特集 2015年4月22日

不思議な木鷽(きうそ)をもらいに大分に行った

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「鷽(うそ)替え」という神事がある。神社から授けられる「木鷽」(鷽という鳥をかたどった木彫りの像)を、翌年新しい木鷽と交換し、「うそをまことに替える」という意味を持たせ、今年1年の幸せを祈念するというものだ。

主に天満宮で授与されるようだが、各々の神社ごとの個性が木鷽に表れていて、つい集めたくなるかわいさだ。

しかし最近、とんでもないかわいさの木鷽を知り、欲しくて欲しくて我慢がならなくなってしまった。
1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

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鷽とは

鷽という鳥については各自検索して欲しい。頭は黒く頬は桃色のかわいい奴で、それにだいいち鳥であるからして、それを像に表すとなれば嘴、羽、目玉などの特徴を捉えているはずである。

というわけで、まずは一般的(?)な木鷽を見て欲しい。
太宰府天満宮の木鷽(「日本のお守り 神さまとご利益がわかる」池田書店 より引用)。
太宰府天満宮の木鷽(「日本のお守り 神さまとご利益がわかる」池田書店 より引用)。
こちらは名古屋・桜天神社でいただいてきた木鷽。
こちらは名古屋・桜天神社でいただいてきた木鷽。
それぞれの意匠はまったく違ってはいるが、大筋の部分では既知の郷土玩具に通じるものがあり、理解の範囲内にある。

それがどうだ。
こ、これは・・・!こいつらはいったい何だ。(「日本のお守り 神さまとご利益がわかる」池田書店 より同じく引用)。
こ、これは・・・!こいつらはいったい何だ。(「日本のお守り 神さまとご利益がわかる」池田書店 より同じく引用)。
超・ゆるキャラである。フンフンフン♪と、どこからか踊り出てきた謎の妖精、という趣き。こんなプリミティブな造形、現存の郷土玩具界でそうそう見ることはできないのではと思う。これ・・・すごく欲しいです。

すぐにでももらいに行きたい、と思いはつのるが、これは毎年4月の第一日曜日に大分の角埋(つのむれ)神社で授与されるものだそうで、おいそれとは入手できないものなのだった。大分か・・・うん、遠いな。

以来、かの本をたびたび開いては、グラビアを見つめる男子学生のようにため息をついていたのだが、その4月が目前に迫ってきた。これは、もう、取材に行かねばなるまい。
特急ゆふ に乗って行ったわけですよ。
特急ゆふ に乗って行ったわけですよ。

まさに見切り発車

だが情報が少なかった。本やWebでかき集めて総合すると「大分の豊後森駅からバスで伏原バス停まで行き、そこから歩いて30分」というのが行程のようだ。角埋神社という文字は確かにGoogleMapに載っている。

とにかく、“豊後森駅から伏原”を念頭に置いて、そこからスマホを頼りに進んでいけば、何とかたどり着く、と踏んだ。

あと、開始時間や、注意事項などはどうなっているのか。鷽替え行事など初めてだし、だいいちどういうことをするのかもわかってないし、そもそもよそ者が参加していいのかどうかわからないし、取材も可能なのだろうか。

本にあった観光課に問い合わせると、だいたいの開始時間は教えてもらえたが、細かいことはその行事を仕切っている方に聞かないとわからないようである。おおぅ、もし行ってみて「取材せんといてくれ」などと言われたら・・・ただの旅行になってしまう。

というわけで、相当の不安を抱きつつ、とにかく出発したのだった。
「最寄駅」の豊後森。旧豊後森機関庫及び転車台があることで有名な駅だ。
「最寄駅」の豊後森。旧豊後森機関庫及び転車台があることで有名な駅だ。
とてもいい雰囲気の駅でビックリした(あの水戸岡さんデザインにより改修されたとのこと)。
とてもいい雰囲気の駅でビックリした(あの水戸岡さんデザインにより改修されたとのこと)。
朝11時から授与が始まると聞いていたので、10時過ぎには駅に着けばいいかと、前日の宿泊地・大分駅から8時過ぎの特急ゆふ に乗り込む。

