そのとき自分の中で初期化していた
とある記憶が甦ってきてしまった。
それは、僕が浪人していたという事実。
あまりに辛くトラウマ的な日々だったので消し去っていたのだが
僕はこのお茶の水の地で1年間浪人していたことを、思い出してしまったのだ。
つらいことは後でいい思い出になる、とはいうが、あれは嘘だ。
つらいものはつらい。今でも思い出したくない。
そしてココお茶の水には、僕が受験生だった当時、
全国最高峰と言われていたお茶の水の駿台
通称「おちゃスン」という予備校があり、そこに通っていたのであった。
そこが全国最高峰ゆえに、受験的にも、なんともマンガみたいなすさまじい所で、
良くも悪くも浪人生として最たる経験をしてしまったと自負している。
あれから何年も経ったがビジュアルは今でもほぼ浪人生ゆえ、
より生々しく当時の記憶も思い起こされてきたが、
今回はそんな浪人という過酷な日々を
「浪人あるある」として伝えていきたいと思う。
…浪人を経験したことがない人はもちろん知らないかと思うが、
そんな過酷な業を背負って生きている人はみなさんの周りにも結構にいるものなので、
そんな人たちをねぎらうためにも(いや別にねぎらわなくてもいいけど)ぜひ知っておいてほしいと思う。
浪人あるある1浪目
●「この世のすべては点数で測られる気になる」
そんな浪人時代、
まず予備校には様々なクラスがあるのだが、僕は
「スーパー東大Aクラス」と呼ばれる所にいた。
名前からしてすげぇ。パット見「特攻野郎Aチーム」である。(昔の外国ドラマなのでわからなくてもよい。)
ちなみに僕(文系)は、別に東大志望ではなく一橋大志望
(東大は個別試験で社会が2科目必要だが一橋大なら社会が1科目で済むからという男らしい理由)
だったのだが、受験マシーンとして勉強しまくっていたので、そんな最強クラスにいた。
そしてなんとそこでは
いまや血糖値や尿酸値よりも意義のないこの点数で、座る席の順番まで決まるという、
漫画チックなまでの点数至上主義で満ち溢れていたのであった。
わかりにくく言うと、
マンガ「テラフォーマーズ」でのマーズランキングのような状況に
現実界で置かれるわけである。
前の席のヤツほど頭がいいという、そして周りもすべてライバルという、
とりあえず本能的に勉強モチベートされる見事なシステムなのであった。
そんな異様な環境にいたおかげで、あの頃は、
この世のあらゆる物の価値は点数で測られる、という意識になったものである。
ステキな人間性だと言えるだろう。
浪人あるある2浪目
●「マンガのような出会いがある」
当時全国一とされた予備校だけに、
その講師陣も全国レベルなのであった。
いわば「ワンピース」においての七武海のような集団だと言えた。
(七武海が最近グズグズなのはまた別の話。)
なんと全国の書店で発売されている
参考書や問題集を執筆している先生が
直々に素晴らしい授業をしてくれたのであった。
彼らは我ら浪人生にとっては神的な存在ともいえ、
そんな講師の授業は、アーティストとそれに熱狂するファンというような
ほぼライブに近いような状況になっていた。
今思うとそんな空間に身を投じていた自分がすごくイヤだ。
ちなみに、その時すごくトークがおもしろかった英語のI先生は、
いまなお東進で活躍していてCMとかにも出ていた模様。彼は来ると思ってたよ。
と、どの講師陣もマンガみたいに強烈だったのだが
そんななかでも、業界的に巨匠すぎて
おじさんを通り越してもはやおばさんのような、性別を超越したような人もいた。
授業は入試のレベルをとうに超えた大学でもやらないようなアカデミックなものでちょっと困った。
いずれにせよ浪人になると、
そんな日常生活ではそう出会えないマンガみたいな講師の人たちに出会えるので
それはそれでいいことだと思う。
浪人あるある3浪目
●「ラジオ好きになる(その後の人生でも)」
浪人生は一日中ずっと勉強することになるので、
さすがに飽きてきて、時には何かをやりながら勉強をしたくなってくる。
その代表格はやはりラジオ。
テレビだと五感すべてもってかれてしまうが、ラジオならなんとか勉強も同時にできるってことで、
ラジオを聴きながら勉強をしがちになるのである。
ちなみに、僕の夜の勉強のおともとしては、
当時ニッポン放送で夜10時からやっていた
「伊集院光のOh!デカナイト」(通称オーデカ)というのを聴きまくっていた。
って、大人になった現在でもTBSラジオ「JUNK」での
「伊集院光の深夜の馬鹿力」を聴きまくっているので、僕に進歩はない模様。
しかも、浪人生は翌日も学校とかの定時がなく夜更かしもできるので、
より深夜のラジオまで聴きまくれるため、
午前1時からのオールナイトニッポンまでも軒並み聴いてしまうことになる。
当時は
ウッチャンナンチャンとかが熱かったが
なかでも僕的には、
電気グルーヴのオールナイトニッポンが神番組だった。
とにかく全てふざけ過ぎていて、
