特集 2015年3月19日

無人島にある日本版ストーンヘンジ「王位石」の謎

鳥肌たちました。
鳥肌たちました。
長崎県は野崎島に、「王位石(おえいし)」という日本版ストーンヘンジとも言うべき謎の巨石がある。

サークル状にこそなってないものの、巨大な石が鳥居のように積み重なっている。その大きさは高さ24メートル。上に乗ってるテーブル状の石の大きさが5m×3m。人工物なのか自然にできたものなのかすらわかってないという。

これに間近まで迫ってきたのでレポートしたい。
長崎より九州のローカルネタを中心にリポートしてます。1971年生まれ。茨城県つくば市出身。2001年より長崎在住。ベルマークを捨てると罵声を浴びせられるという大変厳しい家庭環境で暮らしています。

前の記事:佐賀県にあるナゴヤ城

> 個人サイト 長崎ガイド

Sランク級の訪問難易度

王位石がある野崎島は、完全な無人島となるのを避けるために一人だけ住民表を置いてる人がいる「ほぼ無人島」。そこには世界遺産候補になっている教会があったり野生の鹿が住んでいたりして、昨年訪れて大変感銘を受けた。(その時の記事はこちら

その時も行きたかったが行けなかったのが王位石だ。
地図に見えないけどこれ地図です。(「-」のところをガシガシクリックして縮小して見てください)
なにしろ船が1日2便しかなく、野崎島に行くだけでもなかなか行けないというのに、さらにHPの情報によれば往復5時間以上の登山をしないと辿り着けない。

で、2度目の野崎島訪問となる今回はここを目指した。
遠くから望遠で見た王位石。巨大な石が鳥居のカタチに組んである。その下に見えるのは神社。沖ノ神島神社という。
遠くから望遠で見た王位石。巨大な石が鳥居のカタチに組んである。その下に見えるのは神社。沖ノ神島神社という。

まずは小値賀島(おぢかじま)へ

私が住む長崎から野崎島までの行程は以下。
長崎 → 佐世保 → 小値賀島 → 野崎島
同じ県内なのに3ホップもかかる。いわんや県外をや。

小値賀で一泊し、翌朝の便で野崎島へと渡る。
高速船シークイーンに乗って佐世保から小値賀島へ上陸。所要時間は1時間25分。
高速船シークイーンに乗って佐世保から小値賀島へ上陸。所要時間は1時間25分。
小値賀島のフェリーターミナルにはこんなスペースがある。家か。
小値賀島のフェリーターミナルにはこんなスペースがある。家か。
おぢかアイランドツーリズム理事長の尼崎さん
おぢかアイランドツーリズム理事長の尼崎さん
小値賀島では、NPO法人「おぢかアイランドツーリズム」の理事長を務める尼崎さんに島内を案内して頂いた。

で、やって来たのは地ノ神島神社。
小値賀島にある地ノ神島神社は、野崎島の沖ノ神島神社と対になっており、
小値賀島にある地ノ神島神社は、野崎島の沖ノ神島神社と対になっており、
その鳥居の延長線上の山の上に、
その鳥居の延長線上の山の上に、
王位石が見える。(スケールでけー!)
王位石が見える。(スケールでけー!)
これを見てますます王位石への期待が膨らんだ。

沖ノ神島神社が作られたのは飛鳥時代の704年という(!)。
小値賀島にはかなり古くから人が住んでいたとのことで、長崎市や佐世保など現在中心地となっているところよりずっと歴史が古いのが興味深い。
古墳にも案内して頂いた。案内板も何もない民家の横を入って行くと
古墳にも案内して頂いた。案内板も何もない民家の横を入って行くと
唐突に古墳が出てくる。
唐突に古墳が出てくる。
石室だ!わかりやすい古墳。
石室だ!わかりやすい古墳。
面白いのは、こういった遺跡がまったく何の説明もなくポンとあること。看板やら標識やらが一切ない。囲いすらなく、うっかり祠を踏んでしまいそうになった。
古代の中国船の碇石(いかりいし)。これも何の説明もなく林の中に置いてある。
古代の中国船の碇石(いかりいし)。これも何の説明もなく林の中に置いてある。
ロープを括りつけるための溝がついている。
ロープを括りつけるための溝がついている。
前回訪問時は一人で島内をふらふらと見て回っていたが、ガイドが有る無しじゃずいぶん違う…というかここはガイド無しだったらわからないところだらけだな、ということがわかった。
その他、島内のあちこちを案内して頂いた。
その他、島内のあちこちを案内して頂いた。
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いざ無人島へ!

