



中村庸夫「海獣たちの地球」(誠文堂新光社)

オットセイは、強いオスがハーレムを作って生活する。
参考にした上の本には、キタオットセイのハーレムの写真が載っていて、1頭のオスが写っている限りで50頭以上のメスに囲まれている。
この本は「子供の科学」シリーズ。図書室で手に取った男子中学生が見たら、どんな風に思うだろう。
写真は全体的に密集感がむちむちしていて、迫力がすごい。こうして強いオスがハーレムを形成することからなのだろう、次のような話にもつながっていく。
参考にした上の本には、キタオットセイのハーレムの写真が載っていて、1頭のオスが写っている限りで50頭以上のメスに囲まれている。
この本は「子供の科学」シリーズ。図書室で手に取った男子中学生が見たら、どんな風に思うだろう。
写真は全体的に密集感がむちむちしていて、迫力がすごい。こうして強いオスがハーレムを形成することからなのだろう、次のような話にもつながっていく。




描かれたオットセイも気持ちドヤ顔

オットセイ抽出エキスが含まれているという「オット精G」。ダジャレと迫力とが両立しているドリンクと言えるだろう。実際に飲んでみよう。


ん?んん?……んー?

いかにも栄養系ドリンクという濃厚な味わい。そのあと、高級ソーセージのような香りが鼻腔にふわっと漂うように思える。
少し味見した妻によると「親戚にこういう匂いのするおじさん、いた」とのこと。
わかる気がする。「そのおじさん、金持ちだった」とも。「オット精G」は定価1本1000円なので、結構な高級ドリンク。そのおじさん、飲んでたのだろうか。
少し味見した妻によると「親戚にこういう匂いのするおじさん、いた」とのこと。
わかる気がする。「そのおじさん、金持ちだった」とも。「オット精G」は定価1本1000円なので、結構な高級ドリンク。そのおじさん、飲んでたのだろうか。


飲用前


飲用後

メーカーサイトの説明によると、「オット精G」の即効性は5つ星満点中の「★★★★」。
ただ、飲む前後の自分を比べてみると、むしろ飲用前の方がおかしな表情をしている。普段からテンションが高いと、こういうとき参考にならない。
オスがハーレムを築く習性からエキスが珍重されるようになったのだろうが、裏返して考えると次のような現実もある。
ただ、飲む前後の自分を比べてみると、むしろ飲用前の方がおかしな表情をしている。普段からテンションが高いと、こういうとき参考にならない。
オスがハーレムを築く習性からエキスが珍重されるようになったのだろうが、裏返して考えると次のような現実もある。



ウィキペディア「オットセイ」の「生殖」の項によると、ハーレム争いに負けると、若いオスは成長を待ってリベンジする場合もあるとするものの、「多くのオスは再チャレンジする気力を失い、メスとの交尾の機会を持てずに同性の集団生活において生涯を終える」とある。


パッケージの君は勝ち組なのか?

動物の生態を知って、こんなせつない気持ちになったのは初めてだ。
気になることもある。精力剤に使われているオットセイエキスは、ハーレム王から抽出したものなのか。現実的に考えると、少数派の勝ち組からエキスを取るのは難しい気がする。
負け組オットセイから抽出したエキスだと、負け癖ついたりしないだろうか。
気になることもある。精力剤に使われているオットセイエキスは、ハーレム王から抽出したものなのか。現実的に考えると、少数派の勝ち組からエキスを取るのは難しい気がする。
負け組オットセイから抽出したエキスだと、負け癖ついたりしないだろうか。

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そう言えば「アシカショー」はよく聞くが、「オットセイショー」は耳になじみがない。東武動物公園のサイトによると、「ショーをするのはほとんどがアシカなので当園のオットセイショーは大変に稀」とのこと。


そういうわけで、実際に東武動物公園へとやってきた。1日に平日・土曜は2回、日曜・祝日は3回のショーが行われる。
開始時刻近くになるとお客さんが集まってきて、お姉さんとオットセイが登場だ。
開始時刻近くになるとお客さんが集まってきて、お姉さんとオットセイが登場だ。


余計な知識をもって見ると感慨深い



イルカやシャチのショーではジャンプは見せ場の1つだが、オットセイにはそういうイメージのない人が多いのではないか。


実は結構いけます


やればできるんです

イメージがない分、実際にジャンプしているところを見ると「あいつ、結構やるなあ!」と思わされる。
もちろんイルカと比べるとジャンプの高さは低いが、ここで人間社会への応用として学んでおきたいのは「跳べそうな気がしない」というイメージ作り。
イメージに反した意外ながんばりを見せると、周囲が驚いてほめてくれる。イメージとの落差で実態以上の評価を得る方法として心がけたい。
もちろんイルカと比べるとジャンプの高さは低いが、ここで人間社会への応用として学んでおきたいのは「跳べそうな気がしない」というイメージ作り。
イメージに反した意外ながんばりを見せると、周囲が驚いてほめてくれる。イメージとの落差で実態以上の評価を得る方法として心がけたい。