瀧が今ではあんなドラマとかでちゃんと俳優やってるのとかいまだに信じられない。
信じないことにする。
浪人時代にそれほどラジオが密着してしまったがゆえに、
現在でもオールナイト的には、
「ナイナイ岡村」「オードリー」「三四郎」「アルコ&ピース」「朝井リョウ」
などを聴いてしまっている。
ということからも、
もしあなたの周りにラジオをすごく好きな人間がいたら
その人は浪人だった、と思ってもらってかまわないだろう。(偏見)
浪人あるある4浪目
●「ペット好きになる(その後の人生でも)」
浪人をしていると基本、予備校に行く時以外は人に会わなくなるので、
家にいるものと仲が良くなる。
必然的に、飼っているペットと仲良くなりがちである。
ちなみに僕の場合、昔飼っていた(モモの前の)
ククという犬とかなり仲良しであった。
犬的にもなんか家にいるヤツとして、
いい遊び相手として認識していた可能性も高いが
勉強中でもなにするにも、一緒にやんややんやしていたものだった。
そして模試の結果が悪かった時などは、よくグチをきいてもらっていたものだった。
この苦行は、浪人の家に飼われたペットあるあるであろう。
こんなことからも、浪人をしていると、
ペットというもののが存在が自分の中でどんどんと大きくなってしまうもので、
もしあなたの周りにペットをすごく好きな人間がいたら
その人は浪人だった、と思ってもらってかまわないだろう。(偏見)
浪人あるある5浪目
●「落書きのレベルが上がる」
浪人生は様々な教材をつかって
勉強しまくることになるのだが、
スペースを見つけると、すぐに切り込んで落書きを書いてしまうのである。
そこは現代サッカーと同じだが、落書きをすることで現実逃避したくなるのである。
たとえば自分の場合、どんな落書きを書いてしまったかというと、
たとえば数学のテキストにて
こんなのを書いていた。
デザイン的に当時ドラゴンボールで読んでいた魔人ブウかもしれない。
でも上半身が明らかに一般人なのが気になった。
つづいてまた教材の別のスペースに書いてしまった落書きとしては、
裸の男であった。
数学とは一切関係なく何でこんなの描いたのかさっぱりわからないが
安心してください、履いてますよ。
かなり時代を先駆けていたようである。
そして他に書いていたものとしては、おそらく
予備校の前の席の人であろう。
下にある文は板書で、こんなセリフをぶつぶつ語っていたわけではないであろう。だったら怖すぎる。
そして他にも
忍をね。これはナルトの先駆けだね。知らないけど。
そして他にも
宇宙飛行士もね。これは油井さんの先駆けだね。知らないけど。
下段が注釈用になっているからか、落書のキャンバスとして
そこのスペースが狙い目だった模様。
まずは長髪の人が。もちろん誰かはわからない。
そして今度は
法華経の人が。上段にてそういう内容を学んでいるのだろうか。ならしょうがない。
そしてついには
ドラと、よりによってスネが。これはおそらく上段の内容ではないだろう。
さらにはテキストのみならず
テストの問題用紙にてもスペースを見つけたらすぐに切り込んでいたようで、
書いてあるのをよく見てみると
その服に「J」と描かれていた。
ちょうど僕の浪人の頃にJリーグが始まったのでそれを表しているのであろう。
つまりはJリーガー、なのかもしれないが僕の記憶ではこんなJリーガーはいない。
というわけでこのように、つい落書きを書きがちになるので
落書きがうまい人はその人は浪人だった、と思ってもらってかまわないだろう。(偏見)
浪人あるある6浪目
「本棚がカオスになる」
浪人生は、勉強のために問題集や参考書をたくさん買うことになるので
本棚がちょっとおかしなことになる。
いきなり問題集や参考書がたくさん出現することになるため、
従来本棚を牛耳っていた漫画たちが
変に混在することになる。
漫画のラインナップからもそのバラバラ加減がうかがい知れる。
そして辞書かと思ったら、
「まんが道」愛蔵版
などというほどにカオスなことになるのであった。
ちなみに問題集には、「誰々の何何」みたいな形で、
タイトルがついてるモノが多く、バラエティ番組みたいでなんかおもしろい。
さらに、浪人生には欠かせない大学入試の過去問だが、
過去問あるあるとしては、過去問がまとめられている過去問集として
「赤本(教学社)」VS「青本(駿台系)」の二大派閥があったものである。
派閥という意味では、頭痛薬で言うところの「バファリン」VS「イブ」
のようなものであり、なんか違う気もするが、僕は両方やっていた。
とりあえず不安なので全部やる、のが浪人生なのである。
浪人あるある7浪目
●「変なメディアの教材も買わされる」
勉強のための教材は紙媒体だけではなかった。
センター試験など試験にてヒアリングテストが行われるため、その対策ということで、
英語を耳で聞いて慣らすために、カセット教材なども買わされたりもした。
