みそを挟んだパン
「みそパン」。
名前を聞いたことがある人もいるんじゃないだろうか。
東京でも時々「みそぱん」の文字は見かけることはできる。
だけどあれはちがう。ちがうやつなんです!
生地にみそを練り込んで焼いた固いパン。
ちがう。それは同姓同名の赤の他人さんというやつなのだ。
ちなみに、悲しい出来事の起きたパンツの通称も「みそパン」と言われるけど、それともちがう。
わたしの好きな「みそパン」は、味噌「風味」だなんて生易しいものではない。
THEみそ。そう、もっとどっぷりと味噌に溢れている。
そんな「みそパン」を説明するには、まずこいつに出てきてもらわなくてはいけないとおもう。
甘みそだれに溢れたローカルフード・焼きまんじゅう。
当サイトでも諸先輩たちが何度か触れています。(
こちら)
群馬県民には溺愛すぎるくらいに愛されているのに、他県にはまったく浸透する気配のないソウルフード・焼きまんじゅう。
「みそパン」は、ものすごーくものすーごくざっくりと言ってしまうと
これの逆パターンなのだ。
逆?どういう意味だ?
見てもらった方が早いとおもうのでお店に向かいます。
堂々、みそパンののぼり!
全身ショットはこちらです
一見かわいらしいひょうたんフォルムの白いパンですが……
開けるとみそ!! 甘みそだれがここぞとばかりに
接写をすると、ますますどろーーっ
パンとのバランス感覚もギリギリにおしみなく塗られた甘みそ。どこから口に含んでも間違いなくみその味するんだろうなーという、説得力がすでにすごいのである。
うん、がつんとくるみそ・スマッシュ!
見慣れない人には、「パンとみそって合うの?」という根本的な疑問をもたれそうな気もしているのだけど、これには、もう「合いますよ!!!!!!!」と、猛烈なビックリマークの語尾でもって全力の返答をしたい。
添えてもらった牛乳とも、よく合う!
……ちなみにこれ、厳密に言うと「みそバターパン」だったりする。
純粋にみそだけのパンと、みそとマーガリンを掛け合わせたパンというのがあって、柚子みそとか、ねぎみそなんていうのもある。種類がひとつじゃないのだ。
パンの中にはさむクリーム一覧。全部で16種類。多いな!
店内は、四六時中混雑!とまではいかないのだけど、大量購入をする人がひっきりなしにやってきていた。
わたしがありあまる多幸感にふわふわしているさなかでも、ものすごい勢いで売れてく。
大量購入客が過ぎ去ったあとの売り場
はわー、売り切れてる!!まだ、閉店まで数時間あるのに!
「す、すみません!!売り切れちゃいました!」
お店をきりもりしていた社長の妹さんが申し訳なさそうに言う。いや、だいじょうぶです……だいじょうぶですよわたしは、さっき食べましたよ!
沼田のICからも近いために他県の人も来るんだそうだ。
おおおおお、おお、まさかの他県。
先代の社長が焼きまんじゅうの進化系として発明したこのパンは、もしかしたら焼きまんじゅうよりも他県への浸透率が高い可能性も……あるのか?
「みそパン」はいろいろある
そんなみそパンは、沼田以外の群馬でも頻繁に見かけることができるのだけど、お店によって味も見た目もちょっとずつ違う。
同姓同名の赤の他人、とまではいかなくても、遠い親戚くらいなんだとおもう。
前橋市下細井町「くるみの森」のふかふかっとしたみそパン
みその色も違う。赤みそ、白みそのちがい?
味も、スマッシュ!(フリアンのみそパン感想)というよりはもっとやさしいかんじだ。
高崎市飯塚町「パンまる」のみそパン。写真だと「くるみの森」に近い?ともとれるけれど、大きさと肌触りが微妙に異なる。
こちらもみそは白い。
味は、やさしさとスマッシュ!の間くらい。
高崎市連雀町の老舗「日英堂」は、「みそパン」ではなくて「みそあんぱん」!
