足りないのは、カロリーや味ではないんだ
まずはこちらをご覧ください。
ある日の昼食。とても白い。
また別の日の昼食。まあ、だいたいにおいて白めだ。
や、おにぎりのことは大好きなんです。
このおにぎりたちだって明太子が多めでとっても美味しい。
でも、なんでしょうかこの足踏み感。
写生をしてみたらほんの何色かで再現ができてしまいそうなこのかんじは。
何かを加算したい。
そうだ。視覚からの刺激を、もっとばしっと大胆に注入したいのです。
オードブルスタイルのおにぎり入れをつくってみよう
いきなりですが。
食品サンプルのような「食べ物によく似たなにか」で、おにぎりを囲い込んでみるのはどうでしょうか。
なるべく広大な範囲で。
真ん中以外は、ぜーんぶホンモノに似たニセモノ!という構成。でっかい。
かっぱ橋さまの多大な力を借りることは、予算の都合により早々にあきらめ
粘土さまの力を借りつつ自家生産します!
粘土いじりはほぼ初心者なんですけど、まあどうにかなることもあろう。
重度の運動音痴を押して参加したフットサル(人生初)で2点もシュートを決めちゃったせいで、いま気持ちがわりと大きめになっています。
ふおお、ひんやりして気持ちがいい!
で。とりあえず、からあげをつくってみたのですが……
な、なんと。つくりやすいじゃないの。
肉の部位によって、また切り方によって、さらには衣のまとい方によってその形状を自在に変貌させることの出来る食べ物、それがからあげ。
多少テキトーにこねても「もしかしたら、こんなからあげもある?」そうおもえてしまうのが強みです。
どーにかつくってみたがめっちゃつくりづらい!
その一方、手が弾んでどんどん増えてくからあげ。
なぜか、からあげっぽい絵の具ばかりを買いだめしてあったという運命のような偶然にも導かれ
ますます、からあげに偏っていく工作。
うん、良い気がする。
つくりやすさって大事だ!!
できた! てんこもりのからあげ!! 壮観!!
茶色く肉感あふれたかんじへ、大幅に変更をされましたよ。
「ねえ、なんかお弁当が茶色いよもっと他の色が欲しいよ」
かつて小学校のころに母に投げつけてしまったことばが蘇って、自分から自分へこだまを繰り返しています。
血は争えない、こういうことなんですかね。
なお、茶色さをカバーするべく緑色は、ほんものレタスを参考にしつつ
きみどりの紙をぐちゃっとして切り刻んでみました!
そうこうしているうちに、ランチタイムになったので外へ繰り出してみようとおもいます。
そうこうしているうちに、ランチタイムになったので外へ繰り出してみようとおもいます。
「たいようが、いたいよう」
晴れ渡る青空、半裸のおじさんたちが日光浴に励む近所の公園。
公園(ふだんあんまり行かない)ってこんなにも自由な場所なんだな。感銘を受けつつ、片隅でそっとお弁当を開きます。
ばしっ。
うん……
なんとなく、こぼれる笑み。
しかし。遠目に眺めていると、かなり「それっぽい」からあげも
近くで見つめていると……あれ?粘土っぽさが否めない…ような……
盲点でした。
初夏の日光はおもっていた以上に真実をあぶり出してきます。
部屋の中ではほとんど感じていなかった「ニセモノっぽさ」が、野外の自然光によって数倍ははねあがっている気がする、どうしようか。
……ちょっと距離を離してみるとか?
70センチ先、山盛りのからあげを望みながら味わうおにぎり。
しかし。おもったほど見え方に変化はない。
3メートル弱先でにぎわうからあげの山(ぼんやり)を望むおにぎり。
3メートル弱先でにぎわうからあげの山(ぼんやり)を望むおにぎり。
ここまで離ればなれになってしまうと、もはや隣の芝生。
ファミレスとかで別席の人が頼んだ「わたしの頼んだやつよりも高そうで美味しそうなやつ」を、物欲しげに眺めているような面持ちです。
おかず(トマト)を食べるために10歩以上歩くというはじめての経験。
だけどほら、この山の中にホンモノをひとつ忍び込ませてみても
寄らないとぜんぜんわかんないくらいには、からあげなんだけどな~。
「たいようが、いたいよう(太陽が、痛いよう)」
そんなダジャレを繰り返し聞かせてくれていた、中学の友人・K美ちゃんを思い出していました。
K美ちゃん、元気?
たいようが、いたいよ今。たぶん、今まででいちばん痛いよ今!!
もしかしたら、このような悲しみを紛らわすために人は
「間接照明」という方法を編み出したのでしょうか。
ちがうかもしれない。でもまあ、さいごに間接照明を試してみよう。
あ、これ良い。良いやつだわこれ!!
おお。
ずっとニガテだった間接照明とまさかこんなかたちで和解する日がくるとは。
結論
おにぎりをからあげ(ニセ)で囲うことによって気分は高まる。ただし強い日光のもとにはなるべく連れ出さないでおくのがいいとおもう。
梅干し疑惑も浮上していた
ところで、外で撮影をしていると見知らぬ人にとつぜん話しかけられたりもします。
今回も、やさしげなおばあさんに声をかけられ、どきどきしながらも状況説明をしたところ「なんだかこれ(からあげ)、梅干しにも見えるわねぇ~!」という、まさかのコメントを頂戴しました。
なるほど。
たしかに。そう言われてみればな、見えなくもない気がしてくる梅干し…… (干されているやつ)!
なお、梅干…じゃない。からあげを94個つくるのに必要な粘土は500g入×9袋くらいが目安です。ご参考まで。