特集 2015年1月15日

ハタハタだらけのハタハタフェスティバルがあった!

まさかハタハタだらけのイベントがあったとは…!
まさかハタハタだらけのイベントがあったとは…!
先日、といっても去年の話になるが、東京で「ハタハタフェスティバル」というイベントがあった。

とにかくハタハタがメインの催しである。ハタハタ祭りと言ってもいいだろう。

ハタハタといえば秋田の県魚であり、秋田育ちの筆者は子どもの頃からアホかっちゅうほどに食べてきた魚だが、上京してからというもの食べる機会が激減している。

そんなハタハタのフェスティバルがあるとは!と浮かれていたのだが、ひとつ気になることがあった。このイベント、鳥取県との共催なのだ。どういうことだ。いつのまに鳥取もハタハタ県になっていたのだろう…。

いささかのショックを受けつつ挑んだハタハタフェスティバルの様子をレポートしたい。
1968年秋田県生まれ。食べたり飲んだりしていれば概ね幸せ。興味のあることも飲食関係が中心。もっとほかに目を向けるべきだと自覚はしています。

前の記事:なんでもチーズ イン!


フェスタの前に(副題:秋田とハタハタ)

ハタハタがどれほど秋田の食生活に根付いた魚か、県外の皆さんはあまりご存知ないことと思う。

全国的にメジャーな魚ではないが、秋田におけるハタハタというのは「あって当たり前」であり、これがなきゃ冬が始まらないとさえ言われる存在なのだ。

というわけで、年末に帰省した際に垣間見た、その愛されっぷりの一端を紹介させていただきたい。

話はそれからにしようではないか。
ハタハタの漁獲高は毎年テレビのニュースになります(もちろんローカル限定)
ハタハタの漁獲高は毎年テレビのニュースになります(もちろんローカル限定)
水揚げが多くても少なくても報じられるほど、県民の関心事。
水揚げが多くても少なくても報じられるほど、県民の関心事。
昭和40年代生まれの筆者が子どもの頃は、家でハタハタをケース買い(木製のトロ箱だった記憶)していた。それほどたくさん獲れたし、何より安かったのだろう。

しかし乱獲等によってすっかり数の減ったハタハタは、いつしか高級魚になってしまった。

ハタハタを守るため、自主的に「全面禁漁」に踏み切るなどの措置を経たことにより、近年はいくぶん漁獲量も持ち直したようで、県内の魚売り場はこの時期、見事なまでにハタハタまみれになる。
どーん。これ全部ハタハタです。
どーん。これ全部ハタハタです。
ハタハタ寿し(飯寿司の一種)も冬の郷土食。各家家庭、各店舗でそれぞれ味が微妙に異なります。
ハタハタ寿し(飯寿司の一種)も冬の郷土食。各家家庭、各店舗でそれぞれ味が微妙に異なります。
実家でも、当然のようにハタハタが出てきた。

この珍しくもなんともなさは、秋田におけるアジの開き的位置づけと言えるかもしれない。
白身で淡白な魚なのに、麹などに漬け込んだあとで焼くとうまみがどえらいことに。ちなみにハタハタ、ウロコはありません。
白身で淡白な魚なのに、麹などに漬け込んだあとで焼くとうまみがどえらいことに。ちなみにハタハタ、ウロコはありません。
さらに、ハタハタ寿し(麹で漬けたもの)を母が独自にアレンジした物も出てきた。
いくらでも食べられそうだし、とんでもなく酒(もちろん日本酒)がすすむ。
いくらでも食べられそうだし、とんでもなく酒(もちろん日本酒)がすすむ。
塩で揉んだ大根で包まれたハタハタ寿しは、市販のものより野菜がふんだんに入っており、たまにプチプチと口内ではじける卵(ブリコ)も楽しく、いいアクセントになっている。
子どもの頃はあまり好きではなかったが、大人になってから好物に。うまいなー。
子どもの頃はあまり好きではなかったが、大人になってから好物に。うまいなー。
帰路の秋田空港でも、おみやげ売り場はハタハタだらけだった。
空港内は、なまはげもたくさんおります。
空港内は、なまはげもたくさんおります。
冬といえばやっぱりハタハタ寿しなのだ。
冬といえばやっぱりハタハタ寿しなのだ。
とにかく、県内各地のいろんなハタハタがズラリ。
とにかく、県内各地のいろんなハタハタがズラリ。
ちなみに秋田ではパイもハタハタ。しょっつる(ハタハタの魚醤)で味付けされております。うまいぞ。
ちなみに秋田ではパイもハタハタ。しょっつる(ハタハタの魚醤)で味付けされております。うまいぞ。
空港内のレストランにもハタハタがあったので、食べてみた。
一夜干しをセレクト。
一夜干しをセレクト。
小骨が少なく、頭からバリバリ食べられる。たまらん。
小骨が少なく、頭からバリバリ食べられる。たまらん。
すっかり話が前後したが、さてイベントである。フェスティバルである。

