四川生まれの旨辛調味料
怪味は中国の四川省発祥。唐辛子や花椒(ホアジャ)、酢、醤油、ニンニクなど様々な材料が混ざり、辛味、旨味、酸味、甘味、塩味など四川料理の特徴となる各種の味が感じられる奥深い味わいの調味料です。
四川料理では、蒸した鶏肉にこの怪味をかけた「怪味鶏」という料理が古くから親しまれ、定番の調味料となっています。
市販品の怪味ソース。アマゾンで購入。甘めでマイルド。
日本では2014年の末頃。この怪味を日本人の好みに合わせて調整したソースを
持ち帰りから揚げ店で出したところ人気になり、メディアでも紹介されるようになったそうです。
こちらも市販品。イトーヨーカ堂にて購入。やや辛めでニンニクの風味も強め。
2015年に入って市販品も出てくるようになり、今年の後半には大ヒットする調味料になるのかと、ジワジワその知名度を上げてきています。
かけるだけでなく、色々な使い方が出来る
その話題のから揚げ店が近くにないので近所のコンビニのから揚げで食べます。
実際に市販品の怪味を購入し、から揚げにかけて食べてみました。ドロッとした液状で、色は赤みがかった黄色。香りはニンニクのきいた焼き餃子にラー油をかけた時のようにも感じられます。
香りといい、見た目といい、食べる前から間違いなくうまいだろうなと思える。
食べてみると、から揚げの香ばしい肉汁の味を奥深い甘味や旨味が包みます。その後にピリッとした辛味とともに程よく酸味を感じ、ニンニクの香りが広がっていきます。
これはビールを用意しておかないと後悔すると思って食べる前にセット。
単純に濃厚というのではなく、様々な味や香りが複雑に絡みあっています。食べるほどにクセになる。
まさにうまくて怪しい味です。
ビールに合うね。けしからん、この酒泥棒が!と言いたくなるおいしさ。
そして、この怪味はから揚げにかけるだけでなく様々な料理につかえます。
例えばこんな料理。
茹でたささみ肉とキュウリとオクラをあわせるだけの簡単料理。
茹でたささみ肉をほぐし、細く切ったキュウリと、サッと湯がいて輪切りにしたオクラをあわせます。そこに怪味かけてネギを散らせば出来上がり。
茹でささ身とオクラとキュウリの怪味がけ。この夏オススメです。
から揚げとは異なるアッサリとした組み合わせのものでも怪味はよく合います。コクのある複雑な味や香りが素材の味と合わさり、味わい深い料理になります。
ビールが進むね。日本酒でもいいかも。
そして、怪味は肉以外の素材にもよく合います。続いては玉子や魚を使った料理を作ります。
コンビニの茹で玉子で簡単怪味玉子バケット
続いては玉子と怪味を合わせます。
お手軽にコンビニの茹で玉子で作ります。
作り方は簡単。まず茹で玉子を細かく切りわけボールに入れます。
玉子サンドを作るならここでマヨネーズ。代わりに怪味を投入。
続いて怪味を適量入れて混ぜ合わせます。お好みでマヨネーズや黒胡椒、粒マスタードなどを入れてもいいです。
出来上がった物をバケットやクラッカーに乗せれば出来上がり。
怪味玉子のバケット乗せ。少し焼いても美味しい。
怪味のコクのある辛味や甘味が玉子の黄身と混ざりあい、ニンニクの風味も合わさって濃厚で複雑な旨味となって入ってきます。マヨネーズを使った玉子サンドの玉子とは異なる、大人味の玉子です。
ビールでもよかったですが、ワインを開けてみました。
このままでもいいですが、オーブンで少し焼いたり、粉チーズなどを軽くかけて更に濃厚さを増したりしてもいいかもしれません。
玉子や炭水化物系にも怪味はよく合います。
ワインにもいいね。
刺身の怪味和え
肉、玉子、炭水化物ときて、次は魚です。
鯵刺しと怪味。混ぜるだけで出来ます。
鯵の刺身を用意しました。こちらも作り方は簡単。鯵の刺身をボールに入れて小ネギを適量。怪味も適量入れます。お好みで黒胡椒などを入れるのもいいです。
混ぜるだけ。鯵には事前に薄く塩コショウをしておいてもいいです。
鯵刺しの怪味和え。イカ刺しなどでも作れます。
買ってきた刺身と、薬味用に切られた小ネギでやれば3分とかからず作れます。とても簡単です。
日本酒投入。
怪味を使うことで刺身が濃厚でコクのある料理に変化します。甘味の強い刺身用醤油をつけた時のような甘味や旨味。ワサビとは異なる刺激的な辛味。更に酸味やニンニクの香りなども合わさり、次々に箸が進んでいく味わいとなっています。
日本酒にもいいねえ。
このように怪味は簡単に使え、かけたり、和えたりするだけで新たな味を料理に加えます。また、炒め物や煮物の味付けにも使うことも出来ます。
幅広く使える怪味。オススメです!
