ゴリラ <名>アフリカの森林にすむ、サルのなかまの中でいちばん大きな動物。力が強い。植物などを食べる。▽英語 gorilla
まずは最近の国語辞典を確認
明治時代の古い国語辞典を振り返る前に、最近の国語辞典はゴリラの項目はどんな感じになっているのか? 確認しておきたい。
「新レインボー小学国語辞典」学研
小学生向けの国語辞典らしい、まあ、こう言ってはなんだけども普通の語釈。
もう一つゴリラの最近の語釈を確認しておこう。
もう一つゴリラの最近の語釈を確認しておこう。
「小学国語辞典」文栄堂
ゴリラ さるのなかまのけもの。さるのなかでは、からだがいちばん大きく、ニメートルぐらいになる。力はひじように強い。アフリカの赤道近くにすむ。おおしようじよう。
こちらも、ごくごく一般的な語釈。からだがおおきくて力がつよい。特筆すべき点としては「おおしょうじょう」という別名があることがわかる。というぐらいか。イラストのゴリラはどこかしら物憂げな感じがする。
昔のゴリラは恐い
さて、気になる明治時代のゴリラ。
まずは「ことばの泉」という明治時代(1908年)に発行された国語辞典を確認してみたい。
まずは「ことばの泉」という明治時代(1908年)に発行された国語辞典を確認してみたい。
「ことばの泉」飯倉書店
ごりら[名]『亞弗利加語』動物。獸の名。亞弗利加に産する無尾猿猴類の類。身のたけ七尺にも達し、面部黑く、腕力強く、性質、猛惡なり。大猩猩。
「性質、猛惡なり」
あれ、なんだか様子がおかしい。
「腕力強く」ってのはわかるんだけど、「性質、猛惡なり」の部分がひっかかる。イメージとしては完全にキングコング、しかもエンパイヤーステートビルで暴れてるやつだ。
動物園で見かけるゴリラのイメージとはずいぶん違う。
続いては昭和初期の辞書「大辭典」を見てみたい。
あれ、なんだか様子がおかしい。
「腕力強く」ってのはわかるんだけど、「性質、猛惡なり」の部分がひっかかる。イメージとしては完全にキングコング、しかもエンパイヤーステートビルで暴れてるやつだ。
動物園で見かけるゴリラのイメージとはずいぶん違う。
続いては昭和初期の辞書「大辭典」を見てみたい。
「大辭典」平凡社
オーショージョー 大猩猩おほしやうじやう Gorilla Gorilla Wyman 霊長目ヒトニザル科。類人猿中最大の種類。體重三五◯瓩、直立時の高さ二米に達す。數頭群居するを常とす。頭裸出し黒色、體の皮膚も同色。耳小。鼻孔甚だ廣く無尾。歩行時は體を稍前方に屈し前蹠で地を蹈む。阿弗利加の森林地方の産。漿果を好食す。力強く性兇暴。飼養するも容易に人に馴れず。英名、ゴリラ。
「性兇暴」
兇なんて字、見たことない。
見たことない字で罵倒。
「頭裸出し黒色」あたりもなんか悪意がありそうなないような、とにかくなんだか怖そうなイメージだけはビンビン伝わってくる。
兇なんて字、見たことない。
見たことない字で罵倒。
「頭裸出し黒色」あたりもなんか悪意がありそうなないような、とにかくなんだか怖そうなイメージだけはビンビン伝わってくる。
「廣辭林」三省堂
ゴリラ [grilla](名)[動]猿類の獣、西部「アフリカ」の森林に棲息す、身長七尺に達するものあり、全體黑褐色にして頭部に毛冠を有し、垂れて頸部に達す、面部は毛なくして黒く、鼻扁たく口廣く頗る獰悪の相をなし、耳は人類に類す、下肢は上肢に比して短けれど、よく直立す、多くは雌雄一對にて生活し、性質猛烈にして腕力強大なり。(大猩猩)
「頗る獰悪の相」
罵り方が重厚。
ちなみに読み方は「すこぶるどうあくのそう」でいいと思う。でも、これは読み方とかどうでもよくて、頗るとか獰悪みたいなフォントサイズ小さくしたら真っ黒になりそうな文字つかってるってだけでゴリラの怖さがじゅうぶんに伝わってくる。
さらに時代を下ってもゴリラのイメージはなかなか良くならない。
罵り方が重厚。
