好きな子(自宅)の体温を遠隔操作する
「自宅の温度湿度を知りエアコンでコントロールまでできる能力」というのは、当サイト運営のニフティが提供している「おへやプラス」というサービスそのものである。
今回はこのサービスとのコラボ記事なのだ。
こんな感じで機器を設置、センサーを取り付ける(いちばん右は生やしている豆苗です)
するとスマホで現在の自宅の温度と湿度が見られて冷暖房操作もできる
みんな家は好きでしょう。最高にリラックスできる場所、家。そんな愛しの家の温度がいつでも分かるのだ。
好きな男の子女の子の体温がいつでも分かる(しかもコントロールまでできる…!)のと同じだと思っていただければその興奮や並ならぬことがみなさまお分かりいただけるはずだ。
個人的にぐっと来ていたのは、サービスに冷暖房操作機能がついたのが最近という点。以前は温度と湿度を「知るだけ」のサービスだった。ナイス朴訥。
ここまででお伝えしたいこと
・自宅の温度が自宅の外から分かるサービスがあります
・おもいのほか興奮します
(本稿は記事のタイトルにあまり内容がないのでかわりに要所要所で重要メッセージをお伝えいたします)
おれたちゃミュータント
この「自宅の温度を自宅の外から上げたり下げたりできる」という能力。完全に特殊アビリティだろう。
Xメンのメンバーも1000人くらいの規模になったら隅っこにこんな能力者が出てくるんじゃないか。任意の場所の温度を自在に操ることのできるミュータントである。そんな特殊能力、使って楽しくないわけがない。
手に入れた新たな種類の興奮。これを独り占めしてはばち当たりである。
というわけで、仲間を集めました全員機器設置とアプリインストール済み。特殊能力者です
みんなで集まってさ、家の温度変えようぜ
集まってもらったのは(上の写真の左から)当サイトライター西村さん、大北さんに加え編集部の橋田である。集まるやいなや話題は当然スマホを見せ合いながらお互いの家の温度の話になった。
携帯を人に見せるといえばペットや恋人、子供の写真を見せるシーンが多いのではないか。場合によってはちょっと煙たがられることもある行為かもしれないが、今日は温度だ。
で、温度を見せ合いながらお互い話しているうちにあることに気づいた。どうでもいい話題がいきいきするのだ。
全員前のめり
輝きだすどうでもいいトーク
ここから先は、おのおの自宅の温度を目の前にした当日の会話を聞いていこう。
古賀:グラフのこの部分、ちょっと温度上がってますよね(下図1)。これたぶん子どもを保育園に送りに夫がでかけてたんですよ。で、ここで帰ってきて窓開けて、一旦温度も下がった(下図2)。夫は保育園へ送ってから一旦帰ってきて荷物整えてから会社行くんです。
普段こんなどうでもいいこと、人に話すことなんてまずないだろう。しかし今日は温度という情報がついているのでみんな興味深げに聞いてくれる。すごいことだ。
どうでもいい家の事情を温度とともに仲間に知らせる
こちらは大北家の直近6時間の温度変化。この30℃を越えた部分が話題に(たびたび気温が0℃を記録しているのは通信が切れたタイミングの模様)。
昨晩のそうめんに、まさか当たるスポットライト
大北:この30℃超えてるところ、これ煮炊きしたころじゃないかな。
西村:あー、そうか。おれも昨日そうめん茹でたとき部屋の温度上がってたんだろうなあ。
「おれも昨日そうめん茹でたとき部屋の温度上がってたんだろうなあ」。なんてふわふわした感慨か。
温度をいいことに完全に発言のわきが甘くなっているが、誰も気にせず受け入れている。優しさに満ちた会話である。
西村家では5月にそうめんを食べる
大北:煮炊きで温度が上がったっていうの、土鍋でごはん炊いてたからかもしんないです。
橋田:朝から? 土鍋で? すごい。
西村:ロハスじゃないですか。
古賀:「丁寧なくらし」だ。
大北:うち炊飯器ないんですよ 。
古賀:置く場所がない? じゃなくて、いらない?
橋田:きっと土鍋で炊くご飯が好きなんだよね。
大北:土鍋は、早いですよね、カチってやって10分くらいで沸騰するので火を止めて待つってだけなんで。
橋田:じゃあ20分くらいで食べられるんだ。
西村:それ何合ですか?2合?
