特集 2015年6月1日

カキの味がする葉っぱ、オイスターリーフ

カキの味がするという葉っぱを育ててみました。柿じゃなくて牡蠣ですよ。
カキの味がするという葉っぱを育ててみました。柿じゃなくて牡蠣ですよ。
世の中にはカキの味がする葉っぱがあるらしいという怪情報を友人から教えてもらった。

果物の「柿」ではなく、貝の「牡蠣」である。その名もオイスターリーフ。カキの葉っぱだから、そのままズバリだ。

植物なのにカキの味とは一体どういうことなんだろうと、苗を取り寄せて育ててみた。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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オイスターリーフの苗が届いた

ネットで注文したオイスターリーフの苗が届いたのは、10月23日。秋に植える野菜なので、この時期限定の発売らしい。

それにしても植物なのにカキである。いったいどれだけへそ曲がりな植物なのだろう。海のミルクとも呼ばれるカキ、ならば海のミルクの葉っぱなのか。
このカキの味がする植物って、想像できないですよね。
このカキの味がする植物って、想像できないですよね。
翌日、母が丹精込めて育てている家庭菜園へと苗を持ち込んだ。

ここにちょこっと植えさせていただこう。
けっこう大きな段ボールで届きました。
けっこう大きな段ボールで届きました。
段ボールを開けてみると、2つの苗がちんまりと納まっていた。

見た目はブロッコリーやキャベツみたいな、普通の苗である。匂いはちょっと青臭いかなという程度で、ほとんどしない。

これ、本当にカキの味がするのだろうか。
ちんまり。
ちんまり。
1つだけだと失敗したら悲しいので、念のために2つの苗を購入したのだが、その値段はシャレオツなオイスターバーで食べる生ガキくらいする高級品だ。いったことないけど。
なかなかのお値段でした。
なかなかのお値段でした。

これがオイスターリーフの苗だ!

取り出した苗には、これがオイスターリーフであることを強く訴えるポップがついていた。

それによると、「インパクト秋植え野菜」であり、「スコットランドから来た高級野菜」らしい。スコットランドって生牡蠣を食べる習慣はあるのかな。
これが噂のオイスターリーフ。
これが噂のオイスターリーフ。
「濃厚な牡蠣風味の新野菜」であり、「リッチな味」らしい。乗せられたホタテの気持ちは如何に。
「濃厚な牡蠣風味の新野菜」であり、「リッチな味」らしい。乗せられたホタテの気持ちは如何に。
強い言葉で「私はカキの味がします」と主張するオイスターリーフなのだが、その説明を読めば読むほど、どうも怪しく思えてしまう。

続けて裏側を読むと、「生牡蠣かアンチョビのような一度食べたら忘れられない不思議な味」と、若干その焦点をぼかすように書かれていた。

カキとアンチョビってだいぶ違う味だと思うのだが。なんだか余計わからなくなってきたぞ。
カキはカキでも「生牡蠣」の味らしいよ。
カキはカキでも「生牡蠣」の味らしいよ。
実ではなく葉を食べる野菜なので、この葉っぱを1枚食べてみれば話は早いのだが、やはり畑で増やしてから食べてみようと思う。高かっただけにお楽しみは大事にとっておきたい。

収穫は秋から12月頃が目安とあるので、これからどんどん葉が増えるはずだ。スコットランド原産で高温多湿には弱いため、多年草だが日本の夏は乗り切れないらしい。

牡蠣なのに夏季がダメとはこれ如何に。
増えろ、俺のオイスターリーフ!
増えろ、俺のオイスターリーフ!
この説明によると、やや酸性で水はけの良い土壌がいいらしいが、そんなことをいわれてもどうしていいかわからないので、畑の地力に期待をして、そのまま植えてみることにした。
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枯れる前に食べてみたらカキの味!

