10日間のアメリカ旅行でやられた
先月、僕はアメリカに行っていた。10日間に渡る撮影旅行で、ニューヨーク州とペンシルバニア州を車で巡る過酷な旅行だった。総移動距離は2000km。アメリカのハイウェイは道がガタガタしているので、旅行中ずっと腰を気にしていた(僕は椎間板ヘルニアも患っている)。
旅行中、僕の腰は無事だった。しかし、アメリカは僕をただでは返してくれなかった。帰国してから肛門付近に違和感を感じ始め、今週になってそれが大豆大のいぼとなって僕を苦しめ始めたのだ。
2000kmの移動以外にも、アメリカでの食生活が起因していると思っている。たった10日間でそんなぁー! と言われてしまいそうだが、×3で30食分である。いぼを作るには十分な量である。
毎朝、ソーセージかベーコンとフライドポテト。お昼はお弁当で、肉がたっぷり入ったサンドウイッチ。夜はやっぱり肉三昧。たまに食べたおやつはパンケーキかドーナツ。
毎朝この組み合わせ
ずっと憧れていたTVディナー
鮮やかな原色がまぶしいパンケーキ
バッファローチキン発祥の店で
バッファローチキンを食べた
おやつに出てきたダンキンドーナツ
アメリカでの30回の食事と2000kmの車移動で、僕は再び痔主さんになってしまったのだ。そう、このいぼはアメリカ産なのである。
アメリカ産と思われるいぼ痔を抱えながら、来週またアメリカに行かなくてはいけないという皮肉。アメリカは僕のお尻をどうするつもりだ。
10時間のフライトに耐えられるのか
アメリカは僕のお尻に無関心だとは思うが、差し迫った問題は来週の渡米である。また10時間近いフライトを耐えなければならない。このお尻で大丈夫なのか。いや、大丈夫じゃないだろう。
やはり、病院に行って薬を処方してもらわなければならない。
病院にやって来た
知り合いに紹介された恵比寿の病院でアメリカ産のいぼ痔を診てもらった。6年前と同じように、診察台の上に横になり先生に肛門をいじられた。あまりの痛さに今回も低い声が漏れる。ぐりぐりといぼを押され、僕の頭の中に90年代初頭にヒットした「グディグディ」の曲がまわる。
診断の結果、内痔核が外に飛び出ているようで、つまりはいぼ痔である。原因はアルコールと辛い食事、長時間の座り姿勢、お尻の冷えとのこと。アメリカの食事は関係なかったのか。
浣腸薬を2週間分処方されて、無事に来週のアメリカに挑めることとなった。
ドーナツクッションから脱線する
診察後、痛くて座ることができない
薬をゲットして一安心であるが、今は座ることが怖い。10時間のフライト問題は解決していない。
ドーナツ型のクッションを手に入れる必要がある。ネットで検索していたらどんどん道をそれていき、最終的に1万円のドーナツがあるという事実に辿り着いた。
ドーナツで1万円?
セレブドーナツ(ドンペリのドーナツ)と名付けられたそのドーナツを是非食べてみたい。早速、問い合わせの電話をしてみるとセレブドーナツは予約制で、少なくとも前日までに注文しないと手に入らないのだという。
どうする? ドーナツに1万円出すのか?