小値賀島で一泊した後、朝7:25発の町営船「はまゆう」に乗って野崎島へ。所要時間35分。
町営船「はまゆう」。行きは「六島」という島に寄るので35分だが帰りは20分。
町営船「はまゆう」。行きは「六島」という島に寄るので35分だが帰りは20分。
「塾長」ことおぢかアイランドツーリズムの前田さん。
「塾長」ことおぢかアイランドツーリズムの前田さん。
王位石へのガイドをしてくださったのは前回訪問時にもお世話になった塾長こと前田さん。今回もお世話になります。
宿泊施設である自然学塾村に到着。ここで荷物を置いて着替える。
宿泊施設である自然学塾村に到着。ここで荷物を置いて着替える。
昔の小学校を改築したもの。
昔の小学校を改築したもの。
中はこんな感じ。(写真は夜)
中はこんな感じ。(写真は夜)
テロリストみたいないでたちになった神崎氏。
テロリストみたいないでたちになった神崎氏。
今回一緒に同行したトルコライス写真家の神崎さん。(男パフェなどにも出演。あれからもう10年経つのか…)。
私はこんなかっこう。(ほぼ変わらず。ちょい不安)
私はこんなかっこう。(ほぼ変わらず。ちょい不安)
旧野首教会は改装工事中だった。
旧野首教会は改装工事中だった。
鹿は相変わらず。
鹿は相変わらず。

冒険始まる

準備が整ったらさっそく出発。
テーテテテー、テッテッテー♪
テーテテテー、テッテッテー♪
廃墟ゾーンを越えて
廃墟ゾーンを越えて
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鹿から見られながら歩く。
事前に見たホームページの情報では「往復6時間程度」と書いてあった。なのでてっきりお昼くらいに王位石に着き、午後3時に戻るくらいの行程だろうかと思っていたら、
「昼メシまでには戻ってくる」とのこと。

実際、8時半から登り始め、12時半頃には戻って来た。
約4時間。とはいえ、日頃運動不足な我々にはかなりハードな道のりだった。
野崎島は南北に約6km。中央付近から北の端までなので距離にするとおよそ3kmほどだろうか。
野崎島は南北に約6km。中央付近から北の端までなので距離にするとおよそ3kmほどだろうか。
実際に見たところ。3kmってけっこう遠くに感じる。
実際に見たところ。3kmってけっこう遠くに感じる。
標高は一番高いところで306.4m。
300mというと小さいと思うかもしれないが、海抜0mからスタートしてるので意外と高い。
「軍艦瀬」という岩。たしかに軍艦みたいだ!
「軍艦瀬」という岩。たしかに軍艦みたいだ!
逆側から見るとゴジラの尻尾。たしかに!!
逆側から見るとゴジラの尻尾。たしかに!!
この日は無風だったが、いつもは常に強風が吹いている、ということを物語っている木々。
この日は無風だったが、いつもは常に強風が吹いている、ということを物語っている木々。
壊れた鳥居があるところに到達。この先から道が険しくなる。
壊れた鳥居があるところに到達。この先から道が険しくなる。
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こういう道をハァハァ言いながらしばらく行くと
こういう道をハァハァ言いながらしばらく行くと
やがて周囲の石がでかくなり、近づいてきた感がしてくる。
やがて周囲の石がでかくなり、近づいてきた感がしてくる。
神社に到着。
神社に到着。
ついに王位石までやって来た!
ついに王位石までやって来た!
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パワースポット

高さ24m。上に乗っているテーブル上の石は5m×3m。
これが標高300mほどの山頂近いところに存在している。
この岩に纏わる、さまざまな伝説があるという。
記念撮影
記念撮影
方位磁針が狂うという噂もあったので、
iPhoneに付いてる電子コンパスで確認してみた。
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「北はどちらですか?」
と前田さんに確認すると、正しく北を指しているようだった。

「う~ん、電子コンパスだと影響しないんですかねぇ…」
と言いながら王位石の中心部分に近づいていくと…
鳥肌が立った。
鳥肌が立った。
岩と岩との間に向かってぐるっと針が動いた!
上のスクリーンショットだけでは自分がどっちを向いているかが客観的にわからないので証拠にならないが、これには驚いた。
電子コンパスが岩と岩の隙間、神社がある方向を差した。
電子コンパスが岩と岩の隙間、神社がある方向を差した。
とても人が作れるもののようには思えない。 しかしかと言って自然にこういうものができるのだろうか…?
とても人が作れるもののようには思えない。 しかしかと言って自然にこういうものができるのだろうか…?
サイドから見たところ。
サイドから見たところ。
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王位石より小値賀島方面を見る。
王位石より小値賀島方面を見る。
いやぁ~、やっぱりこれは見に来てよかった。
いやぁ~、やっぱりこれは見に来てよかった。