個体差もあるのだろうが、ショーに出てきたオットセイはとにかく落ち着きがない。


そんなきみが好きだ

これは個人的な感覚かもしれないが、落ち着きのない動物を見ると楽しい気持ちになってくる。


ジャンプ力No.1のケープ


落ち着きがないという個性

動物紹介の表示によると、ショーに登場したのはミナミアフリカオットセイのケープ(♀)。「東武動物公園以外でもケープほど高くジャンプするオットセイはたぶんいません!」とされながらも、「落ち着きがない…」と半ばあきれられたようにも書かれている。



そんなケープだが、お姉さんが合図を出すとしっかりとポーズを決めてくる。


ピーン!

かっこいいではないか。


こういうバージョンのピーン!もあります

ここで人間社会への応用として学んでおきたいのは「言われたらピーンとなる」ということだ。


合図ですばやくピーン!

普段は落ち着きなくチャカチャカしていても、何か言われたらすぐにピーン!となる。そう振る舞うことで「こいつ、意外と聞いてるんだな」という評価につながることを期待したい。

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何を言ってるのかわかりづらい話だと思う。ウィキペディアの話を参考にすると、以下のようになる。
パソコンなどで変換してみるとわかるが、「オットセイ」は漢字で書くと「膃肭臍」となる。
中国ではこのうち「膃肭」の部分がオットセイ全体を意味する言葉。オスの生殖器は「膃肭臍」と呼ばれ、精力剤とされていたとのこと。
パソコンなどで変換してみるとわかるが、「オットセイ」は漢字で書くと「膃肭臍」となる。
中国ではこのうち「膃肭」の部分がオットセイ全体を意味する言葉。オスの生殖器は「膃肭臍」と呼ばれ、精力剤とされていたとのこと。


東武動物公園で唯一のオス、メテオ

日本に入ってきた際にどういう拍子か、この「膃肭臍」という生薬名がオットセイという動物全体を指す言葉となったらしい。
つまり、オットセイは中国では「オットセイのペニス」ということになるわけだ。
つまり、オットセイは中国では「オットセイのペニス」ということになるわけだ。


ケープはメスなのにオットセイって呼んでごめんな

知ってしまうと、メスのオットセイをオットセイと呼ぶことに申し訳なさを感じてしまう知識だ。今後「オットセイ」と発音するとき「オットセイ…!」と、不要な余韻を心で描いてしまう気もする。



BS-TBSの「謎解き!江戸のススメ!」によると、江戸時代の11代将軍である徳川家斉は、「大奥に約40人もの側室がいた」とのこと。この記事の1ページ目で紹介した、オットセイのハーレム状態ではないか。


徳川家斉、がんばり過ぎだろ

さらには「精力増強のためにオットセイの睾丸を粉末にして飲んでいたことから、『オットセイ将軍』の異名まで付けられました」とのこと。
オットセイ将軍。「暴れん坊将軍」というドラマがあったが、オットセイ将軍もかなりの暴れん坊ではないか。
子供の数も「歴代将軍中、最多の55人」。爆発的な繁殖力だが、それは本家オットセイも負けてない。
オットセイ将軍。「暴れん坊将軍」というドラマがあったが、オットセイ将軍もかなりの暴れん坊ではないか。
子供の数も「歴代将軍中、最多の55人」。爆発的な繁殖力だが、それは本家オットセイも負けてない。



オットセイは毛皮の質が高く、多くの種に乱獲された過去がある。


荒井一利(文)・田中豊美(絵)「海獣図鑑」(文溪堂)

写真の「海獣図鑑」によると、例えばナンキョクオットセイは1930年代には100頭ほどにまで減ってしまったとのこと。野生で100頭って、かなりのピンチだろう。ほぼ絶滅と言ってもいいのではないか。
しかし、そののち次第に回復し、現在は160万頭以上と推定されるとのこと。
しかし、そののち次第に回復し、現在は160万頭以上と推定されるとのこと。


がんばったんだね

100頭から1600000頭。まさしく超回復。
絶滅しなかったのは何よりだが、回復力が爆発的。今後、オットセイを見たら「オットセイさん…!」と、さん付けしたくなる勢いだ。
絶滅しなかったのは何よりだが、回復力が爆発的。今後、オットセイを見たら「オットセイさん…!」と、さん付けしたくなる勢いだ。







東武動物公園のトイレの迫力



さまざまな角度からすごい、オットセイの実態。これからの人生で困難に出会ったら、オットセイのことを思い出して自分を奮い立たせたい。
アウトテイクとした「オットセイのここがすごい!」は「オットセイのペニスには骨が通っている」です。
