特集 2014年4月9日

志布志市志布志町志布志の志布志市役所志布志支所の記入例がすごい

志布志市志布志町志布志一丁目に本籍がある志布志花子さんが、志布志市志布志町志布志二丁目に引っ越した体の記入例
志布志市志布志町志布志一丁目に本籍がある志布志花子さんが、志布志市志布志町志布志二丁目に引っ越した体の記入例
鹿児島県の志布志市にある志布志市役所志布志支所の住民異動届の記入例が、非常にややこしい。

なんだかタイトルですべて言い切った感があるけれど、せっかくなので、記入例の件と合わせて志布志がどれだけ志だらけなのかを紹介したいと思う。
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。

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かの有名な志布志市に行ってきた

志布志市は、いわゆる珍地名スポットとしてわりと有名で、デイリーポータルZでも過去にその珍地名ぶりを取り上げたこともある。(「思わず二度見するミネラルウォーターの採水地がある」)

今回、志布志市に行く機会があったので、その珍地名を確認しに行くことにした。
鹿児島空港からバスで向かう
鹿児島空港からバスで向かう
志布志市は、鹿児島空港から路線バスに乗り1時間半ほどで到着する。
このバス停欲しい!
このバス停欲しい!
最近では希少になってきた丸看板のバス停。(地名の書いてあるものが好きなので)できることなら持って帰りたいという衝動にかられるが我慢して写真を撮るだけにしておく。

このバス停から、志布志支所がある場所まで歩いて向かう。
珍地名マニアの聖地、志布志支所に向かう
珍地名マニアの聖地、志布志支所に向かう

志布志のどこがどう珍地名なのか?

さて、ここで改めて「志布志市」の珍地名ぶりについて考えておきたい。

ご覧のとおり「志」が多い。これは「スケベニンゲン」や「女体入口」といったいわゆるそういう珍地名とは違うタイプの素朴な面白さがある。

単純に同じ字が多いということでいえば、千葉県市川市もなかなかのものがある。

例えば、市川市の市川市立市川小学校は市川市市川にある。ということは、市川小学校になにか郵便物を送るさいは「市川市市川二丁目市川市立市川小学校」と表記しなければいけない。

どんだけ市を書かせるんだこのスカタン! となるわけだけど、冷静に考えると地名の部分には市が1文字しか入っていないので市川のケースは「市」という称号をわざと付けることによってドーピングしているようなものだ。

そう考えると、志布志の志の多さは瞠目に値する。ナチュラルに志が多いのだ。しかも「志」と「市」の発音が同じ「シ」というおまけまで付いているので、実際に声に出して読んでみると、その異常さがより一層際立つことになる。

そんなことを考えながら歩くうち、志布志支所に到着した。

なぜこんなことになったのか?

志多い
志多い
看板に書いてあるとおりこの支所の所在地は、志布志市志布志町志布志の志布志市役所志布志支所ということになる。
冗談じゃないけど冗談っぽい地名
冗談じゃないけど冗談っぽい地名
元々、このあたりは2006年まで「志布志町」という町だった。そのころは、この支所は志布志町役場で、住所も「鹿児島県曽於郡志布志町志布志二丁目」で、志の量も控えめであった。

しかし、平成の大合併で松山町と有明町、そして志布志町が合併し、志布志市が施行されることとなり、合併に伴う住居表示のさい、それぞれの旧町名を大字の上にくっつけて表記することになったため「鹿児島県曽於郡志布志町志布志二丁目」は「鹿児島県志布志市志布志町志布志二丁目」となった。
町であった過去が雑に塗りつぶされている……
町であった過去が雑に塗りつぶされている……
したがって、鹿児島県曽於郡志布志町志布志にあった志布志町役場は、志布志町が志布志市に昇格したため、志布志市の志布志支所となった。

すなわち、志布志町役場は志布志市志布町志布志の志布志市役所志布志支所となり、志布志市志布志町志布志周辺に住む志布志市民の行政の窓口となったのだが、ややこしさには拍車がかかった。

