正月が終わるときな粉の扱いに困る
最初に言いますと、今回の記事はレシピ検索サイトのクックパッドとの連動企画です。
恵比寿のおしゃれなキッチンスタジオできな粉料理作ります。
クックパッドでは正月が明けた1月中、「きな粉」をキーワードとしたレシピ検索が上位になるそうです。
砂糖を混ぜて餅につけるぐらいしか使わないという人が多いきな粉。餅欲の高まる正月が過ぎたらその役目をほぼ終え、残ったきな粉の使い道に困っている様子が思い浮かびます。
甘くない味のきな粉料理を作る
クックパッドのキッチンスタジオできな粉料理を作ります。仕上げだけですが。
きな粉の使い道に困るこの時期。きな粉を使った料理というと、砂糖を足してお菓子などに使うというものを思い浮かべる人が多いと思います。
実際検索であがってくるレシピもお菓子やパンなどのレシピが多めです。
しかし、きな粉は砂糖を使って甘くする以外にも色々な料理に使えます。幾つか紹介します。
まず、きな粉と麹と塩と水を使って作る「きな粉塩麹」です。
きな粉が入るので、通常の塩麹を作るときよりも水は多めで塩は同量程度。乾燥麹を戻すお湯の温度は60度以下で。
材料はきな粉、麹、塩、水です。分量は作りやすい量で以下になります。
材料
きな粉 100g
麹(乾燥したもの) 100g
塩 45g
水 350~400ml程度
作り方は塩麹とほぼ同じ。水を沸かして塩を入れて溶かしてから冷まし、乾燥麹と合わせて柔らかくしてしばらく保温します。
見た感じで水分が足りなかったら適宜足します。
1、2時間保温しておいた麹をきな粉と混ぜ合わせます。あとは室温に置いて一日1回程度混ぜ、10日ほどすれば出来上がりです。
野菜や豆腐に添えたり、煮物に入れたり色々使えます。
出来上がったきな粉塩麹は丸みのある塩味にきな粉の風味が加わり、独特な香ばしい旨味を持っています。
茹でたほうれん草に添えただけでいい酒の肴になります。
茹でた野菜や豆腐に添える。煮物に足す。炒め物に加えるなど様々な物に使える便利な調味料です。
沖縄のアンダースー(油みそ)のアレンジです。
麹に続いて味噌ときな粉を合わせた料理を紹介します。「きな粉肉みそ」です
材料と分量は以下になります。
材料
きな粉 100g
豚ばら肉ブロック 250g
味噌 200g
砂糖 1/2カップ
甜麺醤 40g
みりん 1/2カップ
酒 1/2カップ
ラー油 大さじ1
豚ばら肉を茹でた煮汁はいいダシが出ているのでスープに使えます。
作り方は、まず豚ばら肉を40~50分茹でます。茹でたものはサイコロ大に切り分けます。
茹でて脂が出ているはずなに、まだ脂が出る。脂は旨いよね。
混ぜるのに時間がかかるし、最初は重いのでちょっと大変。
肉から脂が出てきたら残りの材料を全部入れ、弱火にして更に煎っていきます。
冷蔵庫で3、4か月は保存可能です。
焦げ付かないように混ぜながら15分から20分程度煎ったら出来上がりです。
じゃが芋やごはんなど炭水化物に良く合う。豆腐などに乗せてもよし。このままでもいい酒の肴となります。
出来上がったきな粉肉味噌は味噌、肉、脂、きな粉の旨味が合わさり、甘じょっぱい後を引く味わいとなります。
沖縄にアンダースーという豚ばら肉と味噌、砂糖を使った家庭料理があって、それにきな粉を足したような感じです。きな粉はうまみ成分であるグルタミン酸が多く含まれているので、味噌だけの時よりも旨味を多く感じられます。
きな粉と酢もよく合う。
麹,、味噌に続いて酢ときな粉を合わせた料理を紹介します。「きな酢」です。以前「
ココア寿司、できました!」という記事でも紹介しています。
分量は以下になります。これをよく混ぜ合わせればきな粉酢は出来り。
材料
きな粉 大さじ2
酢 大さじ2
白ゴマ油かオリーブオイル 大さじ2
醤油 小さじ1
砂糖 小さじ1
塩 小さじ1/2
菜花、レンコン、イカ刺の他、鯵やサーモンの刺身、ほろ苦い春野菜などにかけてもおいしいです。
茹でた野菜や魚などとあえて食べるとおいしいです。きな粉の香ばしい香りと酢の酸味が野菜のほろ苦さや、魚の旨味とよく合います。
全体的に酒の肴な料理となっていますが、ごはんと一緒でもおいしいですよ。
このように、タンパク質や繊維質など各種栄養分を多く含み、うま味成分も多いきな粉は、お菓子やパンだけでなく、通常の料理にもおいしく使えておススメです。
クックパッドニュース編集部の方にも大変好評でした。きな粉肉味噌が一番人気だったか。
ところできな粉はどうやって作るの?
