本場(?)でパブリックビューイングを!
いやぁー盛り上がってますね、ブラジルワールドカップ! ……という段階はとっくに過ぎ去って、日本が予選で敗退しちゃったこともあり、すっかり熱が冷めちゃった感がありますね。
渋谷のスクランブル交差点でハイタッチしたり胴上げしたり痴漢をしたりしてたヤングたちも、もういなくなっちゃったんでしょうね。……あの人たち、普段は何してるんでしょ?
かくいうボクは、根本的にスポーツ観戦にあんま興味がないということもあり、例のごとく今回のワールドカップも、日本戦をテレビでチョロッと見たくらいで、ほぼスルーしてしまいました。
1回くらいパブリックビューイングとかに行って、そういう世間の熱狂ってヤツに乗っかってみたいとは思いつつ、毎回「ああ、やってんなぁー」とか思っているうちに時期を逃しちゃうんですよね。
いっつもこんな感じ……
しかし、日本は敗退しちゃったもののワールドカップはまだ続いているわけで、熱狂的なパブリックビューイングはどこかで行われているハズ!
特に開催国であるブラジル代表がまだ勝ち残ってるので(この記事が公開される日の早朝に負けちゃいましたが)ブラジルじゃあそれはそれは盛り上がりまくっていることでしょう。
……ということで、熱狂の真っ最中にあると思われるブラジルでのパブリックビューイングに行ってきました。「日本のブラジル」だけど。
こちらが日本のブラジル。「ホントに日本?」という感じの光景が広がっています
スーパーの商品も日本じゃあまり見かけない物ばかり
さて、この「日本のブラジル」。勘のいい方ならもうお分かりでしょうが、デイリーポータルZも何度か取り上げられている群馬県邑楽郡大泉町のこと。
富士重工などの工場が沢山あり、外国人労働者の移民をガンガン受け入れたために、なんと人口の約1割が日系ブラジル人という、日本一外国人比率の高い自治体なのです。
そんだけ日系ブラジル人が多ければ、ブラジルワールドカップが盛り上がってないわけがない!
早速、この大泉町でパブリックビューイングをやっている場所を調べてみたところ、「ブラジルフットサルセンター」という、いかにもやってそうな場所でやっているということが判明。
事前に「取材させてねー」という電話をかけたら「イーデスヨ、ヨロシクネ!」と明らかに日系ブラジル人といった方が応対してくれました。さすがです!
電話の向こうはブラジル……
で、取材に行ったのは7月5日の朝5時キックオフというブラジル VS コロンビアの試合だったんですが、前日の夜、お台場の東京カルチャーカルチャーでイベントを入れちゃってまして、23時くらいにイベントが終了し、そこからバイクでピョーッと大泉町に移動。
そんで「到着するのが深夜1時くらいになっちゃうんですけどいいっすか?」と頼み込んでいたホテルにチェックイン。
4時くらいまで仮眠をとってから取材に、終わったらまたホテルで寝よう……という計画を立てていたんです。ところが、ホテルに到着するとのロビーは真っ暗! フロントも閉まっちゃってるし。
「ええーっ、深夜1時到着っていっておいたハズなのに忘れられてる!?」という状態。
今から別のホテルも探せないし、群馬の田舎町なので漫画喫茶とかもなさそうだし……「ホントにどーしよ!?」と、途方に暮れてたんですが、よくよくフロントを見てみたら……。
勝手に入ってねってことかな
なんと無防備な……こんなホテルあるの?
そんなこんなで(チェックインもしてないけど)何とか部屋に入ることができました。結局、テレビでやってたインド版の『忍者ハットリくん』を見ちゃって、あんまり寝られなかったけど。
まあ、ちょっと休憩はできたので、いざパブリックビューイングの会場へ!
まさにアウェー!
まあ、早朝の道路なんてこんなもんですよね
朝の4時過ぎ頃。
さすがに人は歩いてないし、車もそれほど走ってねぇ(オラこんな村イヤだ!)。なぜかやたらとパトカーだけは見かけたんですが……、こんなところでホントにパブリックビューイングなんてやっているんでしょうか?
パトカーばっかり見かけます
こちらが会場のブラジルフットサルセンターなんですが……
おおーっ、いっぱい車が停まってる!
いやぁ集まってますねぇ
試合開始まではまだ結構時間がありますが、熱気がスゴイ……
会場……というか、フットサルコートの片隅に作られたパブリックビューイングのスペースは、早朝とは思えないほど沢山の人たちが集まっていて熱気ムンムン!
