特集 2015年3月20日

地域イベントを開催したいと思った時にやるべき5つのこと

昨年は4000人ぐらいの来場者がありました。今年もやります。
昨年は4000人ぐらいの来場者がありました。今年もやります。
商店街でのアートフェス、飲食店街のはしご酒イベントなど。街や商店街の活性化を目的とした地域イベントは日本各地で開催されています。

あなたが住んでいる街が、大好きな商店街が衰退している。何かイベントをやって活性化させていきたい。そんなとき何からやったらいいのか。

2年ほど前から、経営している店の前にある神社で開催されるアートを中心とした地域イベントの企画運営を行っています。それを通して色々な事がわかりました。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

前の記事:コンビニの惣菜で手間いらずの燻製料理

> 個人サイト 酒と醸し料理 BY 工業製造業系ライター 馬場吉成 website

元は商店街のフリーマーケット

開催しているイベントは>「ときわ台 つ・つ・つGARDEN」というイベント。

地域で「つくる」「つどう」「つながる」をテーマに、「ものづくり」を軸に人と地域をつなげていくイベントです。こう書くとなんだか小難しい感じに聞こえますが、そんなことはありません。
実行委員内のデザイナーの人にデザインしてもらったイベントロゴ。
実行委員内のデザイナーの人にデザインしてもらったイベントロゴ。
具体的にはプロ、アマ問わず様々な作品を作るアーティストの方が参道に並べたテント内で自分の作品を展示販売し、神楽の舞台で様々なジャンルのミュージシャンがライブをして、舞台の周辺で地元や周囲の商店街から出店した飲食店が飲食物を販売するというもの。

アート作品を眺め、気に入った物が有れば買い、昼間からちょいと飲みながらライブを聞ける。そんな感じです。凄く小さいデザフェスでしょうか。
昨年はライターの乙幡さんも「妄想工作所」で出店していただきました。
昨年はライターの乙幡さんも「妄想工作所」で出店していただきました。
そもそもなんでこんなイベントをやることになったかと言えば、私が加入している神社前の商店会が開催していた神社内でのフリーマーケットが色々あって暫く開催されていませんでした。そこで何か新しいイベントは無いかと検討していた時に、私が神社側に提案したのが商店会加入の店も参加するアートイベント。

その時点では開催まで話は進まなかったものの、別の方も似た感じのイベントを神社へ提案していました。
右側の方が加藤さん。アート系の話は加藤さんにほぼ丸投げ。
右側の方が加藤さん。アート系の話は加藤さんにほぼ丸投げ。
それがイベントの共同発起人となった加藤さん。加藤さんは福祉施設で作られる商品の企画、販売やコーディネーター、コンサルタントなどを行っている「おおきな木」の代表。流行に乗って「商店会参加のアートイベント!」なんて言い出した私とは違い、アート関係の話に関してはプロの方です。
福祉施設の子が描いた絵をTシャツとして販売することの手助けをするなど、様々な活動をされているそうです。
福祉施設の子が描いた絵をTシャツとして販売することの手助けをするなど、様々な活動をされているそうです。
神社の方からの勧めもあり、まずは加藤さんと共同でイベントの企画案を作成することとなります。そして、第1回目のイベントを開催。回を重ねて2015年に第3回目の開催となったのです。
最初の年はこんな感じでした。テント無し。雨が降ったらどうすんだという状態での開催だった。でも2000人ぐらい来場。やればなんとかなるもんだ。
最初の年はこんな感じでした。テント無し。雨が降ったらどうすんだという状態での開催だった。でも2000人ぐらい来場。やればなんとかなるもんだ。
サラッと第3回目開催と書きましたが、それに至るには、まあ色々ありまして。こういう地域イベントを開催してみたいという方の参考になればと以下に書いていきます。

1.仲間は大事だよ

まず、こういったイベントをするにあたって最初にやるべきこと。一緒に企画運営する仲間を集める事。以前、同じ神社で店が主体となって日本酒の祭りを開催しています。その時も経験豊かな仲間に集まってもらえた事でイベントは大成功となりました。
イベントでは近くのカフェなども出店しています。カフェメニューも充実。
イベントでは近くのカフェなども出店しています。カフェメニューも充実。
今回もアーティストや福祉関係に強い加藤さんを筆頭に、デザイナーやイベントプロデュース経験の豊富な方、企業や役所とのパイプのある方などが実行委員として集合。それぞれの得意分野で精力的に動いてイベントを運営しています。
地元飲食店からも出店。写真は酒まつりの時の物。同様に酒や料理を出しています。飲みながらイベントが楽しめる。
地元飲食店からも出店。写真は酒まつりの時の物。同様に酒や料理を出しています。飲みながらイベントが楽しめる。
イベントは一人ではできません。運営でわからない事、実現が難しい事は仲間で共同して考えればなんとかなるものです。あまり多すぎても考えがまとまらなくなるので困りますが、いずれにしろ仲間は大切。

