福岡空港からいいちこの本社へ
工場見学の初日、まずはいいちこを作る三和酒類株式会社の本社にお邪魔する予定になっていた。三和酒類の本社は大分県宇佐市にある。福岡空港でレンタカーを借りて宇佐市を目指す。訪れるのはこの3人だ。
男3人で向かいます
ウェブマスターの林さん、東京カルチャーカルチャーの横山店長、そして、住である。この3人で旅をするのは、2008年に「ふつうの町をたずねて」以来7年ぶり。
その時、僕は島根の居酒屋で酔っ払ってしまい、初対面の女将さんに甘えた挙句、お土産で買っていた梨を渡して剥かせた。
その甘え方が尋常じゃなかったらしく、後に「ママ、梨剥いて事件」と呼ばれ、未だに林さんと横山さんからツッコミを入れられている。今回はそのようなことがないように気を引き締めていきたい。
福岡空港から宇佐市までは、車で約2時間。途中、古賀というインターチェンジで休憩を取った。なぜ古賀に寄ったのかというと、今回の旅をコーディネートしてくれたのが編集部の古賀さんだからだ。
その時、僕は島根の居酒屋で酔っ払ってしまい、初対面の女将さんに甘えた挙句、お土産で買っていた梨を渡して剥かせた。
その甘え方が尋常じゃなかったらしく、後に「ママ、梨剥いて事件」と呼ばれ、未だに林さんと横山さんからツッコミを入れられている。今回はそのようなことがないように気を引き締めていきたい。
福岡空港から宇佐市までは、車で約2時間。途中、古賀というインターチェンジで休憩を取った。なぜ古賀に寄ったのかというと、今回の旅をコーディネートしてくれたのが編集部の古賀さんだからだ。
古賀インターチェンジで休憩
僕が頼んだちゃんぽんの汁を欲しがる林さん
食後のおやつは三者三様。左から、つくね、ソフトクリーム、焼きラーメンバー
この写真使わないよね、と言いながら撮った一枚(使った)
休憩を終えて再び宇佐へ向かう車中、林さんが
「大分にも空港ありますよね?」
と言った。
車に揺られながら、それは僕も思っていた。なぜ、福岡空港なのか。古賀さんは「福岡空港の方が便数が多いから」とその理由を述べていたが、どうも釈然としない。
後部座席のおじさん3人は、「あ、そうですよね」と大人な対応で福岡空港だった理由を受け入れたが、内心では「大分空港の方が近かったのでは?」と全員が思っている。狭い後部座席に並ばされて2時間。軽い不満が生まれ始めた。
「大分にも空港ありますよね?」
と言った。
車に揺られながら、それは僕も思っていた。なぜ、福岡空港なのか。古賀さんは「福岡空港の方が便数が多いから」とその理由を述べていたが、どうも釈然としない。
後部座席のおじさん3人は、「あ、そうですよね」と大人な対応で福岡空港だった理由を受け入れたが、内心では「大分空港の方が近かったのでは?」と全員が思っている。狭い後部座席に並ばされて2時間。軽い不満が生まれ始めた。
大分空港の方が…
おじさん達の小さな不満を乗せた車は、予定通り三和酒類の本社に到着した。
無事に到着
本社に着いて早速、瓶詰め工場を見学させていただけるという。僕たちが普段から飲んでいるあのいいちこが商品になる過程を見られるのだ。2時間のドライブによる影響で少し腰に違和感を覚えていたが、そんなことも忘れてしまった。
瓶詰め工場を見学
僕たちが見学するのは、第2瓶詰場のQライン。昨年の8月に発売された200mlのいいちこカップを充填している場所だ。瓶詰め工場の中に入るには身なりを清潔に保つ必要がある。
用意していただいた白衣に着替え
埃を入念に取る
工場内を案内してくれるのは、三和酒類製品物流部製品課チーフの松永さん。松永さんもきっちりとキャップを被り、髪の毛が出ないようにしている。
松永さんの案内で
工場内へ
このQラインでは1日36,000本のいいちこカップが生産されていて、僕たちが訪れた時間は既に34,020本のいいちこカップが出来上がっていた。
予定本数と実績本数
いいちこがカップに充填されて商品になるまで、その流れを追った。
カップに充填されたいいちこがラインに流れる
上を流れるラベル
カップにラベルを貼るシステム
ゴリラ顔でそれを見つめる横山さん
横山さんがゴリラ顔になっている。ラベルを自動的に貼るシステムにかなり惹かれているようだ。
ラベルが貼られたいいちこカップは、更にラインを流れていく。
ラベルが貼られたいいちこカップは、更にラインを流れていく。
ラベルを貼られたカップが流れる
30本ずつまとめられて
箱詰めされる
このようなラインを流れ、1分間に約100本のいいちこカップが製品化されているという。
松永さんの説明を再びゴリラ顔で聞いている横山さん
この一連の流れの中で、僕たちが注目したパートが「目視」だ。ラベルを貼られる前と貼られた後、それぞれ人間の目によって不良品を見分けているのだ。