1時間15分ほどで豊後森駅に到着。弱く雨が降っていて(ちなみに前日夜は大雨)、私の心をそのまま映しているかのような雨空である。
それなりに人の集まる駅前のようだが、まだ店は閉まっている時間。
それなりに人の集まる駅前のようだが、まだ店は閉まっている時間。
とにかくバスを探す。ロータリーに面してバス案内所(閉まっている)があり、窓に細かい路線図や時刻表が貼ってあるが、目当ての「伏原」というバス停がない。どこにもない。いきなり行き先がわからなくなった。

それでも神社近辺の地名などを頼りに、近いと思われるバス停を通るバスを、待つこと数分、バスは来た。いきなり解決(今思えばここでタクシーを使うべきだった。運命の分かれ道)。

後乗りで整理券を取って最前列に陣取り、どこで降りればいいのか五感を研ぎ澄まして(アナウンスを聞き逃さないように、ってレベルだが)険しい顔で待ち構える。
気さくに話しかけてくれる運転手さんだった。東京から取材、と言うと何で~!?何かあったっけ??と驚かれた。
気さくに話しかけてくれる運転手さんだった。東京から取材、と言うと何で~!?何かあったっけ??と驚かれた。
運転手さんに「本当は伏原ってとこで降りたかったんですけど、バス停ないんですかねー」と聞くと、そんなバス停知らないと言う。こっちが「何で~!?」だ。

あとで聞いたら、違うバス会社の停留所のようだった・・・しかし検索サイトでも出てこないので、廃止されたのだろうか?結局謎である。
さて放り出された私はどこへ向かうのか。
さて放り出された私はどこへ向かうのか。
とにかくバスを降りた。あとはスマホ頼りに歩いていくしかない。
このあたりは寺が多く、寺町と呼ぶそうだ。城下町ということもあり、美観である。
このあたりは寺が多く、寺町と呼ぶそうだ。城下町ということもあり、美観である。
プロパンガスも寺町風にコーディネイトされている。
プロパンガスも寺町風にコーディネイトされている。
なかなかの街並みが続く。
なかなかの街並みが続く。

今私はどこに

ここらあたりまでは良かった。道は町の奥へと分け入ってゆく雰囲気になり、ひとり歩きの旅行者たる自分はどんどん心細くなっていく。
道順としては、なんとその看板のところを左折しろという。何かあるような雰囲気ではないが大丈夫か。
道順としては、なんとその看板のところを左折しろという。何かあるような雰囲気ではないが大丈夫か。
昨日の朝はうちにいたのに、今朝はひとりこんな他所様の町にいるなんて。
昨日の朝はうちにいたのに、今朝はひとりこんな他所様の町にいるなんて。
やがて集落の合間を縫うように道は延びていった。
やがて集落の合間を縫うように道は延びていった。
正直、このときは1歩ごとに「まいったなー」という気持ちで歩いていた。だんだんと少なくなる人家、そしてだんだんと登り斜面は険しくなっていく。

そもそも、今日は神事ということなのに、鷽替えに来たと思われる人をまだ1人も見ていない。予想では、善男善女が飛び飛びでも列をなし、山へと登っていく、はずなのだが・・・その列に着いていけば、自ずと神社にたどり着くと軽く考えていたのだ。

ふと、行く先になるであろう山のほうを見上げた。すると。
2本、紅白の幟が立っているのが見える。あそこだろうか。
2本、紅白の幟が立っているのが見える。あそこだろうか。
・・・あそこだろうか。
・・・あそこだろうか。
あそこかー。
あそこかー。
とにかく、戻ることはもうできない、行くしかない。