ちなみに、実際に発音すると「シブシシシブシチョウシブシノシブシシヤクショシブシシショ」である。28文字中シが15文字、半分以上がシだ。

わかりにくいので丁寧に説明しようと思ったけれども、逆に目が上滑りするような文章になってしまった。

住民票の記入例はさらにややこしい

志布志市志布志町志布志の志布志市役所志布志支所にある申請書類の記入例を見てみた。
志布志市役所志布志支所の住民異動届の記入例
志布志市役所志布志支所の住民異動届の記入例
記入例では、志布志市志布志町志布志二丁目に本籍がある志布志花子さんが志布志市志布志町志布志二丁目に転入してきており、住所だけでも面倒くさいところに、記入例の人物の名字が志布志なので輪をかけて面倒くさくなっている。
できれば旧住所も志布志市志布志町にしてほしかった
できれば旧住所も志布志市志布志町にしてほしかった
つまり、この記入例は、本籍地志布志市志布志町志布志二丁目の志布志花子さんが、志布志市志布志町志布志二丁目に転入したので、志布志市志布志町志布志の志布志市役所志布志支所に志布志市長宛の転入届を提出しに来た。という体になっているのだ。

住民の人はどう思ってるのか?

しかし、こんなに志が多い住所、志布志市民のみなさんは本当に律儀に住所に書いているのか?

実際、ぼくが上で何度か書いた志布志支所の住所、一箇所わざと「志」を省いて書いた部分があるのだが、気づいた人は居るだろうか?

こんな感じで「志」一文字ぐらい間引いたとしてもわからないのではないか? その辺どうなのか?
志布志市志布志町志布志二丁目にあるパン屋さん
志布志市志布志町志布志二丁目にあるパン屋さん
志布志支所の近くにあったパン屋さんでかるかんを買うついでに、おばちゃんに話を聞いてみた。

――この辺りの地名が珍しいなと思って来たんですが、むかしから志が多いなっていうのは意識してました?

「いや、特に気にはしてなかったけど……、ほれ、タモリさんの番組(おそらくトリビアの泉)で紹介されて、有名になってからは珍しいんだなあっては思うようになったけど……役場の前の看板もそのときにできたしナァ」

――お住まいの皆さんは不便に感じたりすることはありますか?

「うーん、不便と思ったことはないね」

地元の人は志の多さに挫けること無く、きちんとすべて表記しているらしい。
ちゃんと面倒くさがらず志布志市志布志町志布志と書いてある
ちゃんと面倒くさがらず志布志市志布志町志布志と書いてある
志布志市民にとっては、いくら「志」がたくさんあるからといっても、どの「志」もかけがえのない、大切な「志」なのだ。

鬼子母神は、他人の子供をさらって食べてしまうくせに、自分の千人いる子供のうち、一人でも居なくなったら半狂乱でお釈迦様に助けを求めにきたという。

たぶん志布志の人たちも、住所から志がひとつでもなくなったら泣き叫びながら志を探しまわるに違いない。

志布志市内にはやたら「志」があふれている

志布志市は、地名に「志」が多い。というこのメリットをいかしたまちづくりを試行錯誤している様子があちこちに伺えた。
志があふれるまち。志布志市。
志があふれるまち。志布志市。
例えば、志布志市志布志町志布志二丁目にあるJR日南線の志布志駅のトイレはこんなことになっている。
男子、女子ではなく、男志、女志。
男子、女子ではなく、男志、女志。
「『志』あふれるまち」の覚悟の凄まじさを感じずにはいられない。

これだけではない。町を歩いていると、こんな志も見つけた。
側溝の蓋に「志」
側溝の蓋に「志」
側溝の蓋に「志」。もういちど言おう、側溝の蓋に「志」。これが志布志の心意気である

珍地名をどうアピールするのか

以上、志布志の志に対する思い入れは十分伝わったかと思う。今後、志布志がその有り余る珍地名パワーを、どのようにアピールしていくのか楽しみである。
志布志市志布志町志布志にあった酒屋さん。自己矛盾を抱えた店名というのも珍しい。
志布志市志布志町志布志にあった酒屋さん。自己矛盾を抱えた店名というのも珍しい。
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