特集 2014年6月28日

あなたにも出来る!上から読んでも下から読んでも同じ文

「よるはさかいまさとさまいかさわるよ」こんな回文をあなたも作れるようになる!
「よるはさかいまさとさまいかさわるよ」こんな回文をあなたも作れるようになる!
回文というものがあります。例えば「鯛焼き焼いた」「私負けましたわ」など。上から読んでも下から読んでも同じ読み方になる文のことです。

この回文作りの名人。回文師と言わる方に作り方のコツを教えていただきました。

なかなかいい回文が出来ました。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

前の記事:走ればうまい食い物や酒を楽しめる ~東北風土マラソン2014

> 個人サイト 酒と醸し料理 BY 工業製造業系ライター 馬場吉成 website

回文を操るミュージシャン

今回、回文作りの講師をしていただくのは回文師の手賀沼ジュンさんです。
ツイッター( @BIG_JUHN )でも数々の回文を発表している凄腕回文師。
ツイッター( @BIG_JUHN )でも数々の回文を発表している凄腕回文師。
まずはこちらの曲をお聞きください。手賀沼ジュン「SA・KA・SA」。
「様子を見つつ、包みを吸うよ」「私このもつ鍋、夏も残したわ」「吉田、キムチチゲ投げ、乳むき出しよ」など。回文をメロディーに乗せて歌い上げています。
「ちまみれのらひつじ、くよくよし、よくよくじつ、ひらのれみまち」こんな回文をイラストと共に歌いあげます。ミュージシャンです。
「ちまみれのらひつじ、くよくよし、よくよくじつ、ひらのれみまち」こんな回文をイラストと共に歌いあげます。ミュージシャンです。
本人いわく、芸人ではなく肩書はミュージシャンだそうです。

えっ、そうなの?
キセルはダメですよ。「ぱっと消えカツオ、大塚駅突破」というのもあるそうです。
キセルはダメですよ。「ぱっと消えカツオ、大塚駅突破」というのもあるそうです。
手賀沼さんはかつてお笑い芸人の小島よしおとWAGEというお笑いグループをやっていました。「R-1ぐらんぷり2012」では準決勝進出も果たした実力派。今は「メルヘン・片想い・少しのユーモアを軸に歌い踊るミュージシャン」なのだそうです。
焼うどん屋、モテ男・・もはやパッと見た感じでは回文かどうかも分からない長さ。凄い!ちなみに手賀沼さんのプロフィールはこちら。実はネパール生まれの帰国子女。
焼うどん屋、モテ男・・もはやパッと見た感じでは回文かどうかも分からない長さ。凄い!ちなみに手賀沼さんのプロフィールはこちら。実はネパール生まれの帰国子女。
そんな手賀沼さんが今までに作った回文の数は、正確に数えた事は無いが7000以上になるのだとか。

今回はその回文作りの手法のごく一部ですが教えていただきます。

初心者は「うどん」から

それでは手賀沼さんに回文の基本から教わります。
ライブで時々簡単な回文講座もやっているそうです。
ライブで時々簡単な回文講座もやっているそうです。
回文は上から読んでも下から読んでも同じ読み方になる文です。仮に「ABC」という文字が並んだ言葉が有ったとします。
学校の授業のような回文講座。
学校の授業のような回文講座。
「ABC」の逆は「CBA」になります。つまり、回文は必ず「ABC」と対になる「CBA」という文字が「ABC」の後、又は前になくてはいけません。
こうやって対となる言葉を重ねていくことで文になっていく。
こうやって対となる言葉を重ねていくことで文になっていく。
更に、「CBA」では文として意味が分からない言葉にしかならない場合、後ろに「DE」という文字を付ける事で意味の通る言葉にしたとします。そうすると、「ABC」の前に「ED」という文字を入れる必要が出ます。

このような言葉選びと組合せで回文が出来上がっていきます。文字をはめ込むパズルのような感じです。
「っ」「ょ」などの半音や「を」「へ」「は」の読み方などに色々ルールが有ります。
「っ」「ょ」などの半音や「を」「へ」「は」の読み方などに色々ルールが有ります。
また、回文作りにおいては幾つかルールがあります。例えば、小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」は大きい「や」「ゆ」「よ」と読んでもいい。「さー」「ぎー」などのハイフンは「さあ」「ぎい」など音を当てても構わないなど。

どこまで許すかは回文師の方によって異なります。
手賀沼さんの場合「だ」「ば」などの濁音は「た」「は」などにはしないという基準があるそうです。同席していた編集部の古賀さんの名前も濁点を外せば回文となるがこれは不可。
手賀沼さんの場合「だ」「ば」などの濁音は「た」「は」などにはしないという基準があるそうです。同席していた編集部の古賀さんの名前も濁点を外せば回文となるがこれは不可。
ここまで分かった所で、いよいよ回文作りの実践編です。ここで手賀沼さんがこんな事を言います。

「初心者はまずうどんから作れ!」
一文字入れればあっと言う間に回文が出来る魔法の組み合わせ。
一文字入れればあっと言う間に回文が出来る魔法の組み合わせ。
これはどういう事かと言うと「うどん」の反対は「んどう」。この二つの言葉の間に適当な一文字を入れただけで回文になっていきます。

