特集 2015年6月12日

エチオピアのクレープはまずくない、むしろうまい

グーグルで検索すると候補に「まずい」とか「雑巾」とか出てくる。いったいどういう食べ物なんだ。
グーグルで検索すると候補に「まずい」とか「雑巾」とか出てくる。いったいどういう食べ物なんだ。
エチオピアにインジェラというクレープに似た食べ物があります。テフと言う穀物の粉を水で溶いて発酵させたあとに薄く伸ばして焼いたものです。

この食べ物、ネットで検索すると候補のなかに「まずい」「雑巾」などの言葉が出てきます。そんなに日本人の口に合わないのか?

実際に食べて確認してみました。そして作ってみました。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

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> 個人サイト 酒と醸し料理 BY 工業製造業系ライター 馬場吉成 website

中目黒の老舗エチオピア料理店

インジェラが食べられる所を探したところ、都内にあるエチオピア料理店がみつかりました。
創業25年の老舗エチオピア料理店。
創業25年の老舗エチオピア料理店。
中目黒にあるエチオピア料理店「クイーンシーバ」。エチオピア出身のオーナーが経営している、エチオピアや各種アフリカの料理が楽しめるお店です。
アフリカ(ケニア)のビール「TUSKER」を飲みつつインジェラを待つ。
アフリカ(ケニア)のビール「TUSKER」を飲みつつインジェラを待つ。
店内はアフリカの置物や絵が飾られ、現地の方と思われるお客様も見られます。幾つかの料理と共に早速インジェラを注文してみました。
見た目はクレープというより薄く切った蒸しパン。
見た目はクレープというより薄く切った蒸しパン。
こちらがインジェラです。色は薄い灰色。片面は滑らかで、反対の面には小さな穴が沢山開いています。
触るとフワフワしている。事前情報よりも香りは穏やか。しかし、日本人向けに作っている訳ではないとのこと。
触るとフワフワしている。事前情報よりも香りは穏やか。しかし、日本人向けに作っている訳ではないとのこと。
匂いをかいでみると、干した草を水で濡らしたときのような香りに少し酸味のある香りを足したような発酵独特の香りがします。ドライイーストとヨーグルトを混ぜたような香りとでもいいましょうか。それほどキツイ香りとは思えません。
ドロワット。エチオピアのチキンカレー。ニンニクやスパイスが結構きいていてうまい。
ドロワット。エチオピアのチキンカレー。ニンニクやスパイスが結構きいていてうまい。
インジェラは肉や野菜、豆などを辛く煮込んだワットと言われるものと一緒に食べるのが一般的だそうです。今回は鶏肉を使ったドロワットと食べてみました。

適当な大きさにちぎり、手の上で巻きこんで食べます。
まずいなんてことはない。むしろうまいなこれ。
まずいなんてことはない。むしろうまいなこれ。
インジェラは食べるとパンと同じような甘味を軽く感じるとともに、独特の酸味が広がる。ヨーグルトとか、漬物など、乳酸菌により発酵した食べ物から感じる酸味と大体同じです。

この酸味がドロワットの辛さとよく合っていて、食が進みます。まずいなんてことはありません。私はむしろうまいと思います。
一緒に注文したダチョウのスモーク肉もうまかったね。
一緒に注文したダチョウのスモーク肉もうまかったね。
ドロワットをつけず、単体でも食べてみました。イースト菌で発酵させる際に感じる独特のクセのある香りとも似た香りとともに、甘くないヨーグルトのような酸味が出てきます。そして、蕎麦にも似た何か穀物系の味がしてきます。確かに、こういった発酵系の香りや酸味が苦手な人には少し厳しい味かもしれません。

また、インジェラを上手に作るのはかなり難しいそうで、うまく発酵しなかったり、発酵しすぎて酷く酸っぱくなってしまったりするのだとか。こちらでいただいたインジェラは、そのような嫌な味はまったく無く美味しいものでした。

オススメの1品と言えるでしょう。
クイーンシーバ
東京都目黒区東山1-3-1 ネオアージュ中目黒B1
TEL/FAX: 03-3794-1801

インジェラを作ってみる

検索結果とは異なり、なかなか美味しかったインジェラ。せっかくなので自家製に挑戦です。
本来はドライイーストやベーキングパウダーも入れず、天然の酵母を呼び込んで作る。
本来はドライイーストやベーキングパウダーも入れず、天然の酵母を呼び込んで作る。
自家製で作るといっても、残念ながらインジェラの材料であるテフ粉は日本では非常に入手困難なもの。ネットで色々作り方を検索した結果、そば粉で代用出来るようなのでそれを使います。