大北:いや、3合。
大北家の、土鍋で炊いたご飯(3合炊き)
仲良くなりたい同士はいますぐ自宅温度の共有を
長くつきあってきた面々であるが、しかし土鍋で毎朝3合のご飯を炊いてるなんて普通ではシェアさせていただけないタイプの情報である。こんな情報が流出するのも温度トークならではだ。
古賀:みんな、エアコンに対するスタンスってどうですか。カジュアルにつける?
西村:うーん、どうだろう。
古賀:奥さんはどうですか。
西村:あ、つけますね。つけます。東北の家はすごいんですよ(西村さんの奥さんは青森県出身)。冬場、家入ると「暑っつ!」ってなるんですよ。
古賀:あっためすぎて?!
大北:あらゆる室内が暑いですよね(大北さんの奥さんも東北。秋田県出身)。
西村:カミさんは東京にきて始めてコタツに入ったって言ってました。
大北:エネルギーに対する考え方が違いますよ。
古賀:寒い地域では暖房費けちると死んじゃいますもんね、そりゃ考え方もかわるよね。
自宅の温度を見せあうことで、生活がせきららになっていくうえに、家族の出身地や性格までつまびらかになっていく。
初対面で打ち明けたい人たちはもう今すぐにでも自宅の温度を共有すべきではないか。
しかしこんなシーンも
浮気がばれる可能性もあります
古賀:そこ2人(西村さん、大北さん)、家の温度ずっと27℃ですね。
橋田:変わらないね。2人とも。
古賀:一緒に住んでるんじゃないのもしかして。
西村:ちがっ。
大北:浮気がばれる。
西村:浮気が!
大北:社内恋愛が。
古賀:湿度も温度も一緒でばれる。
大北:同棲が。
古賀:ばれましたわ~。
おとなの事情のある方々におかれましてはどうかお気をつけくださいというアプリでもあるようだ。
ここまででお伝えしたいこと
・温度を見せ合うと親交が深まります
・浮気がばれることもあります
さて、ここまではただ温度をながめるだけでやってきた。しかしこのサービスの本丸はやはりエアコンの遠隔操作による室内温度のコントロールであろう。
4人もあつまったのだ、対決形式で自室の温度を変えてみたい。
本当に空調は、遠隔地から動くのだろうか……!
(動きます、そもそもそういうサービスです)
でも頭つき合わせて座ってる人たちの自宅の合計4台のエアコンがいっせいに動き出すなんて信じられないぞ(動きます)
冷房を入れて部屋の温度を下げてみよう、5月だけど
この日は台風が夜間とおりすぎ、会場の東京は日中30℃を越えるであろうといわれるほどよく晴れた日であった。
段取りとしてはここで各家のクーラーを一斉に作動させ一番最初に温度が2度下がった人を「クーラーききやすい部屋賞」に認定する予定なのだが、さすがにまだ5月中旬。各自の室温はまだ27℃前後である。クーラーをつけていい室温とは思えない。
「やりますか…」「やっぱりやるんですか…」
古賀:みんな、今年はもうクーラー開きしましたか?
橋田:いやまだ。
大北:クーラーって何℃からつけていいんでしたっけ。熱中症になるからつけろっていうのは。
西村:30℃かな?
古賀:設定温度は28℃がいいんですよね。
-------------ここから5分経過-------------
古賀:まだ5月半ばですからね…クーラー開きにはまだ早い。
橋田:クーラー開き、いつですかね。
古賀:基本は8/1ですよ! まあ…でも…体が大事ですからね…熱中症のことを考えるともう8/1は理想か。
西村:8/1きついですよね。
橋田:梅雨明けじゃないですか。
大北:梅雨明けまではがんばりたい。本当は8/1までがんばりたいんだけど、負けちゃうし…。
ありていにいうと、5月の今は皆まだクーラーを作動させたくない。なんとなく笑ってごまかす
さあ、クーラーつけてみよう! となってから10分ほどああだこうだいっている。しかしさすがに「やんなきゃ終わらないぞ」と腹がくくられてきた。
古賀:じゃちょっと入れてみようか…。
橋田:いいですか? 「冷房」でスイッチ入れて。入れますよ! はい、入れました!
いま橋田家のエアコンが!
古賀家のエアコンが!
西村家のエアコンが!
大北家のエアコンが、動く!
省エネの時代ですが、これからの季節に向けて熱中症を防ぐという意味でもメリットの高いサービスなんです! そのサービスの紹介記事なんです! という祈りを込めてエアコンの起動ボタンを押した。
アプリの表示が「運転中」に変る。うわー。
古賀:一気に終わらせよう、設定温度も下げましょう。
大北:え! 下げんの?!
古賀:みんな25℃にして! それで今の室温から先に2℃下がった人が勝ちで!
大北:あー!
