ベトナムの夜行バスを体験してみよう
ベトナムにも夜行バスがある。むしろ、新幹線のような高速鉄道が無いので、統一鉄道と呼ばれる鉄道かバスのいずれかを選択するしかない。もちろん飛行機もあるが、一般国民の足というには料金的にまだちょっと贅沢なのだ。
チケットを買ってターミナルへ進むと、
パンや、
お菓子が売ってある。
フォーやバゲットサンドウィッチも食べられるようだ。
今回、バンメトートという高原地域の街にいる友人を訪ねることにした。少数民族やコーヒーの産地としても有名な街で、これは自分のサイトにでも書くので興味があったら読んで欲しい。
ちなみにベトナムに行けば必ず見るであろう、「The No.1 Coffee」を名乗っているチュングエンコーヒーの本社はこの街にある。乗車時間は8時間、大阪~東京間と同じくらいでちょうどいい。
チケットにバスのナンバーが印字されているので、
とっても分かりやすい。
バスの外観はちょっとしたエレクトリカルパレード
ここでベトナムの夜行バスの大きな特徴を紹介したい。紹介するというか、もう写真を目にした時点でよく分かると思う。それは…。
分かる?
めっちゃ明るいねん。
タンタラタッタタンタラタラタラタンタラタッタ!!
まるでエレクトリカルパレードが高速で流れてくるようだ。
乗り込むバスはKUMHO、珍しい外資系(韓国)運行会社。
出発を待つ乗客たち。
今回、撮影を考えると二人以上の方がよかったのだけど、平日なので誰もつかまらなかった。
しかし、個人的に旅の醍醐味は異国・異文化の日常に溶け込むことにこそあると思っているので、旅という観点では一人がベスト。逆にレジャーの多い観光地は、思い出を共有できる仲間がいる方が楽しいと思うけど。
ベトナムに住んで以来、思えば国内で一人旅はしたことがなかったのでオラワクワクしてきたぞ。
お、もう出発か。
驚きのベトナムバスの車内! さぁここからが本番だ!
陸路を好んで選ぶバックパッカーでもない限り、ベトナムのバスの車内風景を知っている人は日本人でも少ないと思う。自分も初めて見た時は面食らった。
というかここからこの記事の本番だ! さぁご覧に入れよう!
これがその車内風景です。
この通り、三列シート!いやそこじゃない、さらに二段で寝台なんです! 日本のバスは法律で制限されているから、これは日本国内だと絶対に有り得ない光景。
で、色、照明の色がおかしい、これはこのあとでもっとおかしくなるのでその時にでも詳しく。
座席に網棚なんて洒落たものはない。
座席の正面には穴があり、そこに両足を突っ込んで寝るスタイル。が、網棚はないので、必然的に荷物もそこに突っ込むことになる。両足圧迫、でもしょうがない。
んでもって170cmちょっとの自分でもそこそこ辛い、180cmを超える人ならこれで8時間は苦行以外の何物でもないと思う。
ちなみに、ホーチミンからハノイまではバスで40時間掛かる。乗客は超人か。
穴に腕を突っ込むと、
取り出したるは毛布!
シートベルトは身体を締め付けすぎない親切設計…ってコラ!
10分後、照明の色は青に輝いてサイバーな世界を演出してくれた。
この状況に加えて、実は大音量でベトナムポップが流れている。何で、何でこんな環境で寝ろと言うの。苦行なの、苦役列車ならぬ苦行バスなの。
が、目を閉じて解決するだけならまだ生ぬるい。BGMについては、スピーカーが頭上にあったら大当たり、イヤホンで音楽を聴こうがどれだけ高性能の耳栓を付けようが、骨伝導かという勢いで何やら楽しそうなBGMが流れてくる(スピーカーが近いので本当にちょっと骨伝導かもしれない)。
ほら、これが延々流れてみ? これで8時間、死ねるでしょ?
ただこのバス、外資系の運営会社だったためか、音楽も照明も早々に落としてくれた。
前に乗ったことがあるバスではおそらく運転手の趣味なのかミュージックがエンドレスだったので、「うわああああ!!」と何度叫びたくなったことか。
実際に外国人が叫んだら、周りの乗客はさぞかし恐怖したことだろう。それが異文化コミュニケーション、全くコミュニケートしていない。
窓から外を覗くとバイクの群れが。暴走族に追われているようにしか見えない。
サービスエリアに到着、設備的には日本と同じ。だが…
行程の半分ほど(4時間)を進むと、サービスエリアに到着した。トイレ、トイレ、トイレ…。
ほ、ほほう!
汚くて失礼、でもこれがベトナムのサービスエリアのトイレだ。日本の観光地でもたまーにあるねこういうの。うん、下流に行くと損した気分のやつ。
女性諸君はよく目に焼き付いてくれたまえ、世界の男性トイレにはこういうものもある。行くところに行けば仕切りすら無い。
ちょっと野外フェスみたい(行ったことないけど)。
ちゃんとご飯も食べられます。
ベトナム人が12時すぎるまで夕食を取らないって珍しい。
他のバスも漏れなく輝いていた。
さて、私も今の今まで夕食を取っていなかったので何かを食べなければ。
本当はコムビンザン(ご飯と惣菜から成るベトナムの定食)を食べたかったけど、サービスエリア到着直前の車内放送では英語で「20分休憩します」と言っていた。
20分って食事を取るには微妙じゃないか? と思うけど、やっぱりそこは適当で運転手のさじ加減なのだろう、でもそうとは言い切れない。く、くそー。
という訳でいつでも動けるように肉まんひとつで我慢する。
他の乗客にとってもいつ出発するか分からないという思いは同じなのだろうか、バスの位置が飲食スペースから遠いということも手伝って、バスの周囲には乗客たちが付かず離れず佇んでいた。
それはよしとして、何処見てんの?
後ろを振り向くとフロントが大破したらきしトラックが…放置すな!
いろいろあるけど旅情満点、旅慣れしている方にはオススメです
ベトナムのバスの運賃は安い。ホーチミンからハノイまでほぼベトナム縦断であっても5000円くらいで行けるだろう。と書いたところで日本と大して違いがないことに気が付いた。
しかも航空代はLCCなら倍もしない。あまりメリットは少ないかもしれないが、それでもたっぷりとした旅情は味わえる。私は一応住んでいるので流れで行けるが、そうでない観光客だとちょっと辛いかも。
でもベトナムで死ぬことは滅多に無いのでトライしてみてほしい。あ、でも以前、道端で横転しているバスを見た。結局どっちやねんという話だが、まぁ自己責任で。
到着時刻は4時半、チョイオーイ!(オーマイゴッド!)