特集 2015年8月4日

東京デンタルショーは歯医者の歯にあふれてた

偶然たどりついた、ここは歯の楽園。
偶然たどりついた、ここは歯の楽園。
先日、東京ビッグサイトにて『Maker Faire Tokyo 2015』という工作系イベントが開催された。
で、我らがデイリーポータルZチームも、これまでの記事で作成したヘンな工作を持って参加していたのである。

しかし同日、同じくビッグサイト内で個人的にどうも見過ごせないっぽいイベントの開催告知を見つけてしまった。

ざっくり言うと、そのイベントは歯の楽園だったのだ。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

前の記事:ハンコの自動販売機! 夏の文房具フェス2015

> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

歯医者さんのための展示会

『Maker Faire Tokyo 2015』に参加するため、8月1日の午前中にビッグサイト前に来たら、当日開催のイベント告知看板の中にどえらく気になるものを見つけてしまった。
看板の随所に歯関連が。「!」が歯磨き粉チューブとか、かわいすぎる。
看板の随所に歯関連が。「!」が歯磨き粉チューブとか、かわいすぎる。
『東京デンタルショー2015』。どうやら、歯科医療関係の機材展示会らしい。となれば、会場内は歯アイコンが溢れているに違いないのだ。
『東京デンタルショー2015』。どうやら、歯科医療関係の機材展示会らしい。 となれば、会場内は歯アイコンが溢れているに違いないのだ。
『東京デンタルショー2015』。どうやら、歯科医療関係の機材展示会らしい。 となれば、会場内は歯アイコンが溢れているに違いないのだ。
以前に『「歯医者の歯」コレクション』という記事を書き、現在も歯医者の看板を集め続けている(Twitter #歯医者の歯 タグをご覧ください)歯アイコンコレクターの僕としては、どう考えても見逃せないだろう。

当然のことながら、歯しかない

ということで、Makeのデイリーポータルブースを少し抜け出して、そのイベントを急遽取材させてもらってきた。

取材の予定なんかまったく無かったのでカメラも持ってきてないけど、とりあえずiPhoneあればなんとか撮影もできるし。ありがたい時代である。
最新の歯科医療の他に、歯アイコン好きも集結した形である。
最新の歯科医療の他に、歯アイコン好きも集結した形である。
さて、この『デンタルショー』は歯科医師や歯科技工士のための医療機器展示会だ。
つまり会場内にいるお客さんは、九割九分九厘九毛間違いなく歯科医療従事者ということになる。
残り一毛が、突然紛れ込んでしまったまったくのド素人で歯アイコンマニアの僕だ。
さっきMakeでもいっぱい見たけど、ここにもPepperくんがいた。
さっきMakeでもいっぱい見たけど、ここにもPepperくんがいた。
会場内は、歯科医院でおなじみのあの治療用の椅子とかキュイーンっていうあのドリルとか、そういうやつの最新のがあちこちで展示されている。

他にも、入れ歯を作る用の3Dプリンターなんかもあちこちにあった。いまは歯もプリンターで作る時代なのか。
鋭そうな歯科医療器具の数々。これを口に入れると想像するだけで歯茎がひきしまる感じがする。
鋭そうな歯科医療器具の数々。これを口に入れると想像するだけで歯茎がひきしまる感じがする。
今日もどこかでなにやら革命が起きているのだ。
今日もどこかでなにやら革命が起きているのだ。
抜歯鉗子(歯を挟んで抜く、凶暴なペンチみたいなやつ)も僕らの知らない間に進化し続けているらしく、とある器具メーカーのブースでは『抜歯改革』というポスターまで貼られていた。

世界では、いろんな革命が起き続けているものである。
とてつもなく意味不明の顔はめ看板。かなり革命的だ。
とてつもなく意味不明の顔はめ看板。かなり革命的だ。
あと、顔はめ看板にも革命が起きていたっぽい。歯を削る用の機械の先端から顔を出すことで、誰でも研磨器具になれるもの。

