10秒でできる、スパゲティソース丼
ご飯にかけるなら、スパゲティソースでなくともカレーやハヤシライス、あるいはシチューで良いだろう。そう思われるかもしれない。
そりゃ、私だってレトルトのカレーがあればそれで済ませる。だが、人生は常にカレーと共にあるワケではない。
食料庫にあるのはスパゲティソースだけ
ご飯はあるけどカレーはない。そんな時、ふと何気なく目に留まったのがスパゲティソースなのであった。
スパゲティをゆでるのは時間がかかるので論外として、それならご飯にスパゲティソースをかけてしまえば良いのではないだろうか。そう思い至った。
どんぶりにご飯をよそう(冷や飯で十分だ)
スパゲティソースをかける(温めるのは時間がかかるので常温のままで)
ご飯をよそって、ソースをかける。わずか2工程。時間にして10秒で完成である。しかも、これがなかなかうまいのだ。
我が家に常備されているのはミートソースだけだが、スパゲティソースは実に様々な種類がある。他のソースでもご飯がおいしく食べられるのではないだろうか。さぁ、試してみよう。
そして肥えた
とまぁ、12種類のスパゲティソースをご飯にかけて食してみたワケだが、ご飯に合うものもあれば会わないものもあってなかなか楽しめた。
傾向としては、肉を使った旨み成分の強いもの、あるいは逆にあっさりとしたものはご飯に馴染みやすいようだ。
逆にトマトの酸味が強いもの、オリーブオイルが使われているものは、ご飯にはちょっと合わない。本格志向なソース程、迂闊にご飯と合わせるのはやめた方が良い。
それにしても、12種類のスパゲティソースというものはかなりのボリューム、そしてカロリーである。もちろん、今回試したものは全て完食している。体重計に乗るのが恐ろしい今日この頃だ。
マ・マー「ミートソース(マッシュルーム入り)」
まずは基本中の基本、ミートソースである。
マ・マーのミートソースにはマッシュルーム入りとそうでないものの二種類あるのだが、私がマッシュルーム入り一択だ。
マッシュルーム抜きのミートソースを選ぶことは、おそらく一生ないだろう。
だって、マッシュルーム、うまいじゃない
ご飯にソースを絡めて食べる
うまいのよ、これが
トマトの酸味とひき肉の旨みが見事に調和し、マッシュルームの歯応えとハーブの風味がアクセントとして全体を引き締めている。
肉と野菜のダブルのコクが、スパゲティのみならずご飯にもバッチリ合うのだ。これのお陰で、私はスパゲティソース丼に目覚めた。
(★4つはカレーと同等、★5つはカレー以上のレベルである)。
マ・マー「ナポリタン」
お次はナポリタン。ミートソースに次いでポピュラーなスパゲティソースだが、さてはて、ご飯との相性はこれいかに。
まぁ、これも定番だよね
ミートソースよりトマトの色が強いですな
口に運んでまず思ったことは、ミートソースよりもかなり甘口だということ。ケチャップベースな上に、タマネギなど野菜の甘みが出ているのだろう。
その中でもトマトの酸味がやや強く尖っており、残念ながらミートソースほどご飯にはマッチしない。
とりあえず、粉チーズを振ってみた
なんとなく粉チーズを加えてみたのだが、これは正解だった。チーズがトマトの酸味を抑え、マイルドにしてくれるのだ。
とはいえ、やはりナポリタンはご飯との親和性がイマイチ。ケチャップライスのように炒めるなどひと手間加えれば、よりおいしくなりそうな感じがするが、それは面倒だ。
マ・マー「あさりコンソメ」
続くはあさりコンソメ。スパゲティソースというよりもスープスパゲティである。
これは安全牌というかなんというか、なんとなく味が想像できるのできっとご飯にも合うだろうと、半ば確信を持って買ったものだ。
お前、絶対ご飯に合うだろう?