ちなみに読み方は「すこぶるどうあくのそう」でいいと思う。でも、これは読み方とかどうでもよくて、頗るとか獰悪みたいなフォントサイズ小さくしたら真っ黒になりそうな文字つかってるってだけでゴリラの怖さがじゅうぶんに伝わってくる。
さらに時代を下ってもゴリラのイメージはなかなか良くならない。
「三省堂国語辞典」三省堂
ゴリラ(名)〔gorilla〕〔動〕大形の類人猿(エン)の名。性質はどうもうで、みにくい顔をしている。
「みにくい顔」
あーあ、言っちゃった。という感は否めない。「頗る獰悪の相」とか、もったいぶった言い方なら、いくばくかのかっこよさもあるけど、こう単刀直入に言われると、本人が傷つかいないか? 本人っていうかゴリラ。
あーあ、言っちゃった。という感は否めない。「頗る獰悪の相」とか、もったいぶった言い方なら、いくばくかのかっこよさもあるけど、こう単刀直入に言われると、本人が傷つかいないか? 本人っていうかゴリラ。
「広辞林」三省堂
ゴリラ[grilla](名)サルの一種。類人猿中最も大きく、西部アフリカの森林にすみ、身長二メートルにも達するものがある。全身黒茶色の毛でおおわれ頭部に毛冠があって首までたれている。顔には毛がなく黒い。鼻は平たく口が大きく非常に凶悪な顔つきである。下肢は上肢に比べて短いが、よく直立して行動できる。多くは雌雄一対で生活し、性質は荒っぽく腕力が強い。大猩猩。
「凶悪な顔つき」
もう、完全に悪意しかない。
もう、完全に悪意しかない。
「学習ジャンボ国語百科辞典」三省堂
ゴリラ アフリカにすむ大形の類人猿。サルの仲間では最大で、成長すると身長二メートル体重二◯◯キロ以上になる。まゆが高く盛り上がっている。知能はチンパンジー・オランウータンの次にすぐれているが、性質は荒く神経質で、飼いにくい。ヤマゴリラとテイチゴリラとがいる。
「飼いにくい」
性質の「荒く神経質」に関してはもうなにもいうことないけれど、飼いにくいって情報、小学生向けでいる?
以上、かいつまんで昔のゴリラの語釈を調べてみたけれど、この他にも「凶悪」「猛悪」「どうもう」「猛烈」「たけだけしい」「あらっぽい」などなど、ありとあらゆる言い方でゴリラを貶めている。
家にある国語辞典の中から、ゴリラの語釈を調べ、性質や性格を記述した部分を抜き出してまとめてみた。
性質の「荒く神経質」に関してはもうなにもいうことないけれど、飼いにくいって情報、小学生向けでいる?
以上、かいつまんで昔のゴリラの語釈を調べてみたけれど、この他にも「凶悪」「猛悪」「どうもう」「猛烈」「たけだけしい」「あらっぽい」などなど、ありとあらゆる言い方でゴリラを貶めている。
家にある国語辞典の中から、ゴリラの語釈を調べ、性質や性格を記述した部分を抜き出してまとめてみた。
赤いのが恐い性格で、緑がそうじゃない性格
1970年代から「温和」という記述が現れ始め、いったんゴリラの性格について記述する国語辞典がなくなり始め、2000年代から再び「おとなしい」「穏やか」といった記述が増えてきている。
「言泉」小学館
ゴリラ(英gorilla)ヒトニザル科の哺乳類。直立すると体高約二メートルにもなり類人猿のうちで最大。体重約二五〇キログラム。腕は長く足は短い。毛はあらく黒色ないし黒褐色。食物は主に植物質。小家族で群れをつくり、西アフリカの中央部の森林に分布。性質は 温和。おおしょうじょう。
「新明解国語辞典」三省堂
ゴリラー[1]〔gorilla〕アフリカ産の哺乳動物。サルに似て、からだは非常に人きく獰猛に見えるが、性質は穏やか。おうしょうじょう[3]。〔ヒトニザル科〕[かぞえ方]一頭・一匹
「獰猛に見えるが」という断り書きをわざわざ入れているところに一筋縄ではいかない新明解らしさがあるが、とにかく昔に比べると、ゴリラがどんどんやさしくなってきていることは確かだ。
ゴリラはいったい何科なのか
さて、国語辞典のゴリラがだんだん優しくなってきているという部分の他にも、もう一つ気になる箇所がある。