自分でも作れる
怪味は既に市販品が出回っていますが、材料があれば自分でも簡単に作ることが出来ます。
先ほどの怪味ソース同様Amazonで購入。ジャングルからなんでも届く。便利な世の中になったもんだ。
自家製怪味を作る
では自家製怪実を作っていきます。
結構沢山の調味料を使う。混ぜるだけでいいので作るのは簡単。
使う調味料は醤油、砂糖、豆板醤、酢、ごま油か練りごま。これにすりおろしたニンニク、ショウガ、刻んだネギなどを入れるのが基本の形のようです。
基本の物を作ります。
更にラー油や、花椒、ナンプラーなども入れる物もあります。マイルドにするため、マヨネーズを追加する物もありました。
胡麻を入れることにより甘味やコクが出るようです。
作り方はとても簡単。各材料をボールで混ぜ合わせるだけ。それだけであの旨辛い怪味が出来ます。今回は
こちらを見て醤油、砂糖、酢、豆板醤、白練りごま、ラー油、花椒、ナンプラー、ニンニク、ショウガ、長ネギで作ってみました。
花椒(ホアジャ)。唐辛子とは違うしびれる辛さ。豆板醤とこれで複雑な辛味となる。
作った怪味は市販の怪味と比べると辛味が引き立ち、あとを引く感じ。より大人向きでした。うまいです。
これからのシーズンは夏野菜にこれをつけて食べよう。温めれば中華バーニャカウダだな。
出来上がった怪味は殺菌した瓶に詰めて1週間ほど保存が出来るそうです。それほど保存期間は長くないので、少量ずつ作るのがいいでしょう。
和の調味料でも怪味的な物はつくれないだろうか?
さて、使うのも、作るのも簡単な怪味。中国四川生まれだけに作るのに使う調味料は豆板醤など中華調味料がメインです。
似たような辛味や旨味のある調味料は日本にも各種あります。それを混ぜ合わせると怪味的な物がつくれるかもしれない。
ということで、これらの調味料を集めてみました。
さあ、見せてもらおうか。日本の調味料の力とやらを。
味噌に酢、七味唐辛子に粉山椒。柚子と青唐辛子を麹で発酵させて作る柚子胡椒。唐辛子を雪にさらしてから柚子や麹と一緒に発酵させた新潟のかんずり。ハタハタを塩漬けにして出来た魚醤の秋田のしょっつる。
これらに醤油、砂糖、練りごま、ネギ、生姜、ニンニクなど混ぜて和調味料怪味を作ります。
鍋の季節に大活躍のかんずり。煮物などに使っても美味しい。
作り方は全く同じ。各調味料をボールに入れて混ぜるだけ。
しょっつるは酢や黒胡椒などと合わせてドレッシングにするのも美味しいです。
各分量は以下になります。中華調味料の物を参考に予想して混ぜ合わせてみました。
醤油 大さじ4
砂糖 大さじ2
酢 大さじ1.5
味噌 大さじ1
柚子胡椒 小さじ0.5
七味唐辛子 小さじ0.5
粉山椒 小さじ0.5
しょっつる 大さじ1
かんずり 小さじ0.5
練りごま 大さじ1
長ネギ 7、8㎝程度をみじん切り
生姜 すりおろしを小さじ1程度
ニンニク すりおろしを小さじ1程度
こういうときの為に手ごろな大きさの調味料の瓶は洗って残してあります。
出来上がった和調味料怪味がこちら。七味の黒ゴマが見えるあたりを除き、色や見た目は先に作った自家製の物と大体同じ。香りもニンニクの香りにより大体同じ感じです。
子供の頃、台所にある調味料を片っ端から混ぜ合わせるなんて事をやったな。あれは酷い味だったが、これは間違いなくうまいだろう。
食べてみると、味はほぼ怪味です。先に作った中華調味料中心のものよりも辛さが爽やか。やや辛味強めです。
いずれにしろ、和調味料怪味も甘味や旨味、複雑な辛さや酸味が混ざりあって奥深い味となり、クセになるうまさです。
和調味料怪味、アリです!
中華調味料の物はもちろんいいが、和調味料版もうまいぞ!
出来上がった和調味料怪味はこのような物にかけてみました。
和怪味の旨辛冷奴。旨くて辛くて酒が進む味。
冷奴です。コクある甘味や旨味と爽やかな辛さのある冷奴となりました。
日本酒投入。ビールにもよく合うに違いない。
酒の肴には当然。ごはんのおかずとしても力を発揮する1品です。
日本酒が進むねー。
まだ体験していない方。是非市販品を探すか、作るかして怪味を味わってみてください。クセになる味です!
今年来るのか
ここ何年か、塩麹、食べるラー油、ジュレポン酢など様々な調味料が流行っています。この怪味も今年の後半同じようにヒット商品となるかもしれません。
この記事を書いている時点では見つけられなかったのですが、どうやらコンビニでも売られ始めているようです。FACEBOOKには
怪味研究会なんてページまで出来ていました。
怪味、うまいです。是非試してみてください。
ケチャップやマスタード、バルサミコ酢などを使って洋風の怪味も作れないかと思っています。そのうち試してみます。