はい、当然のように合いました
コンソメスープにハーブが香り、あさりの魚介的なうまみもご飯にベストマッチ。
あっさりタイプなのかと思いきや、ほのかにバターのような風味が感じられ、意外とコクがある。冷やメシがご馳走に早変わりだ。
少ししょっぱい気もするが、それも分量を調節すれば問題なし。写真よりも少なめ、ご飯全体にスープが染み渡るぐらいが適量か。
マ・マー「カルボナーラ」
さてはてカルボナーラはどうだろう。チーズ、卵、ミルクでこってりと武装した、濃厚な味わいがウリのスパゲティソースである。
君、なんだかカロリー高そうね
ほう、これはこれは
これまたなかなかうまい。クリーミィなソースに、ベーコンの香ばしさと旨みが引き立っている。スパゲティはもちろん、ご飯にもしっかり馴染んでいるのが凄いところだ。うん、全然アリ。
見た目通りかなり濃厚だが、胡椒がピリッと引き締め、飽きずに完食できた。程良いしょっぱさもあって、シチューよりご飯に合うと思う。
マ・マー「たらこクリーム」
私は明太子が好きだ。おにぎりでは必ず明太子を選ぶし、博多土産の明太子もペロリと一本いけてしまう。
それはスパゲティソースとはいえまたしかり。同じクリーム系のカルボナーラがご飯に合っていただけに、期待値はかなり高かった。
だが、実際は……
ピンクがかった乳白色に、うわぁと声が出た
「たらこクリーム」と名乗っているだけあって、想像以上にクリーミー。どろどろ濃厚かつ塩気がかなり強い。
スパゲティなら十分おいしいのだろうが、ご飯だと米一粒一粒にソースが纏わりつき、ソースの味ばかりが際立ってしまう。
かなり牛乳の味が強く感じられ、たらこの旨みというより生臭さが強調されてしまうのだ。
ぶっちゃけ、ご飯には合わない
濃厚なソースがご飯に合ったカルボナーラとは真逆の結果である。完食するのにかなり時間を費やした。
このソースは、素直にスパゲティにかけるとしましょう。
キューピー「ツナクリームソース」
ここからはキューピーのスパゲティソース。まず一つ目は、ツナクリームソースだ。
キューピーもまたマ・マーと同様、ミートソースやナポリタンといった基本的なスパゲティソースも網羅しているが、既出の種類をいくつも試すよりは、まだ未出のソースを試す方が良いだろうという判断でこのソースをチョイス。
……というか、全部試すには私の時間と胃の容量が足りないのだ。今回、被ってるものはスルーの方向でどうかひとつ。
会社員時代は、よくこのソースでスパゲティを食べていた
ご飯にかけても普通にうまい
ツナという食材は万能だ。和食にも洋食にも、なんにでも合う懐の深さがある。ホワイトソースであっても同様だ。これでまずくなるはずがない。
牛乳臭さも少なく、ご飯と非常に相性の良いクリームソースだ。
醤油を少し垂らしてもよいだろう(この写真はかけすぎ)
少し飽きたと感じたら、醤油で和風にしてしまえば良い。どんな調味料でも許容する、ツナはまったくもって偉大である。
キューピー「スモークサーモンときのこのクリームソース」
クリーム系が続いているが、お次もまたクリームソースである。涼しくなってきた昨今にちょうど良い、これからの季節に合ったクリームソースだ。
それにしても、メーカーを問わずクリーム系ソースは充実している。クリームソース自体に安定した人気があり、また具材を変えることでバリエーションを増やしやすいのだろう。
ツナ以上の期待は寄せていなかったのだが
こ……これは!
すっげぇうまい。今のところ一番だ
まず、思いのほか具だくさん。キノコとサーモンの旨みが十分に出ており、ツナよりもずっと複雑な味で飽きることがない。
鮭とクリームソースが相性抜群というのはもちろんのこと、燻製されていることでより深い味わいを醸している。
キノコの食感も良く、こういう料理としてあってもおかしくないくらいに完成度が高い。一気に食べてしまった。
S&B「予約でいっぱいの店のアラビアータ」
随分と凝ったパッケージのスパゲティソースである。なんでも、有名レストランの自信作とか、まぁ、よくあるそういった類の商品である。
これはそのうちのアラビアータだ。スパゲティについてはさほど詳しくないのだが、確か唐辛子を利かせたスパゲティだったとおぼろげながら記憶している。
高そうに見えるが、意外とそうでもなかった
トマトがやけにフレッシュな香りを放つ
パウチの中身を空けた途端、「うわ、トマト!」という言葉が衝いて出た。いや、ホント、まさにトマトとしかいいようのない匂いが漂ってきたのである。