おお、たしかにあんこだ。くるみもある。
パン・みそ・あんこ・くるみ・ゴマ。要素多いけどしれっとまとまってる。 美味い!
前橋市六供町「政次郎のパン」は、みそパン売り切れ!!
ところで、わたしはすっかり油断をしていた。
群馬県民の半端のない甘みそ愛には一点の曇りもない。
ゆえにみそパンは、どのお店でも売れ行きが良いのだ。
「政次郎のパン」混雑してるなあ、ちょっとしてからまた来ようかなーなんておもってたまたま近くにあった母校と記念撮影!とかしていたら、再来する頃にはすっかり売り切れていた。なかったのだ。
あああ……。
せっかくなので、手に入れ損ねたみそパンの代償としての田園風景。
不審者だとおもわれるのがこわいゆえの、母校との微妙な距離感がポイント。
そして甘い「バンズ」
蛇足な田園風景をはさんだところで次にいこう。
みそパンに比べると知名度はさらに低く、ごく一部(おもに高崎と前橋)の群馬県民にだけ愛でられひそやかにそっと生きているパンのことをお伝えしたい。
「バンズ」だ。
超メジャーなこのパンの名称がまさに「バンズ」だけど、これとはちがう。
出会った当初「まさか靴になりたかったパンなの?」ってもおもったのだけど、ぜったいちがうとおもう。
よくあるものに例えるなら、「甘食」が近いかもしれない。
もしくは、潤ったたまごボーロがコーティングされているパン、だろうか。
とりあえず甘味があるということには触れておきたい。
あの、いわゆるバーガーバンズには存在しえない甘さだ。
馴染もうとおもえば、どんなパン屋にも馴染めそうなビジュアルなんだけどなー
上の写真のような、中になんにも挟んでいないものがデフォルトなのだけども、マーガリンやあんこを挟んだ状態で置いている店舗も多い。
いちばん多いのはマーガリンを挟んだ「バターバンズ」を売っているお店なので、それを中心に集めてみた。
で、なんだろうこのビジュアルの違いは。
君たち、ほんとうに同じパンなのかよ?と疑いたくなるのだけど……
食べると、味はよく似ている!
「バンズ」の起源は「玉子パン」
ひとつ、気になることがあった。
みそパンに関しては起源=フリアンっていうことでわかっているのだけど、バンズの場合は……どこなんだろうか?
いるんだろう?親分が。
というわけで、来てみました。前橋市岩神町「
アジアパン」
おお、こちらが噂の……、似ている気はする!
おお。入店5分足らずにしてわたしの疑問はするっと紐解かれた。
親分、名前がちがっていたのか!
はさめるクリームのリストには生クリームの名前も。夢が広がる。(※この値段表、9月からは若干値上がりをするらしい)
これ、人間だったらかなりのもち肌だとおもう。
2世!「味噌バンズ」というのもある
さいごに。「みそパン」と「バンズ」を両親にもつ、超ローカルな2世パンがあることをお知らせしつつおわりにしたい。
高崎市下小鳥町「小麦工房 櫻」の「味噌バンズ」
第一印象「でかいね君」
わたし、顔大きいはずなんだけど隠せそうなくらいにでかい
表面がみそ味でたっぷりとみそがサンドされていて全方位がみそだ
ローカルにローカルが畳み掛け、2世はもう誕生していたのだ。
「これ、よくわかんないかもしれないけど、美味しいんですよ!!!!!!」
と、惜しみなくビックリマークを語尾にのせつつ、主張をしておきたいとおもう。
パンを買いすぎたかもしれない
この記事を書くために7店舗のパン屋をめぐった。せっかくだからいっぱい食べべてみたい!そうおもったのだ。ちょっと欲張ったなーという気はしている。
余談ですが、「くるみの森」にあったころとん(前橋のゆるキャラ)のサンドパンは、ちゃんと豚の味がして、めっちゃ美味かったです。
ころとん。今まで全然興味なかったんだけど、これはかわいいとおもう。
※ちなみに。フリアンのみそパンのみ、銀座の「ぐんまちゃんち」で買えます。