昼寝のベストシーズンだから
秋は昼寝だ。野外がいい。
スポーツも食べ物も芸術もなかなかだけども、やっぱり昼寝だ。
暑さと紫外線と花粉のピークが過ぎ去ったこの季節に、野外でうとうとと眠りに励むのは最高としか言いようがない。
ほんとうは海にでも出かけて磯の香りを嗅ぎながらの昼寝もしたい。
だけども、海って意外と自宅からは遠く2時間ちかくもかかる。
でも、こいつらは自宅から30分以内の距離でそろう。
そんなわけで、突然だけれども上記の4選手に集ってもらった。
そして。こんなかんじで材料を組み立てます!
「するめイカの磯っぽいにおいを嗅ぎながら昼寝をすれば、海にいるような錯覚を感じられるんじゃないのか?
そんな安直な願いをかたちにしてみたのだ。
完成品は、アイマスクとして使うことができる。
「目を覆う」「においがする」という2つの効果を一気に発揮させたかったわたしの脳にピンときた形状が、まさにこれ! これだったのだ。
さて、さっそく試してみます
ごろん
なお、わたしの心は今、するめイカのにおいに全集中しておりますが
ああ、なんだかイカのにおいが
おもっていた以上にする
イカが降ってきそうなくらいイカのにおいがする!
するめイカのにおいは、想像以上に「我こそするめイカ!」という主張を全くひるませる気配がない。
しまった。イカに翻弄されすぎて海に行った気分どころじゃない!
海………
だけども。
この「目を覆うものからにおいがしてきて気持ちを揺るがされる」という仕組みは楽しいので、もうちょっと掘り起こしてみたい気がするのだ。
そんなわけで、色々な食べもので試してみようとおもいます。
トリップ効果は、魚よりも肉だろうか
(1)のしするめ
「ねえ。あなたはこの未来を予期していたの?」と言いたくなるくらいアイマスクにしやすい形状だなぁとおもっていたが
やっぱり。かなり従順にアイマスクになってくれた。
信じられない。するめイカと同じ素材でできているなんて嘘なんじゃないかとおもうくらいに香りが弱い。イカとしてのアイデンティティをどこかに置き去りにしてきてしまったんじゃないかと不安になってしまう。
(2)だし用昆布
こちらも。従順にアイマスクになってくれそうな形状だなー
……とおもったのもつかの間、固すぎて融通がきかなかった!
そうか。出汁がよくとれるからといってにおいが強いわけじゃないのか。
(3)焼海苔
「おにぎり用」「おもち用」としっかりと書かれたこいつに、それ以外の未来を照らしてもらおう
豪華に3枚重ねをしてみた
今まで、海苔のにおいを好きか嫌いかと聞かれたら「まあ、どちらかといえば好き……かな…?」くらいだった。
なのに!
この空気には妙に海苔の香りがよく似合う。なんてすばらしいにおいなんだこれは!と、いつもの数倍の速度でおもうし、もう、もうどうにも嗅がずにられないのだ。
おもわず海苔にそっと鼻を寄せてしまっていた。
こんな気持ちははじめてだとおもう
ああ、なんなんだろうなんなんだろうかこの気持ちは。
(4)ジャーキー
「いいにおいがしそう」って基準でジャーキーを選んだら、いつもより1ランク上っぽいやつに手が伸びてた
日に照らされて輝く姿に思わず食べたい気持ちもつのるが
おお。こちらもよい香りだ!
かつて目の前で焼かれ消費されていった肉の思い出が蘇ってくる(少しだけど)くらいにはトリップ力もあるみたいだ。
ちなみに、「こんなにいい香りさせてたら散歩中の犬がみんな近寄ってきちゃうんじゃ」とおもっていたけども近寄ってこなかったし、むしろ吠えられてた気もしなくもない。
季節感と自然由来なかんじも要か
さらに試していこうとおもう。
(5)焼き芋の皮
焼き芋1本分でこんなかんじに。つぎはぎ!
うん。幸せって、たしかこういうかたちだったな
もう、なんていうか焼き芋の皮でパジャマをつくりたくなるくらいに良い。もともと好きなにおいではあったけれど、ここまでおもうとはびっくりである。
(6)ドライマンゴー
1袋あるから!とふんだんに使ってみた
でも、予想外れたな感まんさい
トロピカルな香りを嗅いでいたらトロピカルな気分になるかとおもいきや全く。季節感は大事なのだとおもう。
(7)チョコ
溶解したとき対策でビニールまとってみといた
おお、ひたすらに甘さしかないかおりの波!
わりと空気にも調和している。
ちなみにチョコ、個人的には食べるよりも嗅いでいたいかもしれないのだけど、それってチョコの道に反しますかね。
(8)マシュマロ
ああ、見た目からして甘いじゃないか
でも、ああ、なんか違う。天然由来の甘さじゃない
自然の中にいるからなのだろうか。けして嫌いなにおいじゃないのに、今はなんかちがう。
(9)ふ菓子
草をバックに撮影したら丸太っぽさが倍増
うん。安定感をかんじるかおりだ!
「安定感」をイメージする画がなぜおばあちゃんなのかはちょっとわからないのだけど、でも、なんとなく郷里のおばあちゃんが浮かんだ。
そんなわけで。
秋の昼寝。それそのものに既に大いなる価値があるのだけど、
そこにそっと「においをしのばせたら、新しい世界が見れるとおもう。
結論
・秋、野外の昼寝によく合うにおいのおすすめは「海苔」「焼き芋の皮」。
・肉類やチョコ・ふ菓子もなかなか。
・するめイカは強烈。
場所が変われば感じ方もかわるってこれのことか
においを甘んじていた気がする。シチュエーションによってこんなにも普段とちがう姿になってしまうは、実験をはじめた本人すらびっくりなのである。
とくに、あんなにも海苔を最高とおもったのははじめてだとおもう。
翌日の朝、ベッドの中で海苔のにおいを嗅いでみたのだけども、川縁で感じたあのおもいとはもう全然ちがっていた。少しさみしかった。