昭和vs平成の工作
楽しかった夏休みも終わり、「心機一転、新学期をがんばるぞー!」なんて時期なのかなと思いますが、中にはまだ夏休みの負の遺産・宿題が終わってない! ……という子もいるんじゃないでしょうか。
かくいうボクも、著しく計画性のないタイプのキッズだったもんで、
結局、第2週くらいまで引っ張って激怒されるんだけど
なーんて考えて、ホントにギリギリアウトな時期になるまで宿題に手をつけなかったですねぇ。
……というわけで今回は、「大人の力を使えば、子ども時代にエライ苦労した夏休みの工作もサクッと1日でやっつけられるよ!」的な記事にしようと思っていたんですが、最近の子どもたちはどんな工作を作っているんだろうというリサーチのために買って来た本を読んだらいきなり心がモッキリ折れてしまいました。
こんな本を買ってきたんですが
前後左右にコントロールできるロボット……!?
た、太陽電池!
こんなインターネットな世の中ですので、ボクが子どもの頃(昭和)と比べれば、そりゃあレベルアップしているだろうな……とは予想していたんですが、それにしてもハイテク!
ボクの頃は「動く工作」っていったら、せいぜい「糸巻き戦車」くらいのモンだったじゃないですか!? こんな、前後左右にコントロールできちゃったり、太陽電池で動いちゃったりする工作、ついていけないっす!
これのどこが戦車だったのかはナゾですが
とにかく、最近のレベルを基準にした工作をしようとしたら、とてもサクッと作るというわけにはいかなそうなので、昭和時代の子ども工作本を買ってきました。
昭和の工作は竹!?
デイリーポータルZでは、困ったら古い本を買ってきがちです
こちらは昭和51年の本なんですが、もうすごくイイ! 何がイイって、とにかく工作が簡単!
最近の工作本と比べたら、本格中華を作るのとクックドゥ作るのくらい難易度に格差がありますよ。
たとえば「かんたんにできるコマ」がどれくらい簡単なのかと思えば……
このレベルですもん
ちょっと難しいコマでもこんなモン
まあ、さすがにここまでシンプルな工作を「工作」と呼んでいいのかどうかというのは意見が分かれそうですが、とにかく身の丈に合った工作が色々と載っていて非常に役に立ちそうです。
しかしパラパラと見ていて気になったのが、材料にやたらと「竹」が使われているということ。
「バネの作り方」で、いきなり竹割っちゃってますからね
ぺンを作るのも竹!
笛を作るにも竹
色んな工作にフツーに竹が登場してきます
こんだけ竹工作がバンバン紹介されていますが、そもそも竹ってどこで手に入れたらいいんですかね? 木材だったら東急ハンズやホームセンターで買えますけど、竹も売ってるの?
昭和の時代には、竹がその辺に生えてたんですかね?
エモーショナルすぎる工作本
さて、前ページに引き続き竹の話題ですが、竹を使った工作のド定番「水鉄砲」!
これも実際に作ったことはないけど、いかにも……な工作ですよね。
地方のお土産屋さんでたまーに見かけますよね
ところが、この本ではノーマルの水鉄砲にくわえて、ちょっと変化球な水鉄砲も紹介されているのです。
前から……と思いきや、横からピューッと水が出る水鉄砲!
さらに、この「いたずら水鉄砲」の解説がグッときました。
「にくらしい友だちだけにしましょう」
「にくらしい」と「友だち」って相反する言葉のような気もしますが、確かに「憎らしい友達」っているので深いなぁ……と。
さらに読み進めていくと、ますます衝撃的なページが!
前の持ち主の書き込みがビッシリ!
紙で作った笛を吹くとブーブー鳴る……という紙笛を紹介しているページなんですが、紙笛や草笛って音を鳴らすのにテクニックが要るじゃないですか。
……たぶん、この本の持ち主は音を鳴らせなかったんでしょうね。「この通りに作ったのに音鳴らねーじゃねーか! 詐欺か!」ってな感じで激高しちゃったんだと思われます。
「うそ」
「なりません」
「うそです」
今でいったらAmazonのレビュー欄を荒らしまくり……といった感じですかね。こんなエモーショナルな工作本が、いまだかつてあったでしょうか!?
