その根気がすごい
鉄格子がサビるまで何日かかっただろうか。アイデアもすごいけど、根気もすごい。全く恐れ入る。
全く恐れ入るのはたしかなのだが、ただ、僕は、なんというか、効率マニアなのだ。もっと効率的に脱獄することはできないだろうか。
機械の力で脱獄したい
そういうわけで今回は、放っておくだけで自動的に脱獄できる機械を作ります。
味噌汁といえばポンプ
今回のキモはこのポンプ。熱帯魚の水槽の水替えにつかうものだ。
右下の先から吸い込んで、すぐ横にある上向きの口から吹き出す
味噌汁を口で吹き付けてしまうとその効果は1回きりだが、ポンプで循環させれば何度も鉄格子にかけることができる。さらにこのポンプは電動なので、手錠をかけられていても安心だ。
石油、灯油に使用するなとは書いてあるが味噌汁に使うなとは書いてない。
味噌汁に使うなとは書いてないが、熱帯魚水槽専用だから他の用途には使うなとは書いてある。悪用を見越しての注意書きあろうか。ちょうど脱獄のような。
水で試してみると予想以上のパワー
暴力的な勢いで味噌汁が噴射されることがわかった。この量の味噌汁を浴び続けては、人間なら高血圧まっしぐら。鉄格子だってひとたまりもなかろう。
このポンプを使って、こういうものを作ろうと思う。
絵がうまいヘタよりも伝えようとする気持ちが重要
獄中ではこの記事読めないと思うので投獄前に作り方を丸暗記してください
さっきの図だと省かれていたけど、ポンプだけを自立させることはできないので、それを支えるやぐらを組まねばならない。
タッパーにフレームをつけていく
このフレームが先にさびるのではという懸念はこの際置いておきたい
さっきのポンプと、別売りのホースをフレームに固定
ポンプの固定はこれでいいかな。至って順調。
つぎに鉄格子を支える部品を作ります。
小さいマジックハンド的なのを作って
上下に2つ取り付け。これで鉄格子とマシンを固定します
「一度セットすれば放っておくだけで脱獄可能」がウリの装置である。放っておくうちに機械の位置がズレても気づかない可能性があり、そうなると脱獄できるのが遅れてしまう。そのためこういった固定具をつけておいた。
ここで問題発生。カーブが急でホースがすぐ折れてしまう
ホースをやめてパイプに付け替えました。側面に穴を開けて
口をパテで固める(かぶれる場合があるのでエポキシパテは素手で触らないようにしましょう)
とりあえずの完成。
圧がすごい
なんかそれっぽいのができた。
ちょっと動かしてみよう。
タッパーに水を溜めて、電源を入れる。
やばい
すごい勢いで発射される味噌汁。
ここへきて気づいたのだが、なるほど、自分が作っていたこの機械、要はスプリンクラーだったのだ。
しかしこのままでは脱獄以前に刑務所が味噌汁まみれである。
笛みたいにいっぱい穴を開けて、圧の分散を図る
お、いい感じ!
縦にいくつもの水柱が重なって、ちょっと噴水っぽい趣もある。ししおどしがわりに日本庭園においてもいいのではないか。
重大な過ち
ただこれ、ここまで作ってから気づいたのだが、すごい間違いを犯していた。
これ、鉄格子がタッパーの上に乗っかってない?