さて、お菓子だけでなく料理にも使えるきな粉。家庭でも作る事は可能です。
道具が色々必要で多少手間はかかりますが作れます。
続いて自家製きな粉を各種の豆で作っていきます。驚く物が出来ました。
煎って、砕いて、ふるいにかけて
きな粉作りではまず豆を煎ります。
フライパンで煎るのが面倒な時は低温のオーブンでじっくり焼いても構いません。
10分から15分ほど煎って、皮が少し弾けて香ばしい香りが出てきたらOKです。より香ばしい物が好みの方はもう少し煎っても構いません。煎りすぎると苦くなります。
ミルサーのような粉末状まですりつぶしてくれる機械があるとより楽です。
豆を冷ましたら次は砕いていきます。叩いて細かく砕いてからすり鉢ですっていくか、フードプロセッサーで細かくしていきます。
フードプロセッサーだと全部を粉状にするのは難しいので、残ったかけらは別の料理に使います。
細かく砕いたものをふるいにかけ、粉状の部分と粒をより分ければきな粉の出来上がりです。
粉にしても豆の色がなんとなくわかる。
大豆以外の豆もきな粉にしています。あずき、レッドキドニービーンズ、グリーンスプリットピース、レンズ豆、ひよこ豆、パンダ豆。
あずき以外は日本の食卓であまり馴染みのない豆を選んでみました。どんな味になったのか。通常のきな粉がよく食べられているように、砂糖を混ぜて餅につけて食べています。
気になるものから見る方は皿にマウスを合わせてクリックしてみてください。または順番にどうぞ。
小豆きな粉
甘く煮て汁粉やぜんざいにするとおいしい。
最初は小豆のきな粉です。皮の色が少し混じった薄く赤い粉状。大豆のきな粉のような香ばしい香りはあまりしません。
食べてみます。
ただ・・・粉・・だな。
小豆きな粉、全くこれといった特徴的な味がありません。ひたすら粉です。香ばしさや甘味などほとんど感じない。砂糖により所々甘くなった粉を舐めている。そんな感じです。
日本で一般的な豆でありながら、きな粉にならなかった理由が分かった味でした。やらんでいい。
おいしさ度 マイナス☆
おススメ度 マイナス☆☆
粉度 ☆☆☆☆☆
味を例えるなら
色々工夫してみたが何の結果も得られず。ただ、それをやってみたかったんだ、それが出来てよかったと空を見つめる。そんな虚構の満足感で満たされたような味
レッドキドニービーンズきな粉
個人的にはアメリカンなサラダとかに入っているイメージ。
続いてレッドキドニービーンズのきな粉です。小豆同様に皮の色が混じった薄く赤い粉状になりました。少しレッドキドニービーンズ独特のクセのある豆の香りがします。
食べてみます。
クセが強いなー。
レッドキドニービーンズきな粉は、レッドキドニービーンズの持つ焦げたようなクセある風味が全面に感じられます。砂糖で甘いのですが、おれは砂糖じゃない肉だろ!といった主張が聞こえてきそうな感じです。
撮影をお願いしていた編集部の古賀さんはレッドキドニービーンズの味が結構好きなので、このきな粉はいけると言っていました。砂糖ではなく、何かの料理に混ぜて使えば化けるかもしれせん。
おいしさ度 ☆
おススメ度 ☆
甘くしない方がいい度 ☆☆☆
味を例えるなら
俺はこんなふうになる為に生まれてきたんじゃないと、現状を受け入れていない自らの主張を延々と聞かされているが、もしかしたら別の世界に行けばこの人は輝くかもしれないかもと、わずかな希望の光が見えているようないないような味。
グリーンスプリットピースきな粉
嫌いな物にあげる人も多い豆。
続いてグリーンスプリットピースのきな粉です。グリーンピースの皮をとった中身だけのものです。きな粉にすると見た目は青大豆が原料のうぐいす粉のように薄緑色。香りはかなり青臭いです。
食べてみます。
青臭くてキツイ!
