特集 2014年12月2日

リンゴを罵倒する

リンゴを罵倒する話が流行ってるらしい。なんだそれは。たのしそうだ。
リンゴを罵倒する話が流行ってるらしい。なんだそれは。たのしそうだ。
「毎日やさしい言葉をかけたリンゴと毎日罵倒したリンゴだと一ヶ月後に罵倒した方だけくさった」という話をTwitterで見かけた。

リンゴを罵倒である。そんなことやったことがない。わけがわからなすぎて楽しそうだ。やってみたい。

くさるくさらないはどうでもいい。ただただリンゴを罵倒してみたい。
動画を作ったり明日のアーというコントの舞台をしたりもします。プープーテレビにも登場。2006年より参加。(動画インタビュー)

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> 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー

人のいないグラウンドにやってきた
人のいないグラウンドにやってきた

家で罵倒するのはなかなかむずかしい

もし私達がリンゴを罵倒するなら家でやろうとするだろう。だが実際に家でやろうとするとなかなかむずかしい。

たとえばわが家には幼児がいる。インターネット上の企画だとはまだ理解できないだろう。「リンゴを罵倒するお父さんがいる」とショックをうけてしまう。

じゃあ誰もいないときや一人暮らしの人ならということになるが、もし隣家に罵倒する言葉がもれ聞こえでもしたら……評判がた落ちであるし、警察に通報されるかもしれない。

気兼ねなくリンゴを罵倒しようと思ったらだれもいない外でやるのがいいのではないだろうか。
罵倒されるためにピッチャーマウンドにあがるリンゴ
罵倒されるためにピッチャーマウンドにあがるリンゴ

東京に人のいないところはない

雨が降りそうな平日の市民グラウンドに人などいないだろうと思っていたら一応ランニング中の方が一人いた。

家で虐待の疑惑をかけられるよりはたった一人に(事情はよくわからないが、リンゴを罵倒してるんだな)と思われたほうがましか。

と思ってここではじめたが(事情はよくわからないが、リンゴを罵倒してるんだな……よし、管理事務所に相談だ)となる恐れもあったなと今は思う。
「バーカバーカバーカ」はじめての罵倒
「バーカバーカバーカ」はじめての罵倒

はじめての罵倒

ピッチャーマウンドにおかれたリンゴを「バーカ」とおそるおそる罵倒してみる。恐ろしく空疎な感触だ。つづけてもう一度「バーカ」と罵倒してみる。シーン。当然何もない。

バカ、バカ野郎と何度か罵倒をくりかえす。なんだこれは。これは何をやってるのだろう。わからない。ここからは"わからない"の領域だ。先を見たい。

とにかくリンゴに罵倒をつづけよう。
動画で。はじめてのリンゴへの罵倒。違和感をおぼえる

なにかがおかしい

楽しい!とかストレス解消!とかの前にただヤバさを感じる。くさっているとかの本来の意味でのヤバさである。

リンゴの前に自分がくさってどうする。一体このヤバさはどこからくるのか。私は罵倒のことばチョイスにその一端があると思う。

リンゴに対して「バカ」はないだろう。ここに違和感がある。リンゴにバカも利口もない。ひょっとするとバカは私ではないかという気もしてくる。
「バーカバーカバーカ」
「バーカバーカバーカ」
(リンゴはバカとかじゃないしな…)むなしさを感じる
(リンゴはバカとかじゃないしな…)むなしさを感じる

後世に残したい『リンゴを罵倒することば』10撰

やってみてわかった。いきなりリンゴを罵倒するのは意外とむずかしい。これからリンゴを罵倒してみたいという方には先にことばを用意することをおすすめしたい。

15分くらい手当たり次第にリンゴを罵倒する罵倒フリースタイルを行なって目についたものを10個チョイスした。これでいつでもリンゴ罵倒し放題である。
バカとかはリンゴにはないものと思われる
バカとかはリンゴにはないものと思われる

「バカ!」30点

リンゴはそもそもバカとか賢いとかそういうところにはないので、どちらかというと言ったほうがバカに見えてしまう。

このむなしさがすごい。リンゴを罵倒するときのむなしさはこの辺のことばからくる。アホやノータリンなども同様である。

くだものを部下感覚でこきつかおうとする男
くだものを部下感覚でこきつかおうとする男

「遅いんだよ!」40点

リンゴの動かなさをせめるパターン。遅いのはまあ間違ってはいない。物なのだから。しかし動かない物に対して「遅い!」と動くことを期待しているこの態度がやはりバカっぽい。