また、本当のインジェラは既に作った焼く前のインジェラを少し入れるか、自然に入る酵母で発酵させて作ります。しかし、そのどちらも非常に難しく、これまたネットで探したドライイーストとベーキングパウダーを使う方法で作ってみます。
ヨーグルトを入れる方法もあったが今回は入れず。多分その方がより近い酸味が出たと思う。
ヨーグルトを入れる方法もあったが今回は入れず。多分その方がより近い酸味が出たと思う。
そば粉をカップ1/2。小麦粉1カップ。ドライイーストが小さじ1/2。ベーキングパウダーが小さじ1/8。水が適量。少量で仕込みます。
ここまでで焼くとそば粉のガレットに近い。インジェラはここから更に発酵。
ここまでで焼くとそば粉のガレットに近い。インジェラはここから更に発酵。
各材料を混ぜて水を適量入れ、玉が無くなりホットケーキ種ぐらいの柔らかさになるまで混ぜます。
本当のインジェラは1週間ぐらい発酵させると店の方が言っていました。今回は1日の簡易版で。
本当のインジェラは1週間ぐらい発酵させると店の方が言っていました。今回は1日の簡易版で。
容器に移してキッチンペーパーなどでフタをして室温に1日保存します。
1日でかなり泡立つ。しかし、もっと発酵させた方がよかったか。
1日でかなり泡立つ。しかし、もっと発酵させた方がよかったか。
1日経ってフタを外すとプツプツと泡立っていました。
より薄く伸ばした方が本物に近くなると思います。
より薄く伸ばした方が本物に近くなると思います。
出来上がったものをフライパンの上に伸ばして焼きます。油は使いません。貼りつきやすいのでテフロン加工のフライパンが便利。

表面が泡立ってきたらフタをしてそのまま焼きます。裏返さず、全体に火が通ったら出来上がりです。

出来上がったものがこちら。
自家製インジェラ。似ていると言えば似ている気もする見た目。
自家製インジェラ。似ていると言えば似ている気もする見た目。
表面の気泡は大きく、全体に厚みもかなりありますが、一応それらしい感じの物はできました。
まあまあ、香りは近いか?
まあまあ、香りは近いか?
香りをかいでみると、弱いながらも独特の発酵による香りと穀物系の香りが混ざったような香りがしてきます。店で食べたインジェラにまあまあ近い。

食べてみます。
ああ、うまいけどねー。これはインジェラではなく、ちょっと変わったパンケーキかね。
ああ、うまいけどねー。これはインジェラではなく、ちょっと変わったパンケーキかね。
自家製インジェラは一応酸味があるものの、店で食べたインジェラと比べるとかなり薄め。モチモチとしていて厚く、そば粉を使った変わり種パンケーキと言ったところ。

美味しいのですが、店で食べた本格的なインジェラと比べると、香りも味もある程度似ている別物でした。

日本でのインジェラ作りはなかなかハードルが高いようです。

本格的な物を食べたい時は店で

インジェラを食べに行った際に、お店の方にもそば粉やドライイーストを使った方法について聞いていました。回答は、それでは本当のインジェラの味は出ないし、パンだということでした。

確かに店で食べた物と自家製では違いがありますが、ひとまずこんな感じのものという雰囲気ぐらいは味わえます。気になる人は作ってみてください。ネットで検索するとドロワットなどの作り方も出てくるので、それも合わせて是非。

テフ粉を使った本格的なものは店で。または簡単には行けないですが、何か機会があればエチオピアで。まずくないです。うまいです。
エチオピアにはスパイスのきいた酸っぱいパンがあると以前聞いて食べてみたいと思っていました。後で写真を見て気づいたのですが、店にあった。食べておけばよかった。また行くか。
エチオピアにはスパイスのきいた酸っぱいパンがあると以前聞いて食べてみたいと思っていました。後で写真を見て気づいたのですが、店にあった。食べておけばよかった。また行くか。
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