特集 2013年12月17日

老舗の青汁を飲む

銀座に老舗の青汁を飲みに行きました。
銀座に老舗の青汁を飲みに行きました。
ここ10日ばかり、わりときつめの風邪をひいていた。
熱が39℃から37℃をいったりきたりで、しかもなかなか治らない。
仕方ないので熱があるなりに仕事をしたり忘年会に出たりと日常生活を送っていたのだが、もういい加減治ってくれないと穏やかに年も越せない。
仕方ないので、健康に良さそうなモノを、なんだか効きそうなところで飲んでくることにした。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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嘘偽りなく青汁の話だけの記事

日曜の夕方にテレビをつけると「漁師を営む老夫婦のところに息子が帰ってきて、俺が漁師を継ぐよオヤジ、みたいなことを言い出す感動ドキュメンタリー」をやっていたのでぼんやりと見ていたら、いつの間にか「そこで父親が健康のために飲み始めたのがこの青汁!」みたいなCMにすり替わっていてビックリ、というのは良くある話だ。
今回はそういう手順めいた話は無しで、もういきなり青汁を飲みに行く。なんせ熱で本当にだるいのだ。
JR中野駅北口から徒歩3分、居酒屋に囲まれた激シブの青汁屋。
JR中野駅北口から徒歩3分、居酒屋に囲まれた激シブの青汁屋。
ということで、自宅から行きやすい青汁専門店を食べログで調べてやってきた。中野にある『青汁スタンド 中野店』だ。
青汁専門店の情報も食べログに載ってる、というのがもしかしたら今回一番の役立ち情報かもしれない。

僕はまだ一度も青汁というのを飲んだことがない。
八名信夫がCMで「まずい、もう一杯!」と言ってる、というのが自分の持っている青汁情報のおよそ8割ぐらい。あとはバラエティの罰ゲームで飲まされてるとか、だいたいそんな感じ。

とにかくまずいのは間違いないだろう。
まずくても健康に良いなら、今はあえて飲もう。
ただ、どうせなら駅ナカのジューススタンドとかそういうコジャレたところよりも、ちゃんとした専門店で本格派の青汁を飲んだほうが効くんじゃないか、という判断だ。
とにかく効きそうな店構え。
とにかく効きそうな店構え。
入れ替わりの激しい中野で20年以上青汁スタンドをやっているとのことで、これは間違いなく本格青汁だろう。
飲み屋街の中という立地も渋いし、なにより店の入口から「本格派!青汁!健康!」というオーラがビンビン出てる。これで効かなかったら嘘である。
謎のゆるキャラ的なもの(たぶん青汁の材料ケール)も「健康と美容に」と言ってるし。
謎のゆるキャラ的なもの(たぶん青汁の材料ケール)も「健康と美容に」と言ってるし。

人生初青汁を飲む

外見からも想像はできていたが、中に入るととにかく狭い。小さい厨房とカウンターのみ。青汁を作る/青汁を飲む以外の機能を廃した、機能的青汁空間である。
パートさんが青汁を出してくれます。
パートさんが青汁を出してくれます。
レジのところにメニューが貼ってあるので、注文するときに迷うことはない。
なんかいろいろ健康的なものがあるな。
なんかいろいろ健康的なものがあるな。
先ほど「青汁を作る/飲む以外の機能を廃した」とか言ってしまったが、メニューを見ると青汁も生ジュース以外に冷凍やドライ、さらにリンゴジュースやローヤルゼリーまで売っている。
風邪っぴきの体調にはローヤルゼリーなんかも効きそうな気はするが、ここは最初の目的通り生の青汁をいただくことにする。

グラスにどばっと注がれる生搾り青汁。
グラスにどばっと注がれる生搾り青汁。
泡立つ青汁。初心者にはいささかハードルの高いビジュアル。
泡立つ青汁。初心者にはいささかハードルの高いビジュアル。
どれぐらい飲めばよいものなのかも見当が付かなかったが、100cc、200cc、300ccという料金体系になっていたので、青汁の並盛りに該当する200ccをいただいた。