しかし、おそらく自分しか見ないであろう本にガンガン書き込んでも仕方ないんじゃ……(まあ結果的にボクが発見してますが)。
昭和工作を実際に作ってみよう
さてさて、ここまで色々と見てきて、せっかくなので何か実際に作ってみたいと思うんですが……やっぱり変なヤツを作りたいですよね。
……ということで目にとまったのがコレ「変身仮面」
要はお面なんですが、なんとも異様な雰囲気を放っています
とりあえず、本に書いてあることにそのまんま従って作ってみようと思います。
材料を色々と買って来ました。工作用紙を使うのなんて何年ぶりかなぁー!?
本の説明通りに作業していき……
なんとなく仮面っぽいフォルムに
細かく切った和紙を
「張り子」の要領でペタペタ貼っていきます。キモイ……
これで仮面部分は大体完成なんですが……う、うん……
微妙なしわしわ感がまた……
いやあ……完全にスケキヨ(from 犬神家の一族)ですよ
切って貼ってと、そこそこ手間がかかったわりに、完成したのは完全に異常な仮面……。なんじゃコレ!?
しかしご安心を、この工作はこれだけじゃないんですよ。
色々とパーツを作って楽しむものなんですね
こんな感じで……
パーツを差し替えて変身できる仮面なんです! ……どっちにしろ異様だけど
また、本に描かれている「この仮面の使い方」の説明がどうかしているんです。
「ウム……ムムム……!」「ヒヒヒ……ヒヒ……!」
「フフフフ……フフ……!」うーん、ザ・クレイジー!
完成品を見ての感想は「どうかしている仮面だなぁー」という感じでしたが、本の作者の意図としても「どうかしている仮面をつけて、どうかしている感じになって欲しい」ということだったんですね。
正しい使用法
近所で噂になるよ……
「心」に作用する工作とは!?
もう一個くらい昭和工作を作ってみたいと思うのですが、そこで目にとまったのがこちらの工作!
「ピンナップ人形」?
まあ、こんな感じのゆるーい人形なんですが……
この工作、人形自体はなんてことないんですが、その説明が非常に気になりました。
「人形を動かして、心を引きしめよう!」
なにその「心」に作用しちゃう人形って!?
どうしても『笑ゥせぇるすまん』などの藤子不二雄A作品に出てくる呪われた人形などを想像してしまいますが……とりあえず作ってみましょうか。
まず、泣き顔と笑い顔を作ります
完全に余談ですが、この顔を描くために絵の具を買ったんですけど、100円ショップに12色セットの絵の具が売られていてビックリしました。
コレ全部で100円! すごい時代です
しかし、もっとビックリしたのは12色もあるのに「青」が入っていないということ!
「あいいろ」と「むらさき」はあるのに!
「藍色が青の代わりになるでしょ?」ということなんでしょうけど、「藍色」と「青」ってちょっと色違いますよねぇ?
「青」絵の具の成分はコストが高い……なんて事情があったりするんですかねぇ?
続いて胴体を作って行きます
布を筒状に縫って……
中に「綿」をつめるらしいんですが
ええーっ、材料のところに「綿」なんて書いてなかったよ!?
聞いてないよーっ! 「綿」なんて買ってないよ!
なんていい加減な本なんでしょうか……(作り方くらい読んでから材料を買いに行けという気もしますが)。
仕方ないのでティッシュペーパーをつめることに
ほい、胴体完成
同じように手足パーツも作って行き……
コレが完成形です!
うーん、完成してみても特になんてことのないゆるーい人形にしか見えないんですが、どの辺が「人形を動かして、心を引きしめよう!」なんでしょうか?
細かく説明を読んでみると……。
?????
読めども読めども、イマイチ理解ができない文章なんですが……要は自分の感情と逆の感じに人形を動かして心を制御しよう的なことですかねぇ……?
悲しい時には笑い
うれしい時には心を引きしめよう
この感想しか出てきません
使い方は自分で考えろ! ……ってことですかね
電気で思い通りにコントロールできる工作も楽しいでしょうが、このくらいシュール……というか、ものすごく投げっぱなしな感じのする昭和工作たちも味わい深いんじゃないでしょうか。確かに昔の夏休みの工作ってこんなもんだったような……。
今の子どもがこんな変な工作持っていったらいじめられそうな気もしますが。