カニの看板がすごいのかウイダーinゼリーがすごいのか
こんど町で動くカニ看板を見たら、キャラクター工房の加藤さんとウイダーinゼリーのことを思い出してください。
いきなりカニの看板を考えるのも難しいので、まずは同じような動きをした時の人の消費カロリーを知るところから始めたい。カニのあの動きは人でいうところのなんだろう。
ウイダーが提供しているカロリーカウンターを見ると、1分間の手洗いで消費するカロリーは3キロカロリーとのこと。ということはウイダーinゼリー1個で1時間手を洗うことができるということだ。「ウイダーinゼリーを1個飲んで1時間手を洗う」という企画もそれはそれで面白そうだけど、それはまた別の機会にして先を急ぐ。
動くカニ看板のあの動きを、人で言うところの手洗いレベルのカロリー消費と仮定する。カニは人とはそもそもの体つきが違うので、可動部分の重さに関しては補正する必要があるだろう。体重に占める足の重さを知る必要がある。
しかしここで新たな問題が発生する。カニの体重がわからないのだ。体重がわからないと可動部分の重さもわからないし、そうなると消費カロリーを計算することができない。
どうする。机上の理論がいっきに現実についていけなくなった瞬間である。でかいカニの重さの出し方なんて教科書に書かれてないもの。
今では業界最大手と言ってもいいほどメジャーになった加藤さんの会社だが、ここまで来るまでにはつらい時期もあったのだという。
--社長はどうして立体看板を作ろうと思ったんですか。
「フジカラーのニャン太くんっていうキャラクターがいて、あれのぬいぐるみを勝手に作って飛び込みでフジカラーに持って行ったのが始まりなんです。もちろん門前払いですよね。でも3回目くらいに行った時、またぬいぐるみ持って帰るのもあれだからって受付に置いて帰ったんです。それを運よく上司の人が見てくれたみたいで、あとから電話がかかってきまして。」
3回断られてもぬいぐるみ置いてくる情熱がすごい。
--でもそこから立体看板にはどうつながるんでしょう。
「その時フジカラーが『もっと大きくて店の前に置けるようなやつを作れない?』って言ってきて。もうびっくりですよね。それから必死にタウンページとか引いて立体造形ができる京都の業者を探しあてて、弟子入りみたいな形で飛び込んでいったのが今の世界だったんです。」
その時加藤さんが飛び込みで弟子入りした会社こそ、なにを隠そう動くカニ看板を最初に作った会社だったのだ。巡り巡って話題がカニ看板に戻ってきた瞬間である。
そう、今日はカニの重さを聞きに来たのだ。
--カニ看板で一番大きいのはどのくらいなんでしょう。
「大きさでいうと6メートル、重量は700キロくらいですかね。FRP自体は軽いんだけど、どうしても中に金属のフレームが入るから、それで重量が増えちゃう。でもカニの場合はほとんどが甲羅の部分の重さなんですよ。7割が甲羅です。」
カウンターが700キロまで対応してるのは運命を感じる。
ちなみに平均的なズワイガニが看板と同じ状態で横幅約50~60センチ、重さ500~600グラムほどである。
これが看板クラスまで育つと体積で10の3乗倍、つまり体重は1000倍になることから、500~600キロ。なんと動くカニ看板が700キロというのは、生きてるカニから考えても非常に妥当なのだ。
いよいよ何がいいたいのかわからなくなってきたが、つまり看板クラスのカニがいたとするとそれは体重700キロで、その3割、210キロの足をバタバタさせているということだ。その時カニはどのくらいのカロリーを消費しているのか。
人間の両腕がだいたい体重の15%ほどということなので、カニの足が全体の30%ならば(足の重さはカニの種類で違うので、ここは看板の比重に習って3割と仮定する)同じ運動をしても単純に人間の倍のエネルギーを使うことになる。つまりカロリーカウンターから導かれたカロリーを倍にしたらいい。
カロリーカウンターが計算した値を倍にすると3528キロカロリー。出た!これが動くカニ看板が生きていた場合、1時間に消費するエネルギーである。
ウイダーinゼリーを毎時約20個消費する計算である。カニ、おつかれさま。
いろんな部分で「本当か?」という思いはあるだろうが、それは実際にでかいカニが現れた時まで取っておいてもらいたい。

| ▽デイリーポータルZトップへ | ||
| ▲デイリーポータルZトップへ |