飲む前にこちらが青汁ビギナーであることを伝えると、「オレンジジュースで割ると飲みやすいから、オレンジジュース入れる?」と言ってくれた。
泡立った青汁の見た目に腰が引けていたので、本当なら即「割ります」と言うところだ。
しかし記事にする以上はプレーンの青汁がどういう味なのかも書かねばならない。辛い。
正直キツイ。でも健康には効きそう。効け。
正直キツイ。でも健康には効きそう。効け。
とりあえず正直な感想として、芝生とか雑草的な感じの青臭さがキツイ。あと、微妙に発酵したっぽい、浅漬けに似た風味もある。
飲んでいると奥の方で野菜の甘みっぽいのも感じるが、だからといってそれが旨いわけではない。マズい。

自分が小学生なら何の躊躇もなく吐き出していたと思う。大人なので、半泣きになりながらも我慢して飲み込む。
そういう意味では、大人の味と言えなくもない。
あと、この青臭さや発酵したっぽい風味は、確かに健康に良さそうな気もする。

「あー、やっぱりキツイですねー。いま風邪ひいてるんですけど、これで効いてくれますかねー」
と、飲みながら後口の不味さを誤魔化すためにパートさんに声をかけると、
「じゃ、別料金になるけどカボス入れるといいですよ。ビタミンCいっぱいよー」との返事。
ありがとうございます。いただきます。
オレンジジュース割はサービスだが、カボス割はオプション料金。
オレンジジュース割はサービスだが、カボス割はオプション料金。
ありがとう、酸っぱさ。
ありがとう、酸っぱさ。
おおー、青臭さに酸味が入ったおかげで、かなり飲みやすくなった。
とにかく口の中の青臭さが緩和されるのと、野菜の甘みが良い感じにまとまった気がする。
青汁が苦手な人と初心者は、酸味オプションがお勧めだ。

青汁の元を見せてもらう

飲み終わった後で考えるのも何だが、で、青汁ってなんなんだ。
これが青汁の材料、ケール。でかい。
これが青汁の材料、ケール。でかい。
青汁というのは、だいたいアブラナ科の「ケール」という葉っぱを刻んで絞った液体とのこと。
キャベツの原種に近い植物でビタミンなど栄養価が豊富だが、とにかく炒めようが煮ようがどう料理しても美味しくないらしい。
おまけに硬くてスジも多いので、細かくカッターで粉砕してから絞る、という方法以外でケールの栄養を摂取するのは難しいとのこと。

なるほど、元から青汁にする以外にはどうしようもない、ナチュラルボーン青汁植物だったのか、ケール。

店内に貼られたケールの説明。
店内に貼られたケールの説明。
店内のケールに関する能書きには、「葉にアイロンをかけてしんなりさせて患部に貼ると、痛風や筋肉痛に効く」とも書いてあった。
湿布になるというのもすごいが、葉にアイロンをかけるぐらいやらないとしんなりしないって、どんだけ頑丈な葉っぱなんだ、ケール。
青汁スタンド 中野店
東京都中野区中野5-61-12
TEL:03-3228-8682
営業時間:10時~20時
定休日:火曜日
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次は都内一の老舗青汁スタンドへ

一杯飲んでみたものの、はたしてそれだけで風邪に効くのかどうかは少し不安だ。
どうせならもう一軒、飲みに行ってみようと思う。
いつの間にやらハシゴ青汁である。
力強い極太明朝で「青汁スタンド」の看板。
力強い極太明朝で「青汁スタンド」の看板。
お邪魔したのは、銀座一丁目にある『銀座青汁スタンド』。
1962年に開業した(最初は横浜駅で青汁スタンドを開業し、銀座へは1985年に移転)というから、青汁一筋40年以上のド老舗だ。
オシャレなビルに挟まれたかっこいい青汁建築。
オシャレなビルに挟まれたかっこいい青汁建築。
銀座だと「アパレル・アパレル・アップルストア・アパレル」みたいな並びは良くあるのだが、「アパレル・青汁・アパレル」はさすがにここだけ。というか日本中探してもたぶんここしかない。
謎の「青汁友の会資料館」看板。
謎の「青汁友の会資料館」看板。
遠藤青汁友の会は、この銀座青汁スタンドを運営している遠藤青汁友の会グリーンライフという会社の基盤となった団体だそう。
この看板がかかってるドアはなかなか気軽に開けづらいが、住所から見ても間違いはないだろう。ここでたぶん青汁を飲ませてもらえるはずだ。
とにかく店内も古い。
とにかく店内も古い。
中に入ると、外観の古めかしさから1ミリもズレ無く古い内装だった。かっこいい。
上の写真で扉の横に写ってるのがロッカーではなく冷蔵庫だ、という辺りがとにかく古くて渋い。
洗い場も古い。
洗い場も古い。
こんなライトが現役。古い。
こんなライトが現役。古い。
店内の壁際に青汁関連の書籍が並んだガラスケースが吊されていた。
もしかしたらこれが資料館なのだろうか。