事前の情報で見た「ふもとのバス停から30分」という言葉を思い出し、その見つけられなかったバス停とは果たしてどのあたりだったのかを考えたが、怖くなってやめた。

自分はその地点をもう過ぎたのだろうか。それともまだその地点にも達してないのだろうか。
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知らないうちに満願か

田舎は車社会だから、道路を歩く人はけっこう目立つ。でも自分の実家(群馬の赤城山のふもと。田舎)なら、土地鑑もあるのでまあまあ安心しつつ歩くだろう。しかしまったく知らない土地でこのように道が延びているとしたらどうか。

正直、「これはいかん」と思った。
いかん、人工物がほとんど見えなくなった。この先はどうなっているのか。
いかん、人工物がほとんど見えなくなった。この先はどうなっているのか。
案内板が出ていて少しホッとする、が。
案内板が出ていて少しホッとする、が。
たぶん神社にも通ずるであろう、角牟礼(つのむれ)城跡まで1.4kmとあって、また少しホッとする、のも束の間。
たぶん神社にも通ずるであろう、角牟礼(つのむれ)城跡まで1.4kmとあって、また少しホッとする、のも束の間。
いよいよ本格的に林道になった。おーい!うぉーい!
いよいよ本格的に林道になった。おーい!うぉーい!
この林道、土地の人もそうそう歩かないのでは・・・。自分が車でここを通って自分を追い越したら、間違いなく二度見するだろう。

後ろから数台車が追い越していったが、不審な車だったらどうするかなどと対策を考えながら歩く。脇の斜面を笑いながら転がり落ちるしかないなこりゃ・・・

幸い雨はやんでいたが、そんなこと帳消しになるくらいの心細さである。しかもけっこうな坂である。普通に山登りなのだ。
運動の疲れで頭に膨満感を覚える。鼻の奥がツーンとしてきた。撮影する余裕もやがてなくなる。
運動の疲れで頭に膨満感を覚える。鼻の奥がツーンとしてきた。撮影する余裕もやがてなくなる。
ヒィ、ハァ、ヒィ、ハァ、と恥ずかしいくらい大きく息をしていたので、返ってひとりでよかったかもしれない。
ヒィ、ハァ、ヒィ、ハァ、と恥ずかしいくらい大きく息をしていたので、返ってひとりでよかったかもしれない。
へたに休むと絶対進めない、と確信しているので進むしかない。
へたに休むと絶対進めない、と確信しているので進むしかない。
恐ろしい錆看板が不安をあおる。
恐ろしい錆看板が不安をあおる。
地図アプリで現在地を確認しながら歩くが、まだいくつものカーブを越えなければならぬ。ちなみにこの日歩いたのは2万歩。
地図アプリで現在地を確認しながら歩くが、まだいくつものカーブを越えなければならぬ。ちなみにこの日歩いたのは2万歩。
汗だくで、頭の中も真っ白になりかけたそのとき、やっと人の気配が。駐車中の車が数台見えてきたのだ。
お・・・これはきっと・・・ここ・・・なのか?
お・・・これはきっと・・・ここ・・・なのか?
視界が開け、大岩の転がるちょっとした広場にたどり着いた。神社、神社は?!
視界が開け、大岩の転がるちょっとした広場にたどり着いた。神社、神社は?!
この石組み・・・ここは城址だろうか。神社、神社は・・・
この石組み・・・ここは城址だろうか。神社、神社は・・・
と、そのとき、軽トラから呼びかける声が。「どーこから来たの?!」

駐車し終えたその軽トラから、うちの父と同世代くらいの方が降りてきて、私に話しかけた。ふもとから歩いて取材に来たと告げると、さっき軽トラで私を追い越しつつ登ってきたという。かなり驚いていた。そりゃそうだろう。