出すことにした。
アメリカにやられないよう、ドーナツ型のクッションを探していたら、知らず知らずのうちにセレブドーナツというアメリカ的な物に導かれていた。どこまでも僕につきまとうアメリカ。
「予約を受けてから手作りいたしますので、キャンセルはできません」
とお店の人に念を押されて電話を切った。
飲酒中、痛くない座り方を編み出した瞬間
1万円のセレブドーナツ
セレブドーナツを予約した翌日、僕は新宿スタジオアルタの前にいた。
アルタ前
セレブドーナツを販売しているお店の名前は、「un deux donut アンドゥドーナツ」。スタジオアルタの1階に店を構えている。
un deux donutさん
訪れた朝、開店したばかりにもかかわらず、既に女性が2名ドーナツを注文していた。
開店と同時にお客さんが
彼女たちが頼んでいたのは、先着20名様限定の「マンゴープリン」だった。1つ400円(税別)。少し高めかな、とも思うが、僕はその25倍の値段がする「セレブドーナツ」を予約しているのだ。女性客に聞こえるように、
「セレブドーナツを頼んだものだが」
と言おうと思ったけど、それはあまりにも感じが悪い。黙って僕の番が来るのを待つことにした。
ここのドーナツは注文を受けてから作るようで、奥のスペースでお店の人がドーナツを作っている。
注文を受けてから作るスタイル
待っている間、店頭に貼ってあった「クレームブリュレドーナツが出来るまで」というポップに目を通す。そう、ここのドーナツは日本初のクレームブリュレドーナツなのだ。なのだ!と言ってはみたが、僕はクレームブリュレドーナツが何なのか、全く分かっていない。だから、ポップに目を通すのだ。
クレームブリュレドーナツが出来るまで
1. ドーナツ生地を焼き上げる
2. 2度にわたってブリュレする
3. クリームにフレーバーを混ぜ合わせる
4. クリームをサンドして完成
工程を見ても、やっぱり良く分からない。とにかく手間がかかっている、ということだけは分かった。レギュラーメニューでこの手間のかけかたである。セレブドーナツはさぞかし凝った作りになっているのだろう。
お店の人が、僕のセレブドーナツを持ってきてくれた。
セレブドーナツです
おおっ! さすがセレブドーナツ。入れ物からして違う。
「このセレブドーナツは3層構造になっています。一番下がドーナツ生地で、真ん中に特別なマンゴーのムース、一番上がドンペリのゼリーです」
セレブドーナツは3層にわたる味のグラデーションを味わえる訳だ。また、ドンペリの要素がドーナツ生地とマンゴームースにも混ざっているらしく、全体的にドンペリテイストを楽しめるらしい。
セレブドーナツが入った入れ物を受け取ると、ずっしりと重い。
そこで僕はピンっときた。そうか、この重みからすると、相当大きいドーナツなのだろう。ドーナツというよりケーキに近いのかもしれない。1人で食べきれるだろうか。
その場で中を確認することはせず、ドーナツの形状を想像しながら帰ってきた。
1万円のドーナツ、実食
セレブドーナツが入っている箱のリボンをほどき、蓋をあけてみた。
ドーン! これがセレブドーナツだ!
あれ?
普通の大きさだ。
あの重さは何だったのだろう? 下の方にケーキ的なものが潜んでいるのだろうか?
セレブドーナツを乗せているお皿を箱から取り出してみた。
箱からお皿を取り出した
お皿を取り出してみて分かった。あの重みはお皿の重みだったのだ。随分と立派なガラス製のお皿が入っている。
そうか、重さはセレブ感の演出だったのだ。
問題は味である。1万円のドーナツの味はどれくらい凄いのか?
改めてドーナツを見ると、黄金色に輝いていてゴージャス_な雰囲気を醸し出している。
ゴージャス!
横から見ると、お店の人が言っていたようにしっかりと3層に分かれている。
3層に分かれている
「丹精込めて作りましたから」
とお店の人は言っていた。1万円のドーナツ、果たしてそのお味は?
1万円入りまーす
ん?
かなり甘いドーナツを想像していたのだが、予想に反して甘くない。ゆっくりと咀嚼すると、じわじわとドンペリの苦味がやってくる。
一言で言うと、「大人の味」である。
サイズは普通のドーナツだが、ドーナツ、マンゴームース、ドンペリゼリー、それぞれの層が濃厚なので一気に食べきるのは辛そうだ。来週アメリカに行くまでに、少しずつ食べることにしよう。何せ1万円もするのだし、一気に食べたらもう一ついぼ痔が出てしまいそうだし。
ご進物にセレブドーナツ
虎屋の羊羹は重いからご進物にいい。そんな話を聞いたことがある。その理論から言えば、今回のセレブドーナツはご進物に最適だろう。受け取った時にずっしりと重いし(お皿の重みだけど)、セレブドーナツというネーミングも面白い。
相手に渡す時に、1万円のレシートを添えたいところではあるが、それはいやらしいからやめときましょう。
アンドゥドーナツ
http://www.ud-donut.com