ホタルミミズを探しに公園へいってみた
ホタルミミズを探す方法だが、やみくもに土を掘ってもたぶん無理なので、まずはネットで検索してみると、ミミズ・ウォッチャーのドラえまんさんの「
工房"もちゃむら"の何でも研究室 ミミズあれこれ」というサイトが見つかった。
このサイトの「
ホタルミミズの見つけ方」 によると、ホタルミミズは本州、九州、四国、八丈島で発見されており、発生する時期は11月から翌年の5月頃とある。ということは、今(三月中旬)が採集の旬といえるだろう。
ホタルミミズが発見された場所は、庭、公園、校庭、野球グランド、河川敷、駐車場、林道、畑など。どうやらどこにでもいるらしいのだが、どこにでもいるといわれるのが一番困ってしまうのも事実。
これ以上はネットを見ていてもわからないので、とりあえずあてずっぽうで埼玉県某所の適当な公園にいって、様子を見てみることにした。
傘をひっくり返したような的にめがけてやるゴルフみたいのが楽しそうでした。あれやりたい。
これから探すホタルミミズの特徴は、太さ1~2ミリメートル、長さ3~4センチほどで、全身乳白色をした半透明。大人になると環帯(首輪みたいなやつ)がピンクがかったオレンジ色になるらしい。
わかったような、わからないような特徴である。普通のミミズ(なにが普通なのかもよくわからないが)の子供と見分けがつくのだろうか。
スコップ、紙コップ、牛乳パックをバケツに入れて持ってきた。
側溝を探してみる
まず最初に探したのは、公園内にある側溝だ。ここに溜まった落ち葉の中に、きっとミミズはいるはずだと、ドラえまんさんのサイトに書いてあった。
側溝だけに速攻見つかってくれるはず。
ここに落ちたホタルミミズが、そのままこの側溝で繁殖しているという推理。
どきどきしながらフカフカした落ち葉の中にスコップを入れてみると、ひとすくいであっさりとミミズは見つかった。よくみるタイプのミミズである。
魚釣りのエサにはよさそうだが、大きさも色もホタルミミズの条件からかけ離れている。
これはたぶん違う気がする。
続いて見つけたミミズは、大きさ的には条件を満たしているような気もするが、半透明という感じではなく、なんとなく光る気がしない。
とりあえずキープしておこう。
ちょっと太すぎるような気がする。
その後もミミズはいくらでも出てくるのだが、ホタルミミズだとピンとくるようなミミズには出会うことができなかった。
正解がよくわかっていない問題を解いているようなものなので、もしかしたらホタルミミズをスルーしているだけなのかもしれないが。
ホタルミミズのウンチを探す
側溝での採集を諦めて、まばらに草が生えている場所に移動した。ここで試すのが、ミミズのウンチ(糞)を探すという方法である。
ホタルミミズは地表にウンチを積み上げるようにするそうで、1ミリ以下の小さなウンチが固まっているもの(糞塊)を見つけられれば、その下に高確率でホタルミミズはいるのである。
まさかミミズのウンチを探す日が来るとは。
普段あまり気にしたことはないのだが、よく目を凝らして見てみると、地面の上はミミズのウンチだらけだった。
なるほど、これがミミズの糞塊か。
ミミズのウンチ。たぶん。
ウンチといっても、良くいえばミミズによって耕された土なので、汚いものとは思わないように心がけたい。ありがとう、ミミズさん。
違うミミズばかりが出てくる
糞塊の下にスコップを入れて土を掘り、それを開いた牛乳パックの上に広げて、ミミズがいるかをチェックする。
すぐにミミズは見つかったのだが、これはちょっと大きすぎるような気がする。ホタルという名前は似つかわしくないずんぐりむっくり感。
なにかが違う。
次こそは、次こそはと、ミミズのウンチを見つけては掘り返すのだが、なかなかホタルミミズらしきミミズは現れてくれない。
やはり光るミミズはレアキャラなのだろうか。いくつも並んだ宝箱の中から、キラキラと光る宝石を探し出すようなドキドキ感。ビックリマンチョコのヘッドシールを探すような感覚が近いかな。
まあこの場合、宝箱はミミズのウンコで、宝物は光るミミズなんだけど。
このウンチはどうだろう。
うーん、たぶん違う。
なんだか潮干狩りをしている気分になってきた。
全然違う。
お、齧られたドングリ。この公園にはリスかネズミがいるらしいな。
もう「掘ったミミズでフナを釣る」っていう記事にしようかな。これはキジ(黄色い血がでるシマミミズのこと)じゃないけどさ。
暖かくなるとホタルミミズはいなくなるらしいので、春が終わる前に見つけないといけない。
ホタルミミズらしき糞塊を発見!