メディアがカセットである。
昭和すぎる。
若い子には何かすらわからないかもしれない。
昔はこういうモノで人類は音を聞いていたのである。
今の子はこういうのはデータなのであろうか。まぁ何でもいい。
ちなみに、そんなカセット教材を探していたらそれと一緒に
他のカセットも出てきたのだが、
自作のカセットも登場。
これはまずい。
当時の自分の趣味嗜好が一目でわかってしまう恐怖の出会い。
パラダイス銀河に、T-BOLANである。
そしてドラクエのBGM。
これはまずい。
カセットとは黒歴史が封印されている箱だとも言える。
そしてそれと一緒に
ファミコンのカセット
も出てきてしまったが、
これはこれで話すと長くなるので今回は割愛する。
浪人あるある8浪目
●「模試だらけで売れっ子気分に」
受験生ゆえに模試を受けることになるわけだが、受験前の秋くらいの時期になると
ほぼ毎週何かしらの模試が行われ、とりあえず受けてまくっていたため、
土日のスケジュールがほぼ埋まり、やや売れっ子気分になることもあった。
何にも売れてないけど。すべてただの模試だけど。
いま思えばなんとも多種多様な模試があり、他の予備校が主催する模試にも参加することもあり、
今見るとなんかゴルフの大会のような名称感だが、
当時は浪人受験マシーンとしては、行われる模試をただ受けまくっていたものだった。
おそらく受ける必要のない模試までも。
ちなみに、模試って受ければいいってものでもないので、
しかも受けたところで模試の結果ってそんなに一喜一憂しないでもいいものなので、
(どうせ本番までに周りも自分も変わるしね)それはぜひ知っておこう。
ただ僕のような判定厨の人には、
模試の判定結果は生きがいになるのでオススメです。
浪人あるある9浪目
●「親に頭が上がらなくなる」
と、浪人としてそんな日々が続くわけだが、
同年代の若者たちが大学生をしていたり働いたりしているのを目にするたびに、
世間的には何者でもない浪人という身分である自分に、自責の念を感じたものであった。
そんなときは
ジャンプでやっていた「るろうに剣心」を読んで、
剣心も結局は「るろうに(流浪人)」なんだからと、意味不明なロジックで
浪人である自分をなんとか正当化していたものだった。
ただ、すぐに何も解決されていないことに気付くのだが。
いずれにせよ、基本的にはNEET(Not in Education, Employment or Training)
の最初のEのみにしがみつき生きていたそんな自分を日々支え
応援してくれた
親には
本当にただただ感謝
である。
その節はどうもありがとう。
一生頭が上がりません。
…と、そんな壮絶な
浪人生活の末に、
一体どんな結末が待っていたというのか!
それがこれだ!
浪人あるある10浪目
●「それなりに受かる」
ってことで、浪人生という強烈受験マシーンとして、
寝ている時間以外はすべて勉強、なくらいにさんざん勉強しまくっていたら、その結果
それなりに受かったのであった。あんな勉強したらそりゃ誰でも受かるだろう、
ってほど勉強したから、まあそんな結果にはなった。
青春を棒に振って本当によかった(のだろうか)。
浪人あるある11浪目
●「悟りを開く」
こんな感じで、
浪人生として、四六時中勉強しまくりという異様な状況で過ごしていると、
人生観もエッジの効いたものとなり、いろいろおかしな悟りに達することがある。
ちなみに僕が悟ったこととして、
いま受験生のみんなに伝えておきたいのは、
結局いい人生っていうのは、いかに「自分なりに成功体験を得られたか」ってことかと。
↓
大人になり社会に出るとわかるが、努力が結果(成功)に結びつかないことばっかりになるもの。
↓
で実は勉強って、他のものよりものすごく努力が結果(成功)に結びつきやすいものかと。
↓
だから、勉強してる時期って、人生においての成功体験をかなり得られやすい時期だと言える。
↓
だから、成功体験を稼ぎやすいいい期間ってことで、過ごすといいかも。
と
いま勉強を頑張っている人には伝えておきたい。
勉強ほどやればやるほど点数につながるような、
努力が結果に結びつきやすいものはないので、
ゲームのボーナスステージ的な感覚で過ごしてみるといいでしょう。
まぁなんとなくでいいでしょう。
というわけでそんな浪人時代だったわけだが、
過酷な日々ではあったけど、いま振り返れば
その後の人生に(歪んだ人生観を得られたということからも)
何かしら役に立ってる気がするので、
トータルでは浪人の経験は良かったのかな
と思うことにする。
では浪人経験者の皆さん、
これからも頑張っていきましょう。
ではまた
おやすみなさい…。
はい。
以上
いかがでしたでしょうか
今週の「挫折萌え~」。
みなさんも機会があれば
何かしら浪人してみていただけたらと思いまして
お手数ですみませんがどうぞよろしくお願いいたします。
ではまた失礼いたします。