グリーンスプリットピースのきな粉は、香りのまま青臭く、苦みも強い。そこに砂糖の甘さが加わったのでさらに厳しい味になっています。粉だからなのか、口の中にいつまでも青臭い味がまとわりついて離れません。
粉を肉やスパイシーな物と煮込んで食べればおいしいかもしれませんが、そのままで食べるものではなかった。やってはいけないリスト入りです。
おいしさ度 マイナス☆☆☆☆☆
おススメ度 マイナス☆☆☆☆☆
青臭い度 ☆☆☆☆☆
味を例えるなら
最近のは飲みやすくなったから大丈夫と思って手を出してみたが、うっかり昔ながらの「まずい!もう一杯!」という感じになっているもので、なにこれ罰ゲーム用で特別にブレンドしたやつなの?と疑いたくなるような味。
レンズ豆きな粉
皮つきは濃い緑色なのに中はオレンジ。
続いてレンズ豆のきな粉です。皮をとって中身だけの物を使っています。豆の色の通り、薄いオレンジ色のきな粉になりました。香りはあまりありません。
食べてみます。
あれ?けっこううまい・・
いや、いや。後から変な味が戻ってくるな。
レンズ豆のきな粉は、食べた瞬間はあまり味を感じません。その後、豆の旨味のようなものが軽く広がります。ここまではいい。それが消えたあとにエグミのような変な味が奥から戻ってきます。これがどうにもいけない。
この戻ってくる味を何かとうまく合わせられればよくなる可能性はありますが、難しいと思われるのであまりおススメはできません。
おいしさ度 ☆
おススメ度 ☆
だまし討ち度 ☆☆☆
味を例えるなら
笑顔で近づいてきて、楽しい話を色々してくれて、いい感じになるのだがいざ本題に入ると「えっ、私そんな気ないんだけど!」と強烈なカウンターを食らわされたような味。
ひよこ豆きな粉
ひよこ豆だとかわいいが、ガルバンゾーだと海賊とか謎の生物みたいだ。
続いてひよこ豆のきな粉です。通常のきな粉よりも粉の感じが荒いですが、色は似ています。こちらも香りはあまりありません。
食べてみます。
これうまいぞ!
レンズ豆のきな粉は、柔らかいミルクにも似た甘味が感じられ、おいしいです。大豆のきな粉のような香ばしさはあまりないですが、甘味が多く大豆のきな粉とはまたちがった良さがあります。
この味ならば変わり種きな粉として使えそうです。実際、インドではひよこ豆を挽いたもの(ベサン粉)を頻繁に料理に使うそうなので、きな粉として餅につけてもおいしいのは当然の結果だったのかもしれません。
おいしさ度 ☆☆☆☆おススメ度 ☆☆☆☆
他にも使いたい度 ☆☆☆
味を例えるなら
この人は大丈夫だろうか?と警戒して近づいてみたが、話してみるととてもいい人で、他にも話を聞いてみると別のところでは色々活躍していて評判もよく、そういうことなら早く言ってよというような味。
大豆きな粉
豆からきな粉をつくるよりも買ってきた方がはるかに手軽で安いです。
続いて通常通りの大豆のきな粉。作りたてなので香りもいいです。
食べてみます。
落ち着く味ですな。
出来たてのきな粉の味は香りもよく、香ばしい豆の甘味がおいしいです。
ただ、作るのは面倒で、きな粉よりも大豆そのものを買ってくる方が高くつくので、出来立てをちょっとだけ食べたい人にのみおススメします。
おいしさ度 ☆☆☆
おススメ度 ☆☆
買ってきた方が早い度 ☆☆☆☆☆
味を例えるなら
新しい土地で今まで会ったことのない変わった人に連続で会い次々に衝撃を受けた後、地元に帰り気の合う昔ながらの仲間と緩やかに酒でも飲んでいるような味。
パンダ豆きな粉
ブラックアイビーンズともいいます。
続いてパンダ豆のきな粉。見た目はやや黒ずんでいますが、大体通常のきな粉と同じ。香りは香ばしいというよりも、枯草のような感じです。
食べてみます。
笹だ、笹!これは駄目だ。
パンダ豆のきな粉は、香り同様に枯草を噛んだとでもいうような草くさい味がします。パンダ豆だけに、パンダの食べる笹とでもいいましょうか。のどに詰まるような味です。
もともとはクセが少なく肉や魚と合わせて料理するとおいしい豆。そのまま粉状にして食べるのには向いていようです。料理して食べましょう。
おいしさ度 マイナス☆☆☆
おススメ度 マイナス☆☆☆
笹度 ☆☆☆☆☆
味を例えるなら
牧場に来て、積んでいる藁の束をみて、ハイジのベットだーとか言って飛び込んだはいいが、意外にもチクチクと体に刺さり、口の中に入ると草の味が凄い勢いで広がってやらなければよかったと思うような味。
きな粉は大豆でやるのが一番いい
各種豆できな粉をつくってみましたが、ひよこ豆を除き全滅でした。昔の人が大豆を選び、それをきな粉として使ったのにはこういう理由があるのかと思いました。
とりあえず、手作りきな粉は出来立てで香りもいいので、気になる方は一度つくってみてください。うっかり大量に作ってしまったらきな粉料理に。
今回紹介した料理ならば100g単位で消費可能です。新しいきな粉の使い方として是非試してみてください。
クックパッドニュース編集部の方と残った豆を持って記念撮影。ありがとうございました!