何度か場所を変えて探しているうちに、これはという特徴的な糞塊を見つけた。
その場所は人工的な建物(公衆トイレです)の裏手で、まず人が通らないような場所である。
ここで見つけました!
大きさが伝わりにくいかもしれないが、とても粒が小さい。
この糞塊は今まで見たどの糞塊よりもウンチの粒が小さく、顆粒ダシのようである。あるいは顆粒の葛根湯。ホタルミミズの大きさから考えると、糞塊はこれくらいなのではないだろうか。
土は硬めで、あまりミミズが好まなそうな場所なのだが、こういうマニアックな場所こそが、ホタルミミズが好む場所のような気もする。これは期待できる。
指を添えてみました。ほら、小さい。
ホタルミミズらしきミミズを発見!
今度こそはと慎重に土を掘り返すと、今までにない透明感のある小さなミミズが現れた。これだ、これこれ、きっとこれ。アップルから発売された初代iMac(
これ)を見たときのような衝撃である。
これはホタルミミズっぽい。ぽい、ぽい、ぽい。もう一人で大興奮である。電気のついていないネオン管のような色をしており、まさに光ってもおかしくないミミズの姿だ。
ちなみに公園についてから、わずか1時間ちょっとでの発見である。
衝撃のスケルトンボディ!
採集場所ごとに紙コップに入れて重ねておくと管理しやすいよ。
どうやらこの場所はホタルミミズ(らしきミミズ)の密集地帯だったようで、小さな糞塊はそこらじゅうにあり、そしてかなりの確率で小さくて透明感のあるミミズが見つかった。
これが本当にホタルミミズだとしたら、光るミミズがどこにでもいるという話は本当のようだ。
ミミズの大きさと比べると、すごいウンチの量だ。これが一匹の一回分のウンチなのかな。
ひときわ小さな体、透明感のあるボディ、そしてオレンジ色の環帯。まさに探し求めていたミミズだ。
この写真の中だけでも、四か所くらい糞塊があるよ。
昼間はもちろん光らない。
自分で見つけられる自信がまったくなくて、当サイトの理系ライター達にも協力をお願いしていたのだが、まさかホタルミミズの捜索開始初日に大量発見できるとは。全員見つからなかったら、キャッチボールでもしようという約束までしていたのに。
さっそく家に帰って、これが本当にホタルミミズなのか、暗闇の中で答え合わせをしてみよう。
ミミズの写真が続いたので、昼飯に食べた山田うどんのパンチ(モツ煮)をどうぞ。
本当にホタルミミズなのか光らせてみる
まだ外は明るいので、部屋の雨戸をしっかりと締めて、ミミズを光らせる実験の開始である。
どうやるのが正しいのかよくわからないが、サッと水洗いしたミミズを濡らした黒いフェルトに置き、電気を消してみる。さあ、これで本当に光るのだろうか。
果たして、鑑定やいかに。
光れミミズ!(走れメロスみたいですね)
電気が消えて真っ暗になった部屋に、うっすらと光るミミズは、現れなかった。
お、真っ暗。
いや、これは想定内の出来事だ。一応光っていないことを確認しただけである。
ホタルミミズは暗闇なら光って見えるというものではなく、外部からの刺激を与えることで体内から出てくる粘液が光るらしいのだ。
一度電気をつけてピンセットの先でミミズをやさしくつまんだ状態で消灯。
暗闇の中でピンセットでミミズをモミモミしていると、もんでいる部分がぼんやりと黄緑色に光り出した!
その辺で捕まえてきたミミズが本当に光ったのだ!
あ、光った!まさにホタルミミズ!
