国道沿いの気になりすぎるお店
埼玉県の吉見町に「吉見百穴」という、まあその名の通り、岩山に穴っぽこがいっぱい空いた古墳がありまして、穴の中に潜入できたり、珍しいヒカリゴケが自生していたりと、なかなかの面白スポットなんです。
219個も穴が空いているとかいないとか……
ダンジョン感あって楽しいですよ
しかし今回紹介するのはその吉見百穴ではなく、そこに行く途中で発見した、もっと気になるスポットです。……それがこちら!
あーあーあーあーあー……
こっち系のお店ですね……
車がビュンビュン通る国道脇に、いきなり現れる異様な建物。
もう、この手の情報量多すぎなお店の常なんですが、どこから見ていったらいいのやら検討がつきませんよ……。コレが気になっちゃって事故を起こしちゃう車とかいないんですかねぇ?
なんかゴチャゴチャ色々書かれているんですけど、達筆すぎて読み取りづらい!
アートな感じに文字が配置されていますが……
こういうことかな?
「コ」こだよねパパ「ヤ」すくて県内有名「ノ」お店だね
この「コヤノイ式」ってのがよく分かりませんが、とにかくTBSテレビで20分全国放送されたようです
そして、おそらくコレが店名でしょう「ザ・がらくたや」! 名は体を表すとは、まさにこのことですよ!
「ガラスの修理大手業界有名」という文字があるし、ガラス屋なのかな? ……とは思うものの、ビジュアル的にはガラス屋さんっぽい要素は皆無。
さらに「ザ・がらくたや」という店名(?)。うーん、果たして何なんでしょ、コレは?
次のページではもっと近づいてみますよ!
がらくた屋なのかガラス屋なのか……?
近づいてみると……うわー、ますますスゴイ!
近くから見ると、さらに色々な情報が飛び込んできて混乱してしまいますが、中でも特に気になるのが「コヤノ式募集中」の文字。
さっきから気になっていた「コヤノ式」って、募集するようなものなんですねぇ……? 謎は深まります。
「がらくた横町入口」なる看板も謎だし
積み上げられたリアル「がらくた」たちはもっと謎
後ろのロボットは「六神合体ゴッドマーズ」かな? 手前のは「ガイヤー」……じゃないよなぁ?(分からない人はお父さんに聞いてみよう)
「ザ・がらくたや」という名に恥じない「がらくた」たちがズドーンと積み上げられているんですが、要はコレは何なのか!? 売り物? オブジェ?
そして、こんな看板を出してるくらいだから、やっぱりガラス屋さんなのか……?
さらに、お店の正面に回ってみたところ、カオス度が倍増!
うわーい! わーい! 完全にどうかしてるぞ!
何だこの像……カーネル・サンダース的な存在なんでしょうか?
他にも色々と像が
そして、取り外されたドアには、エモーショナルすぎるメッセージがギッシリと
「いまが大事」「一番わかっているようで一番わからぬ自分」「命とは親がくれた宝物」……等々、よーく読んでみると、要は相田みつを的なメッセージが書かれているだけなんですが、個性的すぎる字体と、汚い板っ切れに書かれているのとが相まって、クレイジーな雰囲気が漂いまくりです。
「ともかくここに生かされている自分 神様ありがとう」
ああーっ、メッセージの方向性が神様方面に行っちゃった……色々と不安です。
がらくた(?)がギッシリ詰め込まれたショウケースも気になるし……
懐かしの水原弘のホーロー看板……と思いきや
手元には「ハイアース」ならぬ「コヤノ式」!
だから何なんだ「コヤノ式」って! 殺虫剤なの!?
よーく見ると、殺虫剤部分だけじゃなくて、服やロゴなども塗り直されているのが気になります。
そして、店からちょっと離れた場所にはこんな看板(?)が
「週刊誌、新聞に取り上げられましたお店デス」
いやあ、書いてあることはさっきから何てことないのに、そのデザインセンスのせいで、完全なる電波な物件となってしまっています。夜見たら恐いだろうなぁ……。
しかしコレ、もともとカーブミラーでしょ? こんなことしちゃっていいんでしょうか!?
ま、とにかくコレだけ気になる物件、外から眺めているだけじゃなくて、中も見てみたいですよね……と思ったのですが。
閉まってます
ええーっ……。
果たしてコレはお休みなのか、潰れちゃってるのか……。気になる疑問が山積みのままで帰れないよッ!
おそるおそる電話してみました
コレだけ気になる外観を見せつけておいて、店が閉まってるじゃ気が済まないですよ! この高まったテンション、どうしてくれるんだ!?