口に運んでみると、フレッシュトマトをそのまま潰したかのように酸味が強く、ケチャップ感は皆無である。唐辛子がピリッと利いてて、ニンニクの風味も良い。かなり本格派なソースであることは分かる。だが、しかし……。
ぶっちゃけ、物凄く油っぽいのだ。パッケージを見ると、オリーブオイルにガーリックオイル、コーン油、豚脂と多種多様な油を駆使しているようだ。トマトの酸っぱさと共に、ご飯とは致命的に合わないのである。
これはスパゲティにかけて食べるべきだ
ふと、このソースで鶏肉を煮込んだら物凄くおいしそうだな、と思った。あるいは、ご飯と炒めて卵で包むか。手間をかけた料理に使えそうなソースである。
だがしかし、私はその手間が嫌いでスパゲティソース丼に逃げたのだ。私とは同じ道を行くことがない、まさに相容れぬ運命のスパゲティソースである。
S&B「予約でいっぱいの店のボンゴレ」
アラビアータと同じシリーズで、今度はボンゴレである。ボンゴレは、たしかアサリを使ったあっさりな感じのスパゲティだったか。
アラビアータの後なだけに、あまり良い予感はしない
うーん、やはり凄い油分だ
これまたかなりのオリーブオイルが使われているようで、びっくりする程に油感がある。
だが、トマトが全力でぐいぐい身を乗り出してきたアラビアータとは違い、こちらはまだご飯に合う気がする。塩味の強い洋風油飯といったところだろうか。軽く炒めた方が馴染むと思う。
見よ、この油
最近、私は油っこいものが苦手になりつつある。スパゲティにあえるならともかく、油をダイレクトに吸い込む米はかなりキツイ。
S&B「予約でいっぱいの店の蟹のペペロンチーノ」
お次はペペロンチーノだ。ヨーロッパにおいて、スパゲティは御馳走ではなく貧乏食よりの食べ物。その中でもペペロンチーノは貧乏食の極みだと耳にした。
それが日本では人気レストランのメニューとなり、レトルトパウチになり、そして私の手によりスパゲティソース丼という新たな貧乏食へと昇華する。
ペペロンチーノの存在意義とアイデンティティを見事に反映したどんぶりになることだろう。……なにを言っているか、自分でも分からなくなってきた。
スパゲティにかければ、そりゃおいしいのだろう
だが、ご飯との相性は……思っていたほど悪くはない!
一見油だらけに見えて身構えたものの、ボンゴレほどしつこくない。むしろネギと唐辛子で和風な感じさえした。とはいえあっさりといった感じでもなく、ねっとりとした旨みがある。
「蟹の」と銘打っているだけあってカニっぽい肉片が申し訳程度に入っているが、それがわずかながら魚介臭く感じられた。これなら、むしろ蟹抜きの方がご飯に合う。
オーマイ「鶏そぼろとごぼうの生姜醤油」
最後は少し趣向を変えて和風パスタ二種である。S&Bの「予約でいっぱいの~」と同じく、どことなく高級感のあるパッケージだが、こちらは日清製粉オーマイブランドの商品だ。
黒色パッケージが蛍光灯を反射する
暖簾を思わせる紺色のパウチが和を演出
当たり前のようにご飯に合った
これはアレだ、鶏そぼろあんかけである。醤油ベースのあんかけがご飯に合わないはずがない。むしろ、これがスパゲティソースであることの方が驚きだ。
少ししょっぱめではあるものの、量を調節すれば十分にあんかけ丼として成立する。
唐辛子をプラスすれば、さらにグッド
というか、ここまでガチな和風だとは思わなかった。さも当たり前のようにご飯に馴染んだので、むしろ拍子抜けしてしたくらいである。
オーマイ「粗挽き肉と蓮根のボロネーゼ」
「鶏そぼろとごぼうの~」は醤油ベースであったが、こちらは味噌ベースである。
……これもまた、どうせご飯に合うんだろなぁと思いながら、パウチを開ける。
だって、味噌に蓮根だよ? 普通にご飯のおかずじゃない
見た目はなんだかちょっとアレだが……
これが、びっくりする程にうまかった
完全に肉味噌である。しょっぱいということもなく、ご飯にどっさり載せて食べられる。
味噌の奥にはトマトのような野菜の香味が感じられ、より奥深いコクがある。レンコンのシャキシャキ感も最高だ。
これにネギを加えたりすれば、もう立派な肉味噌丼である(パッケージをよく見ると、やはり万能ネギを散らしている)。
むしろ、この肉味噌をスパゲティにかけるイメージがまったくもって浮かばない。これは米のテリトリーだ。スパゲティに渡すべきではない。