橋田:ひゃー。
西村:人が、人がいない! 部屋の設定温度が!
大北:俺が経験したことのないような設定温度に!
経験したことのないような設定温度で冷やされるクッション量の多い大北家
本当に下がりました
西村:室内状況確認しましょうよ。あ、俺んちもう26℃になりましたよ。1℃下がった。
古賀:うちも下がった。すごい本当に冷房効いてるんだ。すごいな。本当にうごいたんだ、クーラー。
橋田:あっ! こっちもさがった! 1℃下がった! よし、きた!
古賀:大北くんちの温度、どう?
大北:ぜんぜん変らないですね。ぜんぜん変らないのに家ではクーラーがガンガンに…。
西村:25℃になりました! スタートから2℃下がりました!
古賀:おお、西村さんの勝ちだ。
橋田:おめでとうございます! もっと喜んだらいいのに。
西村:や、やったー!
西村家、やりました
25℃以下の設定は倫理観に反する
西村:設定温度25℃で室内温度も25℃になりました。だからもうこれ以上は理屈としては下がらないはずですよね。
古賀:クーラーの性能次第だと思いますが、そうですよね。試合は終了ですね。
西村:このアプリでは設定温度は25℃以下にはできないですし。
大北:設定温度の範囲、25℃~29℃なんだ。
古賀:倫理的にみて25℃より低い温度にしようなんてのはダメなんでしょうね…。
西村:倫理?! そういうことなんですか?
ともあれ、温度対決で「クーラーききやすい部屋賞」を受賞したのは西村さんであった。
ここまででお伝えしたいこと
・5月のクーラー開きは勇気が必要
・クーラーの設定温度は倫理問題である(「おへやプラス」では仕様でできない)
暖房を入れる4人
完全に一仕事終えた感だが、4人全員変なテンションになった。冷房をやったのだから暖房も入れてみなければならないのではないか。
4人無言のなかに確かなグルーブが起こっていた。
暖房…
大北:……暖房入れてみましょうか。
古賀:ちょっとやっちゃう? やっちゃおうか?
西村・橋田:いやーいやいやいや。
古賀:やろうやろう、ここまできたら。暖房入れてみましょう。
橋田:え? 本当に? 今すぐ?
古賀:いま、いま。
橋田:「暖房」…いくよ?
古賀:暖房は24℃までしか設定できないですね。いまみんな家の温度26℃以上ありますね。これどうなるんだろう。とりあえず、つけてみちゃいましょう!
大北:うわっ、暖房つけてる。
西村:つけてるつけてる、暖房つけてる…。
大北さんのリアクションも大きくなった
畳み掛ける罪悪感
5月の暖房起動。文字にしてなお恐ろしい。やはり「こんな無駄づかいを」という罪悪がすごい。しばしそのようなやりとりをご覧ください。
西村:この罪悪感!
大北:あー。暖房をー。
古賀:今日は罪悪感をもってサービスの便利さをご紹介するという企画ですから…。みんな、耐えてくれ!
大北:うちはこの前の冬に暖房使わなかったんですよ。ホットカーペットでなんとかなったんですよ。家自体がそんなに冷えないんですよ。上下左右に(人の家が)あるとこんなに暖かいのかって思ってたんです。その家にこうしてる間にも暖房が…。暖房がガンガン…。
古賀:想像を超えるもったいなさですねこれ…。
うち、いまどうなっちゃってんだろう
古賀:あれ、でもさっきみたいにサクッと温度変らないですね。
西村:もともと温度25℃以上あるところに設定温度24℃で暖房入れてるわけですからね。これどうなってるんですかね。あったかい風は出てるのか、それとも止まってるのか。
大北:そんなもったいないことやったことないから…。
古賀:もうなにが起きてるのか。自宅で。今。わかんない。
大北:想像を超えてきますよね。
会場の温度はずっと25℃にたもたれていました
厄年なのに5月に暖房入れていいわけない
古賀:わたし今年厄年なんですよ…。
橋田:急か。
古賀:こんなときに無駄にエアコンを上げ下げして、いいわけないんですよ。余計厄がたまるんではないかと。
西村:厄ってたまるんですか? そうか、厄払いっていうくらいだから、たまるのか?
橋田:古賀さんがやろうっていって4人集めたんですけどね…。
西村:暖房…切るか。
古賀:さすがに誰も2℃も上がりそうにないですね。対決無理。気持ちも無理!