科についてだ。
ゴリラの語釈をみると、たいてい「分類」が入ってる、例えばこういうやつ。
科についてだ。
ゴリラの語釈をみると、たいてい「分類」が入ってる、例えばこういうやつ。
「新言海」日本書院
ゴリラ(名)【英語gorilla】類人猿科中最大のもの。アフリカに産し、大きいものは、身長七尺(ニm余)に逹する。体毛は黒く、口が非常に大きく、眉毛がない。性は猛悪で、カも強大。叢林中にすみ、樹上に巣をつくる。大猩猩。
言海を編んだ、大槻文彦先生のご子息、大槻茂雄氏が言海の増補版として編纂した「新言海」。ここには「類人猿科」とある。
「新潮国語辞典」新潮社
ゴリラ(gorilla)(アフリカの土語で「野性人」の意)霊長目ルイジンエン科に属する獣。おおししょうじょう。類人猿中、最も人きく、身長二メートルにも達する。全身黒茶色の毛でおおわれ、性質は凶悪で、腕カが強い。西部アフリカの森林に住み、多くは雌雄一対で生活する。
文学作品からとった例文がやたら長いことで有名な「新潮国語辞典」。この辞典では「ルイジンエン科」とカタカナになっている。
そして「新潮国語辞典」の系譜に連なる、ぼくの推しジテ(イチ推し国語辞典)「新潮現代国語辞典」では「オランウータン科」。
そして「新潮国語辞典」の系譜に連なる、ぼくの推しジテ(イチ推し国語辞典)「新潮現代国語辞典」では「オランウータン科」。
「新潮現代国語辞典」新潮社
ゴリラ(gorilla)オランウータン科の大型類人猿。顔は無毛で漆黒。鼻孔は大きく、肩幅が広く、上肢は下肢よりも長い。オオショウジョウ。
さらに見ていくと、旺文社国語辞典に至っては、時代ごとに科がコロコロ変わっている。
全て「旺文社国語辞典」から引用
ゴリラの分類も先ほどの性格と同じく、リストにまとめてみた。
ゴリラの分類の変遷
これを見ると、昔はヒトニザル科か類人猿科だったものが、1990年以降オランウータン科、ショウジョウ科などが出てきて、最近は「ヒト科」「ショウジョウ科」「ヒトニザル科」といくつかの科が併存しているような形になっている。
これは一体どれが正しいのか?
これは一体どれが正しいのか?
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動物園ではなんと表示しているのか?
この「科」について、実際に動物園ではどのように表示しているのか?
東京近郊でゴリラを飼育している動物園2ヶ所に行って確かめてきた。
東京近郊でゴリラを飼育している動物園2ヶ所に行って確かめてきた。
千葉市動物公園
シンボルマーク、ゴリラですよね?
レッサーパンダの風太くんのイメージが強い千葉市動物公園だが、モンキーゾーンというエリアがあるほど、サルのなかまをたくさん展示している。
さて、この千葉市動物公園では、ゴリラの科は一体なんと表示されているのか?
さて、この千葉市動物公園では、ゴリラの科は一体なんと表示されているのか?
ショウジョウ科
ショウジョウ科か……。
実は事前に千葉市動物公園のウェブサイト(こちら)で確認したところ、「ヒト科」と表記してあったのだが、現地の看板は「ショウジョウ科」であった。
上野動物園はどうか?
もう1ヶ所、ゴリラが展示してある動物園に行く。
ゴリラをみにきました
ゴリラいた!
ここもショウジョウ科だ!
ショウジョウ科、大流行である。上野動物園も、事前にネットで調べたところ「ヒト科」であったけれど、看板はショウジョウ科。
「ショウジョウ科」は、国語辞典だと1990年代後半から流行りはじめた科なので、千葉も上野も看板はその頃に作ってまだ取り替えてないという可能性もある。
しかし、いったいゴリラは何科なんでしょうか?
「ショウジョウ科」は、国語辞典だと1990年代後半から流行りはじめた科なので、千葉も上野も看板はその頃に作ってまだ取り替えてないという可能性もある。
しかし、いったいゴリラは何科なんでしょうか?