歩いて30分、にはほぼ間違いないが、ものすごい内容の歩きだった、ということも間違いない。次は絶対タクシーで来ようとこのとき誓った。

さて先ほどの方、なんと、この「角埋山」を守る「つのむれ会」の会長さんだというではないか。当然今日の神事にも関わっているとのことで、取材希望の旨を申したらあっさり快諾していただけた。しかも丁寧に山の案内付きで。
「では行きましょうか」 さっきまでの不安が鷽、いや嘘のようだ!
「では行きましょうか」 さっきまでの不安が鷽、いや嘘のようだ!
絶対次はタクシー、と誓ったが、今回は歩いてきて良かったということにしよう。まさにこれはご利益だったのだ、と思いたくなる。
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木鷽神事、その前に観光

さてこちらの神様、じゃなくて岩本さんに従い、先の広場からまた山に分け入っていく。神社はこの上、まだしばらく山道を行くようだ。でも平らなところで少し休めたし、話しやすい土地の方に会えて不安も解消したし、もう大丈夫、元気になった。

聞けば、この自然の要害である角埋山を利用して、源為朝が角牟礼城を築城したという。一帯にその跡が露出しており、見どころが多い。
「天気が良ければもっと眺めがいいんですが」と終始残念そう。そんな岩本さんはふるさとガイドも務めている。納得の引率ぶり。
「天気が良ければもっと眺めがいいんですが」と終始残念そう。そんな岩本さんはふるさとガイドも務めている。納得の引率ぶり。
「この城は中世と近世の石垣を見られるんです」これは近世の穴太(あのう)積みでの石垣。
「この城は中世と近世の石垣を見られるんです」これは近世の穴太(あのう)積みでの石垣。
ふもとから見えた幟の下に、今、立つ!
ふもとから見えた幟の下に、今、立つ!
「私達20人くらいで、夏は毎月2回、山の手入れをしてるんですよ」
「私達20人くらいで、夏は毎月2回、山の手入れをしてるんですよ」
「ベンチも私らで作りました」
「ベンチも私らで作りました」
「晴れていれば、28km先の山々まで見えるんですが・・・」
「晴れていれば、28km先の山々まで見えるんですが・・・」
「湧き水、どうぞ飲んでください。コップも用意してありますから使ってください」
「湧き水、どうぞ飲んでください。コップも用意してありますから使ってください」
「私が保健所で検査してもらった水なので、大丈夫ですよ」 岩盤をくぐりぬけた清水のやわらかい味が、疲れた体に沁み込んだ。
「私が保健所で検査してもらった水なので、大丈夫ですよ」 岩盤をくぐりぬけた清水のやわらかい味が、疲れた体に沁み込んだ。
とても丁寧に案内してくださって恐縮である。神事も控えてるのにすみません、と謝ると、まだ11時まで間があるから大丈夫、と余裕の様子である。

そういえばまだ人を他に見かけていないし、神事の開始前でもっと物々しい雰囲気かと思っていたが、なんだかそうでもないようだし、はて今日はどんなことになるのだろう。

と思う間に、突如人の声が。見上げればそこが神社のようである。焚き火の用意もすでにしてあり、役員さんらがすでに忙しく立ち働いていた。

ようやく神事らしくなってきた!
ひとりでは絶対にたどり着かないと確信。
ひとりでは絶対にたどり着かないと確信。
木鷽がここに呼び寄せたかと思うと不思議な気分だ。お邪魔します・・・。
木鷽がここに呼び寄せたかと思うと不思議な気分だ。お邪魔します・・・。

木鷽神事、その核心へ

岩本さんが周囲のスタッフの方々に私のことを紹介してくださって、またも安堵である。この土地の方々の空間に他所から1人で入っていくのは、なかなか勇気が要ると思うのだ。