見ていた時には、リクルートスーツを着た女の子3人(たぶん、歯科系の学生さん)が楽しそうに顔をはめて写真を撮っていた。

僕もぜひ研磨器具になってみたかったが、一人なので誰も写真を撮ってくれない。とてもくやしい。

歯アイコン探しの旅へ

会場の一角では、歯科衛生士さんのための講習会なんかも行われていた。子供の歯磨き指導のためのツールの作り方、というテーマらしい。
たぬきのキャラクターで歯磨きの重要性を教えてる。
たぬきのキャラクターで歯磨きの重要性を教えてる。
外からその講習をほうほうと聞いていた時、ふと横を見ると、歯アイコンを発見した。この講習会を主催している『東京都歯科衛生士会』という公益社団法人のマークだ。

四つ葉のマークだが、そのうちの一部があきらかに、歯。歯科医院だけでなく、歯科衛生士さんの団体のマークもこういう歯アイコンを導入しているのだ。
四つ葉の歯、発見。こういうさりげない歯を見つけると嬉しい。
四つ葉の歯、発見。こういうさりげない歯を見つけると嬉しい。
そこから延びている矢印っぽいのもたぶん衛生士さんの使う器具的なもののような気がするのだが、これはなにか分からなかった。
これがなんなのかも質問してみたかったのだが、周囲がかなりまじめな雰囲気なので聞けなかった。

あとで東京都歯科衛生士会に電話で聞いたみたところ、矢印は器具ではなくて、伸びゆく、とか、リードする、という意味合いだそうだ。へぇー。

ちなみに四つ葉も、ひとつは東京の団体なのでイチョウの葉(東京都のマーク)だと教えてもらった。
そういや、確かに黄色いのはイチョウだ。なんでも聞いてみるものである。

探せば歯、ぞくぞく

歯科衛生士会のアイコンをきっかけに、歯アイコンが続々と見つかった。
そもそも会場のブース番号表示が歯アイコンだ。
そもそも会場のブース番号表示が歯アイコンだ。
スマートでかっこいい歯のCI(コーポレントアイデンティティ)。
スマートでかっこいい歯のCI(コーポレントアイデンティティ)。
山八歯材工業株式会社さんは、入れ歯の材料やマウスピースの専門メーカー。人工歯の国内シェア30%を誇る、日本2位のメーカーらしい。

ブース内には、入れ歯用の硬質レジン(樹脂)材料やカラフルなマウスピースが展示されていた。
ここは上から見た歯CI。
ここは上から見た歯CI。
歩きながら一瞬見過ごしてしまったが、歯科用の抗生物質や麻酔を作ってる日本歯科薬品もCIが歯だった。やはり歯科関係の専業メーカーはこうであってほしい。
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歯キャラ・歯デザインありまくり

もちろん、歯キャラや、歯モチーフのパッケージデザインなどもある。
すでにかわいいのが写り込んでます。
すでにかわいいのが写り込んでます。
ここは、世界最大手の歯科材料会社DENTSPLY社の日本法人。歯科用注射針とかホワイトニング剤とか、さすがにあれこれいろんなものを扱ってるなー、と見ていたら、なんかかわいいのが注射針の箱の上に乗ってた。
歯ぬいぐるみまで取り扱い。
歯ぬいぐるみまで取り扱い。
歯医者看板ではわりとよく見る、歯キャラのぬいぐるみだ。

単に展示用の飾りとして置いてるのかと思ったが、「これもうちの取扱商品なんですよ」とのこと。小児歯科医院の待合室で子供に遊んでもらう用だそうだ。
範囲広いな。そういうものまで取り扱ってるのか。
こちらはアメリカの新型デンタルフロスのポスター。ヒーローのマスクが歯!
こちらはアメリカの新型デンタルフロスのポスター。ヒーローのマスクが歯!
カートゥーンネットワークで5分アニメとしてやってそうなヒーローキャラが歯になってるのも発見。

マスクだけでなく額のマークも歯なのがいい。そして、微妙に格好良くないのもいい。
よく見れば入れ歯洗浄剤のラベルにも歯。
よく見れば入れ歯洗浄剤のラベルにも歯。
サンデンタル社のブースでは、入れ歯洗浄剤のボトルに歯を発見した。たぶん歯だと思う。歯じゃないかな。