畑にオイスターリーフの苗を植えてから、毎日のように水をやりつつ観察していたのだが、日に日に弱ってきてしまった。

約10日後の11月4日の様子がこうである。
いかん、グテっとしている。
いかん、グテっとしている。
秋から12月にかけて株が育って葉っぱをどんどん収穫できるはずなのだが、このありさまだ。

このままだと味を知る前に全滅してしまいそうなので、葉の根元が腐って落ちてしまったやつを、試しに食べてみることにした。

カキにあたってお腹を壊すという話はよく聞くが、そういう方向でオイスターリーフだったらどうしよう。
ギリギリ腐っていないと信じよう。
ギリギリ腐っていないと信じよう。
土を払って食べてみると、青臭さ以上の生臭さがやってきた。

あ、すごい、これは本当にカキだ。畑で採れたカキだ。アンチョビじゃない、あきらかにカキ。

カキのどの部分に似ているのかと思ったら、あの生臭さというか、えぐみが似ているのか。食感は葉っぱなのだが、その後味はカキそのものだ。ぐぇ。カキは大好きだが、この味は好きではないぞ。でもおもしろくはある。なんだこりゃ。

とりあえずオイスターリーフがどんな味なのかを知ることができたので、とりあえずは満足である。あとはこいつが息を吹き返してくれれば100点満点なのだが。

枯れる一方のオイスターリーフ

育つ気配がまったくなかったオイスターリーフだが、その後も一向に立ち直る様子をみせない。

12月12日になると、苗の横に置いたポップがなければもはやどこに植えたのかすらわからない瀕死状態となっていた。
やっぱりだめかー。
やっぱりだめかー。
土が合わなかったのか、気候が合わなかったのか、スコットランドと埼玉では環境が違い過ぎたらしい。いっそクワを入れて介錯し、別なものを育てたくなるような状態である。

それでも2つ植えたうちの片方は、まだどうにかこの大地に根を張る覚悟が見えたので、そのまま見守ることにした。
植えてから約二か月、マイナス成長続きである。
植えてから約二か月、マイナス成長続きである。

小さな可能性が見えてきた

そして2月10日、元々あった葉っぱはすべて枯れ落ち、一見するとどこに植えたのかすらわからないくらい状態になってしまった。

味とかもうどうでもいいので、とにかく無事に育ってほしかったのだが。
オイスター、どうしたー。
オイスター、どうしたー。
しかしである。よーくみると、オイスターリーフを植えた場所らしきところに、小さな芽が出ているではないか。

葉っぱは枯れ果ててしまったが、こっそりと地中に根を張り、来たるべき春に備えていたのである。

たぶんそう、きっとそう、そう信じさせてください。
たしかここにオイスターリーフを植えたはず! がんばれー!
たしかここにオイスターリーフを植えたはず! がんばれー!

復活!俺のオイスターリーフ!

その小さな芽は順調に成長をして、3月12日には安心できる大きさとなってくれた。

なんだろう、このドラマチックな展開は。
踏まないようにと母親がそっと杭を立てていて泣ける。
踏まないようにと母親がそっと杭を立てていて泣ける。
植えた苗はひょろりとしていたが、埼玉の地で復活を遂げたオイスターリーフは、しっかりとした密度でこんもりと生えてくれた。

もう誰にも「カキ厳禁」なんて言わせない。
ここまでくれば、きっと大丈夫!
ここまでくれば、きっと大丈夫!

きれいな花が咲きました

あとはいつ収穫するかの問題なのだが、せっかくだからもう少し先にしよう、かわいそうだからもう少し大きくしてみようと、ずるずると先延ばしにしていたら、なんと花が咲いてしまった。
多肉植物的なフォルム。
多肉植物的なフォルム。
説明書きにスズランのような花が咲くと書かれていたが、なるほどかわいい。
説明書きにスズランのような花が咲くと書かれていたが、なるほどかわいい。
上から見るとこんな感じ。放射状に育つんですね。
上から見るとこんな感じ。放射状に育つんですね。
久しぶりに葉っぱを食べてみると、あの生臭くえぐい味がちゃんとした。確かにこれはオイスターリーフだ。良くも悪くもカキの味。

