特集 2014年8月16日

気が散るホットケーキ

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今回の記事はタイトルと上の写真がすべてである。

友人にすごくおいしいと勧められて買ったホットケーキが、確かに超おいしい、しかしひじょうに気が散るホットケーキであった。
東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

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> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

生協で売ってるから買ってみて

世の中に「あらかじめ焼いてあるホットケーキ」というのが売っているなというのはなんとなく横目にして知っていた。

しかしミックス粉を使えば簡単に自宅でも焼けるとあって、焼いてあるのを買うのは贅沢だと手が出ていなかった。

そんななか、友人に「とんでもなくおいしいホットケーキだったから買ってみなよ、生協で売ってるから」と勧められたのがこの「北海道ホットケーキ」である。
食べたのは実はもうずいぶん前なのだった。今回満を持しての記事化である
食べたのは実はもうずいぶん前なのだった。今回満を持しての記事化である
袋に書いてあるの原材料を確認しても、かなりリッチに材料を使っていることが分かる。味も期待できそうだ、と開封して驚いた。
おや
おや
なんか書いてある。

いやいや、私ももう人生いきて35年。ネンネの頃はすぎた大人である。おまんじゅうをはじめ、食べ物に刻印がしてあるのが珍しくはないことなら十分承知だ。

しかし……。
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ホットケーキにホットケーキと書いてある

ホットケーキにホットケーキと書いてある。食パンに食パンとはなかなか書かないだろう。そこを書いてあるこの状況。

念押しの圧が強い

しかも、そうなのだ。でかいのだ。刻印が、まれに見る大きさなのである。

ホットケーキの直径は15cmくらいある。温泉まんじゅうに温泉マークが刻印してあるのとはわけが違うのだ。

ホットケーキはサイズとして普通なのに、刻印がでかい。これがかわいらしいイラストの刻印などだったらまた話は別だろう。そういう需要があるのも分かる。しかし、大きく文字で

「北海道ホットケーキ」

なのだ。
重なりあう「北海道ホットケーキ」そして「北海道ホットケーキ」
重なりあう「北海道ホットケーキ」そして「北海道ホットケーキ」

カットしてなお面影が

ナイフとフォークで小さくして食べてみる。フォークに刺さったのは、「キ」であった。

口に入る、「キ」。うむ…。
小さくカットしてもなにか書いてあるぞという感じはとまらない
小さくカットしてもなにか書いてあるぞという感じはとまらない

そして、超うまい

畳み掛けて感情をゆさぶることに、このホットケーキがとてもおいしいのだ。

生地はふんわりとして、口どけが良いとはまさにこのことだと感じた。バニラの香りが控えめに広がるのも、これがケーキのスポンジではなくホットケーキとしてちゃんとおいしいのだということを訴えかけているようでわくわくする。

おいしい。グルメの友人をふるわせただけはある。
なんとなくひっくり返して食べてみた。心はおちついたが、もはや今度はなにか物足りなく感じるのだった
なんとなくひっくり返して食べてみた。心はおちついたが、もはや今度はなにか物足りなく感じるのだった
私はホットケーキが好きで、食べるときはたぶんかなり集中していると思う。

ホットケーキにホットケーキと書いてある。ことによりその集中が珍しく削がれた、そういう意味では新感覚の体験であった。

「そういうもの」として受け入れる

「北海道ホットケーキ」と刻印したメーカーの担当の方にはもちろん、気を散らしてやろうという意図は一切ないはずだ。大変においしいものができた、これはアピールせねばという商品への大きな自信がこういう形になったのだろう。

そしてこのホットケーキを勧めてくれた友人もこの刻印について当初、特になんのコメントもなかった。

そこにあるものを「そういうもの」として受け入れる度量を今後は養っていきたいものよのうとひげをなぜ、記事をおわります。
そういえば、ソフトクリームがプリントしてあるおまんじゅうをもらった時も同じような興奮があった
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