龍のカタチの石

「もうひとつ面白い石があるよ」
と教えて頂いたのがこの石。
龍の頭のカタチをしているのがわかるだろうか?
龍の頭のカタチをしているのがわかるだろうか?
写真だと若干わかりづらいが、石に穴が空いていて、ちゃんと龍の首のようになっている。
写真だと若干わかりづらいが、石に穴が空いていて、ちゃんと龍の首のようになっている。
むかし盗人が来てここに祀られていた剣を盗んだところ、途中で龍となって戻ってきた、といった伝説があるらしい。面白いのはこの石もまた、説明板も案内表示も、柵も囲いもなんにもなく、ただ神社の横にゴロンと転がっているところ。

これ教えてもらわなかったら絶対にわからなかっただろう。
そういうところも含めて味わい深い。
という感じでミステリームードをたっぷり味わって戻って来た。写真は島内にあるサファリパークのようなエリアを見下ろしながら下りてくるところ。
という感じでミステリームードをたっぷり味わって戻って来た。写真は島内にあるサファリパークのようなエリアを見下ろしながら下りてくるところ。
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ここから先は余談です。

カレー推し

野崎島の宿泊施設では調理器具・調理料が揃っていて、食材さえ持ち込めばなんでも作れそうな環境だ。

野崎島に店はないので、食材は事前に小値賀島のスーパーで調達する。しかし迷った挙句、結局前回訪問時とほぼ同様のレトルト・カレーという芸の無さ。余ったご飯で翌朝のおにぎりを作ったところまで同じ。

食材をたくさん買い込んだはいいが疲れて料理する気力もないくらいヘトヘトだったら…ということも考慮してそうしたが、結論から言うと午後はゆっくり休めたので、ちゃんぽんくらい余裕で作れた。
夕食。
夕食。
朝食。
朝食。
ちょっとだけ前回と違う点は、卵を1パック(10個入り)買った点。

これは大正解で、これだけでもけっこう料理してる感が出た。焼いてよし、茹でてよしと卵が大活躍。神崎さんも卵を絶賛していた。
小値賀のスーパーはカレー推し。
小値賀のスーパーはカレー推し。
そして小値賀のスーパーはなぜかカレーの品揃えが異様に充実していた。これは都会の感覚に変換すると、駅前のコンビニにカレールーがこれだけ並んでいるような感覚に近い。

「これは私にカレーを作れってことだろうか?」
と真剣に悩んだ。

行きたかったところに偶然辿り着く

小値賀島では「民泊」といってホームステイのように普通の民家に宿泊し、そこのご家族と一緒に食事をして島の暮らしを体験できる仕組みがある。

おぢかアイランドツーリズムさんのすすめで、1日目の夕食をこちらで食べさせて頂いた。
畜産業を営む濱元さん宅におじゃまして夕食を一緒に頂いた。みなぎる実家感。
畜産業を営む濱元さん宅におじゃまして夕食を一緒に頂いた。みなぎる実家感。
ちょっとだけ夕飯のお手伝いもさせていただく。
ちょっとだけ夕飯のお手伝いもさせていただく。
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激ウマである。
ついつい酒が進んでしまうおかずだ。

そしていろいろ話しているうちに、唯一私が知ってる小値賀出身の知り合いが、なんとこちらの娘さんだったことが判明した。「苗字聞いた時点でわかるだろう」と思われるかもしれないが、ネット上ではハンドルネームでやりとりしてたので本名を聞いてもピンと来なかったのだ。それが話を聞いてるうちにだんだんヒントが溜まってきて、トイレで用を足している時にふっと記憶の回路が繋がった。

それにしても思い出せてすごくよかった。ずっと行きたいと思っていたところにまったく偶然来られたことに驚いた。こういうこともあるもんなんだなぁ。
濱元さんご夫妻。親父さんは民泊を始められる前からよく知らない人を連れてきては家に泊められていたそうだ。
濱元さんご夫妻。親父さんは民泊を始められる前からよく知らない人を連れてきては家に泊められていたそうだ。

超おしゃれ古民家

小値賀には「古民家ステイ」という昔の古民家を改造した宿泊施設もある。これがまたすごいおしゃれで驚いた。
うわっ、野郎だけで泊まるにはどう考えてももったいない感じのおしゃれな室内。
うわっ、野郎だけで泊まるにはどう考えてももったいない感じのおしゃれな室内。
夏は東京などから女性グループが泊まりにくるとのこと。超納得のおしゃれさだ。風呂・トイレなどの設備も充実している。
夏は東京などから女性グループが泊まりにくるとのこと。超納得のおしゃれさだ。風呂・トイレなどの設備も充実している。
ここも調理用具がひと通り用意されており、食材さえ用意すればなんでも作れる。朝食に卵とソーセージを焼いて食べた。
卵買ってよかった
卵買ってよかった

という具合で、王位石以外の部分でもいろいろ大満足な旅だったのであった。

取材協力:おぢかアイランドツーリズム
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