アマゾンで簡単に買えた
せんじがらを取り寄せてみようと、まずはネットの通販をあたってみました。先に調べた際には、広島でもそれほどメジャーな食べ物ではないとの記載があったので心配しましたが、Amazonでも売っていてアッサリ入手出来ました。
見た目は戻した干しシイタケのような感じだろうか。ホルモン独特の香りは比較的少ない。
せんじがらは肉の加工処理場が多かった広島市西区が発祥といわれています。作り方は豚のホルモンを油でカリカリになるまで揚げて塩で味付ければ出来上がり。とてもシンプル。
材料は豚胃と油と塩などの調味料。「せんじ肉」「せんじ揚げ」などの商品名で市販されています。
似たものに、大阪の「油かす」、静岡の「肉かす」、宮崎の「せしから」などがあります。それらは牛脂や豚脂を加熱して油を搾った残りの部分。
せんじがらは豚のホルモンなので、かなり硬く、噛めば噛むほど味が出てくるのだとか。
手に持った感じでもかなり硬いと分かる。スルメみたいに噛んでいれば柔らかくなるのか。
とにかく1つ食べてみました。確かに硬い。しかし、噛み切れないほどではありません。超ハードタイプのグミといった感じです。
最初はほんのりと塩味ですが、噛んでいるうちにホルモン独特のクセのある旨味がジワジワと出てきます。
これはビールだな!駅の売店で売っていたら、出張帰りの電車内のお疲れビールのお供に是非買いたい。
焼きたてのホルモンを食べた時のような、油がしたたり熱々でジューシーというのとは違うものの、ホルモン特有の旨味はしっかり味わえます。しかも手で気軽につまめて保存も出来る。
せんじがら、いいですね!
自分でも作れる
ビールのお供に最適なせんじがら。自分でも作ることが出来るようです。
豚の胃(ガツ)。100g100円ぐらいで売っていた。
材料は豚の胃袋。あと揚げ油と塩。これだけです。豚の胃袋は塩で揉んでから良く洗って適当な大きさに切り分け茹でます。
既に茹でられたものならそのままでも大丈夫ですが、臭みをとるため20分ぐらいもう一度茹でこぼしてもいいです。
最初少し油が跳ねるので注意。
茹でて水気をよく切った物を次は揚げます。140度ぐらいの低温の油で表面がカラッとなるまで10分から15分程度しっかり揚げます。
袋に揚げた豚の胃と塩を入れてよく振る。こうすると塩を均一にまぶせる。材料に小麦粉をまぶす時などもこの方法でやると楽。
揚がったら油を切って冷まします。塩をふったら出来上がりです。
ホルモンの弾力のある噛み応えと、独特のクセが噛むごとに旨味になり、塩気と合わさってより旨味が出てきます。黒胡椒や七味をかけてもよさそうです。
揚げると縮むので元の量よりかなり少なくなります。
出来上がった物は冷蔵庫で1週間ぐらい保存しておけるそうです。夏の季節のちょっとしたビールのお供に冷蔵庫に用意しておくのもいいかもしれません。
噛むほどに味が出てくる。
そして、せんじがらはこのように直接食べる以外に、料理に使っても美味しいそうです。次に料理に使ってみました。
煮ると柔らくなってうまい
続いてせんじがらを使った料理を作ります。どうやら、せんじがらは煮るとかなりいいダシが出るらしい。
肉とネギは合うよね。
ということで、汁物にしてみます。せんじがらと長ネギを用意しました。
半分ぐらいの大きさに切り分ける。煮るのであればそのままの大きさでも大丈夫そうです。
まず、せんじがら、長ネギを切り分けます。この他に彩りでニンジンも使います。
煮込んで調味料で適当に味付け。簡単。
これらの材料を適当な量の水で煮込みます。アクがでたら取り除き、酒、ミリン、醤油、塩、コショウなどで味付けます。ネギが煮えて、せんじがらが柔らかくなったら出来上がりです。
せんじがらが柔らかくなり、中華風ホルモンスープになる。
出来上がったせんじがらのスープは、予想以上にホルモンの旨味がよく出ていて、なかなか奥深いコクのある味になっていました。
醤油と塩、コショウの味付けで、街の中華料理屋で出てくる中華スープにもう一段コクを足したような味です。
揚げてあるから肉の旨味だけじゃないコクがあるのだろうか。煮物に足して使うのも良さそうだ。
また、硬かったせんじがらが元のホルモンの様に柔らかくなり、クセもより少なくなってとても食べやすく美味しいです。せんじがらはスープ、煮物の材料としてかなり可能性が有りそうです。
炒め物もコリコリしてうまい
煮物に続いては炒め物に使ってみました。
肉とキムチは合うよね。
せんじがらと一緒に白菜キムチとキャベツを炒めてみます。せんじがらは細めに切り分け、キャベツは適当な大きさにちぎっておきます。白菜も食べやすい大きさに切り分けます。
少し香ばしくした方がいいかと最初に炒めましたが、最後にサッと合わせるだけでもいいです。
キムチは炒めてもうまいね。
続いてキャベツを入れて炒めます。キャベツに火が通り始めたらキムチを入れて炒め合わせます。軽く塩、コショウをふり、醤油、みりんで味付けます。
キャベツに火が通ったら出来上がりです。
炒めたキムチの香りがとてもいい。
せんじがらとキムチの炒め物は、せんじがらのクセのある旨味とキムチの辛さが実によく合っています。そして、細目に切ったせんじがらのコリコリとした食感と、キムチのパリパリした食感とが同時に感じられ、噛むにしたがい旨味が出てきます。
もうこれはビールをもう一本あけるしかないね。
実に、うま辛い炒め物となりました。キムチの他に、トマトなど酸味のある物と炒めてもおいしそうです。せんじがらは炒め物にもかなり使える食材のようです。
ビールのススム味だね!
