かかし祭りのニューウェーブがやってきた!
日本の秋の風物詩といえば……そう、かかし祭り!
本来、カラスなどの害鳥から田んぼを守るために存在するかかしですが、別に田んぼがなくても関係ナイ! ごくごく普通の商店街の片隅に、秋になったらアヴァンギャルドなかかしが立てられて……それが「かかし祭り」!
東京で有名なのは深川資料館通り商店街で毎年開催されている「かかしコンクール」でしょうか。今年もなかなかハイクオリティなかかしがいっぱいありましたよ。
こんなんとか……
こんなんとか……
おおうっ、イモータンジョー様!(『MAD MAX 怒りのデス・ロード』より)
こういう、一般の方たちのクリエイティビティが爆発して、「かかし」といいつつ、もはや「かかし」のフォーマットから突き抜けちゃってる感じの作品を見るのが大好きなので、毎年、各地の「かかし祭り」に通っているんですが、今年はちょっと変わった「かかし祭り」を見つけてしまいました。
人間かかしコンテスト……
要は、オリジナルのかかしを作って展示するわけではなく、人間自身がかかしになりきって田んぼに立ってしまおうというコンテストのようです。
うーん、意味は分かんないけど面白そう!
しかも取材許可をもらおうと電話をしたら、思いっきり個人の携帯電話。これは……行くしかねえ!
こちらが会場の田んぼ
あれ……? 普通のかかしじゃないですか!?
……と思ったら、ちょいちょい人間が混ざってるーッ!
フツーのかかしが立ち並ぶ田んぼに、ちらほらと生身の人間が……。
うーん、これぞ人間かかしコンテスト。
自由すぎる人間かかしの世界
そもそもは、人間の代わりに田んぼのカラスなどを追い払うために生まれたかかし。
しかし「人間かかしコンテスト」は、人間がそのかかしになってしまおうというイベント。なかなかの矛盾をはらんでいます。
まあ別に、コレでカラスを追い払おうとしているわけじゃないだろうけど。
ハゲヅラをかぶった方が司会者です
この司会者さんが、出場者(かかし)を1組づつ呼び出して、田んぼの中を歩いて行って、写真を撮ってもらう……というのがコンテストの流れ。
ランウェイ(あぜ道)をウォーキングしていき……
クルッと振り返って、かかしポーズをキメる!
ハロウィンと間違えてませんか……!? まあ、海外のかかしみたいなモンか?
『美少女戦士セーラームーン』のタキシード仮面がモチーフだそうです
ここまで見てきてだいたい分かったと思いますが、ちょいとしたコスプレをして田んぼに立ってポーズをキメれば大体「かかし」ということ!
いわゆる「かかし」風の格好をするわけじゃないんですね。
まあ、本家かかしも近年はフリーダムなことになってますから……。
コレがかかしなんだから、たいていのものはかかし!(深川の「かかしコンクール」より)
さて、もっと「人間かかし」の人間模様を見ていきましょう。
メキシカンな感じのおじさん
地元の若い子連れ夫婦も参加!
もはや「かかしポーズ」でもなくなってきちゃったよ。コレは「満月のポーズ」だそうです
メイド喫茶からやって来たというふたり。比較的年齢層の高い参加者が多かったので、若いカワイコちゃんの登場に盛り上がってました!
そして、かなりの本気コスプレも。平将門とその愛妾・桔梗姫だそうです
一番、かかしっぽい格好をしていたのはこの人でしょうか
……と思ったら、街中で亀の子たわしを散歩していることでお馴染みの(?)たわしおじさんじゃないですか! 知り合いだよ
ちゃんとペットのたわしも連れていました
主催者が一番面白かった!
わりと小規模なイベントではあるものの、地元の人たちが集まってワイワイといい雰囲気で開催されていた「人間かかしコンテスト」。
そんな中、ほのぼの空気を打ち破る、なかなかパンチの効いた人が……。
バカボンのパパのコスプレをしたこのおっちゃん
「これでいいのだーっ!」
「わあっはっは~っ! タリラリラ~ン」
ほのぼのイベントかと思いきや、すごいキャラがいたー!
……と思ったら、このおっちゃんが「人間かかしコンテスト」の主催者・岡根さんなんだそうです。ええーっ、主催者が一番ぶっ飛んでる!
もう1パターンの衣装。裃にシャンプーハット……
--すごいテンションですね! なぜこのイベントをやろうと思ったんですか?
「いやーっ、暗いニュースが多い時代だから、なかなかバカなことってできないでしょ? だから、みんなでバカになれることはないかなーって考えたんだけど、この辺は田んぼがいっぱいあるから、かかしだろうと! 人間がかかしになったら面白いじゃない。わぁっはっはっ!」
アイデアとしては思いつきそうなものだけど、それをちゃんとイベントにしちゃうのがスゴイ!
今年で72歳という岡根さんですが、会社経営やビジネスグループを主宰しており、色んなイベントを仕掛けてこういう格好で出没しているみたいです……パワフル!
「今年は初めての開催ということで参加者が15組とちょっと少なかったけどね。できれば今後も毎年続けていって、どんどん大きなイベントにしていきたいよ。バカが一番! バカの輪っ!」
最後はオリジナルのかかしソングをみんなで合唱。このために歌まで作ったんだ!
奇祭ってこういう人がはじめたんだろうな
今年初めての開催ということで、まだまだ手探り状態な部分も多そうな「人間かかしコンテスト」でしたが、「とにかくバカなことをやってやろう」という意気込みは感じました! あと、主催者・岡野さんのパワー。
「何でこんな変な祭りをやっているのか、今となっては誰も分からない」というような奇祭ってありますけど、元をたどっていくと、こういうパワフルで面白いおっちゃんがイキオイではじめたものだったりするんでしょうね。
「人間かかしコンテスト」も延々と続けていって、後世の人たちに「何でこんな変なことを毎年やってるんだ?」と思わせて欲しいところです!