特集 2015年4月15日

ふるえろ!呼び出しベル

人生いろいろ、ベルもいろいろ。
人生いろいろ、ベルもいろいろ。
今やショッピングセンターにはかかせないフードコート、ここには他にない独特の活気を産み出すグルーヴがある。ピーピーピー、ピッピーピピーとあったかくておいしい料理の完成を告げる呼び出しベルの音だ。あれ、テーブルに置いておくとふるえて動きますよね。
1975年神奈川県生まれ。毒ライター。
普段は会社勤めをして生計をたてている。 有毒生物や街歩きが好き。つまり商店街とかが有毒生物で埋め尽くされれば一番ユートピア度が高いのではないだろうか。
最近バレンチノ収集を始めました。(動画インタビュー)

前の記事:うまい!そして物足りない!毒魚ハオコゼを食べる

> 個人サイト バレンチノ・エスノグラフィー

イオンモール与野からはじまった。
イオンモール与野からはじまった。
フードコートで飯を食う、あの高揚感はなんだろうか。がやがやしてるし、水のコップもなんか形状が安定しない軟質プラスチックとか紙のやつだし小さい。しかしいつも立寄りたくなる。あの引力は一体、なんなんだろうか。
ちなみに与野はバラの町らしいのだがなんでローマ字
ちなみに与野はバラの町らしいのだがなんでローマ字
と、ある日の昼食時にフードコートで目を閉じて喧噪に耳を傾けていると、ほのかな振動と共にけたたましく鳴り響くコールが心臓の鼓動にシンクロしてきた。ベルが鳴っている、震えている。飯ができたのだ。
ワンタッチ・コール
ワンタッチ・コール
「ピー、ピー、ピー」「ピー、ピー、ピー」ご飯時の喧噪の中、至る所でベルの鳴き声が立ち上がり、フードコートというハコに詰めていたオーディエンス達に動きが生まれる。「4番でお待ちのベイベー!」飛び交うMC。カウンターに向かう人も飯を取り引き返す人も、皆笑顔だ。ベルはまだどこかで鳴り続けている。ゲットした飯からほのかに立ち上る煙、シズル感、YEAH、 いただきます、んまい!これがグルーヴ!呼び出しベルが生み出すグルーヴ!!
「消」というボタンを押すと音が止む。
「消」というボタンを押すと音が止む。
昔読んだ短編漫画「グッドバイブレーション」(小谷健一短編集「湘南ストーリー」収録)の台詞を思い出した。
「バイクもサーフィンもバイブレーションは同じだ、グッドバイブレーションさ!!」

あるんだよ、あるんだよフードコートにも、グッドバイブレーションが。

広く、雑然としたフードコートの中で、グッドバイブレーションによって僕らと飯をつなぐ、いわば命のベル。どんなのがあるのか見てみよう。

空港での出会い

すごく南の島、石垣島からの帰り、石垣空港でスターバックスのチャイラテを飲みながら飛行機を待っていた。
蝶を飼育しているスペースがあって目を見張った。
蝶を飼育しているスペースがあって目を見張った。
ボーッとしていると充実した旅の思い出がよみがえる。レンタカーの送迎車ではベタにTHE BOOMの島唄が流れていたっけ。

♪島唄よ風に乗り~ラララララララ~ラララララララー、ピピピーピピピピピピピ~届けておくれ~ピピピピピピピピー…なに!?
ピピピは前方から聴こえる…
ピピピは前方から聴こえる…
島唄にいつの間にか浸食してきたあの音、見ると寿司屋のカウンターがあって、カップルがねずみ色のデバイスと引き換えに鉄火巻をゲットしているではないか。ブルーベリースコーンを食べて腹がふくれていたにも関わらず私は寿司店にダッシュして鉄火巻を発注した。
わーい、べルだ。エアコンも点きそう。
わーい、べルだ。エアコンも点きそう。
製品名は「リプライコール」、前出の「ワンタッチ・コール」よりサイズは少し大きいがホールド感は良好。ポケットに入れて持ち歩きたい。
ディスプレイに赤く映える充電残量表示。
ディスプレイに赤く映える充電残量表示。
鳴りだした瞬間を切り取るために動画を撮影した。(あたり前ですが音が出ます)
覚醒。ディスプレイには10の表示が。情報がかぶっている。
ピーッ、ピーツと車のバックのようなコール。同時にバイブレーションで注意を喚起するのだが、その振動で机を蹴ってわずかにベルが動く。すごくかわいくてよくないだろうか。