例えば「あ」なら「うどん、安藤」でどこかの店のようです。「い」なら「うどん、引導」で状況は分かりませんが、うどんで大変な状況になったのか。そして「う」なら「うどん、運動」で、うどんで縄跳びでもしているのか。
回文構文の1つ。「夜~るよ」構文。これを知っておけば色々な回文に転用できる。
回文構文の1つ。「夜~るよ」構文。これを知っておけば色々な回文に転用できる。
回文では「うどん」の様に回文にしやすい組み合わせというものが多数有ります。
基礎の回文構文。これらを組み合わせて間に上手く言葉を入れれば回文がつくれる。
基礎の回文構文。これらを組み合わせて間に上手く言葉を入れれば回文がつくれる。
例えば「私~したわ」。この間に「まけま」という回文文字を入れれば「私負けましたわ」という回文が出来上がります。他にも回文の構文としては「素で~です」「夜~るよ」「イカ~かい」など。
「夜~るよ」「うどん~んどう」「イカ~かい」構文を上手く組み合わせて間をつなぐ文字を入れればたちどころにこんな回文が完成。
「夜~るよ」「うどん~んどう」「イカ~かい」構文を上手く組み合わせて間をつなぐ文字を入れればたちどころにこんな回文が完成。
回文師の方は、オリジナルで考案したこのような回文構文を短いものから長い物まで多数持っているのです。これを上手く駆使する事で様々な回文を生み出しています。
とっておきの「4時までは~派手魔女」構文なども今回特別に教えていただきました。もっと長いのもあるそうですが、それは企業秘密。
とっておきの「4時までは~派手魔女」構文なども今回特別に教えていただきました。もっと長いのもあるそうですが、それは企業秘密。
もちろん、他にも様々なテクニックはあるそうです。しかし、基本的には構文の組み合わせでかなりの回文を作る事が可能。

手賀沼さんは時々ライブでお客様からお題をもらって即興で回文を作る事もあるのだとか。オリジナルの構文の蓄積や各種技によりそれを可能にしているのでしょう。

回文師、凄い。

オリジナル回文を作ってみよう

さて、続いては講師の指導のもと自分でオリジナル回文を作ってみます。
お題は自分の名前。まずはひらがなにして逆に並べてみる。
お題は自分の名前。まずはひらがなにして逆に並べてみる。
お題は自分の名前の「馬場吉成」としてみました。まずはひらがなにして逆に並べます。
講師も一緒に考える。
講師も一緒に考える。
逆にすると「りなしよばば」。「ばば」は逆でも「ばば」。「なしよ」はどうにかすると文にもっていけそうな響き。「ばば」の後に「ろあ」とかつけてお菓子の名前にしては?

そんな感じであれこれ試行錯誤してみますが、どうも意味の通る文にならない。前後に先ほど教えてもらった回文構文をつけて間に適当な文字を入れてみるも、いまいち上手くいきません。
「無理な物は無理!」それ、何かの回文の構文・・じゃないな。
「無理な物は無理!」それ、何かの回文の構文・・じゃないな。
あれこれ考えていて、とうとう講師から「どうやっても出来ない言葉もある。無理なものは無理!」という意見がでてきました。

お題が悪かったか。

突如ひらめく!

しかし、ここでひらめきました。
構文がはまった!
構文がはまった!
「無理なものは無理!」という言葉が出た時のこと。この前後に先ほどの「夜~るよ」構文を何気なくつけてみました。全く回文にはなりませんでしたが、ある事に気づきました。

夜無理・・無理るよ・・「夜、無理~リムるよ!」で回文になっている!(「リムる」Twitterでフォローを外す。リムーブすること)
前後に入れたら回文になった!
前後に入れたら回文になった!
これを使って出来た回文がこちら。

夜、「無理!馬場吉成無しよ!」馬場、リムるよ!

(よるむりばばよしなりなしよばばりむるよ)
夜中に酒飲んでこういう連続ツイートするからリムられる。
夜中に酒飲んでこういう連続ツイートするからリムられる。
うっかりウザいオッサンをフォローしてしまった人の感情がよく現れたいい回文が私にも出来ました。

他にも私の名前でこんな回文が出来ています。
真ん中は編集部古賀さん作。親子ケンカの様子が出ています。下は手賀沼さん作。ババは関西弁でアレのこと。私は大変な状況のようです。
真ん中は編集部古賀さん作。親子ケンカの様子が出ています。下は手賀沼さん作。ババは関西弁でアレのこと。私は大変な状況のようです。
同じお題で三者三様。回文作り、面白いですね。

パズルが解けた時の快感

今回、回文作りをして思ったのは、回文作りは言葉を使ったパズル。文字を並べ、ひっくり返してつなげ、意味が通るように言葉を選び、文字を足す。

それらが全て完璧にはまった時。パズルの全ピースがピッタリとはまったような快感があります。非常にいい頭の体操になるのではないでしょうか。

短い物なら子供でも出来るし、長い物なら大人の高度な言葉遊びになりそうです。そのうち趣味の回文作り講座なんてものがカルチャーセンターとかで開催されて、手賀沼さんが教えているかもしれません。その講座もう一度受けたい。
今回講師をしていただいた回文師の手賀沼さんが7月からラジオ番組のパーソナリティーをやるそうです。なんと週末深夜5時間の生放送番組!週末の夜にお時間ある方は是非!
FM Nack5(79.5MHz) 毎週土曜日25時~日曜日6時
番組名「手賀沼ジュンのウナンサッタリ・パンツ」

NACK5の入る関東の方はラジオで、他地域の方はインターネットのradikoでも聞けます。
手賀沼ジュンさんのこちらの曲、タイトルはアレですが割と好きです。
君の辛い事は全部僕がくだらない物に変えてしまうから二人で笑い飛ばそうという内容。同じタイトルの曲を歌っているのは森山直太郎ぐらいしかいないはず。
▽デイリーポータルZトップへ

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←
ひと段落(広告)

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