一生分のガムをもらう
ガムの会社の方からガムを大量にもらった。その数80本、1120粒。筆者は年間数粒噛むかどうかといったところなので、一生分のガムといえる。
一生分のものをもらうなんて機会なかなかない。35歳、1120粒のガムを前に大いに惑う。
ガムの会社の人から一生分のガムをもらった。こんなことってあるのか。どうしよう。
とりあえずジェンガでもして気持ちを落ち着けよう
しまった、ジェンガだとドキドキしてしまうな
一生分噛みまくるか
さてどうしようか。ここはもう噛んでいくしかないのではないか。
こどものころガムなんて何枚も噛めなかった。それが今や噛み放題である。牛にでもなった気分で日がな一日噛んでいたい。
日がな一日……そうだ、24時間テレビのマラソンみたいにおれはガムを噛み続ければいいのではないか。たとえば24時間で1000粒。なにか無謀なことにチャレンジすることで感動する人も出てくるかもしれない。
おれは噛む、24時間で1000粒噛む!
24時間で1000粒噛むという強い決意。
記念すべき1粒目は15時50分。黄色いTシャツ(家にあった)でのぞむ
とりあえずやっとくかとおもむろに腰を上げ
うおー、やるぞー! 早くも形だけの気配をみせるやる気
味が落ちるそぶりを見せたら変えるぜいたく食べ
このガム、30分味がつづくそうだ。だが今日は1000粒ある。フッフッフッ、味が落ちた瞬間にサッととりかえてやろう。
その時間は大体2分。おお、なんというぜいたく食べ。カタールの王族あたりはこういう食べ方をしていることだろう。だが「こうですよね」と得意気に王族の前で披露したら彼らは2秒で変えてたりするかもしれない。いや、王族はどうでもいい。とにかく噛みまくりだおれは。
うわー、味が、味が30分どころか一生つづく
動画コーナーの撮影に入った。冷水をもらったので20粒目あたりで飲んでみた
口の中が凍るよ!!
20粒食べたあとの冷水がすごい
ガムを取り替えるたびに思う。「この味、知ってる」と。これから放り込まれる新しいガムと、それを待ち構える口の中が同じ味なのである。口とガムともはや何がちがうのかという気さえしてくる。
そこまで噛んでると口の中にミント成分もたまってくる。あの冷や~成分が充満してるところに水を飲んでみた。
驚きの冷たさ。これはもう「冷や~」ではなく「パキーン!」に近い。氷の女王の魔法で端から氷にされていくように、水が落ちた箇所からパキパキパキパキ!と氷になっていく。
大発見だ。ミントによる冷えはミント摂り過ぎると凍る。そしてたぶん今おれは言いすぎている。
甘いものたべすぎてだるさがやってきた……しかしおれのここからのがんばりが視聴者に夢を与えるのだ!
甘さの壁がやってくる
甘いものには壁がある。もう甘いもの要りません、と身体が受け付けなくなるのだ。
25粒超えたあたりからもうそろそろ糖分は要らないんだけどなという身体の主張がきこえはじめた。多分ガム自身もそれ以下を一日の目安に作られているのではないか。
開始二時間の様子、甘さの壁をむかえ早くもペースダウン。
24時間マラソンならこう。さあ、武道館でサライは歌えるのか
これがキシリトールのゆるくなる現象か!
そういえばガムにはたくさん食べるとおなかがゆるくなるぞと書いてある。しかしまあそんなにたくさん食べることもないだろうと思っていたが今日がそれだった。45粒あたりにいったトイレでおなかのゆるさを確認した。
トイレで体力をうばいとられる。これがキシリトールの力か。お腹の中がフィンランドである(※)。
そして17時49分、ついに「休み休みやるぞ」という決意がメモに残された。
※特に意味はない
体力がなくなり、休んでたらこのあと寝た
開始四時間まで。驚異の1時間1個ペース!
焼き肉も最初からガム食べればいいのでは?
なんと油分でガムが小さくなった。なるほど、焼き肉と一緒にガムを食べないわけだ
焼肉屋では最初からガムを噛めばいいんじゃないのか?
