俺の世界は輝いている
数週間前に、急に気づいた。
俺、世界が輝いて見えている。
通常の世界
俺の世界
いま載せた写真はレンズに特殊なフィルタをつけて撮ったものではないし、カメラも一眼ではなくコンデジである。
ただひとつ、特殊なフィルタは使っていないが、これをレンズに当てている。
毎日かけてる、愛用のメガネ
どうやら、これを通すと、何でもめちゃくちゃ輝いて見えるようなのである。
街灯のこの輝かしさ!
気づかなかった
これはもちろん写真に撮ったときだけではなくて、肉眼で見たときも同様に輝いてる。(写真の方がちょっとオーバーに輝く気はするけど、程度問題である)
オフィスビルが高級ホテルに見える
しかし冒頭にも書いたんだけど、驚くべきことに、僕は毎日このメガネかけてるのに、数週間前までこの事実にまったく気づいていなかったのだ。
気づいた瞬間は本当にびっくりした。
「うわ、景色がめちゃくちゃ光っている!」
あなたが見ている世界は本当の世界ではない
最初にまず目の病気を疑い、ネットで検索してみたのだが特に似たような症状の病気は見つからない。ふと思いついてメガネをはずしてみたら、世界がいつもの世界に戻った。
なーんだ、オフィスビルか
この「気づいていなかった」という感覚がとても奇妙である。
まえから僕の目にはこういった光が星型になった世界が映っていたはずなのだが、だからといって僕は「街頭の光は星型だ」と思って生きていたわけではない。記憶の中の街頭の光は、ずっと丸型である。
目に映っているものと、脳で見えているものは違うのだ。
脳の仕業だ。網膜から入った星型の光は、脳のなんとか野まで到達するまでの間に、丸い光に補正されてしまう。きっと僕が「街頭の光は丸い」と思っていたからだろう。
その証拠に、「光が星型に見えてるぞ!」と気がついてからは、全ての光は脳に達するまで一切まるくなることはなく、星型に見えるようになった。
……正直、うっとうしいことこの上ない。気がつかなければよかった……。
もともと特別な……
そんなわけで、メガネ屋に持っていった。レンズ交換のためだ。どのグレードのレンズにするか選んで、どのくらいの期間がかかるかを聞いて。でも、いざお金を払う段階になって、急にもったいなくなってしまった。
こんなに世界が輝いて見えるメガネ、他にないかもしれないのだ。
ナンバーワンであり、オンリーワンでもある
お店で、何でこんなことになったんですかね、と聞いたところ、傷ですかねーと言われた。
光を当ててみると縦横無尽に細かい線が入っている。これか……
はい皆さんこんにちは。こちらはニフティ株会社がお送りしております、デイリーポータルZというおもしろ読み物サイトです。
間違えて僕の日記ブログにきてしまったかと思われたかもしれませんが、間違ったのは僕のほうでした。すみません。
今日のテーマは、実験「輝くめがねを作ろう」です。
本編
僕のメガネでこんなに世界がキラキラになってしまったので、この体験をみなさまにシェアさせていただくべく、輝くメガネを意図的に作ってみよう、というのが今回の企画である。
100均のサングラス買占めました
今わかっている原因としては「レンズに傷が入っている」ということだ。新品のメガネにも傷をつけることによってあの状態を再現できないだろうか。いろんな道具を試して、ちょうどいい傷を作ってみたい。
サンドペーパー
傷をつける道具、真っ先に思いついたのはこれだ
写真で見ると普通の紙に見える
#2000という、店頭でいちばん目の細かいものを買ってきた。これでレンズを擦ってみよう。
すごい背徳感……
ギャー!
この「ギャー」感はメガネ愛用者にしか伝わらない「ギャー」ではないだろうか。あなたがメガネをかけていない場合、カメラ好きの人なら愛用のカメラのレンズに、それ以外の人はスマホの画面にでも置き換えて考えてみてほしい。この「ギャー」感が伝わるだろうか。
これもうどんなに拭いても消えませんから
これが平常時
僕のメガネです
サングラスに少し傷をつけたところ
ゴシゴシやったところ
輝いた!
すげえ。もうできた。
実験時間3分。早くも結果が出てしまった。
傷の方向=光の方向
ここまででわかったこととしては、レンズに傷をつけるとその方向に光が伸びるようだ。
さっきと同じ写真ですが横に傷をつけたところ
レンズを90度回転させたところ
くるくる回すとこうなる
で、サンドペーパーで縦横無尽にグリグリやると、いろんな方向に傷がついてこうなる
超新星タイプ
ただ問題があって、サンドペーパーでこするとレンズがキズキズになってしまうのだ。
……いや、もともと傷をつけるのが目的なんだけど、それはあくまで光が反射する程度の傷であって、視界まで濁ってしまうのは困る。
目指すところの僕のメガネは、光はピカーってなるけど視界は良好なのだ。
もっと、細かい傷をつける必要があるのかもしれない。
徒労の記録
というわけで試行錯誤が続くのですが、最初に白状すると道具を変えてもいい結果が出るものはなかったので、NG集として軽く紹介しておきたい。
サンドペーパーより目の細かい、研磨フィルム。#10000という数字のものを買ったところ、擦っても擦っても傷がつかなかった。むしろ研磨されてツルツルになったかもしれない。
いっそのことコピー用紙でメガネを拭いてみてはどうか。これ1時間くらい粘ったのですが…
なんかボヤーンとにじむような効果は得られたものの、あの鋭い光彩は出てこなかった。今度は傷が細かすぎるか
紙がだめなら毛で。歯ブラシ「かため」でシャカシャカ磨いてみるも、毛が柔らかすぎるのか変化なし。
しかし歯ブラシの投入は前置きに過ぎなかった!最終兵器「スクラブ入り歯磨き」の登場である。
磨かなきゃいけないのはレンズの中心部なのだが、フレームぎわの溝になっている部分が「隅々までよく磨けている」感が心地よく、ついつい磨いてしまう。
で、特に変化なし
これでだめだったらもうおしまいにします。タワシ
うーん、悪くないけど、ぼんやりしてるなー
というわけで、いずれもサンドペーパーを超えるパフォーマンスは得られなかった。残念。
まごころで解決する
最後に、ふたたびサンドペーパーを、今度は丁寧にやってみることにした。
アイテムを変えて散々試したあげく、行き着いたのは「丁寧にやる」という革命
白くなるのは避けられないものの、傷を最小限に抑えました
最初からこれでよかったのでは…
おお、レンズ自体を見ると傷が目立つものの、装着してみると意外に視界はにごらない。いいぞ。
より強い光で、ということでスマートフォンのフラッシュライトでも試してみた。
かっこいいぞ。オリジナルを超えるほどの、シャープな光彩になった!
夜景を堪能する
せっかくできた新しいメガネをかけて、外に出てみよう。普通のメガネ、僕のメガネ、サンドペーパーで作ったメガネ、それぞれ同じ場所で写真を撮り比べてみた。
比べてみるとわかるのだが、サングラスはよく光ってはいるものの、直線的で、僕のメガネとはちょっと違う気がする。
元々が度入りレンズではないのでそれが原因かもしれないし、何人かの人に話したら、レンズのコーティングが関係しているのではという意見もあった。
なんにしろ、メガネを軽く磨くだけで、光あふれる世界に行けることが明らかになったのだ。最近、日常にハリがないなーと考えている方は、ぜひ試していただきたい。輝かしい日常が待っているから。