これほどまでにハタハタを愛する秋田で育った筆者が、イベントを鳥取と共催すると聞いて「え、なんで?」と訝しんだこと、ご理解いただけただろうか。

さらに「鳥取のハタハタ? ほほう、一体どんなもんか食べてやろうじゃないの」と、若干の上から目線で挑んだことも、ついでに告白しておこう。

雨のなかのハタハタ

このイベント、なんと今回で4回目らしい。いつのまにそんなに回を重ねていたのか。その存在自体をまったく知らなかった過去3年間の自分に喝を入れたい気分だ。うかつっぷりにも程があろう。
会場付近はハタハタの幟がはためきまくり、
会場付近はハタハタの幟がはためきまくり、
入り口では、なまはげが出迎えてくれます。
入り口では、なまはげが出迎えてくれます。
中にはさらなるなまはげが待ち受け。
中にはさらなるなまはげが待ち受け。
築地本願寺前の広場がイベントスペース。
築地本願寺前の広場がイベントスペース。
写真でお分かりいただけるだろうが、イベント初日はあいにくの雨であった。

飲食のために用意されたテーブルや椅子がたくさんあるのだが、雨のせいでほとんど座る人がいない。というか人もまばらである。

が、そのうちテントが搬入され、椅子に座っての飲食が可能になった。ありがたい。
あきたこまちの宣伝ブース。ミスあきたこまちも待機!
あきたこまちの宣伝ブース。ミスあきたこまちも待機!
鳥取県の観光PRブースには、ゆるキャラ(トリピー)も。
鳥取県の観光PRブースには、ゆるキャラ(トリピー)も。
カサを持っての飲食がいかに大変なことであるかを実感。
カサを持っての飲食がいかに大変なことであるかを実感。
そんな悪条件の中でも皆さん、がんばっておりました。
そんな悪条件の中でも皆さん、がんばっておりました。
ハタハタ以外にも、各県の名物料理である「きりたんぽ鍋」や「カニ汁」などを供するブース、県のPRブースなどがあり、とにかく盛りだくさんなことになっている。

しかし、メインはあくまでハタハタ。
これはハタハタの模型。本物かと思うほどそっくり。
これはハタハタの模型。本物かと思うほどそっくり。
さらには「HATA-1 グランプリ」という、いろいろなハタハタ料理を食べ比べ、投票して順位をつけるイベントも行われるという。

うむ。これが目的で来たといっても過言ではない。懐かしい郷土の味を食べられるのも魅力だが、今回は未知なる鳥取のハタハタも食べられる。

いったい彼の地では、どうやってハタハタを食べているのだろう。
HATA-1グランプリ参加ブースでは「投票には割り箸を使ってくださーい」と説明が。
HATA-1グランプリ参加ブースでは「投票には割り箸を使ってくださーい」と説明が。
目の前に、やたらうまそうに食べてるおじちゃんがいた。見てるとこちらも食べたくなりますな。
目の前に、やたらうまそうに食べてるおじちゃんがいた。見てるとこちらも食べたくなりますな。
よし、雨にも負けずに私も食べよう! 食べまくろう!

カーン!(試合開始のゴング)
まずは、昨年のHATA-1グランプリ優勝のこちらを。
まずは、昨年のHATA-1グランプリ優勝のこちらを。
秋田の「しょっつる鍋」。豆腐やネギなどと一緒にハタハタが入った一品。
秋田の「しょっつる鍋」。豆腐やネギなどと一緒にハタハタが入った一品。
中からとろりと粘り気のあるブリコ(魚卵)の詰まったハタハタが。
中からとろりと粘り気のあるブリコ(魚卵)の詰まったハタハタが。
ああ、ハタハタだ…。安定のおいしさ。
ああ、ハタハタだ…。安定のおいしさ。
これぞ秋田の冬の味覚! しょっつる( ハタハタの魚醤)を使っているため、汁全体からハタハタが感じられ、ハタハタ好きにはたまらんことになっている。