しかししばらくここで過ごすうちに、そんなこと元々考えなくて良かったのだとわかってきた。
拝殿を控えめに撮影していたら、「どうぞ入ってください」と当然のように誘われた。え!いいんですか。
拝殿を控えめに撮影していたら、「どうぞ入ってください」と当然のように誘われた。え!いいんですか。
あっ憧れの木鷽が目の前に!しかも山積み!
あっ憧れの木鷽が目の前に!しかも山積み!
早くから準備などされていた役員の方々はほとんどが拝殿の下のほうで待機している。逆に、このために訪ねてきたグループや家族連れのお客さんが、私同様遠慮がちに「いいの?」って感じで次々に拝殿に収容されてくる。

お客さんは全部で14~5人、いや後から遅れて来た方も含めて20人ほどだっただろうか。総勢50人ほどの人々が、この木々に囲まれ他と断絶されたかのような神社の周囲に集まって来ていた。なんだか夢を見ているみたいだ。そのうち白い煙が現れて、気づけば皆タヌキになっていそうな不可思議さだ。

やがて祝詞が始まり、皆頭を低くして聞く。何種類か唱えられ、神職の指示に従って手を合わせたり、ご神体にひとりひとり進み出て、手渡された榊をささげて拝礼したり。内心かなり驚きつつも、厳粛な気持ちをこの土地の人と共有できた気がした。

拝礼が済み、いよいよ「木鷽」の授与が始まる!
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ご対面

拝礼が済み、いよいよ「木鷽」の授与が始まる!・・・と立ち上がり見回すと、おっともう授与が始まってるじゃないのー!
待て待て~!
待て待て~!
さながらバーゲンの様相。皆が、厳粛から興奮へと切り替わった。
さながらバーゲンの様相。皆が、厳粛から興奮へと切り替わった。
授与係の方が「これは500円」「これは・・・200円だね」と、次々に手渡される木鷽を大きさで判断し、袋に入れて返している。

1人1体かな・・・他の人の分ももらって帰れるのかな・・・とそのへん不明だったのだが、皆じゃんじゃん気に入った容姿の木鷽を手渡しており、これは私も負けられない!人垣に隙間ができるや、手を伸ばして品定めだ。
手書きのPOPが形骸化していてほほえましい。木鷽のプールができていた。皆、笑ってるよー。
手書きのPOPが形骸化していてほほえましい。木鷽のプールができていた。皆、笑ってるよー。
私も4体授けてもらった。計1000円の初穂料(神社への謝礼、こういう言い方をする)。袋越しでもすでにかわいい。
私も4体授けてもらった。計1000円の初穂料(神社への謝礼、こういう言い方をする)。袋越しでもすでにかわいい。
すみません、このときあまりの興奮と、次のプログラムに目が行っていて、ここでの木鷽の写真がないのです。最後に家で撮ったものを出しますから(まあ最初に出してるけど)。

そのプログラムとは、昼食である。なんと皆に昼食が用意されていたのだ。
「ささ、火の回りに腰掛けて」「ささ、お茶です」「ささ、おにぎりです」「ささ、いろいろ焼けましたよ」「ささ、おやつもありますよ」など矢継ぎ早の接待を受ける。
「ささ、火の回りに腰掛けて」「ささ、お茶です」「ささ、おにぎりです」「ささ、いろいろ焼けましたよ」「ささ、おやつもありますよ」など矢継ぎ早の接待を受ける。
いろいろなことに目が走りつつやっと撮った1枚。すごくうれしい。しみじみとおいしい。
いろいろなことに目が走りつつやっと撮った1枚。すごくうれしい。しみじみとおいしい。
上記の接待をいちいち「いいんですか?!」と驚きながら受けつつ、お客さんと少し話をする。一番この場で現代的な、若い女性3名と男性1名でのグループは宮崎からの到着。こういった授与品(神社が授与するお守りや玩具などの品)をいろいろ集めているそうだ。郷土玩具方面の静かなブームが、ここにも。