鉄格子のかわりにタッパーの上に棒を立てて実験していたが、よく考えたら鉄格子の下にタッパーを入れるような隙間はなく、鉄棒が床まで続いているはずである。
この設計だと、鉄棒はタッパーの底を貫通することになる。
(冒頭の図はなんとなくそれが考慮されている感じだが、これは作り終わってから説明のために描いたからだ)
これではタッパーがつかえて設置できない。
というわけで、機械の使用方法が変更になりました。
鉄格子がタッパーに当たらないように、横向きにしました。
必然的に使用可能箇所が限定されます
こうやって使うんです
この機械は30cm幅くらいある。鉄格子がこのサイズだったら錆びさせるまでもなく小柄な人なら脱獄できそうなのだが…。
まあこちらはあくまでコンセプトモデル、小型化は今後の課題ということで……。
サビとは酸化です
致命的な問題点からは目をそらして、とりあえずコンセプトモデルとしてこれを完成させることを目標としたい。
もう一つ問題があって、「ずっと味噌汁をかけ続けていたらサビないのではないか」ということだ。サビとは酸化である。ということは空気に触れることも大事なのだ。
というわけであらかじめ作っておいた電子回路を取り出します(3分クッキング方式)
ポンプを電子回路につなぐため、電池ボックスを外して
適当に
つなぎます
できた。
マイコン制御である。炊飯器みたいなことになってきた。タイマーでいい具合に味噌汁をかけたりかけなかったりしてくれる。
動作確認
マイコンと電源を共通化したので、電池の分、ポンプもコンパクトになった。
実際に動かしてみよう。
いい具合に水が出たり止まったりしてくれる
この機能大事だぞ!と思って数時間かけて頑張ったのですが、こうしてGIFアニメにしてみると大変に地味で愕然としています。
あと電源をコンセントにしたらパワーが上がってしまって水がこぼれまくっているのも個人的には盛り下がりポイント。
正直に言って、いまこの工作、すこし迷走しています。
プラスアルファのおもてなし
機能面ではつけるべきものはつけたように思う。しかしこの装置、いかんせん絵が地味だ。ここはプラスアルファのおもてなし機能をつけることにより、読者のみなさまに真心をお届けすることで、一気に挽回を狙いたい。
脱獄おめでとう機能
いろいろ粗のある装置ではあるが、ここまでやった以上、もう脱獄はできる前提で話を進める。
せっかく脱獄に成功したのに、ただ錆びた鉄格子がポロンと落ちるだけでは味気ないだろう。
脱獄に成功した時に楽しくお祝いしてくれるようにしたい。
クリアファイルを小さく切って、おめでとうメッセージを書きます
それを薄い紙(ティッシュを使用)で覆って土台をつける
後ろに黒い紙を敷くと……、文字が見えなくなった!
これを黒い紙の手前から照らしてやれば、文字が浮かび上がるはずだ。
思い付きで作ってみたら思った以上にうまくできてちょっと驚いている。
光源としてLEDをセットします
それを脱獄マシンに取り付け。
諸般の都合(主に技術力の問題と、すごく頑張ればできそうな気もするけど面倒くさくなった)により、ランプ点灯は手動です。
脱獄マシン、完成です!!!
メッセージボード付き自動脱獄マシン、完成である。
これで毎日毎日毎日鉄格子に味噌汁を吹きかけることなく、ほったらかしで脱獄が可能だ。
いい世の中になったなー。
試運転
さあ、いよいよ実際に味噌汁を使用しての試運転である。
本来は鉄の棒を使用するところですが、試運転だけで数ヵ月かかりそうなので、今回は2本の鉄棒を紙で巻いた、折れやすい棒を使用しました。
脱獄成功!おめでとう!!!!
実際の鉄の棒ではまだ試していないが、白鳥由栄の場合で「脱獄に半年以上かかった」という記述があるので、この装置なら半年以内には脱獄成功するのではないだろうか。
これさえできれば急な投獄でも安心!投獄された際は、以下のものをこっそり差し入れてもらうようにしよう。
熱帯魚用ポンプ/金具類たくさん/ネジ/ユニバーサル基板/三端子レギュレータ/抵抗/マイコン/トランジスタ/リレー/LED/コンデンサ/ティッシュ/クリアファイル/油性マジック/セロハンテープ/銅線/電動ドリル/ハンダごて/ハンダ/ペンチ/ニッパー/ハサミ/ピンセット/マイコンの書き込み装置/開発用PC/糸のこ/ACアダプタ
あ、あと部屋をコンセントのあるところに移してもらうのも忘れずに!!
告知です
迷走気味だった記事のあとにこの告知はむしろ逆効果なのでは、という危惧もあるのですが、せっかくなので告知です。
トークイベント「【大人になってからでも大丈夫】始めてみよう、ものづくり」
仕込みiPhoneや
森日記でおなじみの森翔太さんとのトークイベントです。ものづくりのイベントなのに出演者のどっちも技術力が低いのがウリです。
内容は、趣味でものづくりを初めてみたいけど「作ることには興味があるけどどうしたらいいかわからない、何を作っていいか思いつかない」「そもそも作る技術がない」「どうせ作ったところで誰も見てくれない」という人向けに、最初の一歩を後押しする内容です。技術がなくてもものづくりを始められる方法をご紹介しますよ。入場無料、先着順です!
日時:
8月29日(金)18時00分~20時00分
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