当たり前の旅 2015年11月5日

るるぶのおすすめどおり由比で桜えびのかき揚げを食べ歩く

朝日を受けて輝く海の幸。
朝日を受けて輝く海の幸。
学生時代、カレーうどん屋でアルバイトをしていたのだが、一番高価なトッピングが桜えびのかきあげだった。

勤務中は、間近で桜えびのかきあげを見ることはできるが食べることはできない。(当たり前だ)
まかないで食べられるのでは、と思ったりもしたが、まかないのご飯はシフトを引き継いだキッチンの先輩などが作ってくれることになるので、手間のかかる揚げ物はとても頼みにくい。
客として店に行くと、高いので頼みにくい。

近くて遠い存在、バスケ部のキャプテンと付き合っている隣の席の女の子、それが桜えびのかきあげだったのである。

この記事はとくべつ企画「当たり前の旅」シリーズのうちの1本です。
1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

前の記事:八橋をウェットティッシュの袋に入れるご提案


るるぶを買う

由比へ行けば、その桜えびのかきあげを存分に食べられるようである。

今回は、旅が決まるととりあえず買う情報誌、るるぶの情報を参考に由比で桜えびがおいしい店をまわってみることにする。
これから行く店は、全部るるぶが勧めた店である。
ただただうまい店に行ってうまいものを食う。
エビっぽい配色の表紙。
エビっぽい配色の表紙。

由比桜えび通りの「半ズボン」

由比の街は、日本で唯一の桜えびの産地であるが、京都のように観光施設が整備された場所ではない。

その、生活感と観光地との狭間で、もやんとしたなんとも言えない味わいを楽しむことができる。
駅に由比の特産品が展示されているが、
駅に由比の特産品が展示されているが、
一番見やすい位置には大量の猫のご飯が。由比にいなば食品の静岡本社があるらしい。
一番見やすい位置には大量の猫のご飯が。由比にいなば食品の静岡本社があるらしい。
「由比桜えび通り」の門をくぐって最初に見える文字も、
「由比桜えび通り」の門をくぐって最初に見える文字も、
「HONDA」である。
「HONDA」である。
由比桜えび通りにいたパンダの遊具。
由比桜えび通りにいたパンダの遊具。
「半ズボン」
「半ズボン」
桜えびを忘れて街の情緒を堪能してしまった。

こんな感じで5分ほど住宅街のような商店街のような道を歩くと、海辺へ出るトンネルに着く。
トンネルをくぐると…
トンネルをくぐると…
漁港!
漁港!
空は快晴で、遠くに山並みが見える。
海風が最高に気持ちいい。
わけもなく走り出したくなってしまった。

1店目「浜のかきあげや」

そしてその漁港に面して店を構えるのが「浜のかきあげや」である。
新鮮な桜えびを、漁港を眺めながら食べることができる。
得意そうに書いているが、全部るるぶの情報である。
浜のかきあげや
浜のかきあげや
かきあげ丼と、桜えびのみそ汁
かきあげ丼と、桜えびのみそ汁
食べる
食べる
風味だ、と思った。
風味でご飯をかきこめる。
一口かじったら、風味が逃げないうちにこれで白飯を食わなくては!となり、その繰り返しであっという間に食べてしまった。

かきあげというと、具材と衣が半々ぐらいのイメージがあったのだが、このかきあげはもうぎっしり桜えびであった。
一匹一匹がしっかりした、「エビでございます!」という存在感の桜えび。
サラダやスパゲッティにこっそり和えられた感じの桜えびとはぜんぜん違う。
そしてこの眺めである。
そしてこの眺めである。

2店目「あおぞら」

腹ごなしに薩埵(さった)峠を登って富士山を見て、ついでに隣の興津駅まで歩いた。
逆光で真っ暗だが、僕の隣の四角いものに「薩埵峠」と書いてある。
逆光で真っ暗だが、僕の隣の四角いものに「薩埵峠」と書いてある。
富士山と俺。標識と富士山が一緒に入らないので2枚撮った。
富士山と俺。標識と富士山が一緒に入らないので2枚撮った。
さらっと書いたが、道が険しく日差しが強くてすごく疲れた。

富士山を見たらもと来た道を戻るつもりだったのだが、あの道はもう歩きたくない、という一心で前進してしまった。
興津へ行くまでに道に迷ったので、おとなしく引き返していればよかったのかもしれない。
東海道本線、国道1号、東名高速道路と富士山。江戸時代の浮世絵師、歌川広重も薩埵峠から見える富士山を描いている、とのこと。
東海道本線、国道1号、東名高速道路と富士山。江戸時代の浮世絵師、歌川広重も薩埵峠から見える富士山を描いている、とのこと。
ネガティブな感情で東海道の難所を越えてしまい、また電車で由比に戻って向かったのが、食事処「あおぞら」である。
安心する佇まい。
安心する佇まい。
実家のような雰囲気。
実家のような雰囲気。
頼んだのは桜えび定食。
頼んだのは桜えび定食。
桜えび定食にはエビ塩で食べる桜えびのかきあげ3枚と、桜えびの釜揚げ、桜えびの佃煮がつく。