橋田:停止(ボタンを押す)。
古賀:おだやかな気持ちに。
西村:これ、切ったつもりになって停止してなかったら嫌ですね。
古賀:停止されたかどうかは画面で分かるから大丈夫ですよ。
西村:あ、ほんとだ。
大北:(だまって西村のリモコンのスイッチを押す)
西村:ちょっと!
西村さんがよそ見をしている間に西村さんちのエアコンのスイッチを入れる大北さん。新手のいやがらせの誕生の瞬間である
ここまででお伝えしたいこと
・エアコンまわりには想像を超える罪悪感の存在がある
・冷暖房を切ったかどうかはアプリからちゃんと分かりますのでご安心ください
・いたずらでアプリをいじられないようにお気をつけください
買物の失敗の費じゃない
長々と会話をごらんいただいたとおり、冷暖房ともに5月の気候のよい時期に作動させるのには大きな罪悪感があったのだった。
やはり「電気を大切に」という意識は大きい。
橋田:金額はそうでもないはずなんだけど、やっぱり罪悪感すごかったね。
古賀:1万円の服とか靴を買って、結局あまり着なかった比じゃない罪悪感。
西村:服の方が金額的には大きいのに 。エアコンの失敗は取り返せませんからね。
橋田:エアコンが調整した空気は靴みたいに履けないからね。
古賀:「空気は履けない」名言出た。
空気は履けない(写真はサイズを間違えて買った靴です)
快適だけど「うはぁっ!」
エアコンのつけっぱなしは、つけっぱなしでショックなのに部屋の温度がひどく快適なのが皮肉ということも話題になった。
西村:夏場エアコンつけっぱなしで長時間外出しちゃって、帰ったときに空気が冷えてて。快適なんだけど「うはぁっ!」ってなる、あの感じは独特ですよね。
古賀:家族がエアコンのスイッチ消し忘れた部屋に帰ってきたときも、快適なんだけど、湧き上がる怒りが独自。
橋田:自分が消し忘れて、その部屋に家族と一緒に帰ってきたときの、快適なんだけど、ごめんなさいっていう気まずさも。
大北:崖の前ですよね。家族に詰め寄られて。
橋田:私が消し忘れました~、すみません~。
西村:このアプリあればそういう消し忘れも止められるんだ。
古賀:どうしたんですか急にPRっぽいことを。
ここでわかる
エアコンは神の領域だから罪悪感が強い説
そして語るうちにエアコンの無駄づかいによる罪悪感にある正体も見えてきた。
大北:罪悪感と値段のバランスって取れてないんですね 。
西村:エアコンの罪悪感だけすごくでかい。
大北:気温をコントロールするから。
西村:自然をあやつるわけですからね。
古賀:神の領域なんだ、エアコンは。
大北:そんなことしたらすごいお金がかかるに違いないっていう気持ちがあるから。
古賀:気温のコントロールに比べたら服なんかね。
西村:最悪その辺の葉っぱでいいわけですから。
大北:人の話ですよね。人側の。
西村:エアコンは神の話。
古賀:価値が高いんですよね。エアコンは。
ここまででお伝えしたいこと
・エアコンの価値は高い
エアコンばんざい
そういったわけで、温度の周りにある人間の感情に思いもよらずふれ最終的にエアコンは神様と崇め会は終了した。
「おれの家の温度はおれが決める。たとえ外出していようとな。」などといいつつ、神にびびる我々である。
実は湿度の話も盛り上がっておりました
西村:鳥取(西村さんの出身地)は他の地域より多湿なのか、今はどうか分からないんですが僕が住んでたころは加湿器があんまり売ってなかったんですよ。家でも除湿機をずっとつけていました。それくらい湿ってて。
で、東京出てみたらうちマンションだからだと思うんですが冬場めっちゃ乾燥して。笑うと顔がピキピキするくらい。ぼろい湿度計で10%とか。そのときに打ち合わせで行った会社が、ものすごい湿度高かったんですよ。
大北:覚えてる覚えてる。西村さんが「湿度高っ」っていってた。
西村:湿度ー!って思った。なんだこの快適な湿度はと。みるとその会社、加湿器使ってたんです。「なにこれ? 加湿器?」てって、それでその足で加湿器買いにいったんです。
大北:その足……? あのとき飲み会もあったから終わったの23:30とか…。
古賀:そこつっこまなくていいでしょ。
大北:そんな夜中にやってる電器屋って…?
古賀:なんで人を有罪にしようとすんの。
アプリでは温度のほかに湿度も見られるため、実は現場では湿度も話題になっていた。温度と湿度、本当に語りがいあります。
台風の夜はぐんぐん湿度が上がっていた。橋田さんが興奮してわざわざキャプチャを送ってくれて嬉しかったです