北:お土産におまんじゅう持ってくるんだよね。小判しこむワイロみたいなものとして。8000万あげたうえで、甘いものにお札巻いてくるという
藤原:至れり尽くせりですね
大北:お金くれるわおまんじゅうくれるわそして泣きながら「また会っていただけますか?」って言うんだよね。バラ色の世界だ。

そして迷惑メールに返信するといいことあるな~っていうのでこのあと藤原くんは迷惑メールにかたっぱしから返信して会っていきます。
味をしめた藤原は他の迷惑メールにも返信していく
味をしめた藤原は他の迷惑メールにも返信していく

迷惑メール実写化集に

藤原:「よくある迷惑メールってなんだっけ」って思いついたのを片っ端からやっていった感じですよね。
大北:なにがよくあるのかよくわからなかったのでとりあえず迷惑メールフォルダ開いて調べてみました。スカパーが無料で見られる機械っていうのが多かった
「◯万円払えばパチンコ必勝法教えます」の迷惑メールもちゃんと必勝法を教えてくれる
「◯万円払えばパチンコ必勝法教えます」の迷惑メールもちゃんと必勝法を教えてくれる

パチンコ必勝法を教えてくれる

大北:画像は『パチンコ必勝法教えます』の迷惑メールの岩沢さん

藤原:パチンコだから水玉模様の服着てる。
大北:教えてくれるのは「このメリケンサックが磁石になってるからこれで球を集めればいい」という必勝法
藤原:パチンコわかんないですもんね、どうやったら勝つのか。
大北:磁石くらいしか思いつかなくて、ならどうでもいいものが磁石になってればいいなと。そんでメリケンサック。
メリケンサックの販売店を検索したら出てきたのが武器屋があった。武器屋ってものがあるのかと驚いたんですが、また武器屋があるのが新宿の歌舞伎町ですごく怖い…

藤原:メリケンサックを店に買いに行ったんですがギンガムチェックのかわいい袋に入ってきました
藤原:メリケンサック色違いあるんですよ。
大北:カラバリだ
藤原:金と銀
大北:悪そうなカラバリだ
藤原:あなたが落としたのは金のメリケンサックですか、それとも銀のメリケンサックですか?
大北:両手にはめたら生活しにくそうだなあ…
「芸能人◯◯のマネージャーなんですがあなたに相談したいことがある」というタイプの迷惑メール
「芸能人◯◯のマネージャーなんですがあなたに相談したいことがある」というタイプの迷惑メール

能年玲奈役に2児の母

大北:で、ここからは色んな人が出てくるんですな。これはそのとき流行った「芸能人のマネージャーなんですがあなたに相談したいことがある」って迷惑メール。能年玲奈役はデイリーポータルZ編集部の古賀さんです
藤原:能年玲奈役ってすごいですよ。なかなかない。
大北:エンドロールに「能年玲奈:古賀及子」と書くの。贖罪の意識にさいなまれました

大北:本来は能年玲奈さんが出てこないといけないんですが。われわれが用意できるのは海女の格好した二児の母
撮影では「能年玲奈さんですよね!」に対して「じぇじぇじぇ!」って返事してもらったんですが、こりゃお母さんだなという声でカットになりました

藤原:ひどい話ですよ。言わされ損。
夫がオオアリクイに殺されましたというネットで話題になった迷惑メールも
夫がオオアリクイに殺されましたというネットで話題になった迷惑メールも

オオアリクイに夫を殺された人も

大北:いろいろな迷惑メールの実写化はつづきます。予告編で一番反響が大きかったのはこれ。「オオアリクイに夫を殺されました」っていうネタ系の迷惑メール
藤原:オオアリクイに夫を殺された未亡人って結構前ですけど記憶に残ってます。
大北:出演はデイリーポータルZライターのべつやくさん。セリフはその場のアドリブを中心にしてるんですが「見てくださいよこの牙」「これ顔じゃないんですか?」ってすごいやりとり
藤原:「顔なんてあるわけないじゃないですか」とか言ってる。すごい。
大北:頭が狂っている…

大北:ここのいろいろな迷惑メールが出てくるのが一番いいところなんですが、一応話にも結末を作らないといけないなと思いまして後半戦にいくわけです
再び安藤がやってくる。藤原が8000万持ってることに気づく
再び安藤がやってくる。藤原が8000万持ってることに気づく

もうかった藤原が迷惑メールに疑いを抱く

大北:安藤がまた藤原ん家にやってきて気づくんですよね。お前なんか高くねえか?と。札束に座ってるから高いんですよ。

大北:そして迷惑メールに返信していい思いをしてるって話を藤原から聞かされるんです。でも安藤は認めない。それはタヌキかなにかだ、後をつけてみろって。
迷惑メールにはうらがあるのか? 女のあとをつけていく藤原
迷惑メールにはうらがあるのか? 女のあとをつけていく藤原
藤原:尾行が下手すぎる
大北:すぐ死ぬメタルギアソリッドみたいな
藤原:振り向かれたらすぐ見つかります
だが女は掃除婦として仕事をしていた
だが女は掃除婦として仕事をしていた