「そうですね、入れ歯洗浄剤ですので、ボトルにも歯を」
聞いてみたらやっぱり歯だった。

これは家庭用のムース状洗浄剤なので、歯の上に泡がかかってる洗浄イメージなのか。
「もちろんこれも…?」「これも歯です」
「もちろんこれも…?」「これも歯です」
こちらは歯科医院用の入れ歯洗浄剤のボトル。もちろん、ラベルは歯。

歯科医院用は、超音波洗浄機に入れる用の薬剤を使うそうだ。
次亜塩素酸(キッチンハイターとかの成分)を使っているため、他社のメジャーな入れ歯洗浄剤と比べると短時間でかなりきれいになるらしい。

年齢的に入れ歯を使う予定はまだ当分無いはずだが、とりあえず入れ歯洗浄についてはこちらの製品を使ってみようと思う。

歯医者の歯を作ってるメーカーに遭遇

ぐるぐると歯を集め回って、もうそろそろ帰ろうかなと思った時、会場の隅っこにとんでもなくグッとくるブースを見つけてしまった。
あっ、もしかしてここが僕の旅の目的地だったのか!
あっ、もしかしてここが僕の旅の目的地だったのか!
「歯科看板に「戦略」と「デザイン」を」「集看をサポートします」という文言。

これはもしかして、アレじゃないか。まさに「歯医者の歯」看板を作ってる会社じゃないのか?
LEDで光る歯医者の歯と、歯医者看板の施行事例展示。
LEDで光る歯医者の歯と、歯医者看板の施行事例展示。
「こちらは、もしかして歯医者の看板を作ってる会社なんですか?」
「はい、歯科医院さまの看板や診察券のデザインをやらせてもらってます」

来た。来たぞ。すごい来たぞ。

こちらのHUCKSTERは看板や屋外広告の会社だが、とくに歯科医看板に強いらしい。サイトを見せてもらうと、たしかに歯医者の歯がたっぷり掲載されている。

これまでに見たことのある歯看板がいくつか施行事例に載ってるのが嬉しい。おれ、あのアイドルがメジャーデビューする前にやってた路上ライブを見た事あるぜ、というレベルの喜びだ。
立体歯看板、この会社の製品だったのか!
立体歯看板、この会社の製品だったのか!
ちなみに、けっこうあちこちで見かける立体の歯看板も、ほぼHUCKSTERの製品らしい。

すごい。ここまでくると、そのアイドルが実は弟と小学校の頃にクラスは違うけど同級生だったことを知ったレベルの興奮である。
僕が以前に撮ってた立体歯看板のひとつ。これもきっとHUCKSTERだ。
僕が以前に撮ってた立体歯看板のひとつ。これもきっとHUCKSTERだ。
展示してある事例や立体歯を見て「うおー」とテンション上げていたら、すごく不審がられた。

「騒いですいません。歯科関係者じゃないんですけど、歯科医看板の歯アイコンがすごく好きで、趣味で写真を撮り集めてるんです」
「はー、そういう方もいるんですね。なんか嬉しいです」
「(施工例をまとめたファイルを見ながら)あ、ここの写真撮ってます」
「えっ、ここ、路地を入らないといけないとこじゃないですか。よく見つけましたね」

なんだかもう、レアカードを自慢しあう小学生のようである。
最終的に、そんなに喜んでもらえるなら、と、なんと施工例ファイルを一冊いただいてしまった。
お宝写真の山じゃ。山じゃ。
お宝写真の山じゃ。山じゃ。
ひとまず、このファイルを片手に歯医者の歯アイコンをながめてニヤニヤして暮らせそうだ。

本当にたまたま当日見つけた展示会で、まさかのお宝の山との遭遇。たぶん、僕には歯医者の神様がついているんじゃないか。

どんな神様かはよくわからないけど、たぶん歯の形をしてるんだろう。あんまりありがたい感じはしないけど。

せっかくなので、いずれHUCKSTERさんには取材させてもらって、歯アイコンを作る側の話をもっと聞かせてもらえないかなと思っている。
あ、もしかしてこれが神様だったか。光ってるし。
あ、もしかしてこれが神様だったか。光ってるし。
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