100%見た目!
両動物園に取材をお願いしたところ、どちらも取り付く島もなく断られてしまったので、生き物の分類に詳しいデイリーポータルZライターの加藤さんに聞いてみた。
質問は次の二つ。
1) ゴリラの性格が1970年代を境に、急に優しくなるのはなぜか?
2) ゴリラの科は一体どれが正しいの?
以上だ。
質問は次の二つ。
1) ゴリラの性格が1970年代を境に、急に優しくなるのはなぜか?
2) ゴリラの科は一体どれが正しいの?
以上だ。
「ゴリラについて、国語辞典で調べたんですけど、まずおもしろいと思ったのが、ゴリラがだんだん優しくなって行くんです」
「ウィキペディアをみると、1970年に京都市動物園がゴリラの飼育下繁殖に日本で初めて成功しているって書いてあるんですが、その1970年代を境にやさしいという記述がふえてきてるような気がするんです」
「ウィキペディアをみると、1970年に京都市動物園がゴリラの飼育下繁殖に日本で初めて成功しているって書いてあるんですが、その1970年代を境にやさしいという記述がふえてきてるような気がするんです」
「動物行動学はちょっと専門から遠いので、あまりお答えできないのですが、コンラート・ローレンツ(動物行動学界の大巨人。手塚治虫級)以前の動物行動学はあまり精密にやっていなかったので、そこからずいぶん変わったと思います。たぶん100%見た目で判断してると思います」
100%見た目! やはりそうか……。
ウィキペディア情報で申し訳ないけれど、日本の動物園にゴリラが初めて輸入されたのが1954年、1961年にはゴリラ2頭が輸入されたにもかかわらず数日で死亡した例もあると書いてある。
そう思うとこの記述。
100%見た目! やはりそうか……。
ウィキペディア情報で申し訳ないけれど、日本の動物園にゴリラが初めて輸入されたのが1954年、1961年にはゴリラ2頭が輸入されたにもかかわらず数日で死亡した例もあると書いてある。
そう思うとこの記述。
「小学ジャンボ国語百科辞典」三省堂
小学生向けでその情報必要かどうかは別にして、この時代に「飼いにくい」というのは、実感のこもった記述だったということに気づく。 なんかちょっと茶化しちゃって申し訳ない。
類人猿科はてきとう
「分類群の件ですが、こちらはまず図を送ります」
チンパン
「これが現在、正しいとわかっている類人猿の分岐です。ここらをまとめて『類人猿』ですが、正式な分類群名ではないです。『類人猿科』ってのは、てきとうにつけた俗称です」
「類人猿科って、てきとうだったのか……昔は研究が進んでなくてよくわからなかった?」
「そうですね、分子遺伝学が発達する前だったので、DNA配列から分岐を推察することができなかったんです」
「ファー! DNAか! DNA配列から分岐を調べることができるようになったのって、いつごろからなんでしょう?」
「概念自体はかなり前から提唱されていたんですが、実践できなかった感じです。木村資生という人が、分子系統学をもとに分類学に大革命を起こす論文を1968年代に書いていたはずです」
「そして、DNAの解読スピードは80年代、90年代、00年代を通じて劇的に加速し、実用に耐えうるレベルになったのだと思います。80年代末にはかなり一般化しているはずです」
「そして、DNAの解読スピードは80年代、90年代、00年代を通じて劇的に加速し、実用に耐えうるレベルになったのだと思います。80年代末にはかなり一般化しているはずです」
「80年代末ってけっこう最近ですね」
「最近です、で、その頃に系統不明だったクジラが、ウシの仲間だということが分かり世界を驚かせました」
「えーッ! クジラってウシの仲間なのっ! 今驚くおれ」
「(ウィキペディアには)94年ごろにその可能性が示唆されたと書いてありますねー。僕は高校生の時に知ったので、96年ごろでした」
ゴリラはヒト科!
