特集 2014年11月29日

“外国で文字が読めない”を考えた

絶望的に何の店かわからない
絶望的に何の店かわからない
日本人は中国に行くときは、なんとなく漢字が読めるのでどうにかなる。フィリピンもインドも英語を使っているので、英語も多くてまだ何の店かだいたいわかる。

でも韓国とかタイとかカンボジアとかの独自の文字を使っているところに行くと、もうわからない。僕はマゾ気質なのか、英語の看板あふれる観光客のエリアから逃げて、現地の文字に囲まれて、快楽を感じる。僕みたいな人はきっといるはずだ、と思いたい。

ただ漠然と快楽を求めるだけでなく、よくわからない店とか看板を撮りためたくなった。
変なモノ好きで、比較文化にこだわる2人組(1号&2号)旅行ライターユニット。中国の面白可笑しいものばかりを集めて本にした「 中国の変-現代中国路上考現学 」(バジリコ刊)が発売中。

前の記事:タイのコンビニ漫画の世界

> 個人サイト 旅ライターユニット、ライスマウンテンのページ

インドはある程読めてしまう分、僕には物足りない
インドはある程読めてしまう分、僕には物足りない

撮りためればわかることもある

最近になって「撮りためてみよう」と思いついた後は、いろんな国でよくわからない店や看板を撮りためた。

撮った写真を改めて整理したら、なぜわからないのかという原因がわかってきた。
あらゆるジャンルに応用のきくキャラクターなので何の看板かわからない
あらゆるジャンルに応用のきくキャラクターなので何の看板かわからない
ファッションなのか保険なのか選挙なのかわからない
ファッションなのか保険なのか選挙なのかわからない
牛や豚がおいしそうに肉を共食いしている絵なら、きっとそれは牛肉料理であり、豚肉料理だろう。歯が描かれているなら歯医者であり、ハサミがあれば理容師だと予想できる。

でもキャラクターで何か書かれるとお手上げだ。何が書かれているのか予想もつかない。

あと人物写真というのも曲者だ。その店は、アパレルショップかもしれないし、美容院か、アイドル写真販売店か、ホストクラブか。はたまたタレント養成所か、ビジネススクールかもしれない。
ドヤ顔系の顔をされても何がすごいのかがわからない
ドヤ顔系の顔をされても何がすごいのかがわからない
ふたりいてもわからないものはわからない
ふたりいてもわからないものはわからない
マスコットおじさんをリアルにつくろうが、わからない
マスコットおじさんをリアルにつくろうが、わからない
人やキャラクターが現地の言葉で語り掛けてくるからよくわからないのだ。

看板がわからないならどうするか。諦める必要はない。どの店もオープンだから外からでも何を扱っているか、店の外から見ればいいんですね(当たり前)。
広告を出す側は、一言英語をちょこんとでも書いておけばいいのだ。
広告を出す側は、一言英語をちょこんとでも書いておけばいいのだ。
少しでも英語を書いておけば、何の広告かはわかる。しかしそれは目を凝視しなければならない。

撮りためた写真の中に、店が何を扱っているかが一目瞭然の看板もあった。見本として参考にしていただければ、これ幸い。
どう見てもパン屋だ。実際にパン屋だ。インパクトもある。
どう見てもパン屋だ。実際にパン屋だ。インパクトもある。
いいのかよくないのか、真似るとよくわかる
いいのかよくないのか、真似るとよくわかる
チキン屋かと思いきや、FMラジオっぽい。無駄に真似るのはリスキーだ
チキン屋かと思いきや、FMラジオっぽい。無駄に真似るのはリスキーだ

外国人がみる日本

ところで日本を知る外国人から

「日本に行ったとき、何の店かわからず入れない店があって困った!」

と言われたことがある。日本人は考えたことがなかったけど、確かにそうかもしれない。見てわからない店ってなんだろう?と思って商店街を歩いてみた。

行ったところは、福岡唯一の大きな商店街「西新商店街」。テレビで見る商店街は、東京の武蔵小山や大山の商店街ばかりなので、違う商店街を見てみたかったという理由もある。
西新商店街名物のリヤカーでの出店がどことなく日本でありながらアジアっぽい
西新商店街名物のリヤカーでの出店がどことなく日本でありながらアジアっぽい
さっきと同じ視点で見ると…
さっきと同じ視点で見ると…
確かに絶望的にわからない
確かに絶望的にわからない
でも、もうちょっと歩いていくと、”なんとなく外国人がわかる”店が増えてくる
でも、もうちょっと歩いていくと、”なんとなく外国人がわかる”店が増えてくる
最初は、「あぁ、これは確かに外国人にはわからん店が多い!そんな店ばかりだわ」と感じた。半分以上、日本語がわからない人には正体不明の店だった。

でも、謎の店ばかり!と思い込んで、商店街の先に進んでいくと、なんとなく外国人でもわかる店が増えていった。看板は英語表記でないけれど、ほとんどがわかる店だった。

アジアの店々はオープンだ。看板が謎でも、店はオープン。商品を外に並べたり、外から見えるようになっているので何の店か、だいたい察しがつく。

商店街の奥の方は、ドラッグチェーン店のように外にまで商品を置いてたり、ガラス張りなのでなんとなくわかるのだ。

なぜ商店街の入口のほうが、わからない店が多いのか。繁華街で飲食店が多かったからだ。飲食店は中が見えない店が多くて、しかもメニューも日本語オンリー。「イタリアン トラットリア」なんて緑色のカタカナで書かれても、外国人にはサッパリなのだ。
人気のラーメン「一蘭」の西新天神限定「剛鉄麺」。日本語だけで惜しい。
人気のラーメン「一蘭」の西新天神限定「剛鉄麺」。日本語だけで惜しい。
謎の文字にもめげず、店の中に突き進んでいき食べてみる旅行者でありたい
謎の文字にもめげず、店の中に突き進んでいき食べてみる旅行者でありたい

やっぱり逆だった

日本では誰かの顔をだしている店の広告は少なくて、ほとんどが文字だけだ。どっちにしても解読不能なら、顔を出したほうが多数派なのか、顔を出さないのが多数派なのかは、世相や習慣を反映しているみたいだ。

外国だと繁華街だと英語のフォローもあって、田舎にいくほど難易度があがるが、日本だと居酒屋が多い中心繁華街のほうが、個人商店が多い住宅地の商店街より難易度があがるというのは興味深い。

外国人観光客も増えているし、東京オリンピックもあるし、日本全体がなんとなく外国人旅行者にもやさしい街づくりをするといいなと思った。
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