昨年の優勝メニューであることに加え、寒かったせいもあり、このブースには人がよく集まっていた。
次も秋田のハタハタうどん。昨年のHATA-1では3位だったそうだ。
次も秋田のハタハタうどん。昨年のHATA-1では3位だったそうだ。
ハタハタが練り込まれているらしい。
ハタハタが練り込まれているらしい。
まるでニシン蕎麦のような「焼きハタうどん」。わかりやすくていい。
まるでニシン蕎麦のような「焼きハタうどん」。わかりやすくていい。
これは初めて食べた。うどんから特にハタハタらしさは感じられなかったが、上に乗ったハタハタと一緒に食べるととてもおいしい。

私が秋田にいた頃には見かけなかったメニューだ。そうか。いまはこういう食べ方もあるんですね。

さて、どんどん行こう。次は昨年度2位のこちら。
秋田の「ハタハタメンチカツ」
秋田の「ハタハタメンチカツ」
ハタハタの骨まで丸ごとミンチにしたというメンチである。秋田ではいま給食のメニューにもなっているらしいが、まったくもって羨ましい限りである。

こんなもん、おいしくないわけがない。

ソースもいいが、醤油をかけて食べたくなるカツだった。いや、どうせなら薄めたしょっつるをかけるべきか。さすがにやりすぎか。
次は、甘酢あんがかかった「ハタハタ団子」。これも秋田のもの。
次は、甘酢あんがかかった「ハタハタ団子」。これも秋田のもの。
味のイメージとしては、酢豚を思い浮かべてもらえれば、ほぼ正解である。

団子がゴロゴロ入っていて、なんとも嬉しい。
中はいわゆる「つみれ」ですね。
中はいわゆる「つみれ」ですね。
しかし甘酢の味が強すぎるためか、肝心のハタハタっぽさが隠れてしまっているのが残念といえば残念であった。

その点、次のこれは見た目・味ともにハタハタ! である。
ハタハタの唐揚げ。これも秋田のブースより。
ハタハタの唐揚げ。これも秋田のブースより。
外はパリッと揚がっているのに身はしっとりしていて、いかにもビールのつまみにうってつけだ。なにしろうまい。しかも骨ごとハタハタを堪能できる。

若干中骨が気にならないでもないが、私はバリバリと食べられた。問題なし。うん、うまいようまいよ!

まさか鳥取のハタハタが…

さて、ここらで鳥取ハタハタも食べてみなければなるまい。

まずは比較の意味も込めて、同じく唐揚げを買ってみた。これは違いがハッキリわかるぞ。
若干小ぶりのものを揚げた、鳥取バージョンのハタハタ唐揚げ。
若干小ぶりのものを揚げた、鳥取バージョンのハタハタ唐揚げ。
ううっ…
ううっ…
第一声が「ヤバい」だった。

ヤバいには幾通りかの意味があるが、その全てに当てはまる「ヤバい」である。

まず、小ぶり故のスナック感覚的な食べやすさ及び、カラリとした揚がりっぷりのヤバさ。そして「あれ… もしかして秋田、分が悪いのでは…」という本来の意味でのヤバさ。

思いがけないおいしさに戸惑いを隠せなかった。いや、まさか、そんな。

他はどうなっているんだろう。続けて鳥取のハタハタを食べてみよう。
鰰取県、とまで言わせておいていいのか。
鰰取県、とまで言わせておいていいのか。
この「しろはた三種盛り」、セットで200円というのが一番の驚きだった。
この「しろはた三種盛り」、セットで200円というのが一番の驚きだった。
白ハタ炙り寿司と白ハタおから寿司
白ハタ炙り寿司と白ハタおから寿司
こっちの汁もうまいな…
こっちの汁もうまいな…
ハタハタのこういう寿司を食べたのは初めてだったが、非常にうまい…。どういうことだろう。ていうか白ハタというのはなんなんだ。

脂の量が違うハタハタだった

聞けば、鳥取では昔からハタハタのことを「白ハタ」と呼んでいるそうだ。

さらに、鳥取のハタハタは山陰沖を回遊中のものを獲るため脂のノリがすごいのだという。そのため、なかでも大きいものは別名「トロはた」とも呼ばれているらしい。

一方、秋田のハタハタは産卵をしに秋田沖に来たところを獲るため、卵がある一方、身はあくまで淡白という特徴がある。

うーむ。これは…。我々は種類の違うハタハタと闘っているのではあるまいか。しかもトロって…。
続けて「ハタハタの天丼」。もちろん鳥取のハタハタ。
続けて「ハタハタの天丼」。もちろん鳥取のハタハタ。
ああっ! …こ、これは!
ああっ! …こ、これは!
ひとくち食べて、思わず口から出た言葉が「これうまい! 今日食べたなかで一番うまい!」だったことをお詫びしたい。