最後は人の目で
目視検査
どれだけオートマチック化が進んでも、最後は人間の目による確認が必要不可欠なのだそうだ。
真剣な眼差しでいいちこカップを見つめる女性たち。しかし、この目視検査は30分が限界らしい。それを超えると正確な目視が難しくなるのだとか。30分毎に目視する人が変わるのだ。
「不良品を見つけると、少し嬉しかったりしますか?」
と、目視検査を続ける女性に聞きたかったが、あまりにも真剣だったので聞けなかった。
真剣な眼差しでいいちこカップを見つめる女性たち。しかし、この目視検査は30分が限界らしい。それを超えると正確な目視が難しくなるのだとか。30分毎に目視する人が変わるのだ。
「不良品を見つけると、少し嬉しかったりしますか?」
と、目視検査を続ける女性に聞きたかったが、あまりにも真剣だったので聞けなかった。
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原酒を試飲
瓶詰め工場を出て、引き続き本社内を案内していただく。
本社内を探索
本社内の蒸留機の見学コーナーで、とても貴重なお酒を出してもらった。
課税済酒
きき酒用として課税が済んでいる「課税済酒」だ。工場内では、課税済酒とまだ課税していないお酒を厳密に分ける必要があるらしい。
「課税済酒」と書かれた業務連絡的なラベルが、ここでしか飲めない希少さを表している。
「課税済酒」と書かれた業務連絡的なラベルが、ここでしか飲めない希少さを表している。
貴重な一杯を
いただく
アルコール度数が44.7%と高いが、ぐいぐいいけてしまう。
お酌し始める
試しに1杯、のつもりが3人とも2杯目をいただいている。つまみがあったら3人でボトル1本は開けられそうだが、これは貴重なお酒なので2杯で遠慮しておいた。いいちこの方もまさかおかわりするとは思っていなかっただろう。
本社内の探索は続く。
本社内の探索は続く。
トンネルを抜けていいちこの水脈へ
いいちこは地下300メートルから汲み上げた水からできている
レンガの前で記念撮影
三和酒類が力を入れている「麹プロジェクト」の説明を受ける
麹プロジェクトから生まれた「いいちこ日田全麹」
斜めに立つボトル
USAはアメリカ合衆国ではなく、宇佐市のUSA
こうして初日の本社見学は終わった。明日は日田市にあるいいちこ日田蒸留所の見学である。
ありがとうございました
1日目の晩、いいちこをしこたま味わう
宇佐市から日田市へ移動して、ホテルにチェックインした。夜はいいちこの方が日田市で人気のお店を案内してくれるという。
いただきます
乾杯はビールではなく、もちろんいいちこだ。本社で説明を受けた「麹プロジェクト」から生まれた「いいちこ日田全麹」。大麦麹のみを原料とした本格焼酎である。
麹のみを原料とした「日田全麹」で
乾杯!
上の乾杯の写真で突然左端に現れたのは、いいちこ日田蒸留所の所長、丸尾さんだ。明日、僕たちを案内してくれるというが、顔に「酒豪」と書いてある。この人のペースに乗っかったら、第二の「ママ、梨剥いて事件」を起こしてしまいそうだ。ペース配分に気をつけよう。
美味しいおでんなどを肴に
日田全麹をソーダで割ったり、ロックで飲んだりしているうち、あっという間にボトルが空いてしまった。日田全麹のうまさと丸尾さんの笑顔にやられ、ペース配分が狂った格好だ。いい感じに酔っ払っている。
「いいちこ日田全麹」の次は、「いいちこスーパー」「いいちこレギュラー」「いいちこシルエット」といいちこのラインナップが次々と出てきた。
「いいちこ日田全麹」の次は、「いいちこスーパー」「いいちこレギュラー」「いいちこシルエット」といいちこのラインナップが次々と出てきた。
青いイナズマ「いいちこスーパー」
やはり定番「いいちこレギュラー」
もしかしたら、これはいいちこの打順なのかもしれない。
1番センター「日田全麹」、2番ショート「いいちこスーパー」。となると、「いいちこUSA」は助っ人外国人枠か。いずれにしても、9番まで付き合っていたら明日に響く。4番サード「いいちこシルエット」を飲み終えた段階でホテルに戻ることにした。7年の歳月を経て、僕は少し大人になったのだ。もう二度と(初対面の)ママに梨を剥いてもらうことはない。
1番センター「日田全麹」、2番ショート「いいちこスーパー」。となると、「いいちこUSA」は助っ人外国人枠か。いずれにしても、9番まで付き合っていたら明日に響く。4番サード「いいちこシルエット」を飲み終えた段階でホテルに戻ることにした。7年の歳月を経て、僕は少し大人になったのだ。もう二度と(初対面の)ママに梨を剥いてもらうことはない。
いい具合に酔っ払った
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翌日、林さんが離脱
