いいホテルだ
向かうのは箱根の老舗・富士屋ホテルの「伊勢海老カレーランチコース」である。
こういうホテル
うまく写せなかった
受付をするとボーイさんが荷物を預かってくれる。ギュウギュウづめの重たいバッグを顔色一つ変えずに持って行くのに驚く。
ぼくは治療院で仕事をしていて、患者さんの荷物を預かるときがあるのだが、見た目に反して重たいとビックリしてしまう。
どういう訓練をすればビックリしなくてすむのか。
待合室のソファがフカフカ
ソファはうちのベッドの100倍フカフカだった。どこからともなく自律神経鎮静作用がありそうなアロマの香りが漂ってくる。
ここでちょっとうたた寝して帰るだけでも、いい旅の思い出になりそうである。
外の景色が見えるテーブル
食堂のテーブルに案内される。ボーイさんが椅子をひいてくれるが、そういうことになれていないので動作が噛みあわない。
窓の外では知らない人の結婚式が始まった。ああ、ここは、いいところだ。
カレーでてくる前からしてすごい
カレーの薬味
テーブルにはカレー用の薬味が先におかれた。その数、8種。
今まで生きてきた中で「カレーを食べる時の薬味がもっとたくさんあったらいいな~~~」なんて思ったこと一度もない。しかし、テンションあがるねこれ。
自分の本当の気持ちは自分でもわからない。でもいいホテルはぼくの本当の気持ちを知っている。これはどういうことなんだろう?
前菜
スープ
前菜とスープ共にとてもうまい。ただのうまいじゃなくて、これまでの自分を反省するようなうまさである。
これまでぼくは当サイトでいろんなものを「うまい」といってきた。たとえば「ナンに牛丼の具を乗せて食うのがうまい」とか。
あれがうまいと思ったのは事実だ。しかし、本当の「うまい」というのはああいうことじゃないんだな……。愚かだ……。
自分の過去記事のことを反省しながら食事が始まってしまったの、若干もったいない。
これが伊勢海老カレーだ
メインの伊勢海老カレー
満を持して伊勢海老カレーの登場である。これ、あまりにも伊勢海老過ぎてどういう風に画面に収めたらいいのかよくわからない。
ごはん部分
ピクルス部分
カレーソース
カレーソースは一見ふつうだ。何も知らない人が見たら「伊勢海老があるから高いカレーなのね」と思うだろう。
それは大きな間違いである。このカレーソースがすごい、ということをぼくは知っている。
富士屋ホテルのカレーの作り方
「プロが教える!おうちでカレー!!」(日本文芸社)
実はたまたま買った本に「富士屋ホテルのカレー」のレシピが載っていたのだ。
こんなの家で作れないよ
富士屋カレーの煮込み時間はトータル23時間以上。レシピのいろんなところに出てくる「×時間煮込む」という記述を全部足すとそうなる。全調理時間は2日と書かれている。材料も細かくて「溶かしバターの上澄み10ml」「パセリの軸1本」なんてのがある。
23時間煮込んで、パセリの軸1本で味を調整するカレー。食べてみたいに決まっているじゃないか。12,000円という価格も高価ではない。
一口目は……あれ???
あれ? これはなんというか……とてもふつうだ。甘口でまろやか。しかし、おいしいかといわれると……。ちょっとそうは思えない。
おい、ちょっとこれ大丈夫かよ。高いのにおいしくなかった、なんてレポ書きたくない。絶対においしいものだと思って来ていたのだが……。
味がわかりだしたのは3口目くらいからである。これは、食うほどにうまく感じられるカレーだ。
つまり、ふだんぼくの舌というのは大変下劣にチューニングされているに違いない。それがこのカレーを食べることに、徐々に「まとも」な状態に修正されてゆく。
味の万華鏡や~
薬味を少量乗せる。8種の薬味ごとにまるで別のカレーのようだ。これを例えるならば……味の万華鏡!!!
なんかウケ狙いっぽいこといっていますが、ホントに。しみじみおいしいです。
エビのも口の中ではじける
12,000円のカレー堪能しました
食べ終わったらなんか笑えてきた。食べ終えて緊張がゆるんだんだと思う。しかし、こんなにカレーに対して前のめりになったのは初めて。高いご飯、たまにはいいなあー。
ホテル駐車場のカラーコーンが山みたいになっていて興奮した