普通に作ってみる
まずは基本の肉じゃが。実家では肉じゃがの肉と言えば豚肉だったので、豚肉、じゃがいも、人参、玉ねぎなどを用意した。関西では牛肉を使うのらしい。それはすき焼きではないのか。
オーソドックスな材料たち。
レシピはクックパッドを参考に。野菜を切って合わせ調味料を作って煮込むだけなので簡単だ。こんな簡単な料理で男の胃袋を掴めると思ったら大間違いだぞ。>世の独身女性たち。
肉の上に砂糖を振りかけて煮るというレシピだった。
普通の肉じゃが完成
コトコト15分ほど煮込んで完成。まぁまぁ美味しそうだし、実際食べてみたら美味しかった。
肉じゃがに使うじゃがいもは男爵に限る。煮崩れしやすいんだけど、このホクホク感は捨てがたい。
肉じゃがのじゃがいもは男爵が好ましい。
さて、既に具だくさんな肉じゃがだが、更に具を足したらどうなるだろう。舞茸を足してみた。
うむ、まだ肉じゃがだ。
舞茸を足したくらいでは肉じゃがは揺るがない。まだまだ肉じゃがである。じゃあこれはどうか。
パプ!リカ!
パプリカを足してみた。でもまだ肉じゃがっぽさは残っているし、誰かにこの写真を見せて「これはなんという料理ですか?」って聞いたら「これは肉じゃがです」って、英会話の和訳みたいに綺麗に答えてくれるだろう。間違いない。
ではこれはどうだろう。
ごった煮感出てきた。
パプリカよりは違和感がないはずの厚揚げだが、そろそろ具が過剰すぎて肉じゃがが薄くなってきた。
「なんか、煮物」って言われる佇まいである。ここらで肉じゃがらしい肉じゃがに巻き戻してみよう。
まごうことなき肉じゃが。
でも実はちょっとだけ違うのだ。どこが違うかおわかりいただけるだろうか。
京野菜を使ってみる
前のページの最後の写真、どこが今までの肉じゃがと違うのかというと、人参が金時人参なのである。色が濃くて甘味が強い、京都で好まれる人参だ。
僕がイメージする三大京野菜。海老芋、金時人参、九条ねぎ(次点で水菜)。
じゃがいもの代わりに京野菜を使ってみたら、それは肉じゃがだろうか?という試みである。で、出来たのがこれ。
一気に肉じゃがから遠ざかった。これはもう、『肉と芋の炊いたん』だ。
京野菜、とりわけ海老芋の存在感が大きい。っていうか『じゃが』が無くなってしまったので、言うなればこれば『肉海老』である。中華料理っぽい名前になった。
海老芋は煮崩れしにくく、それでいて食べると滑らかな食感の、里芋っぽい芋である。煮物に使うと美味しい。
なお、冬の京都で食事して里芋っぽいものが出てきたら、決して「この里芋おいしいですね!」とは言ってはいけない。「お客さん食通どすなぁ」とか言われかねないからだ(勝手な京都人のイメージ)。京都怖い京都怖い。
『肉+じゃがいも=肉じゃが』ならば
じゃがいも部分を変えてしまうともう肉じゃがではなくなる。ちぃ覚えた。
では、逆に肉とじゃがいもならばそれは肉じゃがなのだろうか。鍋からじゃがいもと肉だけを取り出して盛付けてみた。
ドイツ人っぽい食事。
オー、ニクジャガデハアリマセンネー。
味付け的には甘辛和風味なので食べると肉じゃがかも?って思えるし、でもソーセージ食べると違うわって感じするし。道理としては肉じゃがなのに違う。
具が足らないからか?って事で具を増やしてみるとこうなった。
まだまだポトフだが。
野菜を足すことで、完全なるドイツ人の食事から、『洋風肉じゃが』くらいにはなったんじゃないかと思う。そう、『~風』なら誤魔化せる。風をふかせればいいのだ。
更にしらたきなど足してみると・・・。
肉じゃが!
