3分しかないが、本編はこれに冗談がいろいろくっついて20分になってるだけなので基本的にはこの予告編と変わらない。
動画を見られない人のために以下、静止画で。
「3000万あるんですが会っていただけますか?」男に迷惑メールが届く
会うとちゃんとお金をもらえる
味をしめた男は迷惑メールをすべて信じていく。芸能人から相談されたり…
LINEでたのまれてitunesカードを買ってきたらちゃんとお金を払ってくれたり
札束を座布団がわりにする男にそれだまされてるぞと友人。女のあとをつけて確かめろと。
あとをつけると女はいくつもの仕事をかけもちしていた
「お金がしこたま要るんです」数千万円こうやって稼いだのだ
ただ会いたいという純粋なきもちからの迷惑メールだった
男はお金をかぞえるばかり
迷惑メールからはじまるラブストーリーなんです
でも迷惑メールにほんとに返信するとひどい目に会うかもしれないからやめておきましょうねという注意書きでおわる
迷惑メールが純粋なきもちで書かれていたら…
迷惑だ迷惑だと呼ぶあれが、もしも本当の気持ちで書いたものだったら。悪人は私たちだ。迷惑メールよ、ごめんなさい。
実写化によってそういう話になるかなと思ったが……どうひいき目に見てもあんまりならない。やっぱり、こんな人いないという思いは強い。
以上で話は終わりなのだが、撮るのが大変だったので完成までの経緯を少しのせたい。
プープーテレビは毎日1分の動画コーナーだが年一回大きなものをつくる。去年は馬を作って西部劇を撮った。(『
西部劇の馬を作る』より)
長めにとってカンヌに出す
毎日一分のおもしろ動画を公開しているプープーテレビでは年末年始に少し長めの動画を作る。今までに時代劇、SF、そして去年は西部劇を作った。
なかでも去年の西部劇はカンヌ映画祭に出した。4000円払って応募すればだれでも出せることに気づいたのだ。
これで私たちもカンヌ映画祭出品作品である。しかしよく調べてみるとどうやら数千本の10本くらいに選ばれてようやく出品作ということになるらしい。
もちろん落ちた。なので名乗っていいのはカンヌ映画祭応募作といったところか。
落ちたお知らせが英語と仏語の併記でおしゃれだったことをおぼえている(私たちのカンヌの思い出)。
カンヌから落ちましたよメール。どうやら選ばれなかったらしい。(画像はプカデミー賞2014カンヌ映画祭落選報告会のスライドから)
11月半ば企画が決まる
今年もあれやるのかと11月になるとなんとなく重い空気になる。
今回は会議の結果なんとなく「空撮で撮られた寅さん」に決まりかけていた。だが空撮は面倒だし飽きそうだ。もう一回話し合ってみようという場でいいアイデアが出た。
今年も何かつくるぞ会議。そういえば去年の西部劇も林さんのアイデアだった。アイデアマン林によりスパムメール映画版に決定!
迷惑メールならみんな経験がある
一瞬で決まったスパムメール映画版。決め手はスパムメールはみんな経験があってわかりやすいから。去年の東京で西部劇をやったものは「意味がわからない」といわれて心苦しい思いをしたので今年はわかりやすいものがよかったのだ。
企画は超いい。さあここからが問題だ。面倒をころがして面倒を少しずつくっつけて最終的には面倒の雪だるまをつくるような作業が待っている。
要するに面倒なんだ、作るのが。いつまでも机上の空論にしときたいんだ。ぎりぎりの12月まで企画は寝かされた。
今回の面倒の例。札束の巻紙作り。ニフティの打ち合わせスペースを借りた。贋金作りの人がいるなと思われたことだろう
撮影までが大変
今年は台本を作った。台本をもとに衣装、小道具集めと撮影場所探しを行う。面倒の雪だるまが魔法によっていきいきと動き出す。映画サークルならまだしも、みんな仕事があるので一人ほそぼそとやる。
一人風呂場でギプスを作ったり、ニフティの打ち合わせスペースで8000万円作ったり。デイリーポータルZのグッズに札束風メモがあったのでそれを流用した。贋金作りに適したサイトだ。
打ち合わせに来た人は贋金犯がいると思われたことだろう。迷惑をかけた。
うそのギプスも作った。ネットに作り方が書いてあった。仮病使いたい人向けに需要があるようだ
身近にいるプロを投入したのでクオリティが上がった。右からプロの音声さん池田くん、プロの舞台女優の松村さん、記念写真を撮るアマ、アマの人
12月半ば撮影がはじまる
毎日のように衣装や小道具を買い出しに行ってようやく撮影。
迷惑メールを出す女性役は我々には荷が重いので知り合いの女優さんを投入した。松村さんはふだん演劇のわいわいとした空気に慣れているので、われわれが昼食のとき一言も喋らなかったことがショックだったらしい。
私たちをなめるな。そう言わんばかりに、主演の藤原の無口さはプロにも響いたようだ。
「もしかして藤原?」撮影場所で同級生にばったり出くわす主演の藤原。「へ~、それじゃあ藤原はいまでも高校のころと同じことやってるんだ」ともれ聞こえてくる。永遠の高校生、泣ける。
プロのナレーションが入る
松村さんにかぎらず身近なプロをどんどん投入。音声マンの池田くんは「札束は照明当てるとらしく見えます」「札束は置くとパコンと音がするはずです」と札束のクオリティをやたら上げてってくれる。
撮影終わって編集段階もプロの力。プープーテレビのロゴを作ってくれた大伴さんも昨年にひきつづきロゴを作ってくれた。ナレーションもオービチューンの岡田さんが入れてくれた。
作品のクオリティはプロによって上がることを知る。身近なプロにはふだんからよく接しておく必要がある。アメやガムなど持っていたらどんどんプロに与えよう。
事故にあった設定の大伴さん、今年もロゴを作ってくれました
ナレーションの岡田さん。「今流行りのウィスパー系でやってみます」とそんな潮流があることも全く知らない!(写真は『
いい声でしゃべると説得力が増す』より)
本編はまたいずれ。なのでかわりに去年の西部劇本編を置いておきます。これはアマだけ
迷惑メールに返信をしないでください
考えてみれば私たちは迷惑メールに厳しすぎる。たとえウソだとしても丁寧に書かれたメールであるかもしれないので心をこめて「迷惑メールフォルダに移動する」ボタンを押すべきだろう。
そして本当に返信してしまった人たちの純真さ。彼らは騙されたのではない。心がピュアすぎただけなのだ。せめてこの映像内だけは彼らを幸せにしたい。
といっても基本的にはすべて冗談なのでその辺はあとづけなのだが、まあそれでもいいだろう。
動画本編の方はまだ編集が終わってないので、終わったらまたカンヌにでも出します。カンヌの人、ダッシュ村のチェーンメールとか知らないだろうけど。
それではまた来年のプープーテレビの年末年始企画をお楽しみに。ふだんの1分動画はYouTubeでチャンネル登録をしておくとお知らせがきて便利です。
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年の瀬に部屋をむりやり使われ仕事ができない榎並さん