街でみかけたリュック。ベルトが通してある。そうやって使うのか
リュックについてるコンセント
ある日街で見かけたリュックにはコンセントではなくベルトが通されていた。そうやって使うのか。
調べてみるとリュックについてるコンセントはピッケルホルダーというらしい。その名のとおりピッケル(登山につかうつるはしのような道具)を留めるためのものだとか。
なんてこった。信じられない。信じられないので一応コンセントをつけてみてから考えよう。
まさかと思ってとりあえずリュック買ってきた。しまむらで2300円。ほんとだ、コンセントじゃない
リュックの裏から穴をあけてみよう
そして延長コードを目立たないように黒く塗ってから(黒のを買えばいいんだけど)
ホットボンドで留めた。意外としっかりついた
コンセントの穴をあけよう
そういえば穴があいてないんだよなと思ってたリュックのコンセント、しまむらで買ってきたらやっぱり中には電気的なものは一切なかった。
しょうがないのでこっちで穴をあけて延長コードをしこむ。買ってすぐのリュックに穴をあけるのは罪悪感がある。今日使い終わったら娘(5歳)にでもあげようと思っていたのだが
「お父さん、なんで他の子のリュックにはコンセントの穴あいてないの?」
ときかれる日がくるかもしれない。それまでに穴をきれいに埋めるか同級生のリュックすべてに穴をあけて回るかだ。
できた。これがリュックサックの本来の形だろう
もちろんちゃんと充電されているんだけども
横から延長コードがでていてコンセントにつながっている……ということはこれリュック型の延長コードでしかないのだ
これリュックサックなのか?
リュックのコンセント口に延長コードをつけた。もう片方をコンセントに差し込めばちゃんと通電した。やった。電話も充電できる。そしてコンセントから離れられない。
コンセントから離れられず電気だけ使える。私は今、分類学上哺乳類というより延長コードに近い。
そんなときのわが家の秘密兵器、ポータブル電源である
ポータブル電源を仕込もう
ここで押入れから秘密兵器登場。数年前に買ったポータブル電源である。これをリュックに仕込めばコンセント口がついていて屋外でも使用できる。
ただ問題がひとつあって、充電する電源アダプターを紛失してしまったのだ。しょうがないので秋葉原で似たような数値のアダプターを買ってきたのだが一向に充電される気配はない……おい、どうした
ボルト数やアンペア数など似たようなものを買ってきたのだが充電されない。
なんでも詳しい友人の池田くんがそれじゃだめだからバイクのバッテリー用の電圧高いアダプターを貸すという。
なんだ、怖いこというのか
やめろよ! 怖いこというなよ!
電源が入らないトラブル
お店で手に入るものからできるだけ数値の近い電源アダプターを買ってきたのだが充電できず。
困ったので詳しい友人の池田くんに相談するともっと電圧の高いアダプターを貸してくれるという。だがそれでも数年放置したものは充電できないかもしれないらしい。
そのうえ充電してても「水素が出て爆発するかもしれないので気をつけてくださいね」という。水素が爆発。記事を書いていてそんな言葉をきいたことがない。これは記事も自宅もダブルで炎上することになるぞ。
これで充電されていくはずなのだが…
水素、爆発、水素、爆発……もう何も考えられない。
その後これも言って帰っていった。怖そうな化学物質で脅すのはやめろよ!
水素が爆発するらしいのであきらめました
水素が爆発するかもしれない週末がはじまった。
妻と子は保育園のソリ合宿というものに出かけたので一安心だ。別れ際に子をしっかり抱きしめた。
いよいよ充電をする。こまめにチェックするが熱くはならない。まだ水素は爆発しなさそうだ。そして肝心の充電もできてないみたいだ。
よし、このままだと爆発するのであきらめよう。助かった。小さなアルマゲドンはここで終わった。
何時間かやったが一向につく気配がないのであきらめた
想定していたリュックはこんな感じになる。リュックほぼ一杯が電源装置だ。機能性がどんどん下がるな
背負ってみると……重い。はたしてこれがおれの想像していたリュックの本来なのだろうか。ヘルニア悪化装置かなにかじゃないのだろうか。
新たに相談。ポータブル電源なら編集部にあるという。それだ!
編集部が電源持ってるらしい
コンセント仕様のリュックを作りたいのだが電源がない。だがデイリーポータルZの編集部に相談したらどうやらポータブル電源を持っているらしい。なんだったんだ、水素の爆発。地球を救って徒労におわったブルース・ウィリスの顔を見たことがあるか。
デイリーポータルZ編集部の藤原がポータブル電源をもって来てくれた。救世主あらわる
藤原、まさかとは思うけどちょっとリュックにその電源入れてみてくれないか。入らないんじゃないか
藤原、腕まくりでどうにかなるのか
なるほどコロンブスの卵的な…上からかぶせるのか
やはりこれが限界か
電源がでかい
屋外でコンセントを使おうと思うとやっぱり大掛かりな電源になる。藤原が持ってきたものもリュックには入らなかった。
そうだ、そうだよなあ。ひとつくらいほんとにコンセントがついてるリュックがあってもいいと思っていたが、こういう理由なんだな。
納得がいかない思いから人を押してみました
もう少し人を押しました
テープを持っていたのではみ出た部分を固定した
さあこれを背負うわけだが…
ああ、こうなるのか
わかった、これやっぱりピッケル留めておくやつだな
リュックにはピッケルを留めてください
「隣の部屋に幽霊なんていないよな」と思いながら隣の部屋のドアをあけてみたことはないだろうか。もちろん幽霊はいない。
やってみて初めてわかることはたくさんある。だがやってみなくてもわかることはそれ以上にもう死ぬほどある。
リュックにコンセントをつけられるようにしてみたがやはりそういうものではないようだ。電源が大きすぎるし重すぎる。だいたいわかっていたがやっぱりそういうことだった。
だがこれでやっと頭の中にあらわれていた幽霊は姿を消す。除霊完了である。
さようなら、コンセントのついたリュックサック。そしてこんにちは、ピッケルのついたリュックサック。あらため~。認識のあらため~(イッコーさん)