迷惑メールの女はバイトをしていた

大北:迷惑メールの女のあとをつけていくと掃除のおばちゃんとして働いてるという展開。ここでも尾行がなあ…
藤原:体が半分出てる尾行
そのあとコンビニで、それが終わればまた別のコンビニへ…
そのあとコンビニで、それが終わればまた別のコンビニへ…
大北:そのあとも尾行していくと実は仕事をたくさんかけもちしていたという話なんですよね。これはセブンイレブンのバイトのあと、ローソンのバイトに行く場面。同じとこでバイトしろよ。
藤原:そこは掛け持ちする必要ないのに。
医者もかけもちしていた
医者もかけもちしていた
大北:その後も尾行しつづけて、次のかけもちしてた仕事は医者。医者のかけもち!
藤原:むやみに手術しようとするんですよね。
大北:医者役の西村さんがみょうに雰囲気あるんだけど「あの患者にやるとムリだ」ってさとすんだよね
藤原:「大丈夫です。とっても素早くやるので死にません」っていいセリフですよね。医者なのに根拠に知性がない
大北:もう少し調べてセリフ書けばよかったですね。早くやると死なないのかどうかとか
その夜は内職に精を出していた
その夜は内職に精を出していた
大北:仕事は続きます。内職のかけもち。
藤原:泣きながら醤油を詰めていく場面ですね。
大北:魚型の醤油入れに醤油を充填する内職。そんなものがあるのか知らないんだけど
藤原:醤油入れは後にスイミーになりました。再利用。
大北:そうそう、これ1000個くらいあって内職しながら迷惑メールの女が独り言言うんですよ 「あと七万個だ……がんばろ」って
藤原:多すぎる…
大北:医者の一時間を内職でかせぐには一日くらいかかりそうだ
ラーメン屋でも働いていたが、この頃にはふらふら。湯切りも満足にできない
ラーメン屋でも働いていたが、この頃にはふらふら。湯切りも満足にできない
大北:最後はラーメン屋ですね。この頃になると女はへとへとで湯切りもフラフラ。「切るの? 切らないの?」って店長が心配してる
藤原:住さんの演技が光ります

藤原:麺茹でてるのとか卵が煮えてるのが唐突にアップになるのはなにか意味があるんですか
大北:「麺だって伸びちまうよ!」とか言ってるので、グラグラグラ~というそのままの映像入れていくとバカだなーという
藤原:煮えてる映像っておかしいですよね。
大北:煮えてる映像ってなんかアホくさいね

大北:でこのあと店長が聞くんだよね。お前なんでそこまで働くんだと
「会いたい人がいるんです!」「でも会うのにお金が要るんです!」迷惑メールは本心からだった
「会いたい人がいるんです!」「でも会うのにお金が要るんです!」迷惑メールは本心からだった
大北:「会いたい人がいるんです! でも会うのにお金がかかるんです!」感動~(笑)

藤原:ここの住さんの泣き。他の人は声で泣いてるのに住さんは顔で泣いてる。
大北:現場ではやりながらゲラゲラ笑ってましたが、こう見ると満面の泣きだ
藤原:大人の泣き顔
「もう雨降ってるよ、帰りなよ」「まだやります!」
「もう雨降ってるよ、帰りなよ」「まだやります!」

大北:女は男に逢いたい一心でめちゃめちゃがんばって8000万円用意してるんだということがわかる。迷惑メールは本当だったんだと。予告編つくったときに「迷惑の裏側にあった本当の気持ち」というナレーション入れてもらったんだけど、そんなものないよね
藤原:どこにも迷惑はないと
大北:真剣な気持ちで8000万用意してるんだという映画なんですね
雨やってたのは藤原でした(ラストシーン)
雨やってたのは藤原でした(ラストシーン)
大北:最後は雨の音がして店長が「雨降ってきたからもう帰りなさい」「まだやります!」というやりとりのあと藤原がレインスティックで音出しているという。

大北:本作の唯一の伏線が「レインスティックは短いから雨に聞こえない→たくさん作って回転させる」 ですね。ただの効果音ができあがるという伏線でした
藤原:伏線が回収されたし終わるかと。
藤原:なぜレインスティックで音出しているのかは謎ですね
大北:女がレインスティックで出てきたカッパ的なものだとすると鎮魂とか除霊みたいなことなんでしょうけど、たぶんただの雰囲気作りですね

藤原:藤原は適当なところで切り上げて帰りそうですね。
大北:このときのラーメン屋の話を聞いていた藤原の気持ちは「ふーん」なんじゃないかな
藤原:お金がなくても会うよ、という感じではなさそうです。
大北:他人事感がすごい。そんでTHE ENDが出るわけですね。

次回作は明日公開です

大北:こうして見ると善人ばかりでいい世界じゃないですか。なのに心が1ミリもこもってない
藤原:こんなやついないだろうなって人ばかりだからでしょうか。
大北:「8000万あるある=コーヒーの置き場がない」みたいなウソのリアリティばっかり
藤原:「8000万あるある=だんだん数えるのがはやくなる」
大北:2つめの場面ではピラピラピラ~って数えてるんだよね

大北:でもこれで迷惑メールに返信したことある人の株があがるのではと。本当に賢い者は迷惑メールに返信する者だと。正直者が得をする世界
藤原:いい話だ
大北:現代の童話だ、童話。見てるの大人だけど

大北:今年の分は明日予告編公開です。大変でした。
藤原:絶対見てください!
大北:絶対見てくれよな!が出た。よくNARUTO的な主人公が次回予告で「ぜったい見てくれよな!」って言うじゃない。あれ、大変だったんだろうね
藤原:今ならその気持がわかります
大北:NARUTOたいへんだったんだよ、たぶん
次回作、成功しないピタゴラ装置という地獄のような撮影含みます。絶対見てくれとも言いたくなる
次回作、成功しないピタゴラ装置という地獄のような撮影含みます。絶対見てくれとも言いたくなる
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