その光はとても弱いけれど、暗い室内なら肉眼でもはっきりと確認できるくらいの明るさはある。
夜釣りやコンサートで使われる、サイリュームとかルミカとか呼ばれるケミカルライトのような輝きで、数分は光り続けるようである。
これはたまらんと、次々にミミズを光らせていく。
なぜ地中に住むミミズが光るかな。
刺激すればどこでも光るみたい。
ものすごく現実味のない写真だ。
ホタルミミズが光る理由ははっきりとわかっていないようだが、ホタルのように自分の意志で光るという訳ではないので、普通に考えれば外敵から身を守るためだろう。
しかし、ホタルミミズは一口サイズだ。光り出すのは口の中に入ってから。
それでもミミズの天敵であるオサムシやモグラが、ホタルミミズを食べた時に口の周りが光るのをかっこ悪いと思うのであれば、光る意味はあるのかもしれない。
「おいおい、口の周りにホタルミミズの粘液が光っているよ!」なんて指摘されたら恥ずかしいから、ホタルミミズを食べなくなるという説はどうだろう。レディがデートでイカスミのパスタを食べることを恥じらうように。
あるいは逆に、ミミズのオシャレとしての発光。
デジカメは1万円くらいで買ったコンデジで、スーパーマクロ、露出補正+側最大、ISO感度最大で撮影し、画像処理ソフトでレベル補正しました。
他の場所にもいるのだろうか
ホタルミミズを無事に光らせることができて、すでに十分満足したのだが、本当にどこにでもホタルミミズはいるのかという点を確かめておきたい。
もしかしたら、たまたま私がいった場所が、特別にホタルミミズのいるところだったのかもしれない。トイレの裏だったし。
そこで後日、また別の場所にある公園へと、ホタルミミズ探しに行ってみた。
どこにでもある公園です。
結果を先に書いてしまうと、ホタルミミズは本当にどこにでもいるようで、もう探し方のコツがわかっていることもあり、すぐに見つけることができた。しかもたくさん。
全国的にどれほどいるのかはわからないが、少なくとも埼玉県東部の公園には、そこらじゅうにホタルミミズがいるようだ。
探し始めて3分、この木の根元で糞塊を発見。
おっと、このウンチの大きさはホタルミミズではない。トラップである。
こっちの極小サイズこそがホタルミミズの糞塊!
はい、あっさりと発見。
この電話ボックスの周りの、土が固いあたりも怪しい。
砂交じりの土なのでわかりにくいが、きっとこれは糞塊。
ほらいた。もう俺はこの道のエキスパートだ。
グランドのはじっこの、ジメっとしたところで大量発見!
さてどこにホタルミミズの糞塊はあるでしょうか?
ニョロリ。
ミミズを掘った後は、しっかりと埋め戻しましょう。
このくらい浅いところにいます。
ウンチのつまり具合で色が違う。ちなみに左側が頭。
いくら見つけてもこれが食べられないのが若干虚しい。ノビルでも摘んで帰ろう。
やっぱりちゃんと光りました
この公園で採取したミミズも、しっかりと暗闇で光ったので、どうやらホタルミミズだったようだ。
ホタルミミズは暗いところでみてこそのホタルミミズなのだが、明るいところでまじまじと見てみると、これはこれでなかなか不思議な生き物だ。いろいろとどうかしている。
もし私が第一発見者だったら、ただのホタルミミズではなく、ウンチスケスケホタルミミズと名付けたかった。
さっと水で洗うと観察しやすいです。
定規の上においてみました。
ウンチが詰まっていないと、内臓が丸見え。ミミズに詰まっているこの体液が、刺激されると外部ににじみ出て光るようだ。
たぶん右側が頭。
突然グイッと体を持ち上げたりもする。
このホタルミミズの質感、どっかでみたことがあるなと思っていたのだが、同じ発光つながりのホタルイカに似ている気がする。
小さなミミズと小さなイカ、進化の過程は全然違うのだろうけれど、なぜか発光という同じ地点にどちらも着地していておもしろい。
これは富山湾で捕まえたホタルイカ。
ごめんなさいと謝りながらそっと優しく押して、粘液を出させる。ミミズの右下に粘液が付着しているのが見えるかな。
電気を消したら、そこが光った。やはりミミズ本体ではなく、粘液が光るようだ。
ホタルミミズ、光りすぎ。ナウシカに出てくる飛行石か。
「俺のコスモよ!奇跡を起こせ!」(聖闘士星矢の名台詞より)
「見たいわ」でホタルミミズを募集します
記事をここまで読んでくれた方は、きっとホタルミミズを今すぐに探して、自慢したくなっていることでしょう。そこで当サイト内の「見たいわ」というコーナーで、ホタルミミズを捕まえた場所と写真を募集します。
見たいわ:ホタルミミズを探してみよう!
光るホタルミミズを肉眼で見ると、そりゃもう興奮しますよ。