あと、ケース脇のライトが古びてて良い雰囲気なので、お店の方に「ライトがレトロ調で雰囲気ありますねえ」と言うと、「いや、古くてすいません」と謝られてしまった。どうやらレトロ“調”とかじゃなくて普通に古いやつだったらしい。

老舗の青汁をいただく

店内の雰囲気になんとなく気圧されてしまったが、今回の目的は古い建物を鑑賞することではない。青汁で風邪を治すことだ。
中野と比べるとメニューが超シンプル。
中野と比べるとメニューが超シンプル。
カウンターに出ているメニューは、青汁の小と大だけ。
今回は大(360cc)をお願いした。さきほど中野で200ccを飲み干したばかりなので、なんとなく慣れたような気もする。
青汁タンクからなみなみと。
青汁タンクからなみなみと。
注文すると、カウンター脇の青汁タンクからダイレクトに注いでくれる。
ところでこれは絶対言っちゃ駄目なことだと思うんだけど、タンクというか掃除してない水槽に見える。
これから飲む前にそういうことをイメージしてしまったら自分が飲み辛いだけかもしれないが、どちらにせよ味が飲み辛いんだから、まぁ一緒だろう。

グラスのフチすれすれまでたっぷりの青汁。
グラスのフチすれすれまでたっぷりの青汁。
青汁(大)、まったく容赦無しの大盛りだ。
今回の目的は、とにかくビタミンなど諸栄養を腹一杯に摂って風邪を治すことなので、ガブガブ飲んでやる。
青汁飲み、自撮り。
青汁飲み、自撮り。
やはり先ほど200ccグイッといったことで少し飲み慣れたのか、そんなにキツくない。
青汁の味自体も銀座の方が中野に比べてすこしあっさりしているような気がする。ストレートで飲んでも、泣きたくなるほどの青臭さは無い。ケール自体の甘みも少し強いような気がする。

あと、今さらだが、今回の取材は完全に一人で回っているので、青汁を飲んでるシーンなどは自撮りである(中野では手の空いていたお店の人に撮ってもらった)。
普段はだいたい時間の空いてる友人などにカメラマンをお願いするのだが、今回に限っては「青汁おごるから」と頼んで全員に断られた。

やり遂げた男の顔、自撮り。
やり遂げた男の顔、自撮り。
やりました。飲みきった。
どうやってもやはり美味いとは思えないが、とにかくケールの豊富な栄養をガブガブに摂取できたことは間違いないだろう。
今日は帰って、もう寝ることにする。ごちそうさまでした。
銀座青汁スタンド
東京都中央区銀座1-6-7 谷口ビル1階
TEL:03-3535-2046
営業時間:月~金 8時30分~19時
土 9時30分~18時
定休日:日曜・祝日

青汁をたっぷり飲んで一晩寝て、だが、まだ熱は完全には下がっていない。
その代わりと言ってはなんだが、口のあちこちにできていた口内炎が完全に治っていた。あと、指の逆むけも酷かったのだが、それも全部つるんとキレイになっていた。
やはり青汁の栄養が効いてる気はするので、今後は中野と銀座に寄ることがあったら一杯ずつぐらいは飲むことにしようと思う。
ヤサイ、効いたよ。
ヤサイ、効いたよ。
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