いよいよ食事である。ガムといえばなんだ。焼き肉ではないか。焼肉屋では一番最後にガムがもらえるがあれ最初から噛んでたらどうなるのだろう。
答えは「肉でガムが消える」であった。
いや消えはしないのだが肉の脂でガムがものすごく小さくなる。チョコレートと同じことが起こった。
肉の味が強すぎるので味はそれほど影響がない。口の中はずっとさわやかなので次の肉がまた新鮮だ。ガリを噛みながらの寿司のようなものかもしれない。
そしてガムを噛み続けての焼肉、最後はやっぱりガムだ。味はそう「知っている」であった。
食後に出てくる自前のガム。知ってる…感は強いものの、やはり爽快さは否めない。
20時からの晩飯で伸ばすも22時あたりに下痢でなくなった体力が回復せず寝る
未だ小田原市。武道館が遠い。いったん寝る。
深夜に起き出して作業をし、終わりにビールを飲んでみた。ガムを噛めば安ビールでもうまいと言ってる人がいたのだ
爽快感ありすぎるビール! 体が冷える!
ガムでビールがさわやかに!?
感動を与えなければならないのだが寝てしまった。先はまだまだ長い、しかしペースを上げればまた腹にくるし……これが24時間マラソンの怪我したランナーの気持ちか。
深夜に起き出して作業を。終わったあとビールを飲んでみた。
16時からの撮影で一緒になった安藤さんから「ガムを噛むと安いビールでも飲みやすくなるよ」と聞いたのだ。お、まさかこの安ビールがプレミアムなんとかに生まれ変わるかと思ったら……また氷の世界だった(おれはたぶんガムをかみすぎている)。寒い!
インパクトのあるつまみも食べてみようと思い、らっきょうも。口の右をガム、左をらっきょうに分けるルームシェアに成功。しかしひとつ屋根の下に年頃の男女が住むような危うさがある。
よし、ここからリフレッシュして乗り切るぞと思ったがまた寝た。くそっ、体が思うように動かない(眠い)!
意志とは別に眠いので寝てしまう体が憎い
二時に置きて伸ばすもまた寝る。口の中にはずっと62粒目が
この顔が24時間ランナーのそれなのか
自分に腹を立てる
盛大に寝てしまった。朝起きてまた新しいガムを食べる。なんとかあと900粒くらいいかなければ。しかし腹の調子は敏感になっている。くそっ。
くやしい。自分のふがいなさがくやしい。応援してくれる人がいるのに(※)動かない自分の足、足というか腹。ああガムを何粒も噛める強靭な胃腸がほしい。
※本当はいない
マラソンだとこの状況。夜が明けてもまだ小田原市から出られてない
保育園の面談に出席。ガムを噛み続ける
他のお母さん渾身の焼き菓子もガムと一緒に。合わない。
くやしい、腹の調子を考えてペースが上がらない
残された時間はあと90分!
イメージ的にはこういう感じだ(実際はふつうにくらしている)
しまった、寝てしまった! くそう、サライだ!
おにぎり食べながら延ばしたものの、寝て終了。1000粒まで925粒だった
よく寝た24時間だった
残り900粒くらい一気にいかないと盛り上がらないなと思いながらもやはり腹の故障を気にしてペースは上がらなかった。
そしてラストスパート。一気にいくぞと思ったが1時間半前に昼寝してしまい、それもかなわなかった。終了。
くやしい。マラソンでいうと小田原を抜けたあたりでサライを歌うことになってしまった。自分のふがいなさが情けない。だがサライはいい歌なので口ずさんで思わず泣いてしまった。
ああ、がんばったが武道館はかなわなかった。しかしこれを見て感動してくれる人もいるかもしれない。そうだ、信じれば願いは叶うのだ。信じよう。みんな感動してると信じよう。愛は地球を救うのだ、私からのメッセージはそれだけです。
ようやく小田原を抜けだしたあたりでサライを歌った
ところでガムで小顔になるといわれますが、←側の方だけ24時間噛み続けた結果…
ガム効果よりも寝起きのふくらみが大きいように思います(左右のバランスは変わらなかった)
忘れかけていたガムを知る
ガムはそんなに数をたべられないものだった。まず話はそこからだった。一日に1本くらいをたべる用にできていて、24時間マラソンには不向きであった。
マラソンの結果はさんざんであったが、感動した人はいた(と信じた)し愛は地球をすくった。なによりガムのことを知るという当初の目的はかなえた。
一緒にたべるとガムが小さくなるから焼き肉ではガムが最後に出るんだぞとか、安いビールの前に噛むと安ビールが高ビールになるというよりは氷だとかだ。
その後残った925粒を少しずつ噛んでいる。作業中に長々と噛むのは特にいいものだと知った。
ところで片側だけ小顔になるかどうかためすために24時間右側だけで噛みつづけていたので終わったあとにふつうにごはんをたべて「左側も噛めるのか!」とびっくりした。「(口だけじゃなく)鼻でも息できるのか!」くらいの驚きだった。
こういう24時間テレビがあってもおれは今後否定しない