桜えびのかきあげは、ふわっとした食感だけれども、しっかりとえびの食べ応えもある感じだった。
やはり衣が最小限に抑えられているので、油っぽくなく、すいすい食べられる。
ごはんもがんがん進む。

店内にはテレビが設置されており、その時はゴミ屋敷を掃除する会社のドキュメンタリーがやっていた。
依頼があったゴミ屋敷へ行くと、プロテインが床にぶちまけられて固まっていたりかぼちゃが床を占領して冷蔵庫のドアが開かなくなっていたりした。
旅の途中でこういったものを見ると、現実味がなく、普段よりもより他人事として捉えてしまうので、
なんだか楽しそうだな、とすら思ってしまった。

ゴミの下から商品券が1万円分でてきて「やったー」とかやっていた。
お会計の時にストローで作ったえびをいただいた。素敵。
お会計の時にストローで作ったえびをいただいた。素敵。
また少しインターバルがほしくて、「東海道 廣重美術館」で歌川広重の絵を見た。
また少しインターバルがほしくて、「東海道 廣重美術館」で歌川広重の絵を見た。
記念のスタンプがあって「ああ、観光に来たなあ!」とここではじめて感じた。インクかぴかぴだったが。
記念のスタンプがあって「ああ、観光に来たなあ!」とここではじめて感じた。インクかぴかぴだったが。
美術館では、先ほど薩埵峠で見た富士山を今度は絵でじっくり見たりして、俺はなかなか高尚なことをやっているなあと悦に入ったりしていた。

外へ出ると小学校低学年ぐらいの地元の男の子1人が、同年代の女の子5人を追いかけ回してきゃあきゃあやっていた。
どこの貴族の遊びなのか。
そして「ゆい桜えび館」である。
そして「ゆい桜えび館」である。
桜えびのかきあげとビール
桜えびのかきあげとビール
もうよかろう、とビール投入。
この桜えびのかきあげがこの日一番おいしく感じたが、単純にビールを飲んでいたからかもしれない。
しっかり揚げた、ざくざくした食感のかきあげだった。
ビール飲んでる。
ビール飲んでる。
お会計の時に「日に焼けました?」と聞かれた。
初対面なのに。
お酒を飲んだので顔が赤くなったのだと思う。
帰りがけに気付いたのだが、食べログ話題のお店でもあったようである。
帰りがけに気付いたのだが、食べログ話題のお店でもあったようである。

4店目「ごはん屋 さくら」

最後のお店は駅のそばにある「ごはん屋 さくら」である。
最後にこのお店へ寄って、さっと帰るつもりだったのだが、なんと由比という駅は線路を挟んだ反対側へ出る方法がない。
なのに「ごはん屋 さくら」はその反対側へ店を構えており、どうやら富士由比バイパスという大きな道路を走る車が立ち寄る、サービスエリアのような役割を果たしているらしい。

Googleマップで調べたら大きく迂回すると線路を越える通路があるとのことで、ひいひい言いながら、びゅんびゅん走る車の横を歩いた。
こんな位置関係。赤い矢印を15分ほど歩く。
こんな位置関係。赤い矢印を15分ほど歩く。
やっと着いた。
やっと着いた。
桜えびのかきあげそば。
桜えびのかきあげそば。
お酒も飲んだので締めに、ということでおそばを注文。
店員さんが気さくで明るくて、とてもいい雰囲気の店内だった。

かき揚げは、この日はじめての衣がしっかりついたかきあげ。
これはこれでもちろんうまい。
おそばを頼んだのでかきあげを乗せるとたぬきそばのようにもなって、なおうまい。
かきあげを少しずつ乗せながら食べると、さくさくとふわふわを両方味わえる。
かきあげを少しずつ乗せながら食べると、さくさくとふわふわを両方味わえる。
というわけで、るるぶが勧めた4つのお店の桜えびのかきあげであった。
ポイントをまとめるとこのようになる。
全部るるぶに載っているお店。
全部るるぶに載っているお店。
桜えびづくしの1日だったが、「もう桜えびはしばらくいいや」ともならず、すぐにまた食べたくなっている。

今度は桜えびの釜揚げとか、同じく名物のしらすなども食べに行きたい。

帰りの新幹線で、後ろの席の外国人女性二人が片言の日本語で話していただのが、
話している内容が「エロジェンガ」なるものの話だったり、「ホストはいかに私たちを楽しませてくれるか」という話だったりした。
しかも口調が関西弁の片言なのである。

「ホストって、チョット、チャラいイメージ、トカ、アルやん?」

という感じだった。
最後の最後で、旅の印象が原色の絵の具でどばっと塗り替えられた感じがした。
由比で見た、なんともたまらない味わいの看板。
由比で見た、なんともたまらない味わいの看板。
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