言っておくが、このスライドのテーマは「偽史」である。
室町時代の末期は将軍が暗殺されたり城を追われたり学級崩壊みたいな状態だった(もちろんもっと血なまぐさい)。
中世の農民というのはお話だと強いものに襲わる弱者のように描かれているが、実は食料を奪うために隣の村を襲ったりしてけっこう怖かったらしい。と本で読んだ。
落ち武者はデイリーポータルZのゆるキャラ、宮城さんである。
そうそう、なんでポルトガル人かというと、パンの由来がポルトガル語のパオから来ているというのを読んだからだ。
写真まんがというと4コマなどのギャグまんがが多いが、シリアスなまんがで写真マンガって誰もやってない気がしたのでやってみることにした。
(誰もやってないものにはやらない意味があるのだということをよく忘れる)
このあたりは完全に創作である(あらためて説明することもないが)
先月、髪を短くした。自著に載せる著者近影をピケティ風にするためである。その短髪がパン侍に役だった。ピケティが語る格差というのはこういうことだろうか。
増やしてみた。衣装は宮本武蔵風という貸し衣装を借りた。中年体型に和服は抜群の安定感である。
パン侍がひとりなのか総称なのか定まってない。前のスライドで増やしたがやっぱりひとりにした。
暇があると飢饉について調べている。パソコンに向かってぼんやりしているといつのまにか飢饉のページが開いているのだ。
有名な飢饉でなくても中世というのはずーっと食料不足でいつも腹を減らしていた時代らしい。
このスライドのレイアウトは
ポール・モーリアのジャケットを意識した。
あらためて見ると全然違う。
鉄とか入ってないふつうに食べられるパンを村に運ぼうとしたんですね。紙袋からパンが飛び出しているのは80年代のマガジンハウス風である。
同僚の服装などは適当である。大江戸捜査網とか史実に基づいてない時代劇って最高ですよね。
ここに来て、「お前のちょんまげ、パンじゃないか?」発言だ。真っ先に気づくところである。
この点についてはプレゼン中もおかしいのではないかという指摘を受けたが、「昔の人はばかだった」という機転で切り抜けた。
パン侍と自分で名乗っておいてパンと指摘されると怒る。この破綻は自分でも気に入っているが、ネットでは絶対に関わってはいけないタイプである。
一休さん的な展開である。ドラマならここでCMが入るところだ。
背景のレインボーには適当な切り抜きが映えると思う。この絵を見ているだけでひなびた観光地にいるような気分になる。旅に出たいですね。
カマイタチのような現象が起きたことの説明。歴史と科学の生半可な知識総動員である。
パンでないことを証明したパン侍がパンをかじりながら去ってゆく。エスプリである。
今回、「クヤシイ」など感情をカタカナで入れたのは、泡沫候補の選挙公報みたいでなかなかドキドキする。
・パン侍同様にうどん侍というのがいた(四国、パン侍は九州)
・同じように飢饉の村を救うために小麦をうどんとして運ぼうとした
・島流しされた海でうどんを使って釣りをしている
その3つの情報を説明しているスライドである。僕は仕事で「話が見えないんだけど」と言われることがあるが、確かにそういうところあるかもしれない♡
パン侍というお話を考えたとき、まっさきに思ったのはアンパンマン的なお話である。
だが「いい話」は堕落だ、もっとアヴァンギャルドに、と妙な意地を張った結果こうなった。そして話は混迷を極める。
パワーポイントではこのスライドはアニメーション機能を使って自分をくるくる回している。パワポのアニメーション機能のバウンドやターンは文字に使うと野暮ったくなるだけだが、切り抜いた自分の写真で使うと笑えるのだ(ビジネスTIPS)
パワーポイントのアニメーションだけでザビエルの眉と頭を動かしている(上記はそれをアニメGIFに書きだしたもの)。
パワポのアニメ機能だけでリア王も描けるだろう。
パン侍の活躍を説明する一連のスライド。
タイムスクープハンターでパン侍というお話がありそうである。「彼らはパン侍と呼ばれていました」というナレーションまで想像できる。
燃える本能寺から逃げ出すときに偶然トーストを発明、など考えたが、収拾がつかなくなって徳川を出した。
エイプリルフールでもないのにしゃあしゃあとこんなうそを書いているので、エイプリルフールになにを書いていいのかわからなくなるのだと思う。
やっぱり最期はポルトガル語だろうと思ってグーグルで翻訳した。あってるかどうかはさっぱりわからない。
最期のスライドなのでちょっと感動的な雰囲気にした。「おれの、」などと読点を増やすと感動的になるので覚えておこう。
はたらこう
以上が2015年5月5日にイベントで発表したスライド「パン侍」である。
休み気分を過剰に満喫したスライドだと思う。ここまでやりきるとむしろまじめに働きたくなるから不思議である。
これを読んだあなたが10年ぐらい経って、あれパン侍というのを読んだような…あれほんとなんだっけかな…と分からなくなっていたら私にとってこれにまさる喜びはない。
なぜかあとがき風の文体で終わる。