おそらくその大半が日系ブラジル人ということで、ポルトガル語(たぶん)でペラペラしゃべっているから、会話の内容はほぼ理解不能。まあ、たぶん今日の試合についてアレコレ語り合ってるんでしょう。
スクリーンで日本のテレビが上映されていなかったら、日本国内だなんて信じられないというレベルですよ。もう海外ひとり旅という気分……ザ・アウェー!
意外と静か……かと思いきや
どんどん人が集まってきて……
こんな、ほぼブラジルな空間で蚊取り線香が活躍していたのは不思議な感じでした
さて、いよいよキックオフ!
日本のパブリックビューイングだと(ここも日本だけど)、ワーワーワーワー歓声を上げたり、騒いだりしながら観戦しているイメージがありますが、こちら(日本の)ブラジルでのパブリックビューイングは意外にも静かなんですよ。
みんな、無駄に大騒ぎはしないで、固唾をのんで試合の展開を見入っているという感じです。
わりとじーっと試合に集中しています
もちろん、盛り下がっているわけではなく、みんなニコニコ試合を見ているのが印象的でした
早朝ということもあり、みんなアルコールを飲んでいないということもあるんでしょうが、基本的にみんな無言。
時々、すごいプレイや危ないシーンがあると「ワオッ」「ウオッ!」と声をあげるくらい。
もっと、ラテンなノリを想像していたんですけどね。
……かと思えば、ブラジルに点が入ったら
ウオオオオーッ!
イヤーッ!
突如として、すんごい盛り上がりです。さすがラテンな人たち!
ボクは写真を撮るのに夢中で、点が入ったところを見逃してしまったため、完全に乗り遅れてしまいましたが
素直に喜んだりションボリしたり
さて、1‐0で前半はブラジルリードのまま終了。
こりゃあハーフタイムの間も盛り上がるんだろうなぁ……と思ったら。
みんなどっか行っちゃった……
どこに行ったんだ……と思ったら、みんなフットサルコートの方に行って、フットサルをやってました。
サッカー観戦の合間にフットサル……好きですねぇー
ボクも、この時間にウロウロ見て回ったところ、こんな貼り紙を発見。
ポルトガル語はビタイチ読めませんが
ああー
やっぱり、盛り上がるところはとことん盛り上がる人たちなようで、「フィーバーし過ぎないでね」というような注意が書かれていました。
来るときに、やたらとパトカーが走っていたのも、このために見回ってたんですかね?
さて、ここから後半です
後半開始からしばらくして、ブラジルに追加点が……。もちろん。
ウオオオーッ!
ワオーッ!
ウヒョーッ!
すんごいいい表情!
さっきまでじーっと試合を見ていたのに、点が入ったら、みんな抱き合い、叫び、盛り上がりまくり!
で、逆に点を取られちゃったら、思いっきりションボリ
これくらい緩急があると、試合を見てなくても展開がわかりますよ。感情表現が豊か!
さらにこの試合では、ブラジルにとって大事件がありました。ブラジルの主力選手であるネイマールが背中にドーンと体当たりされて脊椎骨折してしまい、その後の試合に出られなくなっちゃったんですよね。
このパブリックビューイングに行ったことを知人に話したら「あそこでメチャクチャ怒ってたんじゃない?」といわれたんですが、この段階では、ケガがそこまで深刻とはわかっていなかったため、意外と反応は薄かったです。
ネイマール選手がタンカで運ばれていくところ
それよりも、コロンビアの「バッカ」という選手を見て子どもたちが「バーカバーカ」といいまくっていたのが印象的でした(日本の学校に行ってるせいか、子どもの方が日本語をよくしゃべる!)。ブラジル人の子どもも、やっぱりバカガキのセンスなんだなぁー!
そんなこんなで試合終了
ブラジルの勝ちだー
イエーイ、イエーイ!
ブラジルの勝利が決まり、「優勝イケルヨ! ヤッタヨ!」みたいな感じで、ボクもガッシガッシ抱きつかれました。
なんちゅうか、勝っても負けても大騒ぎしちゃう渋谷のスクランブル交差点とかに集まっているようなヤングの集団にはちょっと混ざれないなぁー……という気持ちはありますが、純粋にサッカーで盛り上がってる感じのするこっちのパブリックビューイングには比較的混ざりやすかったです。
まあ、ボク自身も海外旅行に行ったときのような、妙な高揚感があったんじゃないかという気もしますが。
今となっては……ですけど
勝ち試合でよかった……
「イヤー、ブラジル優勝イケルヨー!」というテンションで終わった今回のパブリックビューイングでしたが、まさか次の試合で超・大差で負けちゃうとは……。
感情表現豊かに喜んだり悲しんだりする人たちだけに、負け試合の方を見に行ってたらホントにお葬式状態だったろうなぁ……と思うと、いやあ、ホントに勝った試合の時に見に行けてよかったなぁー!