きんとうんは綿でつくる
きんとうんに乗るのにまず必要なのは、綿。
手芸屋さんなどで数百円で手に入る綿を代用するのだ。夢のあるテーマなのにいきなり現実的で庶民的な道具の話になってしまったが仕方ない。
きんとうんは仙術なのだ。仙術を使えない私たちが雲に乗れるわけがない。人間には綿に乗ることくらいしか許されないのだ。
おおきくふくらむ手芸わた
乗るというか足もとに置くだけで
仙人ぽい! (無能そうだけど)
夢叶い度10%
綿を適当に広げるだけで、想像以上に雲を再現することができた。そしてそれを足元に置けばもう仙人。仙術は使えないけど、綿を作ることができる人間もすごいな、とさっそく仙人目線で感心した。
そもそも仙人は雲に乗っているから仙人に見えるのであって、雲をとりあげたら普通のおじいちゃんだ。逆にいえば、雲ぽいものに乗れば誰でも仙人に見えるというわけである。
さらに、百均で買ってきた長い棒に赤いガムテを巻いたものを持つことで、より一層きんとうんに乗っているように見せることができる。
階段に乗ったり遠くから見ればさらに浮いているように見える。ついでに隣の子供も浮いてるように見える。
実際は地面に綿置いただけ
本物の雲やきんとうんぽいものの近くで撮るというのも手
このように、綿を足元に置くだけでほんの少しだが「きんとうんに乗る」という夢に近づくことができる。じっさい、浅草で撮影をしていると道いく人々が「きんとうんだ!」と興味深く視線を寄せていた。
乗りたそうな外国人たち。きんとうんに乗る夢は万国共通なのだ。
移動できなきゃきんとうんじゃない
しかし綿を足元に置いただけではまだまだ満足できない。浮いてこそきんとうんであり、移動できてこそきんとうんである。
次ページでさらに夢に近づきたい。
夢叶い度40%
きんとうんに乗って移動できたのでさっそく見て欲しい。
ちゃーらーへっちゃらー♪
超低空飛行で時速6キロくらいだが、きんとうんに乗って移動することができた。その満足度は一気に跳ねあがり40%へ。思わずドラゴンボールの歌をくちずさんでしまいそうなほど滑るように飛んでいる。
というかこれ、実際に地面を滑っている。どうなっているのか分からない人のために一応伝えると、仕掛けはスケボーである。スケボーに綿をうまいこと貼り付けるだけで車輪の分が浮いて見えるというわけだ。
スケボーに適当に綿をつければ
5分で完成。
後ろの方はキュっとしぼると雲らしさが出る
あとは得意げな表情で乗るだけだ
男の子「そういうことか!」
道行く人にも相変わらず好評で、興味深くきんとうんを見ていた。みんなきんとうんが好きなのだ。
ただ、私がきんとうんを作るのを見ていた男の子が「そういうことか!」と妙に納得していたのがちょっと心配。きんとうんが綿とスケボーから作られていると友達に話してイジメられないといいけど。
マダムたちも興味津々だった
これ以上夢叶い度をあげるには・・・ジャンプするしかない
スケボーに片足を乗せてみると、小学生の頃いっときスケボーで学校に通っていたことがあるのを思い出した。
先生にバレたら怒られそうなので、学校の目の前に住んでいた小原くんの家に毎日スケボーを預けていた。ついでにいうとそのスケボーも小原くんの所有物だ。
下校の際にまた小原くんちにスケボーを取りにいっていたことを考えるとたいそう迷惑をかけていたな、と大人になった今では胸が痛む。せめてその時のスケボー経験がいま活かされているよ、無駄ではなかったよ、とこの場を借りて報告したい。
オラ、すんげぇこええけど…いっちょやってみっか!
ジャンプできれば、さらにきんとうんに乗る夢に近づけるはずだ。怪我しないようにトライした。
ジャンプは無理
できるわけがなかった。
小学校時代にスケボーに乗っていたことがあると言っても、ずっと片足を乗せてこいでただけのレベル。ジャンプどころか両足乗せた状態からの止まりかたさえ分からなかった。
しかも運悪く雨が降ってきてしまったため如意棒を傘に変更。雲の上にいるのに傘をさしている様子はメルヘンぽくて悪くはないが、バランスを取るのには不利であった。
一応ジャンプにトライはしたのだ。見ようによってはこれから浮きそうではある
今回もっとも躍動感があった写真
しかしすぐ降りた。スケボー怖いわー
ジャンプは早々に諦めて、ほんのちょっと傾斜している場所を選び「ただ乗る」だけという方向性に変えることにした。
しかしただそれだけなのに、私のきんとうんは思わぬ方向に向かい、時にスピードを速め制御が不能に。
こんなに超低空飛行なのにもかかわらず、きんとうんを操るのは難しいことだった。
下り坂でしか乗れないという最大の欠点もある
超低空、そんなに早くもない、雨を吸い込んで綿が小さくなる、綿に葉っぱが絡まって汚くなる、怖くてうまく操縦できない、など多くの課題を残しつつ初きんとうん乗り体験は終わった。
やってみて気付いたことがある。それはもし本物のきんとうんがあって、乗るチャンスがあったとしても「怖くて乗れないじゃん」ということだ。
だってスケボーでさえ怖いのだ。はるか上空を飛ぶなんてもってのほかである。高く飛べるスケボー選手は、仙人に一番近いところにいるのかもしれない。
夢叶い度40%で終了
たいして浮くことは叶わなかったが、バックトゥザフューチャーでマイティが乗っていたスケボーくらいには浮いて見えただろうか。スケボーで作ったものの例えがけっきょくスケボーに落ち着いてしまったのはちょっと悲しい。
ちなみに小学校で一時はまったスケボー登校は、その後サッカーボールをドリブルしながら登校することにとって変わった。自分の子供の頃はいろいろ夢があったんだなと思うと羨ましい。
綿を足元につけて飛べば浮いてるように見えるかと思ったけど、見えなかった