工場見学2日目、実はこの日から林さんがいなくなる。「男3人、いいちこ工場見学1泊2日」と銘打っておきながら、2日目から男2人による工場見学となってしまう。林さんも忙しいのだ。仕方ない。
ここからは男2人でお送りします
ホテルをチェックアウトして、レンタカーで日田蒸留所へ向かう。上の写真を見て改めて思ったが、このスペースに3人座っていたのが信じられない。不満が生まれても止むを得ずだ。
いいちこ日田蒸留所
いいちこ日田蒸留所は今から13年前、この場所で操業を開始している。それまではニッカの九州工場だった施設を三和酒類が譲り受けたのだという。ニッカはウイスキーで、三和酒類は焼酎。種類は違うが良い酒を造るための環境としてこの場所は最適なようだ。
ニッカ時代のまま使用している窓
この窓は二条大麦をモチーフにしている。ニッカと三和酒類、どちらも二条大麦を使っているのでそのまま使用しているのだ。
昨夜お酒を共にした丸尾さんの案内で蒸留所内を歩いていると、横山さんが急に立ち止まった。上を見上げて、感動している。
昨夜お酒を共にした丸尾さんの案内で蒸留所内を歩いていると、横山さんが急に立ち止まった。上を見上げて、感動している。
横山さんお気に入りの標語
「人の喜びも 悲しみも知ろう」
確かにいい言葉だが、わざわざ立ち止まる横山さんのピュアな心に、時折僕は戸惑う。
確かにいい言葉だが、わざわざ立ち止まる横山さんのピュアな心に、時折僕は戸惑う。
繊細な発酵作業
いいちこの仕込みは、一次仕込みと二次仕込みの二度に分けて行われる。一次仕込みには約5日間かけ、二条大麦のデンプンを麹が糖化させ、その糖分をいいちこ酵母がアルコールと炭酸ガスに変えていく。二次仕込みを含め約10日間を要すこのような複雑な発酵方法を並行複発酵と呼ぶそうだ。
再び白衣に身を包み、発酵室へ
発酵室の中に並ぶタンク。ここで約10日間かけて並行複発酵を行う
発酵中のもろみに行う櫂入れという作業
僕もやってみた
この発酵という工程はとてもナーバスなのだという。例えば、蔵に入る日は納豆を食べてはいけない。納豆菌が少しでも混ざってしまうと、麹菌が納豆菌にやられてしまうのだ。年間320回も仕込みがあるので、ほとんど納豆を食べられないという。
「私なんかも、納豆を食べるのは1年に1回ですから」
と、丸尾さんが笑う。
ちなみに丸尾さん、昨晩、僕たちと別れた後にもう1軒飲みに行ったそうだ。
「あと、蔵の人間は仲良くすることを心がけてます。人間関係がうまくいってないと麹の出来具合にひびくんです」
発酵は本当にナーバスなのだ。この日仕込まれていた分は4ヶ月後に充填されるらしい。僕たちが櫂入れしたいいちこが11月頃に店頭に並ぶのだ。感慨深い。
「私なんかも、納豆を食べるのは1年に1回ですから」
と、丸尾さんが笑う。
ちなみに丸尾さん、昨晩、僕たちと別れた後にもう1軒飲みに行ったそうだ。
「あと、蔵の人間は仲良くすることを心がけてます。人間関係がうまくいってないと麹の出来具合にひびくんです」
発酵は本当にナーバスなのだ。この日仕込まれていた分は4ヶ月後に充填されるらしい。僕たちが櫂入れしたいいちこが11月頃に店頭に並ぶのだ。感慨深い。
蒸留と貯蔵・熟成
続いて蒸留の工程を見学した。スワンネックと呼ばれる大きな蒸留塔を備えた単式蒸留機がドーンと僕たちの前に現れる。
単式蒸留機(ポットスチル)
発酵を終えたモロミをこの機械で蒸留し、アルコールや香味成分を取り出す。
1回の蒸留にかかる時間は3時間半。そして、出来た原酒をタンクや樽で長期間寝かせ、 香味をよりまろやかにしていく。
1回の蒸留にかかる時間は3時間半。そして、出来た原酒をタンクや樽で長期間寝かせ、 香味をよりまろやかにしていく。
これくらいの樽だったら3日もあれば飲めます
上の写真のキャプションは僕の想像だが、丸尾さんだったら本当に飲んでしまいそうだから怖い。
見学を終えて
2日間に渡る工場見学を終えて、僕はすっかり焼酎のファンになっていた。もともと焼酎は好きだったのだが、出来上がる工程を実際に見て、働く人たちの言葉を聞いて、有り難みが増したのだ。こんなに手間暇かけていただいているのに、今まで何気なく飲んでいてすいません。しれっと納豆を食べていてすいません。これからは心を入れ替えて焼酎を飲みます。
最後に、男2人の記念写真をお届けして今回のレポートを終了いたします。
最後に、男2人の記念写真をお届けして今回のレポートを終了いたします。
何もない一日をもらった。
緑陰に憩う日。
そんな事もありましたね。
いろいろあったと、今は思う。
いろいろあったと、今は思う。
以上、いいちこ日田蒸留所からお送りいたしました。
スタジオにお返しします。