9/24追記)動画版も追加しました
この実験を動画にまとめたものを公開しました。
情緒あふれる動画で結果がわかります。
文章で読みたいかたは動画の下の記事をどうぞ。こちらも力作です。
舞台は多摩川
神奈川と東京の間を流れる多摩川が今回の実験の舞台。本当に人の家のテレビを変えると怒られるので自前で河原にテレビを用意した。
東京側にテレビを設置し、対岸の神奈川県からリモコンを打つ。今回はあえて「打つ」という表現を使いたい、このあと登場するリモコンを見てもらえればその理由はわかると思う。
東京側にテレビを設置し、対岸の神奈川県からリモコンを打つ。今回はあえて「打つ」という表現を使いたい、このあと登場するリモコンを見てもらえればその理由はわかると思う。
東京側のリビング(テレビがあるから)
河原にパラボラアンテナがあるのは初めて見る景色だがなかなかかっこいい。テレビを動かすための発電機も持ち込んだ。
設営を終えて、いいリビングができたと満足していたが、ひとつ気になることがあった。水が増してきているのだ。
設営を終えて、いいリビングができたと満足していたが、ひとつ気になることがあった。水が増してきているのだ。
前の写真から約30分後の写真
前の写真では水がうっすらかかる程度だった段が完全に水没している。
世間では新型のiPhoneが話題になっているなか、僕は川原で増える水に怯えているのだ(幸いなことにこれ以上増えることはなかった)。
世間では新型のiPhoneが話題になっているなか、僕は川原で増える水に怯えているのだ(幸いなことにこれ以上増えることはなかった)。
特製・長距離リモコン
これが今回の実験で使用するリモコン。もちろん特製である。
ゴルゴ13気分で操作できるリモコン
銃口についている装置から赤外線が出る。技術的なところはテクノ手芸部のよしださんに作ってもらったのだ。
テクノ手芸部よしだともふみさん。6月の猫リモコンに続いてのリモコン制作。
ダンボール製の銃を持ってアー写みたいになっているが、遠くのテレビを確かめているところである。
この多摩川の実験からさかのぼること1週間前、よしださんが自らの地下事務所で作っていたのはこのような装置である。
--- ここから回想シーン ---
この多摩川の実験からさかのぼること1週間前、よしださんが自らの地下事務所で作っていたのはこのような装置である。
--- ここから回想シーン ---
長距離リモコンのしくみ
よしださんが作っていたのはリモコンから出る光を強くする装置。
リモコンは目には見えない赤外線がものすごい速度で点滅している(らしい)。
そのパターンを読み取って大きなライトを同じパターンで光らせる。
リモコンは目には見えない赤外線がものすごい速度で点滅している(らしい)。
そのパターンを読み取って大きなライトを同じパターンで光らせる。
リモコンから出る光のパターンをそのまま大きくする装置(これはテスト用に見える光で出してますが、本番では赤外線なので見えません)
レーザー光にするともっと簡単に遠くまで飛ぶらしいのだが、危険なのでやめた。我々はあくまで非暴力をモットーとするゴルゴ13である。怖いしね。
銃の筐体は真心を込めて林がダンボールで制作。
そして実験の4日前、東京カルチャーカルチャーで赤外線装置と筐体を組み合わせた(ガムテで)。
長距離リモコンが完成した瞬間
東京カルチャーカルチャーのバルコニーで試してみたところ、30mぐらいは余裕で届くことがわかった。
あんな先のテレビのチャンネルを変えられる
この実験でわかったのは、遠すぎてテレビのチャンネルが変わったかどうか分からない、ということだった。テレビの横にチャンネルが変わったかどうかの判定員が必要である。
この日の判定員はたまたま別の仕事でカルチャーカルチャーにいたライター地主くん
リモコンというよりも光線銃ゲームっぽくなってきた。
長距離リモコンは通りかかった外国人観光客のみなさんも興味津々。我が国にも持って帰りたいと話していた(想像)。
--- 回想シーンおわり ---
話は再び多摩川にもどる。
話は再び多摩川にもどる。
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舞台は再び多摩川
話は再び多摩川のリビングに戻る。テレビを設置して最初の発見は「西日でよく見えない」ということであった。
写ってるのかどうかもよくわからない
テレビを夕方の河原に置くと西日で見えない。「お前、まるで河原のテレビみたいだな」ということわざにしたいぐらい見えない。
しかし西日のなかでも遠距離リモコンの威力は健在だ。
しかし西日のなかでも遠距離リモコンの威力は健在だ。
約40m離れたところにあるテレビも
びびびびと赤外線を打つと(そんな音でません)
「スカチャン800chに変わりました!」
東京カルチャーカルチャーでの実験はスペースの都合で30mまでしか試せなかったが、河原であっさり新記録を更新した。40mは赤外線が飛ぶ。
対岸から試してみよう
リモコンを持ったチームが対岸の神奈川県に渡る。
てくてくと歩いて神奈川に渡った3人
メンバーは僕、テクノ手芸部よしださん、そして今回もスカパー!編集部から阿部さん。阿部さんは毎回取材に来ているのだが、結局いつも肉体労働を手伝うことになっている。
東京)リモコンの光を待ち受ける
神奈川)東京に向かって打つ!
