特集 2014年12月8日

暖冬予報ピンチ また週末に寒波~あと出し天気予報~

11月25日に発表された今冬の予報(気象庁HPより)。これをもとに「暖冬」という報道もあったが…
11月25日に発表された今冬の予報(気象庁HPより)。これをもとに「暖冬」という報道もあったが…
1週間の天気予報を振り返って当たったかどうかを検証する週1連載。
勝敗とその理由を振り返ります。はたして今週の成績はどうだったのか。

(本連載は振り返りが中心で、詳しい予報は行っていません。予報が見たいかたはウェザーマップなどの専門サイトをどうぞ)
1977年滋賀生まれ。お天気キャスター。的中率、夢の9割をめざす気象予報士です。 好きな言葉は「予報当たりましたね」。株式会社ウェザーマップ所属。
ツイッターでも気象情報やってます。(動画インタビュー)

前の記事:今週は冬将軍が居座ります ~あと出し天気予報

> 個人サイト ウェザーマップ・増田雅昭 ツイッター @MasudaMasaaki

先週は、雨が上がらず、気温も上がらず…

1週間を振り返る(東京都心周辺) 予報は前日夜にこちら</a>でやってます。
1週間を振り返る(東京都心周辺) 予報は前日夜にこちらでやってます。
月曜(1日)のハズし方が、ひどかった。雨は午前中にやんで、午後は晴れて20℃近くまで上がるという予報が、雨も気温もぜんぜん上がらず。

昼頃に雨雲がいったん抜けたのに、次の雨雲が発生して、それが拡大してしまった。 晴れなければ、もちろん気温も上がらない。10℃ちょっと止まり。

雨が長引いただけでも怒られそうなのに、寒さも加わって、お怒りを倍増させるパターン。 冬の「暖かくなります」は軽々しく言うべきではないと、あらためて学んだ、師走の入り。

木曜(4日)は、雨が降るのは分かっていたが、雨雲がどれだけ山を越えて、どれだけ降るのか自信が持てず、「一時雨の可能性」とした。 一時雨どころか、けっこう長く降ったのでハズレだが、これは戦略的なハズレだと、胸を張って言いわけしてみる。

ハズレに、戦略も何もないと言われれば、それまでだが。
雨が上がらず、気温も上がらず、頭もあがらない一週間。
雨が上がらず、気温も上がらず、頭もあがらない一週間。

さっそく寒波がきました

予報通り、先週は寒波がやってきた。 一気に冬らしい寒さとなって、日本海側や山沿いなど、大雪となったところも。

ところで、先週の記事で、予言(?)しておいたように、やっぱり「今季最強寒波」のフレーズがチラホラと。
まだ冬は始まったばかりで、寒波が来れば、それが今季一番の強さになるのは当たり前でしょ。

…なんてことを先週書いていたが、意外と身近な人が「最強寒波」と使っていて、ちょっと気まずくなった…。狭い業界、いろいろと大変です。

これから冬のピークの2月前半まで、やってくる寒波は、だんだん強くなるのが当たり前。 名付けようと思えば、そのたびに「最強寒波」が作れる。
そのうち、「最強寒波2」「最強寒波3」とか、売れない映画のような名前が出てきたりして。

また週末に寒波。その後も…

よく「この冬は暖冬?寒冬?」と聞かれるが、いつも答えに困る。

そんなの、ひとことでまとめられる季節なんて、ほとんどない。 ひと冬の中に、暖冬っぽい時期もあれば、寒冬っぽい時期もあるのが普通。
だから、「ひとこと長期予報」の廃止運動をしたいくらいだ。 この冬は、一部で「暖冬」と言われていたが、さっそくピンチな状況。 ほら、言わんこっちゃない。
今週末、シベリアからまた寒気が南下してくる。
今週末、シベリアからまた寒気が南下してくる。
今週も、週末にまた寒波がやってくる。
週なかばに、いったん寒さがゆるむのに、週末はまたここ数日のような寒さとなる。日本海側は、各地で雪となって、一部では大雪のおそれも。

さらに、ちょっと先の話をすると、来週にもまた寒波。 少なくとも12月は、「暖冬」とはかけ離れた状況になりそうだ。
来週も寒波が…。一方、アメリカやヨーロッパは寒気が抜けて暖かく。日本も1月・2月にこうなることも?
来週も寒波が…。一方、アメリカやヨーロッパは寒気が抜けて暖かく。日本も1月・2月にこうなることも?
どうなるか、結果は来週に。

(でも、1月・2月に暖冬傾向になる可能性はありますからね。と、こそっと予防線を張っておく。)
今週の格言
『「暖冬」と季節をひとくくりにできるほど、天気は甘くない』

質問コーナー

「20年前と比べて、天気予報の精度は上がっているのでしょうか? スーパーコンピュータの発達を考えれば当然上がっていると思うのですが、一方で異常気象やゲリラ豪雨といった、予報しづらい天気が増えているのではという気もします。」

もちろん精度は上がってますよ。

予報のベースとなる、スパコンによる予測精度が上がっていることが大きいですね。

翌日に雨が降るかどうかの予報だと、適中率は80%前半から後半に上がっています。

今は、台風が日本に接近するのが1週間以上前から分かったりしますが、20年前なら有り得なかったことです。
気象庁が公表している東京の予報精度。年々、上がっている。
気象庁が公表している東京の予報精度。年々、上がっている。
「予報しづらい天気が増えたのでは?」は、う~ん、増えてるような、増えてないような、ですね。

異常と言われる気象も、突発的な豪雨も、昔からありましたし。ただ、昔は、そんな細かい突発的な現象まで、目が向きませんでした。

台風とか、低気圧の雨とか、そういった数千kmに広がるものを予測するので、精いっぱいだったわけですね。 20年前だと、数百kmに広がるような大雨を予測するのも難しいくらいでした。

今は、それくらいなら予測できるようになっていて、今度は、もっと狭い範囲で起こる突発的な豪雨とか、細かい現象をどう克服するかに注目が集まっているわけです。課題のレベルが上がっている感じですね。

将来的に、突発的な豪雨が克服できたら、今度はそれを1週間前からズバリと分単位で当てて欲しいとか、どんどん課題のレベルが上がっていく気がします。

天気予報は、終わりのない棒高跳び。予報士はアスリートだ!

はい、最後はちょっとカッコつけすぎました。

詰め天気

先週の問題は、こちらでした。

正解と次の問題は、来週アップします!

追加のヒントは、「冬型の時は、日本海や東シナ海で、雪雲・雨雲がたくさん発生します」です。

解答はこちらから↓
正解は来週!
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