直行するのはむずかしい
ぼくは東京の巣鴨に住んでいる。会社は溜池山王駅の近くで、首相官邸の裏にある。
毎朝電車で出社して思うのは、「道のりにムダが多いなあ」ということだ。
上の図は、青が電車での道のり。赤は真に会社に直行した場合の道のりだ。
家から真南を向いてまっすぐ行けば会社に着くはずなのに、青い道のなんと曲がりくねって遠回りなことか。「今から会社に直行します」なんて電話で言っても、実際はぐにゃぐにゃと関係ない場所に寄りながら進んでる。
もしも最短距離をまっすぐ進むことができたら、どんな景色なのか。それを見てみたい。
会社はまっすぐ向こうだけど、障害物があって進めない
そのためには、直線の経路に従ってまっすぐ歩き、障害物にあたったら裏に回ることにしよう。あとはただひたすらそれを繰り返す。
実際にやってみたイメージはこんな感じだ。
途中に金網があったので、裏にまわって再びそこから歩き始めた。だからすり抜けたように見える。
これはスマホを手にもって撮影してるんだけど、ふつうに歩きながらやると手ぶれでガクガクしてとても見にくい。今回、手ぶれを安定させるための道具を買ったので、こういうことをやりたくなったのだ。
「はい、ビデオスタビライザ~」
じつは「
まっすぐ海へ行く」という、ほとんど同じ趣旨の記事を7年前に書いている。このときも手ぶれの問題を抑えるために少し工夫したんだけど、今回はもっと滑らかにできるんじゃないか、そんな期待を込めております。
出発点の巣鴨駅にやってきた
とにかく出発地にやってきた。ここから、目的地の永田町まで本来の意味で直行したらどうなるか。約7kmの道のりひたすらまっすぐ歩いてみたいと思います。
なかなか気持ちいい
7kmの道のりを6時間かけて歩き通した。そのようすを1分に圧縮したのでぜひ見てみて下さい。気持ちいいです。(可能なら画質を上げるとより気持ちいいです。)
このスピード感がいい。こんなふうに町のなかをすり抜けて移動できたら楽しいだろうなあと思う。
ぼくたちは景色を見逃している
じっさいに会社に「直行」してみて思ったのは、ぼくは途中の景色を見逃していたんだなあということだ。
たとえばこれは、途中で通った神楽坂の路地の風景。
昔ながらのコインランドリーと銭湯
いい坂
こんなところに素敵な銭湯やいい感じの坂があるとは知らなかった。そしてこれは「まっすぐ行く」ことの効用だと思うのだ。
神楽坂の該当の場所は、地図だとこんなところだ。
ふつうの歩き方をしてる限り、大通り沿いの景色(青い線)しか目に入らない。でも直行する経路(赤い線)は普通じゃないので、奥のほうの路地のなかをくまなく歩くことになる。
こんなふうに、普通じゃない歩き方をすることで初めて見えてくる町の景色というのは確かにある。わざと坂を上ったり降りたりする「スリバチ歩き」、低いところだけ歩く「暗渠歩き」、町の境界だけを歩く「境界歩き」などなど。こういう歩き方をすると、知ってるはずの町であればあるほど発見があり、楽しい。
今回の「直行」も、町の景色を発見する方法の1つだと思った。
近所なのにまったく知らなかったコーヒー豆やさん。とてもいい香りが漂ってた。
素敵なたたずまいのクリーニング屋さん。これも近所。
終点の溜池山王駅から自宅方向を振り返る。
終点に着いてもと来た方を振り返ったとき、この先をひたすら真っすぐ行くと家があるんだよなあということを、はじめて実感した。
まっすぐ歩きまくりたい
このやり方の気持ちよさは、できあがった映像がガクガクと揺れないかどうかにかかっている。
今回は三軸ジンバルという道具によってだいぶ安定したと思う。いろいろ安定させる方法を考えてはまっすぐ歩いて行きたいと思います。