東京)………
神奈川)打つ!
東京)………
神奈川)キー!
東京)………
チャンネルは変わらない。川幅は約100m。温泉街の射的のように銃をなるべく前に持ってきても変化はない。無駄な抵抗である。
テストでさっぱりわからないとき、当たったらラッキーと思って空欄に適当な答え書いても外れるのと一緒だ。
テストでさっぱりわからないとき、当たったらラッキーと思って空欄に適当な答え書いても外れるのと一緒だ。
暗くなるまで待て
赤外線は目に見えないのできちんと動いているかどうかがよくわからないのだ。もしかして川を渡るあいだに壊れてしまったという可能性もないわけではない。
終戦を知らない旧日本兵のような僕
そこで、確認用に赤外線が見えるカメラを用意したのだ(今回の準備はすごいぞ)。
赤外線を捉えるカメラで見ると、かすかな光が見える
赤外線は出ているがチャンネルを変えるまでではないようだ。
ただ、夕方の光はリモコンの光の邪魔をする(赤外線が多いので)もう少し暗くなるまで待つことにした。
赤外線が多いとかいつになくサイエンスなことを書いているが、対策は日没まで川原でぼんやりしているだけである。
ただ、夕方の光はリモコンの光の邪魔をする(赤外線が多いので)もう少し暗くなるまで待つことにした。
赤外線が多いとかいつになくサイエンスなことを書いているが、対策は日没まで川原でぼんやりしているだけである。
「せーので好きな女子の名前言おうぜ」的なシチュエーション
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日没、チャンス到来
日もちょうどいい具合に暮れてきた。昼の空と夕方の空がグラデーションをなす時間帯。映画で言うマジックアワーである。マジックついでに対岸のテレビのチャンネルを変えたい。
リモコンにもぴったりのマジックアワーがやってきた
神奈川)対岸の東京のテレビが光っているのが見えるようになってきた
東京側に電話をしてこれから実験を再開することを伝える。東京からの報告は「了解、暗くなってきてカップルが増えてきました」だった。
東京にいるスタッフからの写真。東京サイドは河原がスイートな雰囲気になってきたようだ。
バキューン!カップルの写真のあとにこれを載せるとカップルを狙っているようだけど、テレビを狙ってます
東京のテレビに向かってリモコンのボタンを力いっぱい押し続ける。スカパー!にチャンネルよ変われ!
「だめでーす」
非情なサインが対岸で出されている。対岸から見ているとボタンを押したときにチャンネルが変わったようにみえるのだが、それは僕らのリモコンのせいではなく、たまたまシーンが切り替わっているだけのようだ。
チャンネルは変わらないけど番組内容を僕らのリモコンが変えていた(魂で)ってことでいいのではないか。そうしてくれよ。
チャンネルは変わらないけど番組内容を僕らのリモコンが変えていた(魂で)ってことでいいのではないか。そうしてくれよ。
県境なら
いったん引き上げて東京側でリモコンを改造することにした。しかし、神奈川の県境は橋の上にあるのだ。
ここからリモコンが届けば目標は達成するのでは?
アムンゼン隊ではなく堅実なスコット隊でありたい。かっこつけて書いてみたがいまWikipedia見たら逆だった。スコット隊は遭難したほうだ。まあいい。ここからリモコンを打とう。
橋の下のテレビに向かってリモコン発射!