観光課の方によると、東京方面からもたまに問い合わせて出かけてくるお客さんもいるようで、昨年は横浜から来られた方もいるらしい。歩き・・・じゃないですよね。
残った木鷽たちもやっぱりそれぞれにかわいい。
残った木鷽たちもやっぱりそれぞれにかわいい。
この木鷽はヘラという木から作るそうだ。山で探して切り出し、蒸して皮を剥いで、乾かして細工をほどこし、という工程で、6~7人で半日がかりで制作しているという。この日用意したのは全120個。ここに来た方以外にも、土地の方からの予約などあるようなので、ほぼ貰われていくのだろう。

1人1個ずつ制作するので、個性も出てくる。一様でない素朴な木鷽が出来上がる。一番難しいのは3枚ずつ羽根を削りだすところだそうだ。顔と並んで、確かにあそこが重要なチャームポイントだろう。

元々は地区の人々総出で持ち寄っていたが、中でも上手な組というのが出てきたので、今はその組が制作しているそうだ。こうやって郷土ならではの品が生まれていくのか。
こちらが名人、と指をさされて謙遜する名人。木鷽の職人さんたちである。
こちらが名人、と指をさされて謙遜する名人。木鷽の職人さんたちである。
長さの基準なども「だいたい」だそうで、木のでこぼこなんかも生かして、2つとない木鷽を彫っている。
「ほら、これなんかここが出っ張ってて、おチンチンみたいでしょ!?」うははは。
「ほら、これなんかここが出っ張ってて、おチンチンみたいでしょ!?」うははは。
さあお待たせしました、木鷽たちの登場です。それでは張り切って~どうぞ!
ある~日、森の中、熊さんに、であ~った♪
ある~日、森の中、熊さんに、であ~った♪
うるわしのソレント~♪
うるわしのソレント~♪
し~らな~い町を、歩いてみ~た~い♪
し~らな~い町を、歩いてみ~た~い♪
デュワ~♪
デュワ~♪
あーもう何歌わせてもかわいい。皆さんもこの写真に吹き出しをつけて、日頃言いにくいことをあの人この人に言ってみるのもいいかもしれない。

見つめているだけでこっちまで自然と笑顔になってしまう。素朴の極地。ミニマムの愛らしさ。突然の妙なひとり旅人を自然にもてなしてくれた土地の人を象徴しているようにも思えてならない。30分ゼーハーゼーハー言いながら登ったことを差し引いても、思い入れのある旅になった。

お世話になりました、その上・・・

突然の訪問にも関わらず「用事が他にもあれば車出しますので言ってください」と応じてくださった岩本さんに大変感謝しています。帰りもふもとまで送っていただきました・・・ありがとうございました。しかも「荷物になるかもしれませんが・・・」と、自家栽培のシイタケまでお土産に!
他にもいろいろと面白そうな方なのだがそれはまたの機会に。
他にもいろいろと面白そうな方なのだがそれはまたの機会に。
立派なシイタケをたくさん。まだ何かに化かされているようだ。
立派なシイタケをたくさん。まだ何かに化かされているようだ。

【告知】

5月に2つ販売・展示イベントがあります!

◆ときわ台つ・つ・つGARDEN
(手作り品販売等のイベント)
5月16日(土曜) 10 :00 ~16 :00
会場:天祖神社(東武東上線ときわ台駅 徒歩 1分)

◆消しゴムはんこ4人展
5月15日(金)~24日(日)
入場無料・木曜休み
OPEN 12:00~19:00
土日は 13:00~19:00
(15日は17:00~19:00)

※5月22日(金)19:00~21:00
「大人の消しゴムはんこBAR」講師:乙幡啓子
ドリンクとスナック付き 2000円、時間内随時受付、予約不要
(はんこは彫りません、はんこ押して雑貨を作ります)
※作家在廊時間は都度「@otsuhata」ツイッター等でお知らせします。

会場 ブックギャラリーポポタム
171-0021東京都豊島区西池袋2-15-17
http://popotame.net
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