ここまで大きくなれば、多少葉っぱをいただいても、このまま育ってくれるであろう。枝の付け根をポキポキと折って、間引くように念願の収穫をする。
葉の形がオイスターっぽくないこともないかな。
葉の形がオイスターっぽくないこともないかな。
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なんの味なのかクイズ形式で答えてもらった

苗を植えてから半年以上の期間を経てようやく収穫したオイスターリーフだが、私一人で食べてもつまらないので、その存在を知らない人に味見してもらうことにした。

私は最初からオイスターリーフであるというのを知っていたのでカキの味にしか感じられなかったが、知らない人は違う味だと思うかもしれない。

そこで「なんの味の葉っぱでしょーか」クイズである。
回答者は当サイトライターの土屋さん(中央)とそのご友人の伊藤さん(左)、ヨヨさん(右)。
回答者は当サイトライターの土屋さん(中央)とそのご友人の伊藤さん(左)、ヨヨさん(右)。
玉置:「まず食べる前に予想してみましょうか」

伊藤:「ブロッコリーの味じゃない?」

土屋:「カリフラワーかな。あ、アスパラ!」

ヨヨ:「ちがうよ、きっと植物じゃない、もっと変な味だよ~」

玉置:「お、それ正解!」

土屋:「わかった、パイナップル!」

ヨヨ:「植物じゃないっていってんじゃん!」

伊藤:「じゃあ鉄とか?」

玉置:「……ごめんなさい、とりあえず食べてみましょうか」
さて、なんの味でしょーか!
さて、なんの味でしょーか!
伊藤:「あー、やっぱあれじゃない?」

ヨヨ:「すごいおもしろい、なにこれ!きもちわるー!」

土屋:「えーわかんない。まだ言わないでね!」

伊藤:「ご飯に乗せたらおいしいんじゃない?」

ヨヨ:「なーんか生臭いよねー」

土屋:「まだわかんないんだけど、私バカなのかな?舌が」

伊藤:「それなのに、こだわっておいしいもの食べてるの?」
かしまし娘たち、悩む。
かしまし娘たち、悩む。
伊藤:「醤油付けて食べてみよっか」

ヨヨ:「うん、このほうが食べやすい。でも生臭さが減るけど、醤油の味になっちゃう」

土屋:「わかんないんだよなー」

ヨヨ:「そのものズバリがわかんない!」

伊藤:「わかった!たぶんあれ、絶対あれだ。カタカナ2文字でしょ。ひらがな3文字じゃない?」

土屋、ヨヨ、玉置:「え?」

土屋:「じゃあ合計5文字ってこと?」

玉置:「ひらがなで3文字なら、カタカナでも3文字じゃないの?」
なかなか答えがわからないようだが、僕には伊藤さんの答えがわからない。
なかなか答えがわからないようだが、僕には伊藤さんの答えがわからない。
玉置:「すみません、そろそろ答えをお願いします。いっせーのーせ!」

伊藤:「まぐろ!」

土屋:「ヒラメ!」

ヨヨ:「カニ!」

玉置:「残念。正解はオイスターリーフ。カキでした!」

伊藤、土屋、ヨヨ:「あーーーーっ!」
カキという答えに納得する3人。そう、このリアクションが欲しかった!
カキという答えに納得する3人。そう、このリアクションが欲しかった!
ヨヨ:「いわれると本当だ!カキだね!」

伊藤:「噛めば噛むほど生ガキの味!」

土屋:「あんた、マグロっていった?」

伊藤:「生臭さがまぐろかなって思ったの。ひらがなだと「まぐろ」で3文字、カタカナだと「ツナ」で2文字!」

土屋、ヨヨ、玉置:「……」
茹でたものも試食してみたけれど、クセが抜けてホウレン草や小松菜みたいな味になってしまった。
茹でたものも試食してみたけれど、クセが抜けてホウレン草や小松菜みたいな味になってしまった。