変わってくれ!橋のたもとの交番から警官が出てきて職質される前に。
ビビビビ(脳内リモコンSE)
チャンネルが、変わった(「プロフェッショナル仕事の流儀」風)
神奈川から東京のテレビのチャンネルを変えた瞬間である。橋の上から河原のテレビまでは約45m。こんなに気迫が乗った赤外線はないだろう。
記念写真
大人が知恵と時間をかけて作った長距離リモコン。これがあればどこのテレビでも(ただし45m以内に限る)チャンネルを変えてしまうことができる。
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一か八かの改造に挑む
しかし納得できてないのがテクノ手芸部よしださんだ。川をどうしても超えたいという。川から出ているマイナスイオンで赤外線が遮断されたってことにしようよと言っても納得してくれない。嘘だけど。
赤外線を増幅する装置に改造を加えて出力をあげる方法があるという。ただし、失敗したらこの装置は壊れてしまうのだそうだ。そんなSF映画みたいな方法があるのか。
赤外線を増幅する装置に改造を加えて出力をあげる方法があるという。ただし、失敗したらこの装置は壊れてしまうのだそうだ。そんなSF映画みたいな方法があるのか。
映画と違うのは薄暗い河原でテレビの明かりをたよりにハンダ付けしていること
僕だけだったらさっさと片付けてビールを飲みにいっている状況だが技術屋としてのプライドがあるのだ。わかる。
わかるけど暗くなってから河原に降りたらうっかり変なもの(河原にある変なものって言ったらあれだ)踏んづけそうで心配だ。
そして橋の上から試す。
わかるけど暗くなってから河原に降りたらうっかり変なもの(河原にある変なものって言ったらあれだ)踏んづけそうで心配だ。
そして橋の上から試す。
河原で青く光るテレビに向かって打つ。テレビの光が水面に写って美しい
ターゲットのテレビを拡大したところ
ジャパニーズホラーみたいだけどチャンネル変わったところです
さっきの成功した県境よりも遠い位置からのリモコン操作に成功した。その距離、約50m。改造して確かに強くなっている。日も暮れて太陽光のなかの赤外線に邪魔されることもないので対岸からも行けてしまうかもしれない。
再び対岸から・自己ベストに挑戦
橋を渡って薄暗い河原をおりる。うっかり犬のうんこを踏むこともなく(あ、書いちゃった)対岸にたどり着いた。
橋の上からとはいえ、県をまたいでのリモコン操作には成功している。ここから先は言ってみれば棒高跳びの優勝を決めた選手が独りで記録に挑む時間である。
橋の上からとはいえ、県をまたいでのリモコン操作には成功している。ここから先は言ってみれば棒高跳びの優勝を決めた選手が独りで記録に挑む時間である。
神奈川から)ビビビビ
東京から)対岸からリモコンで打ってるらしいが姿は見えず。
もう目視ではチャンネルが変わったかどうかのゼスチャーを確認することができないので電話で聞く。
東京側「変わってません。」
あちゃー。ひとりで記録に挑戦していたブブカがいきなり失敗してしまった。
東京側「ただ…」
ただ?なにか変わった気配でもあったのだろうか?
「テレビに虫がたくさんたかってます」
東京側「変わってません。」
あちゃー。ひとりで記録に挑戦していたブブカがいきなり失敗してしまった。
東京側「ただ…」
ただ?なにか変わった気配でもあったのだろうか?
「テレビに虫がたくさんたかってます」
「志村けんにいちばん虫が集まってます」(ファミリー劇場でドリフを放送していた)
河原にテレビを置くと西日で見えないに続いての教訓である。夜に河原でテレビを見ると虫が集まってくる。
もしかしたら赤外線はチャンネルを変えなかったけど、虫を集めたのかもしれない。
虫リモコンってことでいいじゃないか。もしくはスカパー!は虫も集めてしまうのだ。
もしかしたら赤外線はチャンネルを変えなかったけど、虫を集めたのかもしれない。
虫リモコンってことでいいじゃないか。もしくはスカパー!は虫も集めてしまうのだ。
長距離リモコン、声が出るぐらいおもしろい
50mぐらい離れているとテレビのチャンネルを変えただけなのに声が出るぐらいおもしろい。いまはネット経由で家電のスイッチを操作できるものがあるが、長距離リモコンをアナログに狙いすまして操作する面白さは格別である。
来年あたりヒット商品になっていてもおかしくない。もちろん、なってなくてもおかしくない。
来年あたりヒット商品になっていてもおかしくない。もちろん、なってなくてもおかしくない。
iPhoneの明かりを頼りに撤収