根性はAmazonで買った
まずはコンクリートだ。コンクリートをはね返すど根性を養うにはコンクリートがなくてははじまらない。
検索をするとAmazonなどのインターネットの通販でも取り扱いがあるようで頼んだ。
宅急便の人が「重いっすよ」と渡してくれた。その言葉をよくきくけどそれ10kgのコンクリだから当然だ。申し訳ないことをした。
ふだん本とか入れるダンボール箱なので家に入るとすぐすぐに崩壊した。
Amazonでコンクリートを買う。底がぬける
崩壊。根性のないダンボールは今のおれだ…!!
これがコンクリートか。こんなものからど根性ができるとは…
風呂でこねる。おかしいぞ。犯罪の香りがする
ど根性は家人に嫌がられる
風呂場でコンクリートをかためている。どことなくただよう犯罪の香り。何もおかしなことはしてないのだが。
コテでこねていると飛沫が気になる。油汚れは洗剤、油性マジックは溶剤で落とすがコンクリート汚れはなんだ。ああ、家事力が足りない。そもそも家でやることなのかこれは。
こっちを見る妻の眉間に峡谷ができている。トロッコでも走らせたいものだ。
ベランダに移動。プラ板とガムテープで作った枠を埋めていく
チャーッ、チャーッ、とコンクリートをならす音は工事現場から聞こえてくる音だ。隣家は夜に不気味な思いをしたことだろう。犯罪の香りがすごい。
一日おいた。これがマイコンクリ。こんなものでも手作りの愛おしさがある
マイコンクリートの愛おしさ
一日経つとコンクリートは固まっていた。それもかっちりと、だ。
ヨーグルトを培養するのが好きだ。あんなものにも愛おしさが宿るのだが(腹をこわすが)これもそう。ただのコンクリートなのに愛おしさを感じる。
あたたかみが全然ちがうだろう。既製品にはない味がある。バレンタインデーにLOVEと書いた手固めのコンクリ(※手縫いのマフラーみたいなもの)、ありだと思う。
そして今までがLOVEでここからがど根性だ。傾けてもう半分を埋めるのだ
公開まで時間がない。子を寝かせたあと、夜にやる
早く乾かすためにサーキュレーターで風をあてる。コンクリートのグリーン席だ
これはどういう仕事なんだろうか
翌日の夜、妻が風邪で寝込んだので娘を寝かしつけてから作業に入る。
娘にそろそろ父の仕事のことを教えてもいいかなと思うのだが、おれは今コンクリートを固めている。これは一体どういう仕事なのだろう。おれが教えてほしい。
しかもコンクリートは生乾きの状態で移動させたため半分で割れた。ど根性の道は険しい。
重みにたえかねて割れる。これがど根性のむずかしさか…
明日撮影しないと間に合わない。コンクリがいつどれくらい固まるかで悩む。職業がわからなくなる
夜ご飯をたべにきた池田くんがセメントを見つけ、乾かしても意味ないとのこと。糊みたいなものだと思っていた。接合部を補修し、水でぬらしてラップをした。そして24時間後。
きたきたきたきた、固まった固まった、ど根性が固まったぞー!
10kg+水でめちゃめちゃ重い。根性つくわこれは
お手製のコンクリートも出来上がった。これでようやくど根性が完成する!
使われてない排水口のフタに合わせて作ってきたのだ
地面が雨で濡れてたので水で濡らすとそれっぽくなった
さあ、いくぞ、ど根性いくぞ
ど根性なるかど根性なるか……!?
はい、生えた。コンクリのすき間をぬって今ど根性人間が生えました!
……生きている!! コンクリートをはね返して生きているよ!!
感動的だ
生えたか生えてないかでいうと、完全に生えた。コンクリートのすきまから大根のように人間が生えた。
これがど根性人間か。
あの硬いコンクリートをはね返して生きている。なんて根性だ。根性ありすぎて生命力に満ちあふれているじゃないか。今のおれの姿はなんて感動的なんだ。
「あいつ、根性あるよな」と会社で言われたいと思ってるあなた、すぐにコンクリートのすきまで仕事しよう。
さあ、これであなたもど根性サラリーマンだ。
ノマドはもう古い。通信環境の発達でコンクリートに挟まれていても仕事ができるようになった。ノマド、いや定住どころか"挟まり"でいこう。
「あいつコンクリはね返して見積り送ってくるの、根性あるよな…」お客さんからそんな声がきこえてくる
「低いところから失礼いたします!」飛び込みではなく、埋まり込み営業
地中から御社のメリットを説くど根性サラリーマン
(映画『プラトーン』より)
「はい、もしもしこちらど根性サラリーマン……えっ、課長にですか!?」
ど根性を評価されて埋まりながらの昇進決定! ありがとうございます!
課長だー!!(以上、ぼくの想像するサラリーマン像でお届けしました)
マイコンクリート、割れた…!!
ど根性大根になれた
根性論が流行らなくなっている。スポーツものでも努力描写が嫌われている。
しかし世の中を見るに、ど根性が嫌われてるわけではない。根性のある人や根性出して勝つスポーツ選手は評価されている。
今はもっと合理的な道があるでしょうということだ。寿司職人になりたくて何年も修行するのはおかしい、寿司の学校通え、とあの堀江貴文さんも最近言ってたらしい。
堀江さんの肩をたたき、こういうことですよね、と言いたい。
ど根性が出た。1000円程度のコンクリート補修材を三日四日こねくりまわしていたらど根性人間になれた。
つまり私は合理的で賢い。そしてこの半分地中に埋まってるように仕事するど根性は現代という時代に合っている。君も私みたいに賢くやりなさい。