「科についてなんですけど、 ウィキペディアではゴリラはヒト科だって書いてあります。動物園のウェブサイトではヒト科となってますが、実際の看板はショウジョウ科、 国語辞典だと最新版でもショウジョウ科、ヒトニザル科、ヒト科と一定してないんですが、正しいのはどれなんでしょう? それともこれが正しいってのはない? 」
「ヒト科です! ヒト科が正しい」
「科ってのは研究がすすめば『やっぱりこっちだった』みたいにコロコロ変わるものなんですか?」
「学会の大勢を占めるものが『正しい』なので、コロコロ変わりまくりですねー」
「未だにゴリラの科がショウジョウ科とかオランウータン科ってなってる国語辞典はその部分を見直してないってことですね」
「ショウジョウ科は、さっきの図からヒトを除いた分類群のことを指すのだと思います」
「『ヒトは特別!』という意識から、サルをまとめたかったのだと思いますが、一個の根っこから出てるのにヒトだけ独立させると、明らかに分類群が無理矢理になるじゃないですか。それで取りやめになったのです。かなり古い、しかも無理やりな分類群です」
「『ヒトは特別!』という意識から、サルをまとめたかったのだと思いますが、一個の根っこから出てるのにヒトだけ独立させると、明らかに分類群が無理矢理になるじゃないですか。それで取りやめになったのです。かなり古い、しかも無理やりな分類群です」
「オランウータン科ってのは?」
「オランウータン科にゴリラが入っていたのは、ゴリラがそっち側の根に入っているのではと考えられていた時代の名残です、この図見てください」
ウータン。といえば、いないいないばぁ!
「あー、なるほど! ヒトとオランウータンに分かれて、ゴリラはオランウータン側だったと……動物の分類の話めっちゃおもしろいですね」
「ここ、専門に近いんでつい力が入ります(笑) 。で、類人猿科です。僕自身、類人猿を分類群として扱おうという概念があるのにそもそもおどろきました」
「それは国語辞典の『類人猿科』って記述にってことですか?」
「そうです、類人猿は分類群じゃないです!」
「類人猿のウィキペディアにもありますが『類人猿とそれ以外を区別する明確な生物学的根拠は無いことに注意が必要である』これにつきます」
「類人猿が何かってのは、はっきり言って『言ってる人の感覚』です」
「類人猿のウィキペディアにもありますが『類人猿とそれ以外を区別する明確な生物学的根拠は無いことに注意が必要である』これにつきます」
「類人猿が何かってのは、はっきり言って『言ってる人の感覚』です」
「類人猿ってかなり曖昧な言葉なんですね……ヒトニザル科ってほんとにあったんですか? 検索してもあんまりでてこない 」
「たぶん『類人猿』という語を無理に科に落とし込んだ感じだと思います。僕も初めて聞きました……」
「ヒトニザル……類人猿、あー、なるほど! これ国語辞典独特の表記なのかもしれないですね……」
「特に昔の国語辞典は先に出ている国語辞典の記述を切り貼りして作ってるものも多いので、最初に『類人猿科』って書いちゃった辞典の記述をそのままコピペした結果広がった。というのもあるのかなと思いました」
「ちなみに、加藤さんの専門ってなんなんですか?」
「特に昔の国語辞典は先に出ている国語辞典の記述を切り貼りして作ってるものも多いので、最初に『類人猿科』って書いちゃった辞典の記述をそのままコピペした結果広がった。というのもあるのかなと思いました」
「ちなみに、加藤さんの専門ってなんなんですか?」
「あー、僕は……何とも説明しにくいのですが、動植物全般の分類学ですかねー。雑草野菜の記事も植物分類やってるうちに産まれた記事です」
「なんだか断定的に好き勝手あれこれ書いて恥ずかしいのですが、以上、お力になれたらということで」
「なんだか断定的に好き勝手あれこれ書いて恥ずかしいのですが、以上、お力になれたらということで」
「お昼休みにわざわざありがとうございました」
国語辞典をふざけて読んでたら分類学の入り口に立っていた
「ゴリラが兇暴だってさーアハハー」みたいな軽い気持ちで国語辞典を読んでいたところ、思わず分類学の入り口にまで来てしまっていた。さすがに中に入ることはできないのだけど。
こうやって、古い辞典から記述をひとつづつ読み比べていくと、ゴリラの研究がどのように進んでいったかの大まかな流れがわかってしまうという。国語辞典ってすごい。
だから古い国語辞典は捨てちゃうともったいないのだ。
こうやって、古い辞典から記述をひとつづつ読み比べていくと、ゴリラの研究がどのように進んでいったかの大まかな流れがわかってしまうという。国語辞典ってすごい。
だから古い国語辞典は捨てちゃうともったいないのだ。