リンゴの罵倒は自らのIQを下げてリンゴもくさらせる。悪いことづくめだ。

別にいいだろ
別にいいだろ

「丸いんだよ」50点

まず間違っていないことは評価したい。丸いことは丸い。勢いで押しきることも可能なのだが、気を抜くと丸いからどうなんだというむなしさがやってくる。

「赤いんだよ」なども同じ。赤くてもいいじゃないか。書画にでもしたためたい。
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小学校高学年くらいがやりがちなこと、それがファッキュー
小学校高学年くらいがやりがちなこと、それがファッキュー

「ファッキュー」40点

小学校高学年が言いそうな英語の罵倒である。実際のリンゴ罵倒フリースタイルではこのあと「これは英語だよ」「英語わかってるのか」とつづいた。

輸入ものならわかるかもしれないなと思った。

まあ木だろうな……
まあ木だろうな……

「親の顔が見てみたいね!」50点

本人よりも本人が愛するものを罵倒するパターン。ただし親というより木であることだろうし、リンゴは物だから愛したりしない。

ただのリンゴ農家訪問におわりそうな予感がする。

バーカと同じ語感で部位を指摘
バーカと同じ語感で部位を指摘

「種(たーね)!」70点

「バーカ!」においてはリンゴがバカではないことが大きかったのでその改善として「種(たーね)!」である。リンゴには種がある。まちがってはいない。

部位の指摘が罵倒なのかどうかという問題もあるが、言い方の腹立たしさは特筆すべきだ。

不可能だと思われていた無農薬育成『奇跡のリンゴ』のことだろうか
不可能だと思われていた無農薬育成『奇跡のリンゴ』のことだろうか

「奇跡コラ!」30点

思い浮かんだ言葉でただなじるパターン。このリンゴは近所のスーパーで100円だったので農薬もちゃんと使って作られたものだろう。ノー奇跡である。

大家さん視点でリンゴを罵倒してみる
大家さん視点でリンゴを罵倒してみる

「お家賃入れなさいよ!」80点

「ごくつぶし」や「役立たず」から一歩進んだ形の家賃を催促するパターン。もちろんリンゴがお金を払うわけはないのだが、入居者としてリンゴをそろえたリンゴマンションを想像できて楽しい。

そういえばこのリンゴ罵倒の本来は楽しみを感じることにあるので高得点をつけたい。

個数をせめるパターン
個数をせめるパターン

「一個この野郎」20点

リンゴの個数を指摘する罵倒。たとえば私達がファミレスに入って「お一人さまこの野郎!」となじられることはないだろう。罵倒自体に無理がある。

しかし数をかぞえるのは容易なのでとっさの一言としていい。チンパンジーあたりがリンゴを罵倒するときにも使えそうだ。

よくわからないが罵倒らしさはある
よくわからないが罵倒らしさはある

「ケツみたいな顔しやがって」90点

何が尻で何が顔かもわからないが、罵倒らしい雰囲気には満ち溢れている。

ただこれを言ってる人間は相当追い込まれているだろうなという気はする。

リンゴは悪くない
リンゴは悪くない

リンゴへの罵倒はスポーツだ

以上とりあえず10個のことばを選んだ。

何十分もリンゴを罵倒しているとさすがにうまくなっていく。ボキャブラリーが増えてことばに詰まらなくなるのだ。

こんなにテニスのラリーがつづいた、サッカーのリフティングを長くできた、みたいな気持ちよさだ。リンゴの罵倒のよさとはスポーツに近いのかもしれない。

以上はすべて罵倒する側の気持ちであるが、罵倒される側のリンゴの気持ちはどのようなものなのだろうか。
リンゴ視点からの映像をつなげた
リンゴ視点からの映像をつなげた

罵倒の映像をつなげた

リンゴ側の気持ちはどんなものかなと思い、リンゴ側から撮っておいた罵倒映像をつなげた。やはり自らくさってしまいたくなるような厳しいものなのだろうか。見てみた。
スクリーンに投影して試写をしてみよう
スクリーンに投影して試写をしてみよう
彼はこんな気持だったのだ
かわいそうに……
かわいそうに……

リンゴ罵倒道の奥の深さ

リンゴにバカバカいってるのはやはりむなしい。

ひょっとしたら日々のストレス解消になるかもなとためしてみたが、かえってストレスがたまりそうであった。

しかしボキャブラリーをふやしてフリースタイル化していくとだんだんスポーツのようなたのしさも見えてきた。

リンゴを罵倒する競技がいつかできて、いずれプロのリンゴ罵倒プレイヤーが生まれるかもしれない。

もし明日の朝食にリンゴが出てきたら「まずいなあ」とつぶやいてみよう。たとえどんなに美味しいリンゴでもつぶやいてみよう。それがプロへの第一歩なのだから。
娘が食べたリンゴはお父さんがさんざん罵倒したリンゴである。味は普通。
娘が食べたリンゴはお父さんがさんざん罵倒したリンゴである。味は普通。
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