特集 2014年6月10日

健康的な毒を作る

飲むと超健康的なのに、どう見ても毒。
飲むと超健康的なのに、どう見ても毒。
最近、朝起きたら青汁を飲むのが習慣になっている。
なぜかって、僕が41歳だからだ。
41歳というのは、マズくても健康的なのを飲まないと身体にいろいろと良くないことが起きるのだ。

さらに41歳ボディに気を遣って、普段から青汁の他に野菜ジュースも飲む(こっちは美味しい)のだが、ある時ふと気がついた。
野菜ジュースに青汁混ぜたら一気に栄養が摂取できていいんじゃないか、と。

やってみたら毒ができてしまった。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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まぜるなきけん

以前に青汁の記事を書いたことがあり、その時、1回の取材でトータル1リットル強の青汁を飲むことになった。

驚いたことに、その翌朝、それまで体調不良でぷつぷつと大量にできていた口内炎が一発できれいになくなったのだ。青汁すごい。

それ以来「青汁への信仰」的なものがちょっと生まれて、常飲するようになった。
粉末を水などに溶かして飲むタイプ。
粉末を水などに溶かして飲むタイプ。
で、普段は粉末の青汁を水に溶いて飲んでいるのだが、冒頭で書いた通り「野菜ジュースに混ぜて飲んだらラクに栄養を大量摂取できていいなー」と軽い気持ちでやってみたら、これが本当にどえらいものになってしまったのだ。
いつも飲んでる野菜ジュース。これ玉葱の甘い感じがあって超美味くておすすめ。野菜スープみたい。
いつも飲んでる野菜ジュース。これ玉葱の甘い感じがあって超美味くておすすめ。野菜スープみたい。
青汁粉末をばさっと投入。
青汁粉末をばさっと投入。
青汁粉を入れた時点で、ちょっとヤバいな、と気がついた。

野菜ジュースの「赤色」と青汁の「緑色」は、いわゆる補色の関係に当たる。
混ぜ合わせると黒色や灰色となる組み合わせなのだ。
混ぜるともう駄目。助けて。
混ぜるともう駄目。助けて。
補色だと気がついた、と言ったところでどうなるものでもない。

とにかく混ぜてしまえ、とスプーンでぐりぐりとかき混ぜていくと、青汁粉に野菜ジュースの水分が沁みて少しずつ溶け始めた。

赤と緑のマーブル。危ない。脳の深いところで警報が鳴っている。これは飲み物じゃない。毒だ。

かき混ぜていくとどんどん粘度が高くなって、どろっ、ぼてっ、ずるっという手応え。毒だ。
さらにこの粘度のせいで、混ぜた端からぼこぼこと泡も立ち始める。毒だ。
混ぜれば混ぜるほど、練れば練るほど危険。『地獄のねるねるねるね』である。というか毒だ。

身体にいい毒、完成

混ざりきったところで、ひとまず器にいれてみた。
ザ・毒。
ザ・毒。
毒と言っても、歩くたびに体力が減るとか麻痺とか、そういう小賢しいやつじゃない。飲んで死ぬ方タイプのやつ。

しかしビタミンとか食物繊維とか葉酸とかそういう栄養がたっぷり。スレオニンとかイソロイシンとかフェニルアラニンとか、なんか聞いたこと無いけど効きそうなのもいっぱい入ってる。
毒のくせにいろいろ健康っぽいの入ってる。
毒のくせにいろいろ健康っぽいの入ってる。
見た目は毒でも健康的には100%間違いないはずである。

これだけ色々と入ってるんだし。この中に飲んでいきなり死ぬようなのは入ってない(と思う)。

絶対健康うたがいなし。たぶん飲んだ瞬間に、いま治療中の虫歯も含めていろいろと治るに違いない。

正直、それぐらい自分を鼓舞しないと飲めない。
ドクホ。
ドクホ。
せっかくなので、オリジナルの毒マークも作ってみた。

毒だけど健康にいいよ!というイメージのつもりだったのだが、どう考えても毒要素が強い。これは失敗だったかもしれない。

毒、試飲

いま「しいん」と打って変換したら最初に「死因」と出た。まあ、そりゃそうだろう。

ATOKにまでバカにされているようで腹が立つ。これは毒に見えるけど超健康ドリンクなのだ。
独りで家の中で飲んで何かあったら怖いので、外で試飲します。
独りで家の中で飲んで何かあったら怖いので、外で試飲します。
覚悟をきめて、ぐいっといく。

いや、覚悟も何も、飲んだって健康になるだけなのだ。
そんなにマズくなかったのに、こんな表情になる。
そんなにマズくなかったのに、こんな表情になる。
意外というか、味は本当に「野菜ジュースに青汁まぜた味」としか言いようのないものだった。青汁単体よりもむしろ美味しくなっているとすら言える。

ただ、青汁の粉末がうまく水分に馴染みきっていないのか、のど越しが異常に悪い。飲んでいると喉がザラザラになる感じがする。

あと、やっぱり見た目が最悪。あれを飲んでいるんだと思うだけで肉体的にかなりダメージを受けている。
『人は見た目が9割』という本があったが、『毒は見た目が9割』なのかもしれない。

他の人にも試飲してもらう

あまりにも毒々しい毒だが、せっかく作ったので他の人にも飲んで感想を聞きたいと思い、デイリーポータルZの企画会議に持参した。

案の定というか、皆さん見た目でドン引きである。当たり前だ。毒だもの。
ウェブマスター林さん。この顔。
ウェブマスター林さん。この顔。
林「これは飲んでいいものなんですか?」(飲んで)「うわー、これは駄目だわ」
編集部石川さんもこの顔。
編集部石川さんもこの顔。
石川「…すごいですね。草の味がします。つらい」

なんというか、僕の顔も含めて三連続でほぼ同じような表情である。
毒は、人を同じ表情にする。

あと、林さん・石川さんは味も駄目だったようだ。特に青汁の青臭さが苦手な人は辛い味らしい。

それに対して、かなり早めに毒に順応した人もいた。
ライターおおたさん。今回撮った写真の中で笑顔が写っていたのはこの人だけ。
ライターおおたさん。今回撮った写真の中で笑顔が写っていたのはこの人だけ。
おおた「あ、慣れたら美味しいかも。わたしこれ毎日でも大丈夫です」

さすが現役の草女子プロレスラーでもあるおおたさん。肝が太い。毒っぽい見た目などまったく気にする様子もなく飲みきり、あまつさえ美味しい発言まで飛び出した。

かつて忍者は毒が効かない身体になるために毎日少しずつ毒を飲んだという。そう言う意味では、おおたさんはエリート忍者になれる素質があるのではないか。

いや、毒じゃなくて健康飲料なんだけど。

今回は他にも栄養ドリンクや乳酸飲料などいろいろと健康になれる液体で試していたのだが、野菜ジュースを超える毒々しさは得られなかった。味もわりと普通。

こうなると野菜ジュースがいかに毒のベースに相応しい飲み物かということがわかる。

どうせなら野菜ジュース+青汁を超える健康的な毒を生み出すべく、今後もあれこれ混ぜていこうと思う。
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