さらに多くの人に試食してもらいました

3人に試食してもらった感想と、カキだと知った時のリアクションがおもしろかったので、翌日もっと多くの人にオイスターリーフを試してもらったところ、20人近くの人が試食して、カキだと当てたのは1人だけだった。

ならばカキの味がしないのかというとそうではない。正解はカキだよと教えると、全員が「あー!」と納得するという不思議な結果なのである。

以下の写真は答えを教えた瞬間の様子。
「葉っぱ」「マグロ」「葉っぱ」「マグロ」 ↓ 「あー!」「なるほど、生臭い!」「わかるー!」「言われてみれば!」
「葉っぱ」「マグロ」「葉っぱ」「マグロ」

「あー!」「なるほど、生臭い!」「わかるー!」「言われてみれば!」
「海の味」「生ガキ」「ナマコ」「大根の葉っぱ」 ↓ 「いわれるとカキだ!」「当たった―!」「花もうまいね!」「花の方が甘くてうまい!」
「海の味」「生ガキ」「ナマコ」「大根の葉っぱ」

「いわれるとカキだ!」「当たった―!」「花もうまいね!」「花の方が甘くてうまい!」
「魚だよな」「魚っぽい」「魚くさい」 ↓ 「そうだそうだ!」「カキだ!そうだ!」「あー!したしたした!」
「魚だよな」「魚っぽい」「魚くさい」

「そうだそうだ!」「カキだ!そうだ!」「あー!したしたした!」
「ファンタレモン」「ドリアン」「カツオ」「サザエ」 ↓ 「なるほどー!」「カキは大好きなのにー!」「カあ、カキか!」「あー、貝は貝だ、惜しい!」
「ファンタレモン」「ドリアン」「カツオ」「サザエ」

「なるほどー!」「カキは大好きなのにー!」「カあ、カキか!」「あー、貝は貝だ、惜しい!」
「カキの葉寿司で食べたことある…サバ?」 ↓ 「あー、カキ違いだ~」
「カキの葉寿司で食べたことある…サバ?」

「あー、カキ違いだ~」
「ん?まったくわかんない!葉っぱの味!」 ↓ 「えーー(不満げ)!あ、後味だ!言われてみたら!」
「ん?まったくわかんない!葉っぱの味!」

「えーー(不満げ)!あ、後味だ!言われてみたら!」
なんだか正解をあえて外す大喜利みたいな展開だが、全員いたって真面目である。たぶん。

ちなみに唯一正解を出した人は、生牡蠣は大好きなんだけれど、食べるとかなりの確率であたってしまう体質の方だった。その執念が当てさせたのだろうか。

一度カキの味だと頭で理解すると、もうカキだとしか舌が思わない、味のアハ体験。先入観を消すために、目をつぶって食べた方が当たるかもしれない。

このクイズを出す方は、そりゃもう得意げになれるので、がんばって高温多湿の夏を乗り越えて、多年草としてスクスクと育っていただければ幸いだ。
天ぷらにしたらうまいかなとやってみたが、油がパンパンと跳ねてあぶない上に、カキの味が全然しなかったよ。
天ぷらにしたらうまいかなとやってみたが、油がパンパンと跳ねてあぶない上に、カキの味が全然しなかったよ。

訳のわからなさでは相当優秀な食材です

そのままで食べると確かにカキの味がするオイスターリーフなのだが、加熱をしたり、他の食材と合わせたりすると、そのカキっぽさが薄れてしまうため、複雑な調理には向いていないようだ。

それでも、みじん切りにして何かと和えたり、ミルフィーユ状に重ねたりすることで、よりカキっぽさを出すレシピを開発できるような気もする。まあ本物のカキのほうがうまいんだけど、おもしろさはなかなかのものだと思います。
日本酒のつまみにいいような気もします。
日本酒のつまみにいいような気もします。
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