どうしても最初に集まらなくても、イベントを進めていくうちに興味を持って仲間に入ってくれる人もいます。

仲間集め、重要です。

2.会場との交渉は大事だよ

次にやるべきことはイベント会場との交渉です。
レイアウト図など交渉には具体的なイメージが出来る資料が必要。
レイアウト図など交渉には具体的なイメージが出来る資料が必要。
この神社でのイベントは、元々が商店会のイベントを引き継ぐ形で行われたので、使用の可否に関する交渉は比較的楽でした。それでも、新しい取り組みだったので、イベントのコンセプトや全体イメージの説明などは必要です。
神楽の舞台を使わせてもらうので、使い方の決まりごとなど細かい事も要確認。プリモサクソフォンアンサンブルの皆さん。
神楽の舞台を使わせてもらうので、使い方の決まりごとなど細かい事も要確認。プリモサクソフォンアンサンブルの皆さん。
また、神社に限らず使用する場所には様々な制約、使用に関するルール等あります。
火器の使用の確認も。調理関係だけでなく大道芸でも使う事あり。大道芸のペッパーゼロさん。
火器の使用の確認も。調理関係だけでなく大道芸でも使う事あり。大道芸のペッパーゼロさん。
使用可能時間。電気やガス、火器類の使用に関して。トイレなど施設内の設備の使用に関して。イベント機材の搬入、搬出方法。駐車場、駐輪場の有無など。こういった細かい事は事前に会場側と打ち合わせておく必要があります。

会場との交渉は綿密に行いましょう。
音に関する周辺住民への影響なども考えておく必要がありあます。Funk, Jazzユニットのブラックエレファンツ。
音に関する周辺住民への影響なども考えておく必要がありあます。Funk, Jazzユニットのブラックエレファンツ。
もし公道を使用する場合は警察署への道路使用許可の申請が必要です。これはかなり難しく、個人ではほぼ不可能。商店会などの団体でないと無理です。

3.お金は大事だよ

次にやるべきことは資金の調達。イベントはお金がないと出来ません。それ相応の費用がかかります。
ライブ出演者への出演料もかかる。しかし今は資金が少ないのでわずかな出演料でお願いし、投げ銭などをとってもらっている状況。ありがとうございます。マジシャンの如月琉さん。
ライブ出演者への出演料もかかる。しかし今は資金が少ないのでわずかな出演料でお願いし、投げ銭などをとってもらっている状況。ありがとうございます。マジシャンの如月琉さん。
かかる費用は様々。テントやテーブル等の設備費。ポスター、チラシ、パンフレットデザイン費と印刷費。音響設備のレンタル。司会やライブ出演者への出演料。挨拶用の菓子折りなどの交際費的な物も発生します。
歌ネタ王決定戦2代目王者となった手賀沼ジュンさんも破格の条件で第1回、第2回と出演していただきました。ありがとうございます。
歌ネタ王決定戦2代目王者となった手賀沼ジュンさんも破格の条件で第1回、第2回と出演していただきました。ありがとうございます。
このイベントの場合、費用は初回が約20万ちょっとかかっています。イベントへの出展料は1ブース2000円で手作りのテーブル付。あとは商店会からの協賛金でまかないました。

2回目はおよそ70万円かかっています。出展料を少し上げて1ブース5000円として、レンタルしたテーブルとテント付。その他は商店会からの協賛金と企業からの協賛金を受けています。
協賛をお願いする企業への説明資料も作ります。
協賛をお願いする企業への説明資料も作ります。
過去の実績や地域への貢献に関して数値で説明。
過去の実績や地域への貢献に関して数値で説明。
近隣の町会から借りられる物は借りたりして費用は抑えていますが、それでもこれだけかかります。更に実行委員は現状全く報酬などなく、無償で動いています。むしろ持ち出し状態。
協賛企業が出店もしてくれることもあり。
協賛企業が出店もしてくれることもあり。
アーティストの人が出展しやすいようにテーブルとテントを付けて出展料は控えめにしているため、収支はかなりカツカツです。はっきり言ってイベントそのものは全く儲かりません。これにより街が賑わい楽しくなる。その結果何か街に良いことが起こる。それでまずは良し。地域イベントは大体そんな感じです。