さて、料理への可能性がかなり見えたせんじがら。基本は豚の胃で作ります。他に市販品を見ると、豚の腸や鶏皮、砂肝などを使った各種バージョンがあるようです。
続いては豚の胃以外のせんじがらを作ってみましょう。
レバーのせんじがら
続いて各種素材でせんじがらを作ってみるということで、まずはこの食材。
塩をして焼いて七味つけてたべるとうまいね。
豚のレバーです。これを表面がカリカリになるまで低温の油で揚げてせんじがらにしてみます。
このまま網で焼いて食べたらうまい事は知っている。
レバーは適当な厚みに切り分け、牛乳に漬けて水で洗うなどして臭みをとり、水気をよく切っておきます。
あとは低温の油でじっくり揚げて塩をふれば出来上がりです。
随分と黒い塊になってしまった。
かなりのアクを出しながら揚げること十数分。表面がカリカリになったところで油から上げてみたところ随分と黒い塊となっていました。とりあえず食べてみます。
味は悪いと言わないが、食感がどうもなあ。
レバーのせんじがらは、臭みも無く香ばしいレバー味です。そして、表面がカリカリしていて、中はモソッというか、ボソッというか。なんともザラついた感じで、正直な所このまま食べても美味しくありません。
程良く焼いた時にあるような、プリッとした柔らかさと染み出す旨味を感じる事はなく、かなり失敗な味です。
このまま南蛮漬けにでもすると何か変わるかもしれませんが、あえてやることは無いでしょう。スープに入れて無理やり食べてしまいました。
なんでもやればいいというものではない。
豚ロース肉のせんじがら
続いてせんじがらにする食材はこちら。
生姜焼き用の薄切りロース肉。
豚ロース肉です。衣をつけて揚げる事はありますが、カリカリになるまで揚げたらどうなるか。
こちらも適当な大きさに切り分けて低温の油でじっくり揚げて塩をする。そして出来上がったのがこちら。
かりんとうのようになった。
豚ロース肉のせんじがらは、衣の無い唐揚げのような感じです。いや、衣のないというか、カリカリの衣の方を食べていると言った方がいいかもしれない。肉の旨味と油の香ばしさがとてもなかなかおいしい。
なかなかうまいな。こういうツマミ、あっていいかも。
塩だけでなく、黒胡椒などをまぶしてポン酢をかけたり、大根おろしを添えたりしてもよさそうです。ロース肉ではなく、油の多いバラ肉でやってもいいかもしれません。
ただ、脂身の部分は時間が経つと変質しそうで保存はきかない気がします。
普通のポークソーセージ。
ソーセージです。これを薄く短冊状に切り分け低温の油で揚げます。
薄いソーセージはクルクル丸まってくる。
表面がカリッと揚げられたら出来上がりです。元々味があるので、塩はふりかけません。
こういう丸いお菓子がどこかにあったような。
ソーセージのせんじがらは、少し厚く切って焼いた柔らかいベーコンでしょうか。いや、カルパスのようにも感じます。ただ焼いただけのものよりも香ばしくておいしいです。
なかなかうまい。これはまた作ろうかな。
もっと黒胡椒をきかせたり、ネギを散らしたりしてカリカリ揚げソーセージとか言う名前のつまみとして有ってもよさそうです。ちょっと変わった食べ方としていいかもしれません。
せんじがら、うまい
いくつかの食材を揚げてせんじがらにしてみました。結果としてロース肉とソーセージはアリでした。ただ、携帯性や保存性などまで考えると、通常の豚の胃で作るせんじがらが一番良さそうです。
長らく食べられるのにはそれ相応の理由がある。
いずれにしろ、せんじがらはそのままたべるのではなく、各種料理の材料としてかなり可能性がありそうです。ホルモンも安いので、また作った際には色々な料理への展開を考えてみたいです。
せんじがらは日本酒でもいけます。酸味のたつ、旨味が強く感じられるタイプなどがオススメ。