しかし、さっきから気付いてはいたんですが
やたらと色んなところに
携帯番号らしき数字がバンバン書かれまくっているんですよね
コレは「用があったら携帯に電話してね」パターンなのかなぁ……と。地方のやる気のないお店なんかだと時々あるんですよね。
まあ、かけてみますよね
「はい?」
——あのー、お店に書いてあった番号を見て電話したんですけど……お店、やってないんですか?
「そうだねー、閉じてるの、もう」
——ああー、潰れちゃったということなんですか?
「潰れてるわけじゃないんだけど……開けててもお客さんが来ないし、何にも売れないから閉めてるの」
——(それを「潰れた」っていうんじゃないの……?)コレ、根本的に何のお店なんですか?
「がらくたや!」
——それは分かってるんですけど……がらくたを売っているお店なんですか?
「そうだねー、売れないけどね。ちょっと前に病気をやっちゃって、それ以来、子どもたちからも、どうせ何も売れないんだからやめとけって止められててねぇー」
とまあ、身の上話などを聞かせてもらってたんですが、結果的に「1時間後くらい待ってくれたら行く」ということに。おお、来てくれるんですね!
というわけで、時間を潰して再びやってきました
「こんな店なのに40年も続いているからね!」
——まあ……他にはないでしょうねぇ~。
「まあ、全然お客さん来ないから開けてないんだけど」
「40年も店をやってきたじつりょく」……あんまり開けてなくても、「40年店をやってきた」っていっちゃっていいんですかね?
さてさて、せっかくなので色々と気になっていたことに関して聞いてみたところ、
・基本的に本業はガラス屋(ガラス修理職人?)
・本業でお客さんの家を回っていると、不用物などの引き取りを頼まれることがあるので、それを売ったら儲かるんじゃ……と思い、この店をスタート。
・要は骨董品屋……というか、リサイクルショップみたいなものらしい。
・1万点以上の商品(がらくた)があるけど、ほとんど本当のがらくた。でも、中には高価なものもある。
……と、こんな感じらしいです。
タダ同然で引き取ってきた物に値段をつけて売ったら儲かるんじゃ……というのはナイスアイデアだとは思いますが、ホントのがらくたばっかりじゃ、そりゃああんまり売れないでしょうね。
で、問題がこの「コヤノ式」って何なのかということ
「コヤノ式っていうのはね、ガラスの……」
またもや延々と色々教えてもらったものの、あんまりよく分からなかったんですが、どうも、ガラス屋としての技術+その仕事先で不用物などを仕入れて売る……というノウハウのことを「コヤノ式」と名づけているみたいです。
要は、この「ザ・がらくたや」をフランチャイズ展開していこうという野望があったということらしいんですよね。
だから「東松山店」って書いてあったのか
——で、フランチャイズの支店はできたんですか?
「伝授しようと思ったんだけど、誰もやろうって人は来なかったねぇ~」
まあ……コレを自分でやるのはハードル高いですよね。
ところで、わざわざ来てくれたくらいなので、お店の中も見せてもらえるのかと思ったら……。
「いやー、中メチャクチャだから入れないよー」
とのこと。ええーっ!
確かに、ガラスの破片(?)などが散乱してるし、入れないだろうなぁ……とは思っていましたが
「でもせっかく来たんだから、何か買っててよ!」
——えっ、でも店の中に入れないんじゃ……?
「コレ全部売り物だから!」
薄々そうかなー……とは思っていましたが、全部売り物なんですね
う……ううーん……
欲しい物……ないな……
「じゃ……じゃあコレで……(小さいから)」
とはいえ、値札も何もついていませんが……
「それは100円!」
……たぶん、テキトーなんでしょうね。
がらくたを集めるのが楽しかったんだろうなぁ……
店長さんと話していると、「がらくたを仕入れてきて売る」というアイデアからスタートしたお店なのは間違いないんだろうけど、途中から、ただ単にがらくたを集めるのが楽しい……というモードに突入しちゃったんじゃ? という感じビンビン伝わってきました。
まあ、がらくたをバンバン積み上げていくの、楽しそうだもんなぁ~。本業も別にあるし、売れても売れなくてもどうでもいいんでしょう。
しかし、元手はかからないものの、どう考えても儲からなさそうなこの商売を、どうしてフランチャイズ展開しようとしたのか……? まさか、アイデア料を徴収して儲けようと考えていたんじゃ!?
コレ、どうしようかな……?