いずれにしろ、資金調達先の目途は立てておく必要があります。

4.根回しは大事だよ

次にやるべきことは、地域への根回し。ここが一番重要かもしれません。
神社の宮司からもお話しを色々聞きます。地域に深くかかわっている方なので興味深い話が聞けます。
神社の宮司からもお話しを色々聞きます。地域に深くかかわっている方なので興味深い話が聞けます。
地域のイベントでは当然近隣住民を始め、学校や企業、町会、商店会など様々な人とかかわる事となります。

そういった集まりの中にはかならず代表となる方がいます。その方と直接会い、連絡、説明、お願い等をよく行う必要があります。
常盤台南口商店会の会長挨拶。商店会長、町会長は会ってみるとかなりいい人が多いので、どんどん会いにいきましょう。
常盤台南口商店会の会長挨拶。商店会長、町会長は会ってみるとかなりいい人が多いので、どんどん会いにいきましょう。
その場合、多くの方は高齢であることが多いので、メールで済ませるとかはせず、直接会いにいきましょう。そしてなるべく簡単に、わかりやすく説明します。自分のやり方ではなく、相手のやり方に合わせます。

ただ、それだけやっても諸手を挙げて賛成となることは少ないです。大きな集団なので何かしら反対意見も出るでしょう。長い時間をかけて説明し、結果を示して少しずつ説得していく必要があります。

5.楽しむことは大事だよ

最後にやるべきこと。それはイベント楽しむ事です。
子供のヘアメイク体験なんてブースもありました。
子供のヘアメイク体験なんてブースもありました。
先ほども書きましたが、イベントそのものは全く儲かりません。実行委員はむしろ持ち出しぐらいになります。
こちらは吹きガラス作品。
こちらは吹きガラス作品。
 手作りの小物雑貨の出店。
手作りの小物雑貨の出店。
何度も打ち合わせを重ね、事前準備に走り、周りから見たら大変なだけで何ももらえないのになんでやっているの?となるかもしれません。
昨年は、たまたま立ち寄った海外の方もイベントを楽しんでいました。
昨年は、たまたま立ち寄った海外の方もイベントを楽しんでいました。
木工の作品。
木工の作品。
確かに金銭的な話で言えばマイナスぐらいです。それを目的にしている人はこの手のイベントにはかかわらない方がいいでしょう。
こちらは各種小物アクセサリー。
こちらは各種小物アクセサリー。
ビール片手に作品が見られます。こぼさないように気を付けて。
ビール片手に作品が見られます。こぼさないように気を付けて。
かといって、何も得られなくてはイベントという物は続きません。このイベントでも確実に得られるものはあります。

具体的な所では、アーティストの人は作品が売れるということがあります。商店街の人ならば、イベントでの売上と共に店を知ってもらい、新たなお客様を得られる機会があります。
似顔絵コーナーもありました。
似顔絵コーナーもありました。
学生の参加も。小さな子供たちに大人気でした。
学生の参加も。小さな子供たちに大人気でした。
運営側で言うならば、苦労した結果、多くの人が楽しんでくれているという充実感。今まで街に来てくれなかった人が訪れてくれるという地域の賑わい。漠然としていますが、そういう様々な楽しい気分が得られます。

イベントは始めるのも大変ですが、続けるのはもっと大変です。継続の為にも積極的に楽しむことは大切。楽しくなければ続きません。

まずはやってみよう

かなりザックリとイベント開催にやるべきことを5つほど書いてみました。実際やるとなるともっと細かい様々なやるべき事、考えておくべきことが多数あります。

もしこういったイベントを本当にやりたいと思ったら、考えているだけでは何も始まりません。とにかく動いてみましょう。わからなかったら聞きましょう。

まずは動く、それから考える。そんな感じでも、やれば結構なんとかなります。

最後に宣伝すいません。今年もイベントあります。

ということで、今年もイベントあります。お近くの方、ご都合つく方は是非!

【開催概要】
日時:平成27年5月16日(土曜日)10:00~16:00
会場:天祖神社(東武上線 ときわ台駅 徒歩 1分)
内容:出店者の作品の展示、販売。舞台でのライブ、パフォーマンス。ワークショップ等。
※飲食物は、営業許可などの資格を持った方のみお受けいたします。

【開催の趣旨】
地域で『つくる』『つどう』『つながる』
「地域の鎮守の森・神社という歴史的空間で「ものづくり」体験、アート作品や音楽などと触れることで、本来持つ創造性を再発見し、人と人、人と地域のコミュニケーションをはかり、地域をにぎやかに元気づける場を提供すること。」

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「ときわ台つ・つ・つGARDEN」ブログ

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