すみません。秋田のみなさん、本当にすみません。

でもこれ、もうしょうがないんです。ハタハタがトロなんですもの。「これ、フグの天ぷら?」ってほどにフワッとしてて、白身なのに脂がのってて、なんつーかもう。…絶品でした。
続いてまたも鳥取から「べにずわいハタハタ丼」。ちょっと! これ反則だろう!
続いてまたも鳥取から「べにずわいハタハタ丼」。ちょっと! これ反則だろう!
おいおい、ハタハタの昆布締めが乗ってるぞ!
おいおい、ハタハタの昆布締めが乗ってるぞ!
カニ、イカ、そして昆布締めのとろハタだ。なんなんだ。やっていいことと悪いことがあるだろう。まるで地域のおまつりにレディー・ガガを呼ぶようなもんじゃないか。こういう場で、まさかこんなうまいものが食べられるとは…。

これはサイズの大きなとろハタだから可能な食べ方なのだろうか。

去年のHAHA-1グランプリのトップ3が秋田だったことで、俄然やる気を見せたとしか思えない鳥取の猛攻に、「ハタハタといったら秋田だべ」の筆者もダウン寸前である。完全にフラフラだ。
さらに鳥取の「ハタハタ焼きそば」
さらに鳥取の「ハタハタ焼きそば」
おお、こういうジャンクなものも、ちゃんとあるじゃないか。ホッとした。

うん、こういうのはいいですよねえ。安心して食べられるし、なんたって平常心でいられます。ええ。

「俺たちの祭の舞台に商店街のカラオケ大会が戻ってきたどー!」くらいの安心感と共に完食。焼きそばもハタハタもおいしかったです。
さらに鳥取から、謎の「いただき」なる食べ物。とにかく巨大!
さらに鳥取から、謎の「いただき」なる食べ物。とにかく巨大!
中にはごはんやら野菜がぎっしり。ハタハタも入っているらしい。
中にはごはんやら野菜がぎっしり。ハタハタも入っているらしい。
こうして、かぶりつくしかない!
こうして、かぶりつくしかない!
いただき、というのは鳥取の郷土料理らしい。初めて知った。

大きな油揚げの中に生米やら野菜を入れ、だし汁で炊き上げたものを指すのだそうだが、これが素朴この上ない味で、すっかり気に入ってしまった。

「ハタハタ入り」とあったが、とくに確認することなくあっというまに完食(すみません)。
さすがに腹が膨れたので投票へ。
さすがに腹が膨れたので投票へ。
おいしかったメニューの箱に、割り箸を投入した。

まだ食べていないものもいくつかあったが、いっぷう変わった食べ方のハタハタ料理は制覇できたのではないかと思う。おおむね満足だ。

ステージでは、雨のため場内を練り歩くことのできない着ぐるみやなまはげが記念撮影のために登壇。

さらにこの日は両県の知事がトークショーを繰り広げていた。(翌日は「さかなクン」が登場した模様)
ゆるキャラ、そしてなまはげ。
ゆるキャラ、そしてなまはげ。
ハッピを着た知事のお国自慢対決も。
ハッピを着た知事のお国自慢対決も。
後日、HATA-1の投票結果を聞いた。

1位は鳥取のとろハタを使った「ハタハタ一夜干し焼き」だったそうだ。(なんと食べてない…!)

そして2位は秋田の「しょっつる鍋」、3位は鳥取の「しろはた三種盛り」だという。

そうか。タイトルは鳥取の手に渡ったのか。そうか。

ショックです

悔しい。悔しいが「敵ながらあっぱれ」と言うしかない。鳥取のハタハタ(とろハタ!)は確かにおいしかったし、食べたことのない料理に心ときめいたことも認めよう。

が。しかし。

このままでいいわけがなかろう。元秋田県民の筆者でさえこう思っているのだから、関係者はもっと悔しい思いをしているはずだ。どこよりもハタハタを愛する県としてのプライドも許さないだろう。

次回参加予定者はすでに次回のHATA-1にむけた策を練っているに違いない。だとすれば、こうしてライバルが現れたのはラッキーだったと言える。

両県が切磋琢磨して、さらにおいしいハタハタ料理が食べられるようになれば、それでいいんですから…と精一杯の負け惜しみを言って、来年の開催を楽しみに待とうと思う。
ハタハタをつまみに、来年は日本酒を飲みまくりたい!(場内でたくさん売ってます)
ハタハタをつまみに、来年は日本酒を飲みまくりたい!(場内でたくさん売ってます)
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