動画なんて見ていらんない方のために結果をまとめた。
石垣島空港(リプライコール)
なき声:ピーッピーッピーッピーッピーッピーッ……
ふるえ:★★
鉄火巻きはおいしかった。ベルもおいしさに寄与していると私は信じる。
鉄火巻きはおいしかった。ベルもおいしさに寄与していると私は信じる。
こんな感じでフードコーティング(フードコートに行くこと)を重ねる。
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イオンモール京都桂川

いきなり石垣から京都へと舞台は移る。
かっこいいサイン
かっこいいサイン
イオンだけにやはりワンタッチ・コール
イオンだけにやはりワンタッチ・コール
ここのテーブルの化粧板はいい感じの摩擦係数でいいふるえを見せてくれそうだ。期待しながら石焼ビビンバの出来上がりを待つ。
軽快なうごき!
身軽なボディがテーブルのサーフェイスをうまくつかんで跳ねるようにキレのよい回転。スノーボードではジャンプして回転した角度によって「180(ワンエイティ)」などと呼ぶらしいが、見事な45(フォーティーファイブ)」が決まった。
イオンモール京都桂川(ワンタッチ・コール)
なき声:ピーッ、ピーツ、ピーッ ピーッ、ピーッ、ピーッ
ふるえ:★★★★
食前の写真を撮り忘れたがビビンバおいしゅうございました。
食前の写真を撮り忘れたがビビンバおいしゅうございました。

東京のイオンでは

もういっちょイオン行ってみよう。
東京は東武練馬のイオン板橋、前出の店舗に比べると少し規模は小さくなる。やはり「ワンタッチ・コール」が出てくるかと思いきや……
新種登場!SOFTCALL(ソフトコール)
新種登場!SOFTCALL(ソフトコール)
どこかレトロ感のあるデザイン処理がいい。
どこかレトロ感のあるデザイン処理がいい。
薄型の流線型ボディ、軽さは今までの中で随一なのではないか。ちなみに今回は少しでもベル鑑賞の時間を稼ごうと、作るのに時間がかかりそうなつけ麺を選択した。腹が減っているのではないのかお前は。
おとなしい、動きも微動
実技では光りも音もバイブレーションもかなりおさえ目。コンパクトなだけにちょっとパワー不足感はいなめないか。しかしベルとしての役割はきちんと果たしている。突然知らないおっさんにじっと見つめられて「動きがなあ」とか言われても、知らんがなとっとと飯でも食えといったところだろう。
イオン板橋店
なき声:ピピピー ピピピー ピピピー ピピピー
ふるえ:★★
つけ麺おいしゅうございました。
つけ麺おいしゅうございました。

ホームセンターにはスタイリッシュなのが

イオン以外、ひいてはショッピングセンター以外のベルはどうなっているのだと目をつけたのがホームセンター。
シマホこと島忠・HOME’S
シマホこと島忠・HOME’S
リンガーハットは「ソフトコール」だったが絵がかわいい
リンガーハットは「ソフトコール」だったが絵がかわいい
決して広くはないフードコートだったがその中でも新種を発見。
バン!すごい重厚感!
バン!すごい重厚感!
知性を感じるふるえ。
動きはさほどないがバイブレーションは力強い。食事の出来上がりというより、収穫の豊穣といった原生的な歓びがずんずんと伝わってくる。グッドバイブレーションですね。
島忠・HOME’S仙川店(無線呼び出し装置アンコール)
なき声:ピーッピーッピーッピーッピーッピーッ……
ふるえ:★★★

あの高級フードコートのベルは

品川プリンスホテルの一角で行列の出来る名店をずらり取り揃えている異色のフードコート「品川キッチン」
入口もいわゆるフードコート的な開放感がない。
入口もいわゆるフードコート的な開放感がない。
しかしそんな高級フードコートでもフードコートである以上、料理をお客様に円滑に提供するための動脈となる呼び出しベルは必要不可欠の存在である。
パナソニック「小電力型ワイヤレスコール携帯受信器」品名ながっ!
パナソニック「小電力型ワイヤレスコール携帯受信器」品名ながっ!
清潔感のあるホワイトに側面の操作ボタンがアクセントを、豆のようなアクセントを。
清潔感のあるホワイトに側面の操作ボタンがアクセントを、豆のようなアクセントを。
大手家電メーカーの呼び出しっぷり、お手並み拝見といこうじゃないか。
おー踊れるわこれ。
コールとバイブレーションが交互に作動し、独特のリズムを織りなしている、ダンスフロアでDJ KAORIが鳴らしていても遜色のないレベルだ。踊ろう、そしてうどんを食おう。
品川キッチン(小電力型ワイヤレスコール携帯受信器)
なき声:ピピピピピ(ブー) ピピピピピ(ブー)
※()はバイブレーション
ふるえ:★★★
かきあげうどんおいしゅうございました。
かきあげうどんおいしゅうございました。
秋田彩美館にナマハゲが来ていたので一緒に撮った。「ナマハゲと撮れますよ~」と言われたからだ。
秋田彩美館にナマハゲが来ていたので一緒に撮った。「ナマハゲと撮れますよ~」と言われたからだ。
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ローカルSCで呼び出される