しらたきの破壊力たるや。一気に肉じゃがに引っ張り込めた気がするのだがどうだろう。
しかし、『肉』でも『じゃが』でもないしらたきが肉じゃがっぽさを醸すというのはおかしな話だ。おばちゃんでも制服を着たら女子高生に見える、みたいな話だろうか(ちがう)。
だめ押しに食器も変えてみる。
肉じゃが以外のなにものでもない。
昭和モダンな食器を蓋物の器に変えてみた。もう、一気に和風に引き戻されて肉じゃが化してしまった。器としらたきが強すぎる。
ではこういうのはどうだろう。
給食風肉じゃが。
アルミの食器に盛付けた途端、給食である。給食って栄養の都合かなんか知らないけど、たまにトンチンカンなメニューがあったりする。だったら肉がソーセージの肉じゃがが出てきたって不思議ではないだろう。
もうちょい続きます。
揺らぐ肉じゃがにトドメを
具の種類で行ったりきたり、肉の種類であっちに行ってこっちに行って、器の種類で持ち直したりへんてこになったり。
でも、肉じゃが。
では、肉じゃがとしてのアイデンティティーはそのままに肉じゃがで無くすにはどうしたらいいか。
カレールウの登場だ。
安いわりに美味いゴールデンカリー。中辛。
いいのかな、と躊躇したりして。
カレールウの威力たるや。ルウを溶かした途端、ジャンピングジャックフラッシュな勢いでカレーになってしまった。
いや、しかし、もしかしたら『カレー風肉じゃが』と言い張れない気もする。こんな見た目なんですけどね。
カレーだわ。
カレールウやっぱすごい
誰がなんと言おうとカレーである。ソーセージカレーである。しかもアルミの食器に盛付けたので、給食のカレーである。
間違いなく給食のカレー。
肉もジャガイモも入っているので、要素としては肉じゃがである。肉じゃがと呼んで差し支えないはずだ。
が、これはどうしたってカレーであり、これを肉じゃがと言い張ったら頭のポンコツ具合を疑われても仕方ない(実際ポンコツですけど)。
じゃがいもと肉。でもカレー。
しかし、ここには最強の肉じゃがマターであるしらたきも入っているのだった。しらたきだけ取り出してみると・・・
料理したことない新妻が作っちゃったポンコツ料理的なソレ。
やっぱカレーはカレーだ。
カレーという料理はカレールウ(とかカレー粉)を使えばもう、その時点でカレーなのだ。肉とかじゃがいもとかしらたきとか関係無い。そこに肉じゃがが入り込む余地はなかった。
ところで、お気づきだろうか?
さて、肉じゃがをテーマにダラダラ書いてきたが、1ページ目に載せた肉じゃがの写真には間違いがある。お気づきだろうか?
パプリカは置いとくとして。
これも間違いがある。
実はマロニーちゃん。
こっちのしらたきはビーフン。
ポトフを肉じゃがたらしめたのはしらたきだったのに、当のしらたきが他のものに置き換わっても気付かない。なんだろう、この儚さは。
肉とジャガイモが太陽と月だとするなら、しらたきは夜空に輝く星々の様な存在だ。
星が輝いていなくても人類は生まれたし進化したかも知れない。が、星のない夜空は味気ない。
僕はそんな星みたいな人間になりたい(平熱)。
それなりにサティスファクション
私事だが、先週から風邪を引いていてしんどい。
咳が止まらないし、毎朝鼻と喉から黄緑色の汁が出てくる。あの娘ぼくの鼻や喉からこんなに黄緑色の液体が出たらどんな顔をするだろう、ってくらい具合が悪い。ラーラーラーラーラー。
そんな中で買い出しに行って料理して写真撮って、ようやっと原稿を書き終えたので、もう寝ます。転がり落ちる石の様に眠りに落ちるのです。グー。