小田急線海老名駅直結のショッピングセンター「ビナウォーク」には個性的な店舗を揃え、小田急ロマンスカーを再現した席などにくい設備を備えるフードコートがある。無論、呼び出しベルもいる。
海老名中央公園の七重の塔が景観に奇異な味わいを醸し出す。
海老名中央公園の七重の塔が景観に奇異な味わいを醸し出す。
海老名だけにエビのイメージキャラクター「ビナセブン」料理のイラストに紛れるとふつうにレッドロブスターに見える。
海老名だけにエビのイメージキャラクター「ビナセブン」料理のイラストに紛れるとふつうにレッドロブスターに見える。
各店舗を覗きながらゆったりと一周回った後(どんなベルを使っているか確認)インドカレー店のカウンターに飛び込んだ。ベルきましたよホイ。
かっこいい!スマート!未来のスーパーカー!
かっこいい!スマート!未来のスーパーカー!
初登場のブラックモデル。
しかも若干スケルトンボディー。
しかも若干スケルトンボディー。
これは実技もかなり期待ができそうだ。胸を高鳴らせてカレーができるのを待つ。
おー、インド人がかたむく。
小気味良く繰り出されるコール&バイブレーションに会わせて左右のライトが時には速く、時にはゆっくり明滅、音とふるえと光が三位一体となって極上のコール・エンターテインメントを演出している。
ビナウォーク(機種不明)
なき声:ピーピーピーピー(ブーブーブーブー) ピーピーピーピー(ブーブーブーブー)※()はバイブレーション
ふるえ:★★★★★
カレーかなりおいしゅうございました。
カレーかなりおいしゅうございました。

そして昭島に究極モデルが!

場所の選定理由はもうほんと思いつきですとしか言えないのだけれど都内の大型ショッピングセンターの雄、JR青梅線昭島駅前の「モリタウン」ははずせない。
アキシマクジラの脳に浸食するマップ。
アキシマクジラの脳に浸食するマップ。
2004年に増床リニューアル。今年で30周年を迎える。
2004年に増床リニューアル。今年で30周年を迎える。
広大なフードコートで長崎皿うどんを頼んだところ現れたのだ、ラスボスが。
バーン!なんじゃこりゃスマホじゃん!
バーン!なんじゃこりゃスマホじゃん!
なぜだかテツ&トモの「ほろ酔いブルース」が流れる
なぜだかテツ&トモの「ほろ酔いブルース」が流れる
LEETEKという韓国メーカー製「AD Pager」という機種。
LEETEKという韓国メーカー製「AD Pager」という機種。
スマホと間違えてこっちをポケットに入れて帰りそうなプロポーションである。テツトモの他にもディスプレイにはパチンコ店の求人広告や情報バラエティ番組の宣伝映像等が次々と流れては消える。
見とれている間にベルが覚醒した。かたやきそばができあがったのだ。
これはすごい!最高だ!
まるで生き物のようにスムーズに床をすべる。昔、父が金魚の水槽に入れたでかいタニシの雄大な歩みを思い出す。こんなタニシがいたらいいな、伝説になるな。テツ&トモが歌っていたディスプレイではできあがりのアクションがハイテンションで踊っている。夜景でみてもきれいだろうな、スターライトコーリングパレード。
木目に「できあがり!」
木目に「できあがり!」
バラッとくずれて
バラッとくずれて
ジャキーン!できあがり!(わかったよ)
ジャキーン!できあがり!(わかったよ)
モリタウン(AD Pager)
なき声:ピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピーピ(台詞)お待たせいたしました。カウンターまでお越しください。
ふるえ:★★★★★★★★★★
かたやきそばおいしゅうございました。
かたやきそばおいしゅうございました。

フードコートで飯ができるまでのわずか5分間の出会い。しかしその間にスマホみたいな感じでテツ&トモを見せる所までもはや来ていた。出来上がり待ちエンターテインメントはどこまで行くのか。4Kかウェアラブルかウォッチかドローンか。いやいいだろベルでなんて言わずにさらなる進化を注視していきたい。
ちなみに一番出現頻度が高かったのは「ソフトコール」でした。
ちなみに一番出現頻度が高かったのは「ソフトコール」でした。
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